債務整理をするとローンが組めなくなるのか気になる方が多いかと思います。
結論から申し上げますと、債務整理をすると一定期間ローンが組めなくなります。
現在、返済中のローンにも影響が及ぶ可能性もあります。
この記事では
・債務整理後にローンを組めない期間
・債務整理後にローンを組む際の審査の注意点
について解説していきます。
債務整理すると新規でローンを組めるのか

将来、家や車の購入を考えている方は債務整理をするとローンを組めるのか気になると思います。
債務整理を行うことで一定期間は新規のローンを組めなくなりますが一生ローンを組めないわけではありません。
以下で詳しく解説していきます。
ローンは組めなくなるというのは間違い
債務整理「任意整理・個人再生・自己破産」をしたからといってローンが組めなくなるということはありません。
しかし、影響がないわけではなく、一定期間はローンが組めなくなるので注意が必要です。
新規のローン契約にはどのような影響があるのでしょうか。
まず債務整理をすると信用情報機関に「債務整理をした」という情報が登録されます。
信用情報に登録される「債務整理をした」という情報は、借りたお金を最初の契約通りに返済できなかったという、事故情報です。
このネガティブな事故情報のことを世間でいわれている「ブラックリスト」です。
銀行や貸金業者等は、ローンを組む際の審査時に信用情報機関を参照します。
信用情報機関に事故情報が登録されていると、審査時に支払能力に問題があると判断されるため、ローンが通りにくくなります。
賃貸契約の審査に通りづらくなる可能性がある
債務整理をすると賃貸借契約に影響はあるのでしょうか。
債務整理をしたことで、賃貸の入居審査が通らなくなったり、現在の賃貸契約を解除されたりすることは基本的にありません。
しかし、まったく影響がないわけではありません。
近年では賃貸契約の際に保証会社との契約が必要になることが多くなっています。
希望している物件が信販系の会社が家賃の保証をしている場合は入居審査が通らなくなる可能性があります。
信販系の会社とは、クレジットカードの発行などを行っている会社のことです。
主な信販系の保会社は下記です。
◎アプラス
◎エポスカード
◎オリエントコーポレーション
◎ジャックス
◎セディナ(SMBCファイナンスサービス株式会社)
◎ライフカード
債務整理後に賃貸契約をする際には連帯保証人でも可能な物件等を探すのがよいでしょう。
債務整理後、ローンが組めるのはいつからか

債務整理を行うことで一定期間は新規のローンを組めなくなりますが、この一定期間とはいつまでなのでしょうか。
いつからローンが組めるようになるのかを解説します。
「信用情報」に登録されるとは?
「信用情報」というのはどのようなものなのでしょうか。
貸金業者や銀行などでローンを組むと、どこの業者からいつ・いくら借りたかという情報が信用情報機関に登録されます。
信用情報に登録されると、どの業者から・いつ・いくら借りたか、返済はできているか、債務整理をしているか等の取引についての情報が貸金業者からの報告によって更新されます。
信用情報に登録されている情報は、加盟している貸金業者であればいつでも閲覧することができますのでローンの審査などに利用されます。
主な信用情報機関は下記です。
株式会社シー・アイ・シー(CIC) 信販会社・クレジットカード会社が加盟
株式会社日本信用情報機構(JICC) 消費者金融・クレジットカード会社が加盟
全国銀行個人信用情報センター(KSC) 全国の銀行が加盟
債務整理完済後、5年以上経ってもローンが組めない?
銀行や貸金業者等は信用情報とは別にグループ会社の中で顧客情報を共有しています。
この社内の顧客情報の事故情報は「社内ブラック」と呼ばれています。
社内ブラックは、信用情報期間の情報は消えても、社内の顧客情報は消えないので、審査の際に確認されます。
そのため債務整理を行った銀行や貸金業者等のグループ会社の利用が難しくなります。
銀行でカードローンに申し込むと、銀行での審査のほか保証会社の審査も受けることになります。
たとえば、みずほ銀行のローンでは保証会社であるオリコの審査が必要になります。
グループ会社であるオリコの社内のブラックリストが共有されているため、みずほ銀行のローンの審査に通らないという場合があります。
債務整理後にローンを組む際の注意点

債務整理をすると信用情報の登録は避けられませんが、新規のローンが組めなくなるわけではありません。
新規でローン契約を組む際の注意点を解説します。
信用情報について確認する
信用情報は一定期間を過ぎると消えますがもしローン申請時にまだ信用情報が消えていなければローンの審査は通りません。
ローンの審査に落ちた場合「ローン審査に落ちた」という情報が半年ほど登録されることとなります。
そうなると、その情報が消えるまで待たなければいけませんし、一度申し込みをした金融機関等でのローン審査が通らなくなる可能性があります。
そのため、ローン契約の前に信用情報を確認し情報が消えていることを確認するほうがよいでしょう。
信用情報機関と信用情報が登録されている期間は下記です。
株式会社シー・アイ・シー(CIC) 任意整理・個人再生・自己破産共に5年以内
株式会社日本信用情報機構(JICC) 任意整理・個人再生・自己破産共に5年以内
全国銀行個人信用情報センター(KSC) 任意整理は5年以内自己破産・個人再生は10年以内
信用情報は自身で開示請求ができます。
債務整理した金融会社や関連会社は利用しない
もともと借入をしていて債務整理をした業者からは、ローンや新たに借入することは不可能に近いです。
一定期間後に信用情報機関の情報が消えても、金融機関等には情報が残っています。
この社内ブラックと呼ばれる情報は、信用情報機関の情報とは違い、何年経ったら消えるなどということがありません。
いったんその金融機関等の社内ブラックに載ってしまうと同じ金融機関等では審査に通らない可能性があります。
それだけでなく、社内ブラックの情報は関連するグループ会社に共有される場合があります。
そのため、すでに債務整理や長期延滞をした金融機関等では審査が通りにくくなります。
ローンを申し込む際は、債務整理をした業者以外を選ぶようにしましょう。
主なグループ会社は下記です。
【三菱UFJフィナンシャルグループ】
三菱UFJ銀行
auじぶん銀行
アコム
三菱UFJニコス
ジャックス
【SMBCグループ】
プロミス(SMBCコンシューマーファイナンス)
三井住友銀行
SMBCモビット
セディナ(SMBCファイナンスサービス)
三井住友カード
債務整理後の返済を滞納しない
債務整理後に返済を滞納すると、信用をさらに失ってしまいます。
また、完済時期が延びてしまいますので信用情報の登録が消えるのが遅くなります。
そうなるとローン審査に通らない期間が長期化するおそれがあります。
ローンを早めに組みたいのであれば債務整理後の返済は滞納しないようにしましょう。
また、債務整理をした後に家計を見直し余裕ができたのであれば繰り上げ返済をして完済時期を早めるのがいいでしょう。
早期に完済できれば信用情報が消える時期が早くなります。
そうなると、ローンが組める時期が早くなる可能性があります。
万が一、返済が決まった後に滞納してしまった場合、2回分(2か月分)延滞の状態となると、一括請求されたり遅延損害金が発生したりする可能性があります。
今後支払いを続けていくのが厳しいのであれば他の債務整理の方法を考えていかなければなりません。
支払いの継続が困難になってしまっている場合は、早急に弁護士・司法書士に相談しましょう。
1度に何社も申し込まない
ローンの審査は、複数の会社に申込みをしても問題はないですが、複数の会社に申込むと審査が厳しくなる可能性があります。
ローンの申し込みをすると「申し込みをした」という情報が信用情報機に報告され記録されます。
短期間に申し込みを立て続けに行うと申し込みの記録が信用情報機関に登録されていますので審査の際に何社も申込んでいることが分かります。
もしかすると、「この人は経済状況が悪いから切羽詰まっているので複数社に申し込んでいるのではないか、返済できない可能性が高いのではないか。」などというように判断されてしまうかもしれません。
ローンの申込はなるべく1社にし、審査で落ちてしまった場合には半年以上あけてからが望ましいです。
審査される条件を意識する
ローンの審査には信用情報の他にも審査されるものがある為、ローンを組む際には他の条件も意識することが必要になります。
住宅ローンについては審査が特に厳しいです。
ローン審査では、信用情報だけでなく、様々なチェック項目から支払い能力を審査します。
主に下記について審査対象になります。
頭金の額
借入時の年齢
完済時の年齢
健康状態
家や土地などの担保の評価
年収
勤続年数
連帯保証人
ローンの審査を通すため信用情報が消えるまでに条件を意識して、準備しておくのがよいでしょう。
年収は、返済能力を判断するための重要な判断基準です。
大丈夫な年収額があるというわけではなく、年収に占める返済額の割合で判断されます。
審査の際に、もっとも重視される項目ですので、年収は高い方が審査に通りやすくなるでしょう。
職業や雇用形態は、主に収入の安定性を測る判断基準として用いられます。
正社員の方が審査には有利に働くでしょう。
契約社員や派遣社員でも安定した収入を確保していれば借入対象になります。
いくら年収が高くてもパートやアルバイトで雇用自体が不安定な場合には審査は厳しくなる可能性があります。
個人事業主などの場合は、収入が不安定なこともあり審査に不利に働くこともあるでしょう。
過去3年の確定申告書から、主に事業の「安定性・継続性」が審査されます。
勤続年数は、収入の安定性を測る判断基準として用いられます。
勤続年数は3年以上という基準を設けている金融機関が多いです。
長いほうが審査には有利に働きます。
転職をしようとしている場合は、審査に影響がないように、注意しておく必要があります。
転職歴が多い場合は、転職歴に一貫性があるのかが重視されます。
転職したばかりであっても、キャリアアップによる転職等、収入が上がったり安定した収入が見込める場合には認められるケースがあります。
また、信用情報が消えた後、情報が何も記録されていない場合、ローンの申し込みをした人が信用できるのか判断や確認がとれず、審査が通らない可能性もあります。
なので、信用を得るために債務整理したあとにローンの申し込みする前に少しずつ新しい信用情報を作っていく方が良いでしょう。
例えば、携帯電話の分割払いは信用情報に登録されるため、新しく信用情報を作るに、携帯電話を分割で購入する方法があります。
ローン返済中のものは引揚げられる可能性あり

返済中の住宅ローン・自動車ローン、ショッピングローン等は、債務整理できますがローンで購入した商品はローン会社に引揚げられる可能性があります。
ローンを組んで家・自動車等を購入する場合、支払いが終わるまでは、業者に商品の「所有権」があります。
住宅ローンの場合、銀行などで住宅ローンを組むときは、住宅ローンを返済できなくなったとき差押ができる抵当権を担保として設定されます。
債務整理をすると住宅が競売にかけられてしまいます。
自動車・時計・着物等の商品の場合、業者に引揚げられる可能性が大きいです。
商品を引き揚げるか引き揚げないかは業者の判断となりますので、換価価値(価値売却して金銭に換える)の低い商品については、引揚げられない場合もあります。
自動車のように換価価値の高い商品は必ず引き揚げられるでしょう。
債務整理をしたいが財産を残したい場合は、「任意整理」を選択するとよいでしょう。
任意整理は、対象にする債権者を選べます。
残したい財産のローンは除外して、任意整理を行うことで、財産を守ることができます。
まとめ
債務整理後、借金を完済してから約5年でローンを組むことが原則できます。
ローンを組みたいと思っている方はこれらの情報も参考にして対策を考えてみていただければと思います。
ローンが組めなくなると困るので債務整理はしたくないと考える方もいらっしゃいますが、こういった方の中には返済に苦しんでおりそのまま放置してしまい延滞してしまう方が多くいます。
延滞についても信用情報に登録されてしまいます。
延滞によって信用情報に登録されると、延滞状態を解消してから5年〜10年程度が経過しないと情報が消えません。
また延滞が続くと、裁判を起こされたり差押えをされたりする可能性があります。
すでに延滞している方、返済してはまた借りる自転車操業になっている方、限度額ギリギリまで借入をしている方は早めに債務整理をしたほうがいいでしょう。
早めに債務整理をして一定期間の経過により信用情報を消すことを目指す方がいいでしょう。