債務整理

債務整理はデメリットがやばい?債務整理のデメリットと影響を解説!

借金の返済に苦しんでいませんか?
もはや自分一人の力では返済が難しいと感じているなら、債務整理という選択肢があります。
債務整理とは、借金を減額したり、返済期間を延長したりして、返済への負担を軽くする法的な手続きのことで、任意整理、個人再生、自己破産など、状況に合わせたいくつかの方法があります。

債務整理は借金地獄から抜け出すための有効な手段になるでしょう。ただし、債務整理にはデメリットもあり、様々な制限を受けることもあるため、行うべきかどうかは慎重に考慮したうえで、選択するべきでしょう。

この記事では、債務整理の種類や特徴、債務整理についてのデメリットや、その後の生活への影響について詳しく解説します。

債務整理とは何か?

それでは、まず今回ご紹介する債務整理とは、いったい何なのでしょうか。
そこからお話ししていきます。

借金に苦しむ人のための手段

借金を抱えている人の中には、もはや自分の力では返済ができないほどに額が膨れ上がってしまい、どうにもならなくなっている人もいると思います。

もしくは、何とか返済はできているものの、返済に充てるために生活費などの重要なお金を削っていて、日々の暮らしに影響が出てしまっている人もいるかもしれません。

そういった人たちが取ることのできる手段が、債務整理手続きです。
債務整理手続きをすると、今ある借金の総額を減らすことができたり、月々の返済額を減らすことができたり、場合によってはゼロにすることも可能です。

本当にそんなことができるのかと思われるかもしれません。しかし、債務整理手続きは法律によって規定されている正当な手続きになります。

債務整理には種類がある

債務整理手続きは、大まかに分けて3つの種類の手続きに分かれています。


任意整理、個人再生、自己破産の3つです。

任意整理は、相手業者との交渉によって、借金を減額してもらう手続きです。
個人再生は、裁判所での手続きによって、借金を大幅に減額してもらう手続きです。
自己破産は、裁判所での手続きによって、借金をゼロにしてもらう手続きです。

債務整理手続きとまとめて呼ばれていますが、この3つの手続きは、手続きの流れも、手続きを行ったことで得られる結果も変わってくるものです。

そのため、債務整理手続きをするのであれば、手続きの特性を理解した上で、今の自分に最も適している手続きがどれなのかを判断し、選ばなければなりません。

各手続きの詳細や流れなどについては、以下の記事をご覧ください。

債務整理はどんな手順で行われる?手続きの流れや手続きの期間を解説債務整理には3つの種類があり、どれを選べばいいかわからないでしょう。 また、債務整理の手順や期間について知らないせいか、余計な不安を抱いてしまう方も多くおられます。 そこで、本記事では、借金問題でお悩みの方へ、任意整理、個人再生、自己破産という3つの債務整理方法の概要、手順、期間についてご説明します。...

任意整理とは

債務整理の中でも、一番よく使われているのは「任意整理」です。

任意整理は消費者金融などの債権者と交渉して、金利の引き直しや借金の減額を行い、返済を生活に支障なく行えるようにする債務整理の方法です。

裁判所を利用せずに行われる点が破産や個人再生との大きな違いです。

例えば、消費者金融A社から100万円を借りている場合、法律で定められた利息の上限は15%です。毎月の返済のほとんどが高い利息を支払っていることになります。

任意整理は、この高い利息を削減し、元本のみを支払う状態にする手続きです。これにより、返済額が元本に充てられるため、返済が容易になります。返済額も、元本に利息が含まれていた場合よりも毎月の支払額が減ることもあります。

任意整理のメリットは、利息を減額してもらうことで、支払ったお金がすべて元金の返済に当たるようになり、結果として債務額が減りやすい状態になることです。

また、家族や職場にバレずに進めることが比較的簡単で、債権者との合意も6ヶ月程度で終わることが多いことから、迅速な解決が目指せるという点も魅力と言えるでしょう。

さらに、任意整理の魅力は手続きの柔軟性です。裁判所を介さず、債権者との交渉によって進められるため、手続きの制約が少ないのも良い点です。調査や制限を受ける必要もなく、手続きを進める業者を自由に選ぶことができます。家族や勤務先への影響も少ないため、プライバシーが守られます。

任意整理は、安定した収入があり債務の元本を3年~5年で返済できる見込みがある人や一部の貸金業者を対象としてのみ債務整理を行いたい人におすすめの手続です。

個人再生とは

個人再生は裁判所を使って、自宅や財産を手元に残しながら借金を減額する返済計画を認めてもらう手続きです。具体的には、債務額を最低100万円まで、最大で債務の90%の大幅に削減したうえで、借金を3年から5年の間で分割返済する手続きです。

「個人再生」の特徴は、自己破産のように財産を清算する必要がないことから、手元にある貴重品や車などは、ローンが残っているものを除いて、残すことが出来ることにあります。

たとえば、自己破産の場合、自宅を所有している場合は通常住宅を売却しなければならないことが多く、自宅を保持しながら自己破産を行えることは例外的です。

しかし、個人再生には、「住宅資金特別条項」という特別な規定があります。この規定により、住宅ローンなどの住宅資金貸付債権について、抵当権の実行を免除し、自宅やマイホームを手放さずに居住を継続できるうえに、住宅ローン以外の借金を減額または分割払いすることが可能となります。

また、所有する財産についても、ローンが残っていないものに関しては財産の精算対象とはなりません。

このように、個人再生は任意整理以上に大きな借金減額が認められ、自己破産よりも制約が少ないという点が特徴と言えます。

自己破産とは

自己破産手続きは、借金が返せない状態であることを裁判所に認めてもらい、借金を返さなくてもいいようにしてもらう手続きです。

自己破産のメリットは、借金を返さなくていいということです。借金が100万円でも1000万円でも、裁判所が承認すれば返済を免除してもらえます。

借金の負担から解放され、新たなスタートを切ることができます。

例えば、既に多額の借金を抱えていて、消費者金融やクレジットカードから複数の借り入れがある人や、給料の大半を返済に充ててしまっている人は、自己破産を考える価値があるかもしれません。

債務整理のデメリットとは?

  • 信用情報機関への事故情報の登録
  • 債務整理した銀行の口座が一時的に使えなくなる
  • 保証人にも影響が及ぶ
  • ローンやクレジットで購入した商品が回収される
  • 手続費用がかかる

信用情報への事故情報の登録

債務整理を行うと、信用情報に「異動情報」が登録されます。これが俗にいう「事故情報」や「ブラックリスト」の状況です。

異動情報とは、カードローンやキャッシングなどの借入の際の契約で定められた条項を守れなかったときに、信用情報機関に登録される審査に悪影響となる情報を指し、「債務整理」をすることによりブラックリストに載るのは有名ですが、他にも「支払の延滞・遅延」「強制解約」「代位弁済」なども、異動情報に該当する原因となります。

信用情報への事故情報の登録はどの債務整理を行うとしても必ず登録されることとなります。これは、避けることのできない悪影響だと言えるでしょう。

なお、以下の記事で信用情報やその影響について詳しく解説をしています。合わせてご参照ください。

信用情報のブラックリストとは?登録情報や影響を解説しますブラックリストに載ると新規の借り入れが出来ない!ということを過大に評価してしまい、債務整理に足踏みしてしまう方は多いです。ただ、ブラックリストとはどのようなものか、正しく知っている方は少ないように思います。この記事では信用情報やブラックリストとはどんなものか?ブラックリストに載るとどうなるのか?を解説していきます。...

事故情報の登録の影響とは?

まず、債務整理を行うと信用情報に事故情報が登録されるため、審査に不利な影響を及ぼします。そのため、債務整理期間中はもちろん、債務整理が終わって事故情報が消えるまでの間は、新たな借り入れ審査に通りづらくなります。

これにより、ローンを組んだり、お金を借りたり、クレジットカードを作ることは難しくなります。また、住宅ローンや車のローンを組むこともできません。

また、携帯電話会社も金融機関と同様に信用情報機関に加盟しているため、ブラックリストに登録されると、携帯電話を分割払いで購入する際の審査に通るのが難しくなります。なお、ブラックリストに登録される以前から分割払いで購入して利用している携帯電話については、代金を滞納することなく支払い続けていれば、問題なく利用できます。

さらには、債務整理をしていないクレジットカードなどについても、更新や再審査の際に利用できなくなる可能性もあります。


ただし、一定期間が経過すれば、事故情報が抹消されるため、ローンを組むことは可能です。

抹消されるまでの期間は信用情報機関により異なりますが、自己破産の場合は破産手続開始決定から10年間、民事再生(個人再生)の場合は再生手続開始決定から7年間、任意整理の場合は完済してから5年間が目安となります。

事故情報はいつ消える?債務整理の影響が残る期間について解説債務整理にかかる期間には「手続期間」と「返済期間(自己破産を除く)」があります。債務整理の手続き方法によって異なりますが、それぞれにかかる期間は以下の通りです。 「任意整理」=手続期間3~6ヶ月程度・返済期間3~5年程度 「個人再生」=手続期間1年~1年半程度・返済期間3~5年程度 「自己破産」=手続期間6ヶ月~1年程度・返済期間なし また、債務整理をすると信用情報機関に「事故情報」が記録され、クレジットカードやローンの新規契約・利用ができなくなります。債務整理の手続き方法によって異なりますが、事故情報が削除されるのは原則として5~10年程度だと言われています。 この記事では、債務整理手続きにかかる期間や返済期間、事故情報が削除されるまでの期間について詳しく解説していきます。...

口座凍結の可能性

債務整理を行うことにより、その対象となる金融機関に保有している口座が凍結されてしまうことがあります。

金融機関は、口座から預金を引き出して、少しでも債務を回収しようとするため口座を凍結させます。

口座を保有する金融機関から直接借入れをしていなくても、系列の消費者金融から借入れをしていた場合に、口座が凍結されることもあります。

口座が凍結されるタイミングは、債務整理について、弁護士や司法書士が受任したと債権者に通知したタイミングになります。

口座が凍結されると、預金と相殺しても弁済しきれない債務については、銀行の保証会社が債務者に代わって返済することになります(代位弁済といいます)。

保証会社による代位弁済が完了するまでは、およそ1カ月~3カ月の期間がかかります。

債務整理した銀行の口座が一時的に使えなくなることも

銀行のカードローンを利用中で、その返済を債務整理する場合、その銀行の預金口座が一時的に凍結され、使えなくなることがあります。

口座が凍結されるのは、債務整理を依頼した司法書士や弁護士が「受任通知」を送った時点です。

口座が凍結されると、預金の引き出しができなくなり、預金と借金(ローン)が相殺されてしまう恐れがあります。

そのため、手続き前に残高を引き出しておくのがよいでしょう。

また、給与や年金などの振込先が、債務整理する金融機関になっている場合は、手続き前に別の金融機関の口座に変更しておくことをおすすめします。

給与振込口座が凍結されてしまうと、会社が給与を振り込めなくなることがあるからです。そうなると、会社から事情を聞かれた時に、債務整理のことを話さざるを得なくなるかもしれません。

公共料金や保険料の引き落とし口座も、変更しておいた方が無難です。

保証人にも影響が及ぶ

借金の保証人は、借金をした本人が返済できなくなった時に代わりに返済する義務があります。

この保証人の義務は、主債務者が個人再生や自己破産をしても消えることはありません。

したがって、主債務者が個人再生や自己破産を行うと、債権者は保証人に対して、代わりの返済を求めてきます。

一方、任意整理なら、手続きする債権者を選べる。

保証人が付いている借金は除外して、その他の借金だけを手続きすることができます。

この場合、保証人に借金の請求が届くことはないので、迷惑をかけずに済みます。

ローンやクレジットで購入した商品が回収されることも

クレジットカードやローンの分割払いで商品を買って、代金を返済中の場合、そのクレジットカードやローンを債務整理すると、商品の返却を求められる可能性があります。

特に購入した商品が高価で、売れば高値が付きそうな時は、回収される恐れが高まります。

債権者に回収された商品は売却され、債務の返済に充てられます。

代金の支払いが終わっていれば、商品を取り上げられることはありません。

ただし自己破産では、持ち家やマイカーが処分の対象になりやすいです。

自己破産では、価値が20万円を超える物は、原則として換価処分しなければならないからです。

任意整理と個人再生では、ローンを完済して自分の物になった財産は没収されません。

手続費用がかかる

債務整理を行う際には、弁護士や司法書士に依頼し、代理人となってもらうことが一般的です。

ですが、代理人に債務整理を委任すると、当然ですが依頼費用や報酬が発生します。

また、裁判所を通じて行う法的整理の手続きを行う場合は、代理人に支払う費用や報酬とは別に、裁判所に支払う申立費用も発生します。

このように聞くと、お金がないから債務整理をするのに、費用が上乗せされてしまったら余計に出費が増えてしまうだけだと思ってしまうかもしれません。

しかし、債務整理を開始すると、債務整理の手続きが完了するまでの間、クレジットカード会社や消費者金融といった、お金を貸してくれた債権者への返済をストップすることが出来ます。

その間に、費用を分割で弁護士や司法書士に支払うことになるのです。

ですから、結果として手続き費用はかかるものの、一回ごとの支払額は債務整理をせずに支払いを続けるよりも安くなることが多いので、毎月の支出の負担は軽くなることがほとんどです。

手続きごとのデメリット

以上では、債務整理手続全般に共通するデメリットを説明してきましたが、ここからは手続別にどのようなデメリットが生じるのかを見ていきます。

債務整理の主な手続きには、①任意整理②個人再生③自己破産の3種類があります。

これらはいずれも別個独立の手続であることから、それぞれ受けるデメリットが異なっています。

特に、大きな減額が認められる自己破産の手続では他の方法にはない独自のデメリットがあることには注意が必要でしょう。

任意整理の場合

手続後も返済が続く

上記「任意整理とは」でも説明したように、任意整理はあくまで「返済を前提とした手続き」です。

任意整理後は、返済計画に基づいた返済を継続する必要があるため、毎月安定した収入がなければ返済は難しいといえます。

また、収入に対する債務の金額が大きすぎる場合も、仮に貸金業者と和解ができたとしても、完済は困難だといえます。

希望通りに和解できるとは限らない

任意整理は、債権者との合意に基づいて借金を減額する手続きで、成功するには債権者の合意が必要です。

特に、返済期間と取引履歴が重要な争点となることがあります。

例えば、通常、任意整理の返済期間は3~5年程度ですが、借金200万円を3~5年で返済しようと思うと、月々の返済額は3.3~5.6万円になります。

もし、返済額をより減額しようしようと考えると、さらに長期の返済期間で合意しなければなりませんが、債権者が返済期間を延ばすことに同意しないことがあります。

また、取引期間が1年以下の短期間の場合、債権者は利息の免除を認めないか、3~10%程度の将来の利息を支払わせることを要求することもあります。

このように、債権者が合意しない場合、全ての要望が通らないことがあるのです。

元金の減額は原則不可能

任意整理は、債権者と合意して、利息や毎月の返済額を減らすことは出来るのですが、自己破産や個人再生とは異なり、元本の減額はほとんどできないというデメリットもあります。

また、裁判所を利用した手続ではないため、強制力がないというデメリットがありますので、結局は個人再生や自己破産といった他の債務整理の手段をとらざるを得ない可能性もあります。

大手消費者金融などでは一般的に15%近い高額の利息を取っていることが多いため、利息を無くすだけでも十分に借金完済に向けての進歩と言えるのですが、元金が減らないことで、支払額は大きくなってしまう傾向にあります。

個人再生の場合

手続後も返済が続くため、返済原資が準備できないといけない

まず、個人再生は任意整理と同様に、減額した借金の返済が必要です。

つまり、個人再生は自己破産と異なり、通常は3年、再生計画に従って、減額された借金を返済する期間があります。その完済が出来た段階で個人再生が認可されるのです。

小規模個人再生を利用するためには

  • ①個人であること
  • ②将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること
  • ③債務総額が5000万円を超えないことという要件をみたす必要があること

の三つが条件となり、返済のために安定的な収入があることが個人再生の条件となるのです。

では、どのくらいの借金を返済しなければいけないのでしょうか?それは、

個人再生の計画案を作成する際に算定される「最低弁済額」を基準とすることになります。つまり、最低弁済額とは、個人再生で支払わなければならない金額だということです。

最低弁済額は、次の3つの方法で算出し、金額が大きい方の支払いをすることとなります。

  1. 「最低弁済額基準」(総借金額から決める方法)
  2. 「清算価値保障基準」(持っている財産の価値から決める方法)
  3. 「可処分所得基準」(可処分所得額から決める。給与所得者等再生の場合のみ適用)
【最低弁済額基準】
確定した借金の額最低弁済額
100万円以下そのまま
100万~500万円100万円
500万~1500万円5分の1
1500万~3000万円300万円
3000万円~5000万円10分の1
  • ケース1
    • 600万円の借金があり、借り主が300万円の財産(車や株式、生命保険など)を持っている場合
  • ①「最低弁済額基準」では120万円(600万円×1/5)が最低返済額になります。
  • ②「清算価値保障基準」では300万円が最低返済額になります。

そして、この場合、「清算価値保障基準」の方が高額であるため、最低返済額は300万円になります。したがって、600万円の借金を300万円に減額、これを支払うことで借金を完済でき、300万円の借金を減らすことができます。

個人再生ではいくら払う?最低弁済額の基準について解説します個人再生には、〈最低弁済基準〉、〈清算価値保障基準〉、〈可処分所得基準〉の3つの基準があり、返済額が決まります。基準は個人再生の種類によって適用が異なり、支払う最低弁済額に影響を与えます。この記事では、個人再生の最低弁済額の基準について、わかりやすく解説します。...

財産が多いと借金を減額してもらえない可能性がある

次に、財産が多いと借金を減額してもらえない可能性があるということがデメリットとして挙げられます。具体例を上げて、最低弁済額を計算してみましょう。

  • ケース2
    • 300万円の借金があり、借り主が300万円の財産(車や株式、生命保険など)を持っている場合
  • ①「最低弁済額基準」では100万円が最低返済額になります。
  • ②「清算価値保障基準」では300万円が最低返済額になります。

このケースでも「清算価値保障基準」の方が高額であるため、最低返済額は300万円になります。つまり、借金の減額が認められなくなるのです。

このように、財産が多く借金が減額出来ないケースが生じうるのが、個人再生のデメリットと言えるでしょう。

利用するための条件が厳しく、手続も複雑

個人再生は、裁判所を利用する手続きであることから、多数の資料や書類を作成し、提出する必要があります。

加えて、申し立て後にも債権者から再生計画の承認手続きが必要になったり、個人再生が完了できるかについてのテストをされたりすることとなります。

また、個人再生に関する手続きの法律(e-GOV法令検索を引用)に定められた手続きを栗化する必要があります。例えば、「再生計画案を可決する決議」で、第172条の3で定められた要件を満たした数の同意を得なければ、手続きを続けることが出来ません。

さらに、個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があるのですが、返済が出来る見込みがあるというような要件をみたす必要です。

この条件は債務者がよく言う「払えると思う」と言うようなものでは足りません。(払えるんならそもそも個人再生はしていないでしょうが。)厳格な家計収支の管理の上で算定されたものであり、誰でも利用できる手続とは言いがたいのです。

お金を借りている知人、家族、保証人を対象外に出来ない

個人再生は、任意整理とは異なり、借金の全部を対象としなければなりません。

そのため、知人や家族からお金を借りている場合、これも個人再生の対象とされてしまいます。もちろん債権者にはバレますし、借金は減額となります。

また、保証人が付いている借金がある場合も、その借金を対象外として手続きを進めることはできません。そのため、個人再生を行うと、保証人が付いている借金については、保証人に請求がいってしまうこととなります。

官報に掲載される

最後に、個人再生の手続きを申し立てて裁判所が個人再生手続きを開始した際や個人再生が終了した際に、その事実や債務者の氏名、住所などが官報に掲載されることとなります。

そのため、官報を読んでいる人に、あなたの名前や住所を知られてしまうという可能性は否定できません。

官報とは、独立行政法人国立印刷局が発行する機関誌で、国会が新たな法律を作った場合や、裁判所の手続きを行う際に、その事実を公告し、多くの国民に知らしめるために利用されています。

具体的には、民事再生法第10条では「民事再生法の規定による公告は、官報に掲載してする。」と定められています。広告が必要なケースとしては、個人再生の開始と終了のタイミングが挙げられます。

民事再生法第35条では、「裁判所は再生手続開始の決定をしたとき、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない」と定められています。また、再生手続の終結した際にも同様に、その主文及び理由の要旨を公告する必要があり、これもまた、官報公告される場合があります。(同法第188条5項)(法令はいずれもe-GOV法令検索を引用)

つまり、個人再生の開始と終了のタイミングで、官報で公告をされることとなるのです。この際に、知人や家族、会社など、個人再生に関係のない方に債務整理をしているという事実を知られてしまうリスクはあるということが考えられます。

自己破産の場合

生活必需品等を除く財産を処分しなければならない

自己破産手続では、借金全額の支払い義務の免除を受けられるという強力な効果が認められる反面、手続きを利用するためには特別の制約があるということには注意が必要です。

まず、所有する財産の処分が必要である(破産法第34条)という点です。

れ、自由財産には含まれない住宅や車等の財産は、全て手放さなければなりません。自己破産の手続では、一定以上の価値のある財産や資産を清算し、借金の返済に充ててもなお、借金を返しきることができないことを証明する必要があります。

そのため、自宅や車、保険等など、清算すれば金銭に換算できる可能性があるものを手元に残したまま自己破産をすることはできません。

ただし、すべての財産を売却清算の対象としなければならないわけではありません。

例えば、大工をやってる方が破産をするとしましょう。この方が破産を認められるために、工具まで売らなければならないとなると、仕事が出来ないのは目に見えています。これでは、破産法の趣旨である「債務者の経済的再生」を図ることが出来ません。

そこで、破産法第34条第3項では、手元に残せる財産(自由財産)を規定し、例外的に破産者の手元に残せる財産を定めたのです。

自由財産の例としては、破産手続後に取得した財産、差押禁止財産、99万円以下の現金等などがあります。なお、自由財産の詳細は以下の記事をご参照ください。

自己破産をしたら財産は残せない?自己破産しても残せる自由財産を解説自己破産をすると、原則として全ての財産を失うことになります。しかし、身の回り品など生活に最低限必要なものは「自由財産」として手元に残せるほか、裁判所の判断で「自由財産の拡張」が認められれば、より多くの財産を守ることができます。そこで今回は、自己破産で財産が残せるケースと、財産が残せない場合の対処法について解説します。...

官報に掲載される

自己破産でも、個人再生の場合と同様に、「破産手続開始後」と「破産手続廃止及び免責許可決定後」の際に官報に氏名や住所が掲載されます。(破産法第32条,同法第217条第4項)

そのため、官報を読んでいる人には、自己破産をしているという事実を知られてしまうリスクはあります。また、自己破産をしたことが官報に公告されます。

ただし、官報を購読されている方と言うのは、一般的にはほとんどいないというのが現実です。現実として、官報を見られて破産を知られたというケースは聞いたことがありません。

そもそも、普通のご家庭で購読するようなものではありません。

官報や政府刊行物の販売を行う全国官報販売協同組合の公式サイトによりますと、紙媒体の官報の定期購読料は1ヶ月 3,841円(本体 1,520円+消費税121円+送料2,200円)となっており(令和6年10月時点)、かなり値が張ります。

また、官報電子化に関する内閣府の説明資料によりますと、官報の定期購読数は月間6200部程度です。これは、新聞で言うと朝日や読売と言った全国紙には遠く及ばず、地方紙にも劣るほどの発行部数です。

現在では、独立行政法人国立印刷局が運営するインターネット版官報もありますが、こちらは無料で見れるのが直近90日以内のものに限られ、それ以前の記事の検索は有料となっているなど、簡単に情報にアクセスが出来るとは言い難いのが現状です。

そのため、官報に掲載されることで、氏名住所が知り合いや知人に知られてしまうということは、ほとんど起こりえないということは知っておいていいでしょう。

債人や家族、保証人等に影響が出る場合がある

これも個人再生と同様に、自己破産もすべての借金を対象として行わなければなりません。

そのため自己破産を行う場合であっても、保証人が付いている借金については、保証人に請求がいってしまうこととなります。

また、家族や知人から借金をしている場合も同様で、これらの借金は支払い義務を免除されることとなります。

自己破産特有の制限

自己破産は任意整理や個人再生と違い、借金を一切払わなくていいということから、債権者へのダメージは非常に大きいといえます。そのため、他の手続きとは異なった制約が課されることがあります。

まず、免責不許可事由です。破産法第252条(免責許可の決定の要件等)では、裁判所は、破産者について、免責許可の決定をするためには以下のようなことをしていないことを条件としています。

「ギャンブル、浪費、株式投資が理由の借金」
「財産を隠す」
「特定の債権者にだけ優先して返済を行う」
「返済の見込みのないのに自己破産前提で借金をする」
「裁判所に嘘の報告をする」
「2度目以降の自己破産は前回の免責から7年以内に行う」

といったような事情があると、免責が認められないこととなります。

他にも、手続き中には職業制限や資格の制限がかかる場合があり、警備員や銀行員といった仕事に就けなくなったり、保険の外交員や士業の先生が保有している資格を制限されたり、取り消されたりしてしまうことがあります。

自己破産をすると仕事に就けない?職業制限について紹介します 職業制限 自己破産をした場合、自己破産の手続中には就業することを制限される仕事があり、制限のことを、職業制限といいます。 ...

さらに、自己破産手続き中の人は、自由に住まいを変えたり長期旅行をしたりすることは許されません。その理由は、破産者が自分の持ち物についていつでも説明できる状態でなければならないためです。くわえて、破産手続きが始まってから終わるまでの間、破産者が受け取る郵便物は破産管財人に転送され、開封されて内容が確認されます。その理由は、破産者が債権者を差し引いたり財産を隠したりするのを防ぐためです。

まとめ

債務整理とは、借金返済に苦しむ人が利用できる手段で、任意整理、個人再生、自己破産の3種類があります。

どの手続きでも、信用情報に事故情報が登録され、ローン審査等への影響が数年続くこととなります。また費用もかかり、各手続きに固有のリスクもあります。

ただし、借金に苦しむ状態から抜け出せるメリットは大きいことから、債務整理は状況に合わせて慎重に選択すべきだといえるでしょう。

とはいえ、債務整理にはデメリットがあるものの、弁護士・司法書士に相談すれば、デメリットを最低限に抑えながら債務整理を行う方法を提案してもらうことが可能です。

弁護士・司法書士に依頼することで、書類作成などの手間を大幅に削減することができ、最短で手続を完了させることが可能となります。

また、どの方法で債務整理をすればデメリットが最低限に抑えられるかについても有益なアドバイスを受けることができます。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る