セゾン債権回収株式会社から、ある日突然、見慣れない通知が届き、驚きと不安を感じている人は少なくありません。「借金をした覚えがない」「もしかして、詐欺では?」と心配になるのも無理はありません。しかし、まずは落ち着いてください。この会社は、法務大臣(ほうむだいじん)の許可を受けて、合法的に営業している、ちゃんとした会社です。法務大臣の許可がある会社は、「サービサー」と呼ばれ、お金の貸し借りで遅れが出た債権(さいけん)を専門に管理・回収する仕事をしています。
多くの場合、通知が届くのは、あなたが過去に利用したサービス(例えば、クレジットカードやローン)の支払いが滞ったことが原因です。しかし、中には心当たりがないと感じる人もいるでしょう。
この記事では、そんなあなたの不安をなくすために、セゾン債権回収から通知が来たときの正しい対処法を、わかりやすく解説していきます。
具体的には、通知書が本物かどうかを見分ける方法や、無視してはいけない理由、そして時効(じこう)の可能性がある場合の対応、さらには専門家に相談することの重要性まで、順番にご説明します。これを読めば、あなたは不安な気持ちから抜け出し、問題解決に向けて一歩を踏み出すことができます。
目次
セゾン債権回収株式会社の概要と取扱い債権
セゾン債権回収株式会社の概要
セゾン債権回収株式会社は、債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)に基づき、法務大臣から営業許可(許可番号第34号)を得て設立された、債権管理回収専門の民間企業です。一般に「サービサー」と称されるこの業態は、特定の金銭債権の管理・回収を、債権者から委託されたり、債権そのものを譲り受けたりして行うことを主たる業務とします。

同社は、大手総合金融グループである株式会社クレディセゾンの子会社であり、グループ内における債権管理・回収業務の中核を担っています。
その役割は多岐にわたりますが、中心となるのは、親会社およびグループ各社が保有する債権、特にカード利用代金や各種ローンの未払い債権の効率的かつ適法な回収です。長年にわたる金融事業で培われたノウハウと全国規模のオペレーション体制を活用し、債務者の状況に応じた柔軟な返済計画の提案や、電話・書面による円滑なコミュニケーションを通じて、債権の正常化を図っています。
これにより、金融システム全体の安定化に寄与していると言えます。
項目 | 詳細 |
商号 | セゾン債権回収株式会社 |
事業内容 | 特定金銭債権の管理・回収、買取 |
設立 | 1994年4月1日 |
法務大臣許可 | 第34号(2000年6月6日取得) |
沿革 | 1994年4月1日:「ジェーピーエヌ債権回収株式会社」として設立 2000年6月6日:法務大臣より債権管理回収業の許可を取得 2023年7月1日:「セゾン債権回収株式会社」に商号変更 |
株主 | 株式会社セゾンパートナーズ(株式会社クレディセゾン100%子会社) |
本社所在地 | 東京都豊島区東池袋3-1-1 サンシャイン60 53階 |
資本金 | 10億5,300万円 |
従業員数 | 575名(2024年3月31日時点) |
出典: セゾン債権回収株式会社「会社情報」
セゾン債権回収が取り扱う債権の種類
セゾン債権回収株式会社が取り扱う債権は、サービサー法に基づき「特定金銭債権」に限定されています。この種の債権は、金融機関や貸金業者が保有する貸付債権、クレジットカード債権、リース債権、保証契約に基づく求償債権などが該当します。
同社の主要な取扱債権は、親会社である株式会社クレディセゾンが提供する各種金融サービスに由来するものです。具体的には、セゾンカードの利用代金、キャッシング、ショッピングクレジット、各種ローンなどの延滞債権です。
しかし、同社の事業はこれに留まらず、他社から債権を買い取る(債権譲渡を受ける)業務も合法的に行っています。
そのため、もし、トヨタファイナンス、りそなカード、しんきん保証基金、UCS、出光クレジット、セブン銀行など、クレディセゾン以外の金融機関や事業会社との取引で支払い遅延が生じた場合、その債権がセゾン債権回収に譲渡されたり、債権管理・回収業務の一環として、同社から債務履行の請求が行われることがあります。
債権の種類 | 具体例 |
クレディセゾングループ由来の債権 | セゾンカードの利用代金、キャッシング、ショッピングローン、その他グループ会社が提供する各種サービス債権 |
他社からの譲受債権 | トヨタファイナンス、りそなカード、しんきん保証基金、UCS、出光クレジット、セブン銀行など、他社が保有していた各種金融債権 |
このように、同社の取り扱い債権は多岐にわたり、複数の金融機関等と連携することで、幅広い債権の回収業務を遂行しています。
セゾン債権回収から通知が来た場合の対処法
セゾン債権回収株式会社から通知書が届いた場合、まず冷静になることが最も重要です。見慣れない会社名に戸惑うかもしれませんが、以下の4つのステップで落ち着いて対応を進めてください。
1. 通知書の内容を確認する
まず、届いた通知書が本物であるかを確認します。セゾン債権回収株式会社の公式サイトでも、「最近、当社に類似した社名や商号をかたって、電話や文書等により、不当に金員を請求してくるケースが発生しております。」とアナウンスされておりますので慎重な確認が必要となります。(セゾン債権回収株式会社「取り立て詐欺にご注意を」)
- 原債権者を確認する: 通知書に記載されている「原債権者」の項目を必ず確認してください。そこに書かれている会社名こそが、あなたがもともと取引をしていた相手です。クレディセゾン以外の他社名が記載されている場合、過去の借入やローンに心当たりがないか記憶を辿ります。
- 公式サイトと情報を照合する: 通知書に記載された会社名、住所、電話番号が、セゾン債権回収の公式サイトの情報と一致するかを照合します。詐欺の場合、連絡先が異なっていたり、フリーダイヤルが記載されていなかったりすることがあります。
- 具体的な記載内容を確認する: 本物の通知書には、あなたの氏名、契約日、契約番号、最終返済日、請求金額など、詳細な情報が記載されています。これらの情報が曖昧な場合は、架空請求の可能性が高いです。
また、セゾン債権回収株式会社「お問い合わせ」では、通知の具体例や連絡先の記載がありました、合わせて確認をするべきでしょう。
担当部署 | 代表電話番号 |
○○センターと記載がある場合 (例:東京センター、関西センター、新潟センター) | 東京センター 048-633-4700 関西センター 06-7634-7180 新潟センター 025-210-3333 |
封筒の右下に『K』の記載がある場合 | 東京センター買取課 048-633-4740 |
消印がなく『リサーチ部調査課』と記載がある場合 | リサーチ部調査課 048-633-4747 |
2. 通知を絶対に無視しない
「知らない会社からの通知だから」「身に覚えがないから」と自己判断して通知を無視することは、最も危険な行為です。通知を放置すると、以下のような法的リスクに発展する可能性があります。
- 支払督促の申立て: 債権回収会社が裁判所に支払督促を申し立て、債務者へ支払いを命じる手続きです。これに対し、2週間以内に異議申立てをしないと、強制執行が可能になります。
- 訴訟の提起: 支払督促に異議を申し立てるか、最初から訴訟を提起されることもあります。裁判で敗訴が確定すれば、強制執行の対象となります。
- 強制執行の実施: 裁判所の命令に基づき、給料、銀行預金、不動産といった財産が強制的に差し押さえられることがあります。
これらの事態を避けるためにも、通知書を受け取ったら、必ず内容を確認し、適切な対応をとる必要があります。
3. 債務の時効を検討する
最後に返済をしてから5年以上が経過している場合、時効が成立している可能性があります。これは民法上の消滅時効と呼ばれ、債務の返済義務がなくなる制度です。
しかし、時効は自動的に適用されるわけではありません。債権者に対して「時効援用」という手続きを正式に行う必要があります。通知書に記載された債務に対し、安易に電話で返済の意向を伝えたり、一部でも返済したりすると、時効が中断・更新されるため注意が必要です。時効の可能性を判断するためにも、通知書の内容を詳しく確認しましょう。


4. 専門家への相談を検討する
一人で対応するのが不安な場合や、どう対処していいか分からない場合は、速やかに弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談することを強く推奨します。
専門家に相談する最大のメリットは、あなたの状況を正確に判断し、最適な解決策を提示してくれる点です。時効援用の手続きを代行してもらったり、時効が成立していなかった場合は、任意整理や自己破産といった債務整理の手続きについてアドバイスを得ることができます。専門家のサポートを得ることで、精神的な負担も軽減され、安全に問題を解決へと導くことができます。
