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債務整理

債務整理開始通知書とはどんなもの?内容や効果について解説します。

債務整理を弁護士や司法書士に依頼する場合、借金をしている各債権者に対して、債務整理が始まったことを通知する書面を送ります。

これを通常「債務整理開始通知書」と呼びます。

また、弁護士や司法書士がその任務を引き受けることを示すために「受任通知」とも呼ばれます。

この受任通知が債権者に届くと、債務整理が開始され、債務を抱えている各社への返済が一時的に停止となり、督促の連絡を受けなくなります。

返済をストップしている間には、依頼している弁護士や司法書士に対して報酬を支払う必要がありますが、それを考慮しても、生活再建のスタートを切る手助けとなります。

本記事でわかること

・受任通知はどんな書面で、どんな内容が書いてあるのか
・受任通知を債権者が受け取った場合、どんなことが起きるのか
・受任通知の注意点

債務整理開始通知書とは

債務整理開始通知書とは、債権者に対して弁護士や司法書士に債務整理を依頼し、債務整理を開始したことを知らせるもののことです。

債務整理開始通知書の内容は?どんなことが書いてある?

受任通知には、決まったフォーマットや記載事項があるわけではありません。

ですから、弁護士や司法書士によって記載している内容や記載順が異なる場合があります。

ただ、一般的には以下のような内容が記載されていることが多いと言えます。

【受任通知である旨】

最初にこの通知は、下記の依頼人からの借金に関する相談を受け、債務整理事件として受任した弁護士・司法書士からの通知であることを記載します。

【依頼人の情報】

依頼者を特定するために、「住所」「氏名・フリガナ」「生年月日」を記載します。

【要求事項】

1.通知・請求行為について
依頼人は債務整理の権限を当職に委任しているため、依頼人本人への支払請求や通知・連絡をしないように求める。

2.取引履歴について
契約のスタート時から、現在までの取引履歴を提供してもらうようお願いする。

この、調査結果に基づいて手続方針を確定し、債務整理手続きを進めたり、過払金の有無を判断します。

3.債務の承認について
数年にわたり支払いをしていない借金については、時効を主張することが出来る場合があります。

ですが、時効となっている借金の存在を認めてしまうと、時効が0から再スタートとなってしまいます。

ですから、この通知は債務を承認したという意味を持たたないものです、ということを記載します。

債務整理開始通知書が返済に及ぼす好影響とは?

一時的に債権者への返済をしなくてもよくなる

債務整理手続きを開始すると、手続きが完了するまで、債務者は債権者に対する返済を一時停止できます。

これは、「どのような借金の返済方法や手続きを選ぶのか」が確定するまで一時的に返済をストップしてもよいということです。

これにより、返済の負担を一時的に軽減できます。

ただし、債務整理手続きを開始するためには、弁護士や司法書士に依頼する必要があり、その際に報酬や費用が発生します。

そのため、一見、返済を停止できても、最終的には別の金銭を支払わなければならないように感じられるかもしれません。

しかし、通常は報酬よりも毎月の返済額の方が高いことが多く、各社への返済を停止した結果、毎月の支払額が減少するケースはかなり多いと言えます。

また、自己破産を選択した場合、返済をストップできるのに加えて、裁判所から免責の許可が下りれば、手続き完了後の返済も不要になり、出損額もかなり抑えられます。

つまり、弁護士や司法書士に依頼をして各社への返済をストップさせ、弁護士や司法書士への報酬や費用を支払う方が、通常の返済を続けるよりも支払額は下がるのです。

したがって、債務整理開始通知書には、今の生活を立て直すために必要な時間やお金を確保する効果があるとも言えるでしょう。

債権者から督促の連絡や通知が来なくなる

借金の返済を怠ると、債権者から書面や電話で連絡が来ることとなります。

このしつこい取り立てに対処することは、債務者にとって大きな負担ですし、借金の返済が滞り、取り立ての圧力にさらされることで、体や精神が疲弊することがあります。

ですが、債務整理開始通知書によって、債務者が債権者からのしつこい取り立てに対処することができ、苦境から脱出できる可能性があります。

債務整理開始通知の効果の一つは、取り立てが一時的に停止されることが挙げられます。

受任通知は、債務者が弁護士や司法書士を通じてクレジットカード会社や貸金業者などに送信する文書で、督促を一時的に中断するよう求めます。

受任通知を受けたクレジットカード会社や貸金業者は、貸金業法に基づいて、取り立てを一時停止しなければなりません。

取り立てがストップすることで、債務者は精神的にも負担が軽減され、借金問題を前向きに解決する機会を得ることができるでしょう。

裁判をされている場合は取り下げになることもある

すでに裁判をされている、または、すでに裁判が終わっているが、給与や口座の差し押さえはまだ行われていない段階においても、債務整理開始通知書は有効となることがあります。

たとえば、すでに裁判が確定をしていて、口座や給与の差し押さえをしようとしている場合であっても、弁護士や司法書士を通じて、任意整理を進めて分割で支払う方法を取り決めることで、給与や口座の差し押さえを防ぐことができることがあります。

また、裁判を起こされている場合に債務整理開始通知書を送ることで、債権者が訴訟を取り下げるケースも考えられます。

ただし、これには法律的な規制があるわけではなく、あくまで債権者の任意での対応となる点には注意が必要です。

「訴えを取り下げない」
「裁判を継続する」
「受任通知が送られてきた後に給与や口座に対して差押えをする」

といった対応をすることは、債権者の権利ですから、あくまでお願いを聞いてもらう立場であることは、覚えておく必要があります。

相手が個人債権者でも通知は出せる

個人債権者とは、法人ではなく、個人としてお金を貸した相手のことです。

債務整理の手続きを開始する場合、個人債権者に対しても、借金整理を行う際には通知を行うことが一般的です。

債務整理は、借金を整理するための法的手続きであり、相手が誰であれ通知が必要です。

この、債務整理開始通知を行うことで、債務整理が開始されたことや進行状況が債権者に正式に伝えられます。

逆に、通知を怠ると、債権者は返済を継続的に求める可能性があり、最悪の場合訴訟に発展することも考えられます。

通知を通じて、債権者との連絡を取り、債務整理の進行を円滑に進めることが重要です。

ただし、個人債権者の場合、法人債権者と異なり、通知先が明確でないことがあります。

そのため、電話やメールなどの手段を用いて直接連絡を取るといった代替手段を用いることもあります。

要するに、相手が個人債権者であっても、債務整理を検討する場合は、通知を適切に行うことが必要です。

通知を通じて、借金問題の解決策を話し合い、法的手続きを円滑に進めることが重要です。

債務整理開始通知書の注意点

債務整理開始通知書を送るだけの依頼はできない

借金の取り立てを止めるために、効果のある「受任通知」を債権者に送りたい場合、弁護士や司法書士に「債務整理」を頼む必要があります。

ただし、取り立てを中断するだけが目的であっても、受任通知を送るだけでは不十分です。

債務整理の方法によって借金の減額幅やデメリットが異なるため、利用する前に弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。

彼らに相談・依頼することで以下のような利点があります。

・自分に適した債務整理の方法を提案してもらえる。

・債務整理の手続きのほとんどを彼らに任せることができる。

なお、司法書士の業務には一部制限があることに注意してください。

新たな借り入れやカードの利用が出来なくなる

債務整理を開始すると、各機関に通知が届けられます。

この通知には、返済の停止や督促の中断といった効果がある一方で、金融機関や債権回収業者に通知が届くと、その会社との貸金契約が自動的に解約されることになります。

具体的には、信販会社Aのクレジットカードを債務整理すると、A社のカードを継続して利用できず、解約されてしまうことがあります。

さらに、信用情報機関には債務整理の履歴が記録されます。

債務整理を始めること自体が、信用情報に事故情報として登録されることを意味します。

金融機関は信用情報を確認して審査を行うため、事故情報があると、貸し付けを避ける傾向があります。

そのため、債務整理中は新たな借金をすることが難しくなり、審査に通過しにくくなります。

また、現在利用中のクレジットカードや消費者金融にも影響が及ぶ可能性があります。

これらの機関は定期的に信用情報を確認し、確認されるとクレジットカードが停止されたり、解約されたりすることがあります。

また、限度額が減少することも考えられます。

債務整理中は一時的にカードを使用できるかもしれませんが、将来的には使用が制限される可能性が高いです。

保証人に請求がいく

保証人や連帯保証人が関与している債務を債務整理する場合、返済の責任は保証人や連帯保証人に移行し、彼らに対して債権者から請求が行われます。

具体的な例として、家族や会社が車のローンや奨学金の保証人として関与している場合が考えられます。

このため、債務整理を行うことで、これらの保証人に迷惑をかけることになります。

ただし、任意整理を選択することにより、手続きする債権者を選択できるため、保証人が関与している債務を回避し、他の債務に対して整理を行うことが可能です。

任意整理手続きを選択することで、保証人への迷惑を最小限に抑えることができます。

ローンの残っている車などは引き上げ対象となるかも

多くの人々は、住宅や車など高額な買い物をする際、ローンを利用して分割払いで購入し、毎月一定額の返済を行ってローンを返済しています。

しかし、支払いが難しくなり、債務整理を検討する人も増えています。

債務整理を行う際に注意が必要なのは、車や住宅が競売や引き揚げの対象になる可能性があることです。

車が没収されるケースは、自動車ローンを組む際に「所有権留保」という担保が設定されている場合に起こります。

所有権留保は、車の所有権を債権者である信販会社などに保留させる仕組みで、借り手がローンの返済を怠った場合、車を債権者が没収できる利点があります。

これはディーラー系やクレジットカード系などの信販会社でよく見られます。

また、住宅も競売の対象になることがあります。

債務整理を始めると、保証会社が代わりに支払いを行い、債権が保証会社に移される場合があります。

これを代位弁済と呼びます。

その後、保証会社や債権回収会社(サービサー)によって競売手続きが行われ、競売に関連する差押登記が行われます。

ただし、銀行などで住宅ローンや車のローンだけでなく、カードローンも組んでいる場合があります。

この場合、住宅ローンや車のローンを別々に扱い、カードローンだけを債務整理の対象にすることができる場合があります。

さらに、任意整理を選択することで、住宅ローンやカーローンを対象にしない債務整理を行うことも可能です。

適切な手続きを進めるために、弁護士や司法書士に相談する前に、債務整理の目的や必要性を明確にし、状況に応じたアプローチを検討することが重要です。

まとめ

債務整理開始通知書は、債務整理手続きの一環として債権者に送付される書面で、重要な役割を果たします。

通知の内容には一定の基本事項が含まれますが、フォーマットは一定ではなく、弁護士や司法書士によって異なることがあります。

一般的には、通知の性質や依頼人の情報、要求事項が記載されます。

債務整理開始通知書は生活に以下のような好影響をもたらすことがあります。

一時的に債権者への返済をしなくてもよい場合があり、債権者からの督促の連絡や通知が減少することがあります。

また、裁判を起こしている場合は訴訟が取り下げられる可能性もある点が利点です。

さらに、債務整理開始通知書は法人債権者だけでなく、個人債権者にも送付できます。

ただし、注意点も存在します。

通知を送るためには弁護士や司法書士に債務整理の依頼が必要であり、通知を送っただけでは債務整理が完了しないことに留意すべきです。

また、通知を受けた後は新たな借り入れやクレジットカードの利用が制限され、保証人に対して請求が行かないわけではないことに警戒が必要です。

債務整理中にローンの残っている車や担保物件が引き上げられる可能性もあるため、状況を確認することが重要です。