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債務整理

債務整理手続きの1つである個人再生とは?任意整理と比較しながら解説します

債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産、特定調停、過払い金請求がありますがそれぞれの違いをご存知でしょうか?

今回の記事では個人再生に焦点をあて、任意整理との違いや、手続きの条件、流れ、費用相場、どんなメリットやデメリットがあるかについて解説していきます。

個人再生とは?

個人再生とは、裁判所を間に入れて住宅ローン以外の借金を減額した上で、原則その借金を3年間で返済をする再生計画案を組む手続きです。

小規模個人再生要件

債務者が、将来的に継続して収入を得る見込みがあって、再生債権の額が5,000万円以下の場合に出来る手続きが小規模個人再生です。

自営業者であれば、こちらの小規模個人再生の手続きを行います。

給与所得者であれば、小規模個人再生か給与所得者等再生のどちらかを選択する事ができます。

小規模個人再生を進める為には、決められた要件を満たす必要があります。

小規模個人再生の開始要件

☆債務者が法人ではなく、個人であること。

☆債務者が将来において反復・継続した収入を得る見込みがあること。

☆借金の総額が住宅ローンを除いて5,000万円を超えていないこと。

サラリーマン・パート社員・アルバイト・収入の額や時期に変動がある事業者・現在は無職でも就職に見込みのある人であれば認可されます。

もし、毎月必ず一定の収入を得る見込みがなくても、数ヶ月に1回程度でも、ある程度反復・継続して収入があれば可能です。

ただし、あまりにも変動がある場合には認められない場合もありますので注意してください。

小規模個人再生の再生計画認可要件

☆債権者の半数以上または債権総額の2分の1を超えた、再生計画案に不同意回答をした債権者がいないこと。

☆再生計画を実行できる見込みがあること。

☆計画弁済総額が最低弁済額を下回っていないこと。

民事再生法によって、小規模個人再生後の返済額は規定されています。

債務総額と財産価値に関わる2つの条件があって、いずれか高い方の返済額を3年間(特別な理由があれば5年間)の分割払いにします。

給与所得者等再生要件

給与所得者等再生とは、負債総額が5,000万円を超えないこと、定期的に給与を貰っている人や貰える見込みがある人、収入の額の変動が小さいと見込まれる人が対象となる制度です。

こちらは、債権者決議が不要で、債権者に裁判所が意見を聞き再生手続開始決定をするものとなっています。

給与所得者等再生は、本来法人を対象とした【民事再生手続き】を個人でも利用できるように設けられた手続きです。

民事再生法の改正が平成13年に行われ、個人再生制度が創設されました。

その中に【小規模個人再生】【給与所得者等再生】の2つの方法があります。

まとめると、個人再生という大枠の中に【小規模個人再生】と【給与所得者等再生】の2つの手続きがあるという感じです。

手続きの流れ

個人再生手続きは下記のような流れで進みます。

①個人再生を弁護士や司法書士に相談

②各債権者へ受任通知の送付と取引履歴の開示請求

③債権調査(今、いくら債権が残っているのか・過払金が発生していないか・時効になっていないかなど)

→もし過払い金が発生していれば、過払い金返還請求を行います。時効が成立している債権については消滅時効を援用します。

④個人再生の申立書類の準備

⑤個人再生の申立て

⑥個人再生委員の選任

⑦個人再生委員と面接

⑧履行可能性テストの実施

→毎月分割返済を続けていけるかのチェックです。

個人再生委員に指定された銀行口座へ、個人再生の弁済で毎月支払う予定額を6回、6ヶ月程度振り込みます。

振込む金額は再生計画が認可された場合に支払う同等額になります。

このテストで支払った金額は個人再生委員の報酬を差し引いて(東京地裁の場合は15万円程が差し引かれる)債務者へ返還されます。

⑨個人再生手続開始決定

⑩債権者からの債権届出

⑪債権届出書をもとにして、再生債権の認否を判断

⑫一般異議申述期間・再生債権評価申立

→一般異議申述期間で異議を述べられた債権者が、裁判所に再生債権評価の申立をする事が出来る期間。

この期間は異議申述期間の末日から3週間(民事再生法227条1項および244条)

⑬再生計画案の作成・提出

⑭再生計画案に対する意見聴取または書面決議

⑮再生計画の認可決定・確定

⑯個人再生手続き終了・再生計画に基づく弁済開始

費用相場

個人再生の費用相場は、手続き時の実費等を含めて総額で50万円~60万円程度と言われています。

おおまかな内訳は下記の通りです。

相談料   30分 5,000円程度

着手金   30万円程度

成功報酬  20万円~30万円程度

相談料は無料の事務所もたくさんあります。

住宅ローンが残っており、家を残して個人再生をする場合には、費用が高くなる事務所も多いです。(通常の手続き費用に5万円~10万円ほどプラス)

また、債務整理の相談では、相談者の状況も考慮して費用の支払いを分割払いで対応してくれる事務所も多くあります。

費用や支払形態は事務所によってそれぞれ異なりますので、正式に依頼や契約を結ぶ前に金額の見積もり・支払形態をしっかり確認しておくことをオススメします。

個人再生の手続きをする前に知るべきメリット

個人再生の手続きを検討されている方に、知っておいて貰いたいメリットをお伝えします。

借金を大幅に減らせる

個人再生を行うことで、借金の元金を大幅に減らすことできるので、完済しやすくなりますし、生活の立て直しをしやすくなります。

状況にもよりますが、再生委員が立てた再生計画案が認可されれば債務は5分の1~10分の1まで減らせることが多いです。

返済期間は3年間~事情がある場合は5年間で分割返済をしていくことになり、完済すると法律上からも返済義務が免除されます。

裁判所を通すので債権者が決定に従う

任意整理には法的強制力がないので、債権者が納得せず債務整理に応じて貰えない場合があります。

しかし、個人再生は裁判所を間に入れて行う手続きなので法的強制力があり、債権者は再生計画案が認可されれば従わざるを得ません。

債権者の意向に左右されにくい債務整理の方法と言えます。

ただし、小規模個人再生を利用する場合は債務者からも一定の同意が必要になります。

借金の理由が問われない

自己破産の手続きをする場合、ギャンブルや明らかに無計画な浪費で作った借金は【免責不許可事由】とされ免責されない場合があります。

しかし、個人再生には免責不許可事由の定めがないので、借金に至った理由がギャンブルや浪費であっても手続きができます。

マイホームや車を保持できる

自己破産の手続きをする場合、マイホームや車などの時価20万円以上の財産は原則として全て処分され、債権者に配当されます。

住宅ローンの支払いをしている場合でも変わりません。

しかし、個人再生は住宅ローンの有無に関わらずマイホームを残す事ができます。

また、ローンの支払いが終わっていれば車を残すこともできます。

ただし、車の場合はローンが残っていて、ローン会社が車の所有者になっている場合には、車は引き揚げとなります。

債務整理を検討していて、住宅や車を手放したくない方にとっては最大のメリットと言えるでしょう。

個人再生の手続き前に知るべきデメリット

借金返済でお困りの方にとって、個人再生を行うことで大きなメリットを得ることができる反面、知らなかったでは済まされないデメリットもいくつかあります。

個人再生の手続きを行う前に確認しておきましょう。

利用するには収入の見込みが必要

個人再生では減額された借金の返済を継続していくことが原則です。

また、借金の元金を大幅に圧縮はできるのですが、100万円以下にはできません。

そのため、安定して継続的な収入があることが絶対条件となります。

再生計画に基づき原則3年間で完済していくので、収入が足りない、継続して収入が得られないという状況では返済が難しく裁判所からの許可がおりません。

サラリーマンや公務員は安定を得られやすいので問題なく手続きができる場合が多いです。

自営業者は、収入の変動はありますが、収入が継続的または反復的に入ってくる確実な見込があれば、収入の安定性を満たしていると判断され手続きができるケースはあります。

アルバイトやパートの場合は、雇用期間が不確定で将来に渡り継続的、反復した収入があると判断できるかがポイントになります。

短期のアルバイトやパートを転々としている場合や、仕事を始めたばかりのケースでは、将来に渡っての継続的または反復した収入があるとは認められず、個人再生ができないこともありますので注意が必要です。

年金受給者の場合

老齢年金は終身年金なので、継続的かつ反復した収入があると言えるので個人再生が認められる可能性が充分にあります。

ただし、障がい年金は障がいがなくなって障がい年金を受給しなくなる可能性があるので、個別判断になります。

手続きが煩雑で費用もかかる

個人再生は、債務整理の中でも最も難しいと言われていて、手続きもかなり煩雑です。

裁判所に申立を行うので、厳格な様式が求められる上、必要書類も大量にあります。

必要条件である再生計画の立案は多くの計算作業が伴うので、かなりの労力を要します。

ですので、素人が1人で行うには無理があります。

そうなると、弁護士や司法書士などの専門家へ依頼することになるため、報酬費用が発生します。

個人再生の手続きは申立から手続き終了までに最低でも6ヶ月、長ければ1年以上かかることもあります。

手続きにかかる費用として、申立手数料(収入印紙)が1万円、予納金(官報掲載費用)が1万2千円程度かかります。

裁判所によっては、個人再生委員を選任する場合に20万円ほどの費用がかかることもあります。

この他に専門家へ支払う報酬が20万円~30万円かかります。(住宅を残したい場合にはもっと高くなる場合があります)

債権者平等原則があり、一部のみの返済ができない

個人再生手続きでは、住宅ローンを除いた全ての借金を整理の対象にしなければなりません。

これは債権者平等の原則が適用され、法律上、支払義務のある債務額を圧縮し免除する上で一部の債権者のみを優遇してはいけないことになっているからです。

消費者金融やクレジット会社、銀行、親や兄弟などの親族、知人、友人、勤務先に至るまで全ての債権者が、債権の種類や発生時期、金額などに関わらず平等に扱われ、債務額に応じた配当を受けることになります。

親族や勤務先、保証人がついていたり、担保がついている借金など特定の債務について全額返済をしたいと思われる方もいるかもしれませんが、一部の債権者のみへ返済を行うことは偏頗弁済(へんぱべんさい)にあたります。

偏頗弁済の程度が著しい場合、不当な目的によって不誠実な申立がされたとして、再生計画が認可されない、申立が棄却されるなどのリスクが発生します。

保証人付きの借金は保証人に一括請求される

個人再生を行うことによって、本人以外で大きな影響を受けてしまうのが連帯保証人です。

個人再生では、個人再生を債務者が申し立てた時点で、連帯保証人は債務全般について一括返済をする必要が生じます。

個人再生を行って借金の減額効果を及ばせることができるのは、申立した本人のみで、保証人の保証債務には影響がありません。

つまり、本人が個人再生の手続きをすることによって、保証人は借金を全額肩代わりしなくてはならなくなり、多大な不利益を与えてしまうことになります。

保証人がいる場合において個人再生を行う場合は、保証人に対する影響を考え、事前に事情を十分に説明し、保証人の理解と同意を得る必要があります。

官報掲載や個人信用条項機関に事故情報として登録される

官報とは、裁判内容(破産手続や相続関係など)が掲載される、国が発行している新聞のようなものです。

個人再生をすると、個人再生の手続きが始まる時(開始決定)、債権者に意見を聞く時(書面決議)、残りの借金の返済計画である再生計画が裁判所に認められた時(認可決定時)の3回、申立人の氏名や住所が掲載されます。

借入先の名前や借入金額などが掲載されることはなく、また官報の存在を知っている人は少なく、一般の人は生涯で1度も目にしない人が大半なので、官報に載ったからといって、家族や知人、勤務先に知られる可能性はほとんどありません。

ただ、関係する金融機関やクレジット会社では再度金融商品の取引することができなくなったり、官報公告の情報をもとに闇金業者から突然ダイレクトメールが届いたりすることがあります。

闇金業者からダイレクトメールが届いても絶対に借入はしないようにしてください。

クレジットカードが作れなくなる

個人再生をした事実は、信用情報機関に事故情報として登録されます。

これは信用情報に傷がついた(いわゆるブラックリストに載った)状態です。

事故情報が消去されるまでの5~10年間は、自動車ローンや住宅ローンなどの契約ができなくなります。

官報に掲載される関係で、個人再生をするとクレジットカードを新たに作成することも、元々持っているクレジットカードを使って買い物や借入も出来なくなります。

個人再生と他の債務整理方法の違い

債務整理には、個人再生以外に【任意整理】・【自己破産】・【特定調停】・【過払金返還請求】と色々な選択肢があります。

ご自身の借金総額や、保有財産の状況などを踏まえて、1番適切な債務整理方法を選択していくことになります。

ここでは、個人再生と他の債務整理がどのように違うのかを解説します。

個人再生と任意整理の違い

◆借金の減額効果の違い

任意整理でカットできるのは基本的に借金のうち利息部分のみです。

個人再生の場合は、利息だけではなく元本も減額ができるので、借金の総額を5分の1~10分の1程度まで減らすことができます。

借金の額を減らす効果としては任意整理より個人再生の方が高いです。

◆裁判所を間に入れるか入れないか

任意整理と個人再生はどちらも、借金返済をしていくことに変わりはないですが、手続きの方法や進め方が違います。

個人再生が間に裁判所を入れて手続きを進めますが、任意整理は債権者と直接交渉をします。

◆個人再生には条件がある

個人再生の手続きを進めるためには、条件があります。

例えば、安定した収入があること、借金の総額が5,000万円以下であることなどです。

任意整理にはこのような条件は特にありません。

また、個人再生は全ての債権者を手続きに含めなければならないのですが、任意整理は特段の事情があれば手続きに含める債権者をご自身で選択することができます。

個人再生と自己破産の違い

◆借金の返済をするかしないか

自己破産では、原則として借金の支払い義務が免除される(免責)、つまりは借金がゼロになります。(一部、免責されないものもあります)

個人再生では、借金は減額されますが支払いの義務自体は残ります。

裁判所に提出した再生計画に基づいて分割返済を完済するまで続けなければなりません。

◆財産の処分

財産を処分しなければならないかに関しては、自己破産では生活に必要な最低限の財産(自由財産)を除いた全ての財産を処分しなければなりません。

破産者の財産は換価処分と言ってお金に換えられ、全ての債権者に対して公平に配当として分配されます。

個人再生では基本的には財産の処分の必要がありません。

特に住宅ローンが残っている自宅は残せる可能性があります。

その場合は、住宅資金特別条項によって住宅ローン以外の借金が個人再生の対象になります。

車の場合は、ローンが終わっていることが絶対条件ですが残せる可能性があります。

◆職業制限の有無

自己破産の場合は、警備員や保険募集人、弁護士や司法書士のような士業など特定の資格が必要な職業に就くことを制限されますが、個人再生の場合、職業制限はありません。

任意整理と個人再生それぞれにおすすめのケース

「任意整理と個人再生はどちらを選べばいいんだろう?」

「任意整理と個人再生はどんなときに行うべきなんだろう?」

借金に関する悩みを抱えている方の中には、任意整理と個人再生のどちらを選べば良いか迷っている方も多いのではないでしょうか。

ここでは任意整理と個人再生がオススメのケースについて紹介していきます。

任意整理がおすすめのケース

◆裁判所を間に入れたくない

任意整理は、債権者と直接話し合いをして解決を目指すため、裁判所は間に入りません。

裁判所が関与していなければ、同居の家族などに債務整理をしている事実を知られるリスクは低くなります。

任意整理の場合は、債権者に資料の提出を求められることが少ないので、家族に内緒で手続きを進めやすくなります。

◆簡単な手続きで済ませたい

債権者と直接話し合いをして和解を進めていくため、複雑な手続きは不要です。

弁護士や司法書士に依頼をする場合でも、事務所に出向く回数も基本的には1回で後はお電話でのやりとりなどで進めることができるので手間をかけることなく債務整理をすることができます。

任意整理であれば、忙しい方でも容易に手続きを進めることができるので、手軽に返済の負担を軽減したい方にピッタリです。

◆利息が原因で借金がなかなか減らない

任意整理は将来利息の支払いを免除してもらい、元金を3年~5年かけて返済する手続きです。

弁護士や司法書士が無理なく返済できる入金スケジュールで和解をしてくれるので、生活に支障が出ないように、そして確実に借金を減らし完済することができます。

毎月利息しか払えていない方は、元金を確実に減らせる任意整理がオススメです。

◆生活必需品にローンが残っている

任意整理の大きなメリットとして、手続きする債権者を選べることができる点があげられます。

個人再生の場合は、車などの生活必需品にローンが残っていると引き揚げになってなる可能性があるので任意整理を利用して、手続きから外すことになります。

個人再生がおすすめのケース

◆任意整理では完済できない

個人再生の場合は、返済が困難であることを裁判所に認めてもらうことで借金を大幅に減額してもらえます。

任意整理は利息分の免除のみですが、個人再生は元本も減額してもらえるため、完済しやすくなり今後の生活を立て直しやすくなります。

◆借金の金額が大きい

任意整理で完済を目指せる場合でも、返済能力がギリギリの場合は毎月の負担が大きいまま基本的に5年で完済しなければなりません。

個人再生ではあれば、借金の金額が大きくなるほど大幅に減額してもらえるので、短期間で解決することができます。

返済期間が長くなるほど、返済金額や負担が大きくなるので任意整理をするかどうか迷うくらいに借金額であれば個人再生を1つの選択肢に入れてみましょう。

◆給与などが差押さえられている

給与などが差し押さえられている場合や今にも差し押さえをされそうな方は個人再生がオススメです。

個人再生の申立をして開始決定がでれば、差し押さえの手続きを止める事ができます。

開始決定後であれば、給与などが差し押さえられている場合でもまとめて返却して貰うことが可能です。(開始決定前に差し押さえらた物は返却してもらえません。)

任意整理では、差し押さえを防ぐ効果はなく、既に差し押さえられている財産は手元に却って来ない可能性が高いです。

差し押さえの状況によっては個人再生を選んだほうが良いでしょう。

個人再生の解決事例

ここで数名の解決事例を紹介します。

Aさんの事例

ギャンブルで作った借金450万円を、個人再生で100万円に減額した事例です。

Aさんはパチンコや競艇が大好きで、20代から借入をしながらギャンブルをするという生活をしていました。

30代になって借入額が150万円まで膨らんでしまい、一度は任意整理を行い完済しましたが、その後もギャンブルをやめることができませんでした。

新たな借入ができなくなってしまったため、収入の範囲内でギャンブルを続けていました。

40代になり、ダメもとで借入を申し込んだところ審査が通りました。

それをきっかけに、また借入を原資にギャンブルをするようになってしまいました。

資金が不足すれば借入で補っていく生活が続き、借入が限度額に達すると新たに消費者金融などと契約して借入を始める悪循環に陥り、5年間で500万円以上をギャンブルに費やしてしまいました。

その結果、借入総額が450万円と膨らみ、自力での返済が厳しくなり専門家へ相談にいきました。

借入額や収入状況を確認したところ、任意整理では難しいと判断し破産か個人再生で進めていくことになりました。

ギャンブルで作った借金でも、自己破産できるのか不安になっていたので、今までの事をしっかり反省し今後はギャンブルをせず、経済的更生に向けて努力を続けていけるのであれば、自己破産を進めることは可能です。

Aさんは自己破産を選択することもできたのですが、少しでも返済をしたいとの気持ちが強かったため、個人再生手続きで進めることになりました。

個人再生は返済額が下がるとは言っても完済まで返済を継続していく必要があり、今後の家計収支がとても大事になってくるので奥さんにも協力頂いて、毎月の収支の管理をしっかりとしてもらいました。

その結果、Aさんはギャンブルをやめることができ返済を続けていく見通しをたてることができました。

裁判所へ小規模個人再生の申立を行った結果、無事に認可決定を受けて、現在は順調に返済を続けています。

450万円あった借入が100万円まで減額になり、月8万円の返済も月3.5万円と大幅に減額することができました。

Bさんの事例

保険の営業を担当していたBさんは、顧客への訪問の際の費用や販促費を自腹で払っており毎月の負担がかなりかかっていたところに、上司や部下との交際費の補てんをするために借金を作ってしまいました。

当初は収入の範囲内で返済をやりくりしていましたが、同居の父が亡くなり、住宅ローンを共同で負担していたため、住宅ローン返済の負担が家計に重くのしかかり、また勤務先の業績が下がったことも重なり収入が減ってしまう不運も重なりました。

Bさんは住宅をとにかく残したいとの強い意向がありました。

収入状況は安定していたため、住宅ローン以外の借金が減額できれば、住宅ローンの返済は可能な状況でした。

住宅の価値と住宅ローンのどちららが高くなっているかが気がかりでしたが、調べたところオーバーローンでした。(住宅ローンの方が高い状態)

その他に気になる財産もなく、5分の1に圧縮した金額で再生計画を立てられそうだったので、具体的な返済見込み額を提示して、個人再生手続きで進めることになりました。

Bさんは借入先が10社以上になっており、自分自身でも借入先を正確に把握できていない状況だったので、信用情報を取得してもらい債権者漏れがないように注意を促しました。

もし申立書に債権者漏れがあって、認可後にその債権者から請求が来ると、再生計画で圧縮した割合と同じ割合の金額をプラスして支払う必要があるため、毎月の返済額が増え計画が破綻する恐れがあります。

その後は浪費を抑え、家計管理もしっかりとするようになり、裁判所から指示された履行テストも無事終え、再生計画が認可されました。

667万円あった借金が133万円に圧縮され、順調に返済を継続しています。

まとめ

個人再生をすると、借金を5分の1から10分の1程度に減額できますが、自己破産とは違い借金の返済義務が全くなくなるわけではありません。

確かに住宅を残すことができたり、借金の元本も減らせるなど多くのメリットはありますが、任意整理や自己破産に比べ条件が厳しく個人再生を希望しても裁判所から認可決定がおりない場合もあります。

債務整理方法の選択は、借金の金額や収入、資産状況によって変わりますので1人で判断してしまうと、誤った選択をしてしまう可能性も出てきます。

特に個人再生と任意整理で迷われている方は、まずは経験豊富な弁護士や司法書士などの専門家に相談することから始めましょう。

ご自身に1番最適な債務整理方法を提案してくれるはずです。