債務整理

FXによる借金で自己破産はできる?できるケースとできない場合の対処法

FFXで多額の借金を抱えてしまった…。そんな時、自己破産を考える人も多いのではないでしょうか。しかし、FXが原因の借金では、自己破産が認められないケースもあるのです。

実はFXは、ギャンブル的な要素が強いと指摘されており、破産法上の「射幸行為」に該当する可能性があります。つまり、FXによる借金は免責不許可事由に当たり、自己破産をしても借金の支払い義務が免除されない恐れがあるのです。

とはいえ、すべてのケースで自己破産が認められないわけではありません。裁判所の裁量で免責が認められる「裁量免責」という制度もあるのです。借金が膨らんだ経緯や反省の度合い、生活再建の見込みなどを総合的に判断して、裁判所が免責を認めることもあるのです。
ただし、自己破産の手続き中にFXを再開したり、FX以外にも免責不許可事由があったりすると、裁量免責は認められにくくなります。過去にもFXで自己破産をしていたり、7年以内に再度申立てをしたりすると、免責は難しいでしょう。

このように、FXによる借金問題は複雑です。自己破産をするにしても、様々な条件をクリアしなければならず、必ずしも借金から解放されるとは限りません。では、FXで借金を抱えた人は、どのように問題に向き合えばいいのでしょうか。

本記事では、FXによる借金と自己破産の関係について、詳しく解説していきます。

FXでの借金は自己破産できない?

FXで多額の借金を抱えて、自己破産を検討している方もいるでしょう。しかし、FXが原因の借金は、自己破産できないケースがあるのです。本章では、FXで借金をした場合に自己破産ができるのかどうかについて詳しく解説します。

FXとは一体どんな取引なの?

FXとは「外国為替証拠金取引」の略です。要するに、外貨を売り買いして、その値動きで利益を出そうとする投資の一種ですね。
FXの最大の特徴は、レバレッジを効かせられること。レバレッジとは、少ない元手で大きな取引ができる仕組みのことを言います。つまり、FXは少額の資金で、その何十倍もの金額を動かせるのです。これにより、大きな利益を狙うことができます。

ただし、その一方でリスクも大きくなります。相場が思惑通りに動かなければ、あっという間に損失が膨らむ可能性があるのです。
FXは投機性が高いと言われるゆえんですね。投資経験の浅い人が安易に手を出すと、気づいたときには多額の借金を背負っていた…なんてことにもなりかねません。

FXって本当に稼げるの?FXの基礎知識を初心者の方でもわかりやすく解説します。近年、投資を始める方が増えているなかで、「FX」という投資方法を聞いたことがある方もいるでしょう。 FXは、ハイリスクハイリターンな投資方法で、知識がないと継続的に利益を上げることが難しいことから、「ギャンブルに近い」と言われることもあります。 しかし、経済情勢によっては不規則な値動きが起こることはありますが、実際のところギャンブル性はまったくありません。 如実に世界経済全体が反映されている投資方法であるため、正しい知識を習得することで、着実に利益を上げることができる投資方法です。 そこで本記事では、FXの基礎知識や習得すべきスキルについて解説しますので、FXのことをまったく知らない方も是非ご一読ください。 ...

FXで失敗しないために知っておくべきルールとは?

FXで取引をするときには、「ロスカットルール」というものが適用されます。これは、損失が一定の水準に達したら強制的に取引を終了させる仕組みです。

そのため、このルールが適用される限り、FXの取引だけでマイナスになることは通常ありません。しかし問題は、このロスカットが間に合わないケースがあること。例えば、相場が大きく動いたときなどは、証拠金がマイナスになってしまい、取引を続けるには追加の証拠金(追証)が必要になります。

さらに、FXで損をした分を取り返そうと、あるいは利益を増やそうと、借金をして運用資金を増やす人もいます。キャッシングや消費者金融で調達するわけですね。
しかし、もしそれでも相場が思惑通りに動かなければ、借金だけが残る…なんて事態になりかねません。

こうしてFXで借金を背負ってしまった場合、はたして自己破産で解決できるのでしょうか?

免責不許可事由とは

自己破産とは、借金返済に行き詰まった個人が、裁判所の許可を得て借金の支払い義務を免除してもらう法的手続きのことです。

自己破産の手続きでは、まず裁判所に対して、現在の財産や収入では到底借金を完済できない状況にあることを申し立てます。そして、裁判所がその申立てを認めれば、「免責決定」が下されます。免責とは、借金の返済責任を法律上免除させることを指します。

免責決定が出れば、税金や養育費などの一部の借金を除いて、ほとんどの借金が帳消しになります。つまり、借金の大半の支払いを免除されることとなるのです。

ただし、ギャンブルや浪費が原因の借金など、一定の条件に該当する場合は、免責が認められないこともあります。借金の支払義務を免除する決定(免責許可決定)が得られない事情のことを「免責不許可事由」と言います。

免責不許可事由は、破産法252条1項に規定されています。

自己破産の免責不許可事由とは?免責されなかった時の対処法も解説!自己破産の手続きでは、一定の要件を満たせば借金の支払いを免除される「免責」が認められますが、破産法252条1項で定められた11個の事由に該当すると、原則として免責は許可されません。これを「免責不許可事由」といいます。本記事では、免責不許可事由とは何か?どのような事情・行為で免責許可されなくなるのかについて解説します。...

FXは射幸行為に該当しうる

破産法252条1項4号では、「賭博その他の射幸行為」によって著しく財産を減少させたり、過大な債務を負担したりした場合を、免責不許可事由の1つに挙げています。

「射幸行為」とは、偶然の事情に支配されて利益を得ようとする行為のことを指します。つまり、知識や経験に関係なく運に左右されやすい、ギャンブル性の高い行為と言えます。

具体的には、競馬やパチンコといったギャンブルがこれに該当するとされています。

ただし、「賭博その他の射幸行為」は、投機性のある取引をすることで直ちに該当するものではありません。破産者の資力や判断能力を超えた取引を行って過大な債務を負担した場合に該当することなります。

また、当該行為が「賭博その他の射幸行為」に該当するとしても、その行為「によって」「著しく財産を減少させ」たことが必要である。

FXは投機性が高く、ギャンブル的な要素が強いと指摘されています。そのため、射幸行為に該当する可能性があるのです。

FXでの借金は絶対に破産できないの?裁量免責について

FXで借金を抱えてしまった場合、自己破産をしても免責(借金の支払い義務の免除)が認められないことがあります。それは、FXが免責不許可事由に該当するためです。
しかし、だからといって直ちに自己破産ができないわけではありません。そこで登場するのが「裁量免責」という制度です。

裁量免責とは?

破産法第252条第2項では、「(免責不許可事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。」と定められています。これを、裁量免責とと呼びます。

簡単に言えば、本来なら免責不許可事由に該当するような場合でも、裁判所の判断で免責を認めることがあるのです。つまり、FXが原因の借金でも、状況次第では自己破産が認められる可能性があるのです。

裁量免責が認められれば、税金や養育費などの一部の債務を除き、ほとんどの借金の支払い義務が免除されます。これにより、債務者は経済的に再スタートを切ることができるわけです。
もちろん、FXで借金を抱えた人の状況は十人十色。しかし、様々な事情を考慮して、裁判所が免責を認めてもいいと判断することもあり得るのです。

裁量免責はどんな時に認められる?

では、裁判所はどのような場合に裁量免責を認めるのでしょうか。主に以下のような事情が考慮されます。

まず、借金が膨らんだ経緯や自己破産に至った経緯が重視されます。FXにつぎ込んだ金額や期間、借金について真摯に反省しているかどうかも大切なポイントです。
また、手続きを誠実に進めているか、生活の立て直しに真剣に努力しているかも見られます。生活再建の見込みがあるかどうかも重要な判断材料になります。
特に重視されるのは、免責不許可事由に該当する事実が軽微であること、債権者への配慮や返済努力が見られること、借金の経緯に同情の余地があることなどです。
財産の保全に努力していること、破産管財人に協力的であること、借金の原因について認識と反省、対策をしていることも大切だと考えられています。

このように、FXで借金を抱えたからと言って、必ずしも自己破産ができないわけではありません。ただし、裁量免責を認めてもらうためには、誠実な態度で臨むことが肝要です。

裁量免責が認められないのはどんな時?

FXで借金を抱えた場合でも、裁量免責により自己破産が認められる可能性はあります。しかし、状況によっては裁量免責の見込みがなく、免責不許可になることもあるのです。
そんな注意が必要なケースを見ていきましょう。

自己破産の手続き中にFXの取引を再開する

まず、自己破産の手続き中にFXの取引を再開してしまうと、免責が認められない可能性が高くなります。

すでにお伝えの通り、浪費や賭博、射幸行為により債務を拡大させる行為(破産法252条1項4号)は免責不許可事由に該当する行為であり、これを自己破産申し立て後に行うのは、反省の色が見られないと判断されてしまいます。
確かに、自分の力で借金を返済したい気持ちはわかります。しかし、免責が認められなければ、かえって生活が苦しくなるだけ。

きっぱりとFXを辞める覚悟が必要不可欠です。自己破産をすると決めたら、即座にFX口座を解約し、取引できない状態にしておくのが賢明だと言えるでしょう。

たとえ借金の理由が家庭の事情や連帯保証人だったとしても、手続き中のFX取引は論外です。
裁判所から、FXが原因の借金について反省が足りないと見なされれば、免責不許可になる可能性は高まります。手続き中は絶対にFX取引をしないことが大切なのです。

FX以外に免責不許可事由がある

また、FX以外にも免責不許可事由がある場合は注意が必要です。例えば、以下のような事由が該当します。

  1. 特定の債権者(家族や友人)への偏頗弁済(破産法第252条1項3号
  2. 高額な貯金や財産の隠匿(破産法第252条1項6号
  3. 裁判所への虚偽説明や説明拒否(破産法252条1項7号同8号
  4. 破産管財人の業務妨害(破産法252条1項9号

このように、免責不許可事由が複数あったり、悪質だったりすると、裁判所の審査は厳しくなります。裁量免責が認められる可能性は低くなると言わざるを得ません。
自己破産の手続きでは、破産者の財産や借金額、借金の理由を正直に申告することが重要。隠し事をしても、徹底的に調査されて発覚するのです。
それどころか、財産隠しは詐欺破産罪(破産法265条)に問われる可能性すらあります。債権者への公平な返済を心がけることが肝要だと言えるでしょう。

7年以内に自己破産をした経験がある

そもそも、前回の自己破産から7年以内に再度申立てをすると、原則として免責は認められません。短期間に2度目の自己破産は、適切な家計管理ができていないことの証左と見做されるからです。

ただし、病気やリストラで無収入になるなど、債務者にやむを得ない事情がある場合は、7年以内でも免責される可能性はあります。

とはいえ、前回がFXによる自己破産なら、今回も免責は難しいでしょう。自己破産を経験した人は、FXなどギャンブル性の高い取引は絶対に避けるべきだと肝に銘じておきましょう。

過去の自己破産もFXが原因だった

もう一つ、過去の自己破産でもFXが原因だったケースは要注意です。前回の自己破産から7年以上経過していれば、法律上は再度の申立てが可能です。

しかし、原因がFXという同じ轍を踏んでいては、「前回の自己破産を反省していない」「免責しても生活再建は見込めない」と判断されかねません。

つまり、過去にFXで自己破産した人が、また同じ理由で借金を膨らませてしまった場合、免責不許可になる恐れが高いのです。

自己破産の手続での注意点

FXで借金を抱えて自己破産を考えている方は、手続きを進める上でいくつか重要な点に注意が必要です。

FXをやめること

まず何よりも、FXをきっぱりとやめることが大切です。裁量免責の判断では、破産者の反省の度合いが重視されるからです。

つまり、自己破産の手続きを進めながらもFXを続けていては、「反省が足りない」と見なされ、免責が認められない可能性が高くなるのです。

確かに借金を自力で返済したい気持ちはわかります。しかし、自己破産に限らず、債務整理の成功のためには、安定した収入、真摯な反省、正直さ、他者への配慮が欠かせません。

FXで借金が膨らんだ以上、まずはFXから完全に手を引くことが先決。これは何度言っても言い過ぎることはありません。

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次に、自己破産の手続きそのものを誠実に進めることも重要なポイントです。裁量免責の判断材料の一つとして、手続きへの誠実さも考慮されるためです。

裁判所への説明を拒否したり、破産管財人の調査に非協力的だったりすると、それ自体が免責不許可事由に該当してしまう恐れもあります。
弁護士に債務整理を依頼した後や、破産手続開始後にこっそりFXを続けていたりすると、免責不許可に傾く要因となります。
逆に、FXの内容を破産管財人に正直に説明したり、家計簿をつけて生活態度を改めたりする姿勢は、免責許可に働きかける材料になるのです。

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自己破産が無理なら任意整理や個人再生を検討する

とはいえ、状況によっては自己破産の免責許可が得られない可能性もあります。また、自己破産には一定の財産を手放すリスクや、職業制限などのデメリットもあるのです。
そこで、自己破産以外の選択肢として検討したいのが、任意整理や個人再生といった債務整理の方法です。
任意整理は、弁護士などの代理人を通じて債権者と交渉し、借金を減額したり返済期間を伸ばしたりする方法。利息カットなどで負担を大きく減らせることが多いのが特徴です。
個人再生は、裁判所に再生計画を申し立てて認可を得る手続き。原則3年間で借金を分割返済していくことになります。自己破産よりも返済額を大幅に減額できるケースが多いとされています。
個人再生には、住宅ローンを残したまま他の借金だけを減額できる場合もあります。FXによる借金問題を抱えた方にとっても、検討の価値は十分にあると言えるでしょう。

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まとめ

FXで多額の借金を抱えてしまった場合、自己破産を検討する方もいるでしょう。しかし、FXが原因の借金は、自己破産できないケースもあります。

FXは投機性が高く、ギャンブル的な要素が強いと指摘されており、破産法上の「射幸行為」に該当する可能性があります。そのため、FXによる借金は免責不許可事由に当たり、自己破産しても免責(借金の支払い義務の免除)が認められない可能性があるのです。
ただし、裁判所の裁量で免責が認められる「裁量免責」という制度もあります。借金が膨らんだ経緯や反省の度合い、生活再建の見込みなどを総合的に判断して、裁判所が免責を認めることもあり得るのです。

とはいえ、自己破産の手続き中にFXを再開したり、FX以外にも免責不許可事由があったりすると、裁量免責は認められにくくなります。過去にもFXで自己破産していたり、7年以内の再度の申立てだったりすると、免責は難しいでしょう。
自己破産を考えるなら、まずはFXを完全にやめること。そして、手続きには誠実に臨むことが肝心です。とはいえ、自己破産にはデメリットもあるので、任意整理や個人再生といった他の選択肢も検討してみる価値はあるでしょう。
FXで借金を抱えた方は、まずは弁護士など専門家に相談することをおすすめします。借金問題から抜け出す最善の道を、一緒に探っていきましょう。