債務整理

お金がなくてもクレジットカードの現金化は絶対にNG!危険な3つの理由とは

お金がなくて今すぐ現金が必要なとき、「クレジットカードの現金化」という言葉をインターネットで見かけると、まるで魔法の解決策のように感じてしまいますよね。しかし、結論から言いますと、現金化は絶対にやってはいけない行為です。その場しのぎで得られる現金は一時的なものですが、その後に襲いかかる代償は、あなたの経済的な未来をすべて壊してしまうほど重いのです。

多くの現金化業者は「安全」「合法」と謳いますが、実態は違います。現金化はクレジットカード会社との契約を破る行為ですもし発覚すれば、カードの強制解約(カードを使えなくなること)や、利用残金の一括請求といった、非常に厳しいペナルティがあなたを待ち構えています。

さらに、クレジットカードの現金化の手数料は年利133%にもなるケースがありこれは法外な高利です。結果的に借金が減るどころか、雪だるま式に増えてしまいます。

さらに深刻な問題として、現金化に手を出してしまうと、もしもの時に頼れるはずの自己破産すら、裁判所に認められなくなる可能性があります。お金に困っている状況を解決したいのに、唯一の再出発の道まで閉ざされてしまうのは、あまりにも大きな代償です。

この記事では、クレジットカードの現金化が絶対にダメな3つの理由と、あなたが今すぐ安全に問題を解決するための正しい対処法について、公的な根拠(エビデンス)を基に紹介します。

司法書士法人赤瀬事務所 借金減額診断スタート

【1】なぜ現金化は禁止?カードと法律の問題点

クレジットカードの現金化は、お金に困っている人がつい手を出しがちな方法ですが、これは根本的にカード会社との契約違反にあたります。多くの方が「バレなければ大丈夫」と考えがちですが、その代償は想像以上に重く、強制解約や一括請求を受けてしまい、経済的困窮をさらに加速させる危険をはらんでいます。

そのため、多くの公的機関や金融機関などが、クレジットカードの現金化に対して、注意喚起を行っているのです。(参照:日本クレジット協会「クレジットカードのショッピング枠の「現金化」の誘いにご注意ください」)

まず、ほとんどのクレジットカード会社の会員規約には、「換金目的でのカード利用」を明確に禁止する条文が記載されています。クレジットカードは、商品やサービスの支払いのために提供されている道具であり、現金を調達する目的での利用は、契約の目的外使用なのです。

規約違反でカード強制解約?

もしクレジットカードの現金化が会社に発覚した場合、あなたを待ち受けているのは「強制解約」という厳しいペナルティです。

これは単にカードが使えなくなるだけでなく、あなたの信用情報に「事故情報として一生残る可能性があります。そして、規約に違反した結果、カード会社はあなたに対し、現金化に利用した金額はもちろん、これまで分割払いやリボ払い(毎月一定額を返済していく方法)にしていたすべての利用残金を一括で支払うよう要求します。

手元に現金がないから現金化したのに、結果としてより大きな借金を一括で返済しなければならないという、最悪の状況に追い込まれるのです。

また、強制解約の情報が登録される信用情報は、他のクレジットカード会社や銀行にも共有されています。そのため、一度でも事故情報が登録されると、今後数年間の間、新しいクレジットカードを作ったり、住宅ローンや車のローンを組んだりすることが極めて難しくなります。

さらには、現金化という不正行為をされたことは、クレジットカード会社の中で、いつまでも情報が残り続ける可能性があります。これがいわゆる、社内ブラックという状態です。

このように、クレジットカードの現金化は、発覚した際には大きなペナルティを課されることとなります。これはあなたの人生設計全体に大きな影響を与える問題だと断言できます。

信用情報のブラックリストとは?登録情報や影響を解説しますブラックリストに載ると新規の借り入れが出来ない!ということを過大に評価してしまい、債務整理に足踏みしてしまう方は多いです。ただ、ブラックリストとはどのようなものか、正しく知っている方は少ないように思います。この記事では信用情報やブラックリストとはどんなものか?ブラックリストに載るとどうなるのか?を解説していきます。...
債務整理から時間が経っても消えない?「社内ブラック」とはどんなものか?「社内ブラック」とは、カード会社が独自に持っている情報のことで、信用情報機関のブラックリストとは違います。過去にその会社で支払いトラブルがあると、信用情報からは削除されていても、カード会社の記録には残り続けるのです。 この「社内ブラック」は、自分で確認することができません。しかも、一度でも載ってしまうと、その会社とは一生取引できない可能性もあるのです。 でも、大丈夫です。この記事では、「社内ブラック」とは何なのか、どんなときに記録されてしまうのか、そして万が一なってしまった場合の対処法について、詳しく紹介していきます。...

クレジットカードの現金化が犯罪に問われる可能性は?

「換金目的でのカード利用」は、単なる規約違反で済まない可能性があります。場合によっては、利用者自身が犯罪に問われてしまうリスクがあるからです。

クレジットカードで商品を購入する際、あなたは「後で支払います」という約束のもと、カード会社から一時的に信用を得ています。

しかし、最初からその商品を換金する目的で購入した場合、これはカード会社を欺いてお金をだまし取る行為と見なされ、「詐欺罪」(刑法第248条)に該当する可能性が出てきます。

また、現金化業者が違法な形で運営されているケースも多く、その業者と取引すること自体が危険です。例えば、現金化業者が取る手数料は、実質的に貸し付けの利息と見なされることがあります。この利息が、利息制限法出資法で定められた上限金利を超えていた場合業者は出資法第5条に違反することとなるため、摘発されます

このような違法業者と関わった場合、利用者は意図せず犯罪行為に加担したと見なされ、警察の捜査対象になるリスクも否定できません。お金が欲しい一心で、犯罪者になってしまうかもしれない危険な行為だということを理解してください。

【2】知らぬ間に損する!現金化が借金を増やす仕組み

「一時的にお金が入るならラッキー」と考えているなら、それは大きな間違いです。クレジットカードの現金化は、確実にあなたが損をする仕組みでできています。目先の現金の裏側には、あなたの負債を雪だるま式に増やす大きな罠が隠されています。

お金に困っている状況を悪化させないためにも、現金化の仕組みに潜む金銭的なデメリットを理解することは非常に重要です。

換金率に隠された実質年利の罠

現金化業者は、「換金率99.5%!」などと高い数字を広告で謳っていることが多いです。しかし、この数字はあくまでも最大換金率であり、実際にあなたが手にする現金は、そこから手数料や消費税、送料などが引かれた後の金額となります。

例えば、10万円のショッピング枠を使い、換金率90%を謳う業者を利用したとしても、実際にあなたの口座に振り込まれるのは9万円程度です。ところが、クレジットカード会社には、あなたは10万円全額を支払う義務が発生します。つまり、1万円の手数料を払って9万円を手に入れたことになります。

この手数料を、お金を借りたときの「年利」という形で計算し直すと、現金化の手数料が実質的に年利約133%に相当します。通常のキャッシングの金利が年15%〜18%であることを考えると、年133%という数字は法外な高利です。

実際、クレジットカードのショッピング枠の現金化をうたい、違法な金利で金を貸し付けたとして、決済代行会社社長らが逮捕された事例では、7年間に、法定を超える金利で全国の約1万7000人に計約85億8700万円を貸し付け、約25億円の利益を得たとされています。この事件では、法定の約14.8~52.2倍の利息が生じるなど、超高利貸しの闇金のようなものでした。(カード現金化で高利貸し付け容疑 13人逮捕、約25億円得たか―警視庁

つまり、あなたは、クレジットカードの現金化により、闇金並みの高いコストを支払い、その場しのぎの現金を得ているに過ぎません。これでは、お金の悩みは解決せず、むしろ借金の泥沼にはまっていくことは確実です。

自己破産もできなくなるって本当?

借金がどうにもならなくなり、「自己破産」という最後の手段に頼らざるを得なくなった場合でも、クレジットカードの現金化があなたの足を引っ張ります。これは、現金化が、最終的な救済措置である自己破産すら不可能にしてしまう危険な行為だからです。

自己破産の手続きにおいて、クレジットカードの現金化は、「免責不許可事由」(破産法第252条)の「不当な債務負担行為」に該当すると見なされる可能性が高いのです。これにより、せっかく裁判所に自己破産の申し立てをしても、借金が免除されない可能性が生じるのです。

不当な債務負担行為とは、自己破産手続きの開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で新たに債務を負担する行為を指します。先ほどの、10万円を借りるために手数料を1万円も支払うような行為は、法定の利息を大幅に超過することから、不当な債務負担行為にもあたりかねません。

自己破産が認められなかった場合、あなたは多額の負債を抱えたまま生活を続けなければなりません。

クレジットカードの現金化は、目の前の問題を解決するどころか、将来の再出発の道まで閉ざしてしまう、最も避けるべき行為だと断言できます。

自己破産の免責不許可事由とは?免責されなかった時の対処法も解説!自己破産の手続きでは、一定の要件を満たせば借金の支払いを免除される「免責」が認められますが、破産法252条1項で定められた11個の事由に該当すると、原則として免責は許可されません。これを「免責不許可事由」といいます。本記事では、免責不許可事由とは何か?どのような事情・行為で免責許可されなくなるのかについて解説します。...

【3】現金を今すぐ作りたい!安全で正しい解決策とは

「お金がなくて苦しい」「今すぐ現金を手にしたい」という気持ちは痛いほどわかります。しかし、そのような焦りから、クレジットカードの現金化に手を出すと、さらに状況は悪化してしまいます。

クレジットカードの現金化業者は、あなたの焦りや不安につけ込み、骨の髄までしゃぶりつくそうとする悪質な存在です。その誘いに乗らず、公的に認められた安全なルートを選ぶことが、あなたの生活を守る唯一の方法です。

「ヤミ金業者」とのトラブルを避けるには

インターネット上に存在する「高換金率」「即日現金化」を謳う業者の多くは、正規の貸金業登録を持たない「ヤミ金業者」である可能性が非常に高いです。これは、あなたが提供した個人情報やクレジットカード情報が、犯罪組織に流出・悪用されるリスクを意味します。

実際に、現金化業者との間で「約束された金額が振り込まれない」「購入した商品が届かない」といった詐欺トラブルが多発しています。さらに、あなたのカード情報が盗まれ、身に覚えのない不正利用に使われる被害も報告されています。

正規の金融機関は、現金化の広告に自社の名前が使われていたとしても、「当該サービスや業者紹介は一切行っていない」と明確に否定しています。

つまり、広告で見かける現金化業者は、金融機関の信頼とは全く関係のない、非正規な存在なのです。トラブルを避けるために、金融機関や公的機関の名前を騙る怪しい業者には絶対に近づかないでください。

困ったらまず相談すべき場所は?

もし、今すぐ現金が必要でどうしようもない状況なら、公的な窓口や正規の専門家に相談することが、最も早く安全な解決につながります。

決して一人で抱え込まず、専門知識を持つ弁護士や司法書士の力を頼ってください。

そもそも、お金を借りる必要があるなら、クレジットカードのキャッシング枠を利用するか、銀行のカードローンなど、金利が法律で守られている正規のサービスを選んでください。これらのサービスは、先述の現金化業者のような実質年利133%といった法外な金利ではありません。

また、借金苦が深刻な場合は、債務整理任意整理個人再生自己破産など)が最も重要かつ確実な解決策となります。法的な手続きを通じて借金の減額や免除を図ることで、借金問題は大幅に前進します。そして、債務整理によって負担を軽減した上で、着実に収入を得て返済を続けることが、経済的な自立への道です。

債務整理」や「コツコツとした返済」は、派手な「一発逆転」ではありません。しかし、これこそが、負のスパイラルを断ち切り、借金問題から完全に解放されるための唯一の確実な方法なのです。