クレジットカードの審査に落ちた経験はありませんか?その理由の1つに「社内ブラック」があるのをご存知ですか?
「社内ブラック」とは、カード会社が独自に持っている情報のことで、信用情報機関のブラックリストとは違います。過去にその会社で支払いトラブルがあると、信用情報からは削除されていても、カード会社の記録には残り続けるのです。
この「社内ブラック」は、自分で確認することができません。しかも、一度でも載ってしまうと、その会社とは一生取引できない可能性もあるのです。
でも、大丈夫です。この記事では、「社内ブラック」とは何なのか、どんなときに記録されてしまうのか、そして万が一なってしまった場合の対処法について、詳しく紹介していきます。
目次
クレジットカードの審査を左右する「社内ブラック」とは?
調べられない信用情報?「社内ブラック」とはどんなものか
クレジットカードの審査に落ちたことはありませんか?特に延滞もないのに不思議に思うこともあるでしょう。実は、審査に通らない理由の1つに「社内ブラック」というものがあるのです。
まず、クレジットカードの利用履歴や契約情報は、カード会社だけでなく「信用情報機関」にも記録されています。これには、支払い遅れや強制解約といったトラブル(金融事故)も含まれます。信用情報機関に登録された情報は、他のカード会社も共有できる仕組みになっているのです。つまり、ある1社で延滞をすると、他の会社もその情報を見ることができるということですね。
では、信用情報はどのように共有されているのでしょうか?信用情報を扱う主な機関は、日本信用情報機構(JICC)、CIC(シー・アイ・シー)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3つです。
- ◆CIC(株式会社シー・アイ・シー)
- クレジットカード会社、信販会社、消費者金融、百貨店、銀行系、メーカー系クレジット会社、流通系、携帯電話会社などが加盟
- ◆JICC(株式会社日本信用情報機構)
- 消費者金融会社、金融機関、信販会社、保証会社、銀行系、メーカークレジット会社、流通系、リース会社などが加盟
- ◆KSG(全国銀行個人信用情報センター)
- 銀行、信用金庫、信用組合、信用保証協会などが加盟
これらの情報機関は、CRIN(Credit Information Network)というネットワークでつながっていて、一部の情報をお互いにやり取りしているのです。そのため、どのカード会社であっても、過去の事故情報をチェックすることができるのですね。
しかし、ここで注意すべきなのが「社内ブラック」という存在です。
これは、信用情報機関とは別に、カード会社が社内で独自に持っている履歴のことなのです。たとえば、過去にその会社で支払いトラブルがあった場合、信用情報からは削除されていても、カード会社の記録には残り続けるのです。つまり、他社では問題ないのに、特定の会社だけ審査に落ちることがあるのですね。それがまさに「社内ブラック」と呼ばれる状態なのです。
「社内ブラック」と「ブラックリスト」の違いとは?見えない履歴が審査を左右する!
クレジットカードの審査に通らない理由はいくつかありますが、意外と知られていないのが「社内ブラック」です。これは、信用情報機関に載る「ブラックリスト」とは異なる独自の審査基準なのです。
まず、「ブラックリスト」とは、カードの支払い遅れや自己破産など、いわゆる「金融事故」の情報が記録されるリストのようなものです。
たとえば、クレジットカードを申し込むと、その事実や審査の内容は6か月間記録されます。他にも、カードを発行すると、利用額や支払状況、遅延履歴なども記録され、契約中と終了から5年以内は残ります。
つまり、支払いを滞らせたり、金融トラブルを起こした場合には、その情報は5年間にわたり他社にも知られてしまうのですね。


さて、本題の「社内ブラック」です。さきほど、「支払いを滞らせたり、金融トラブルを起こした場合には、その情報は5年間にわたり他社にも知られてしまう」と言いました。これは、逆に言うと、5年間の期間経過を以て、事故情報は消えるということを意味します。
一方、「社内ブラック」は、信用情報機関から金融事故の記録が消えても、社内の記録は消えない可能性がありえるのです。
たとえば、支払いを大幅に遅れた、カードを強制解約されたなどの情報は、社内に無期限で保管されることがあるのです。しかも、社内ではカードの利用履歴だけでなく、ポイントの使い方、カスタマーセンターへの問い合わせ内容、特典や保険の利用状況といった細かい行動履歴まで記録されています。こうした情報は、信用情報機関には含まれない”独自の基準”として扱われるのです。
つまり、「社内ブラック」は、そのカード会社だけが知る履歴であり、一度トラブルを起こした会社では、何年経っても新規のカードを作るのは難しくなってしまいます。
どんなときに「社内ブラック」に記録されるのか?見逃せない4つの例
クレジットカードの審査に何度申し込んでも落ちてしまう…。そんなとき、もしかすると「社内ブラック」になっているかもしれません。ここでは、どんな行動が「社内ブラック」として記録されてしまうのか、わかりやすくご紹介しましょう。
ケース1:債務整理で残った借金が支払い免除になったとき
まず、カード代金の支払いができず、債務整理を選んだ場合、社内ブラックに注意する必要があります。
自己破産や任意整理によって借金を減額したり。払わなくてよくなった場合、それはカード会社から見ると「貸したお金が返ってこなかった」ことになるのです。
このようなケースは、ほぼ確実に「社内ブラック」として記録されます。たとえ信用情報機関から記録が消えても、そのカード会社では新しいカードの発行は難しいと考えておきましょう。
ケース2:長期間の延滞でカードを強制的に解約されたとき
信用情報には、延滞・保証履行・破産の有無、異動発生日、延滞解消日なども登録されています。「1度、うっかり支払いを忘れた」程度なら、延滞を解消すれば大きな問題にはなりません。(数か月は記録は残りますが)
ですが、3か月以上にわたって支払いが遅れたり、支払いが出来なかった場合には、この事実は異動情報となります。この異動情報というのが、俗にいうブラックリストですね。
この異動情報があると、カード会社は「この人は返済ができない」と判断してしまいます。そうなると、契約を継続するのが不可能と判断され、借り入れ限度額を縮小されたり、カードの強制解約という重い措置が取られる場合があります。実際、カード会社からしたら「お金を貸したのに返ってこない!」という状況であり、これ以上の貸付が危険だと判断するのはやむを得ないでしょう。
そして、このような「異動情報に該当し得ることをした人」というのは、「社内ブラック」へも登録理由されていることが多いのです。
ケース3:クレジットカードを「現金化」したとき
クレジットカードの現金化とは、例えば「10万円のショッピング決済で得た商品をただちに8万円で転売して現金を得る」といったように、差額損失の発生を覚悟しつつ、当面の現金を得ようとする行為です。
この方法は、一見うまくいくように見えますが、実はこれ、クレジットカード会社の規約違反行為であるため、発覚した場合はカードの利用停止やカードが解約される可能性があります。ケース2でも指摘した通り、契約解除や利用停止も社内ブラックに当たり得、その記録は社内に残り、「社内ブラック」として扱われてしまいます。それ以前の話として、利用規約を守らない人と契約を続けられないし、取引したくないというのもあるでしょう。
ちなみにですが、クレジットカードの現金化を行った場合は、「不当な債務負担行為」に当たるとして、自己破産が認められない場合もあります。免責不許可事由(破産法252条1項2号)
クレジットカードの現金化は、道義的にも法律的にも問題のある行為なのです。
ケース4:カード会社とトラブルを起こしたとき
ここまでは、カードの利用状況が悪いことが中心でした。しかし、カードの利用以外でも「社内ブラック」になることがあります。
たとえば、自分のカードを家族に貸して使わせた場合や、サポート窓口へのしつこいクレームが原因で、カード会社と揉めた場合です。
意外かもしれませんが、家族間でも、クレジットカードの貸し借りは認められていません。ご自身のクレジットカードを利用して家族がお買い物をするといった行為などは利用規約で禁じられているのです。
また、クレームが頻発するような場合も、カード会社は「この人とはもう取引したくない」と判断し、社内にマイナス評価として記録されてしまう場合があります。
さらに注意すべきは、社内ブラックの情報がそのカード会社だけにとどまらない可能性があるということです。
たとえば、大手カード会社には、関連する銀行やローン会社があります。そのような「グループ会社」の間では、社内情報が共有されていると考えたほうが無難です。
実際、みずほ銀行のカードローンに申し込むと、審査はオリコ(オリエントコーポレーション)という保証会社が担当します。オリコで社内ブラックになっていると、それが理由で銀行のローンにも落ちることがあるのです。
このように、知らないうちにグループ全体で「要注意人物」として扱われてしまうことがあるので、かなり影響が大きいといえます。
「社内ブラック」に記録されてしまったら…どうすればいい?
記録は消せるの?結論:「社内ブラック」は消せません
「ブラックリスト(信用情報)」については、一定の年数がたつと自動的に削除されます。たとえば、CICでは自己破産の記録は5年で消えるとされています。
でも、「社内ブラック」は違うのです。これはカード会社の内部で独自に管理されている情報なので、記録がいつまで残るか、削除してもらえるかどうかといったことが、一切公表されていません。
さらには、この「社内ブラック」については、自分で確認する方法がないのです。カード会社に直接聞いても、「お答えできません」と言われるのが普通なのですね。しかも、削除をお願いしても、会社にとってメリットがないため対応してもらえないのが現実なのです。
つまり、一度でも社内ブラックに載ってしまった場合、その会社とは一生取引できない可能性もあるのですね。
それでもあきらめない!次の一歩は?
「社内ブラック」は消せないかもしれませんが、他のカード会社であれば可能性は残されています。信用情報機関の記録がすでに削除されている場合は、5年以上経過したタイミングで他社のカードを申し込んでみるのがおすすめです。
ただし、何度も連続して申し込むと、逆に「申し込みブラック」になってしまうこともあります。申し込みは1〜2か月に1社までにとどめ、確実に支払いができるカードを選ぶことが大切ですね。
たとえ「社内ブラック」になってしまっても、希望を捨てる必要はありません。時間をかけて着実に信用を積み重ねていけば、またクレジットカードを使えるようになるはずです。あきらめずに、前を向いて進んでいきましょう。
まとめ
「社内ブラック」は信用情報機関の記録とは別物
クレジットカードの審査に通らない理由の1つに、「社内ブラック」というものがあります。これは、信用情報機関が管理する「ブラックリスト」とは違って、カード会社が独自に持っている情報のことです。
過去にその会社で支払いトラブルがあった場合、信用情報からは削除されていても、カード会社の記録には残り続けるのです。つまり、他社では問題ないのに、特定の会社だけ審査に落ちることがあるのですね。
しかも、「社内ブラック」は自分で確認する方法がなく、削除をお願いしても対応してもらえないのが現実です。一度でも社内ブラックに載ってしまうと、その会社とは一生取引できない可能性もあるのです。
「社内ブラック」になる原因と注意点
「社内ブラック」に記録されてしまう原因はいくつかあります。代表的なのは、債務整理で借金が帳消しになったときや、長期間の延滞でカードを強制解約されたときです。
また、クレジットカードを現金化したり、カード会社とトラブルを起こしたりしても、社内ブラックになることがあります。特に、現金化は法律的にも問題のある行為なので、絶対にやめましょう。
さらに注意すべきは、社内ブラックの情報が関連会社にも伝わる可能性があることです。グループ会社の間では情報が共有されていると考えたほうが無難ですね。
たとえ社内ブラックになっても、時間をかけて信用を積み重ねていけば、またカードが使えるようになるはずです。あきらめずに、着実に頑張っていきましょう。