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債務整理

債務整理とは何か、したらどうなるのか。メリットとデメリット、生活への影響を4つの種類別に解説

借金を返せなくなった場合、是非検討したいのが、支払条件を緩和できる可能性がある債務整理です。

しかし、そもそも債務整理がどういったものかわからず、どんな影響があるのかと不安を抱く方がほとんどだと思います。

この記事では債務整理について、メリットとデメリット等の基礎知識を解説し、債務整理したらどうなるかという疑問を解消します。

Contents
  1. 債務整理とは何か。生活再建の手段として有効な理由
  2. 債務整理には主に4つの種類がある
  3. 自分に最適なのはどの種類の債務整理か
  4. 債務整理を検討する際に注意したいポイント
  5. 債務整理をしたらどうなる?ブラックリストについて解説
  6. 債務整理したら返済中のローン契約はどうなるか
  7. 債務整理をしたら現在の仕事に影響があるか
  8. 債務整理したら家族に影響は出るか
  9. 債務整理に必要な時間と具体的な流れ
  10. 債務整理にかかる費用と種類別の相場
  11. 債務整理は個々に合った方法を選ぶことが重要
  12. それでも悩むのであれば、弁護士・司法書士に一度気軽に相談を

債務整理とは何か。生活再建の手段として有効な理由

「借金返済に困ったら債務整理を検討してください」という広告を目にされたことがあるかと思います。

債務整理と聞いて、あなたは何を思い浮かべるでしょうか。

大体のイメージはできても、きちんと説明できる人は少ないかもしれません。

債務整理とは、借金返済がつらいと悩む方に対する、救済のための制度です。

例えば、毎月の返済を楽にするために、債務整理の具体的な方法として、利息のカットや、返済月額の減額が挙げられます。

返済が困難な場合には、法的な手続きを踏むことにより、元金が減額されたり、返済自体が免除されたりする債務整理の方法もあります。

債務整理には借金の負担を軽減できるというメリットだけでなく、デメリットもあります。
実際に債務整理をしたらどうなるのかと不安を抱く方も多いでしょう。

デメリットのことばかりが気になって、債務整理による問題解決をためらっている人が多いようです。

債務整理すると自動車や住宅のローンが組めなくなる?
・クレジットカードが使えなくなる?
・これからの人生においてどのような影響がある?

様々な疑問が頭をよぎり、今後のことが心配になると思います。

債務整理の各手続きにはどのような特徴があるのか、債務整理をするための条件やリスクなども含め基本的事項をわかりやすくまとめました。

借金返済に困ったときはぜひ参考にしてください

債務整理には主に4つの種類がある

債務整理には主に4つの種類があり、自分に合った方法を選ぶ必要があります。

任意整理、特定調停、個人再生、自己破産という手続きです。

どの種類が最適かは、自分の借金の状況や生活の状況によって異なります。

銀行や消費者金融からの借入だけでなく、クレジットカードのショッピング利用分も、債務整理の対象となります。

いずれの方法も複雑な書類の作成、債権者との交渉、裁判所とのやり取り等が含まれるため、法律の専門家に依頼するのが一般的です。

以下では、債務整理のそれぞれの方法ついて、手続きの特徴と、メリット・デメリットを確認します。

裁判所を介さず直接債権者との交渉をする任意整理

任意整理とは、お金を貸した人と借りた人が直接に話し合いをして、返済金額を減額したり、返済期日を延期したりする債務整理です。

債務整理の中では、裁判所を通さない唯一の方法となっています。

任意整理を行った場合、合意に至った内容に応じて、借金を返済していきます。

返済期間として、3年~5年に設定する場合が多いです。

任意整理では、 債権者との交渉を通して、「将来利息」と遅「延損害金」のカット・減額を目指します。

将来利息:任意整理の和解日以降に発生する予定の利息。
遅延損害金:債務者が返済を滞納した際に発生する損害賠償金。
※債権者によっては減額できない場合もあります。

任意整理のメリットとデメリットは以下のとおりです。

任意整理のメリット

・利息カットによって、返済総額が減る可能性が高い
・手続きの手間が少なく、迅速な手続きが可能
・職業制限や資格制限がない
・財産を処分する必要がないため、日常生活への影響が少ない
・手続に含める債権者を選択可能

任意整理のデメリット

・借金がゼロになるわけではない
・合意に至らない可能性もある
・信用情報に事故情報が掲載される

任意整理の最大のメリットは、利息カットにより月々の返済が減らせる点と、所有財産をそのまま残せるということです。

住宅ローンを組んでいる場合でも、それ以外の借金のみを対象として債務整理できます。

手続きの流れがわかりやすく、専門家を代理人として任せておけば大丈夫という手軽さが魅力です。

その一方で、その他の債務整理と比較すると借金減額効果が薄いというデメリットもあります。

一部、任意整理に応じてくれない金融業者もあります。

また、生活への影響が少ないとはいえ、信用情報に事故情報は掲載されてしまいます。
※信用情報については後述します。

元本を含めて借金を大幅圧縮する個人再生

個人再生とは、裁判所に申立てをして行う手続きの一つで、裁判所の決定により借金の元金を1/5〜1/10程度に減額できます。

また、個人再生においては、所有不動産を残したまま手続きができる可能性があります。
減額された借金は、原則として3年で返済します。

特別な事情がある場合には、5年の返済期間が認められます。

ただし、個人再生では、債務者が返済しなければならない最低限の金額として、最低弁済額が定められています。

この基準より借金が減ることはありません。

〈個人再生の最低弁済額〉

借金(債務)総額最低弁済額
100万円未満(減額なし)
100万円以上500万円未満100万円
500万円以上1,500万円未満借金総額の5分の1
1,500万円以上3,000万円未満300万円
3,000万円以上5,000万円未満借金総額の10分の1

※借金総額から住宅ローンを除く

個人再生のメリットとデメリットは以下のとおりです。

個人再生のメリット

・借金の減額効果が高い
・自宅を守れる可能性がある
・職業制限がない

個人再生デメリット

・債務の総額が5,000万円を超える場合は利用できない
・借金返済のため、安定した収入がないと利用できない
・任意整理よりも手続きが大変
・官報に掲載される
・信用情報に事故情報が掲載される

※官報とは、簡単にいうと国の広報誌です。
法律やの制定・改正の情報、破産・相続などの裁判内容が掲載された冊子です。

個人再生では整理できる債務総額の上限が決められています。

個人再生を検討するならば、債務総額について、しっかりと把握する必要があります。

簡易裁判所仲介で進む特定調停

特定調停とは、簡易裁判所において、貸した人と借りた人が話し合いをして、今後の返済方法について合意をする方法です。

特定調停を利用する条件は、特定債務者であることとされています。

特定債務者とは、金銭の返済債務を負っていているが、返済期日までに支払いのできる見込みがない者で、債務超過となってしまう恐れがある者のことを意味します。

調停を申し立て後は、裁判所が貸金業者との間に入って話し合いが行われ、補助役として専門知識を有した2名以上の調停委員が選任されることになります。

債務整理に関する知識がほとんどない状態であっても、調停委員が手続きについて指導してくれますので、原則として誰もが利用できる手続きとなっています。

具体的なメリットとデメリットを確認します。

特定調停のメリット

・借金返済額を減額できる
・自分自身の手で、手続きを進めていける
・財産を守れる
・専門家に依頼する費用を節約できる

特定調停のデメリット

・複雑な書類の準備などを、自分自身で行う必要がある
・成功するとは限らない
・信用情報に事故情報が掲載される

特定調停とは、裁判所の調停内で任意整理を行っているようなものなので、遅延損害金と将来利息の減額が期待できますし、長期の分割返済が認められる可能性もあります。

弁護士に頼まずとも自分で行うことが可能ですが、自分でしなければならないことも多くなってしまいます。

特定調停はあくまでも交渉の機会が提供されるだけなので、貸金業者(債権者)にも裁判所の設定する話合いの場に出てきてもらわなければ、問題解決の道が閉ざされます。

また、話し合いがなされても、両者が合意しなければ調停が不成立となってしまいます。

そうなってしまっては、別の債務整理の手続きを講じなければなりません。

裁判所が認めれば借金返済がなしになる自己破産

自己破産は、破産申立書を裁判所に提出し、審査によって認められれば返済が免除される手続きです。

自己破産が認められるかどうかは、収入の状況や借金の理由、借金総額等を総合的に考慮し、裁判所が決定します。

申立てが認められると、 一部の支払い(非免責債権)を除いた借金の全てが原則支払い免除(免責)となります。

非免責債権には、以下のようなものがあります。

・税金関係の支払い
・不貞行為の慰謝料など、破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償の支払い
・交通事故の損害賠償金など、破産者が故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償の支払い
・婚姻費用や養育費など、夫婦間、子ども関係の支払い
・雇用関係に基づいて生じた使用人への給料や預かり金の返還に対する支払い
・罰金などの支払い

借金の返済が免除される一方で、一定の財産(自由財産として99万円まで)を除いて処分しなければなりません。

そのため、その後の生活への影響も大きい手続きとなりますので、なかなか踏み切れないという人もいると思います。

自己破産のメリットとデメリットは以下のとおりです。

自己破産のメリット

・借金をゼロにできる(返済の義務なし)
・債権者の同意を得る必要がない

自己破産のデメリット

・家や土地、車など、一定金額以上の財産は処分される
・職業によっては、手続き中に影響が出る可能性がある
・免責が認められないケースもある
・連帯保証人に迷惑がかかる
・官報に掲載される
・信用情報に事故情報が掲載される
・引っ越しや旅行をするのに裁判所の許可が必要

自己破産の手続き中に影響が出る職業は、弁護士や司法書士、税理士、行政書士、会計士、宅地建物取引士などの士業、土地家屋調査士や不動産鑑定士などです。

破産手続き中は、これらの職業には就けなくなります。

このほか、団体企業の役員、会社の取締役や執行役員に就いている場合も注意が必要です。

破産法では、居住地を離れる場合は裁判所の許可を得ることが必要とされています。

自己破産の手続き中の人は、引っ越しや宿泊を伴う旅行をする際は、許可を得なければなりません。

自分に最適なのはどの種類の債務整理か

債務整理の種類について説明しましたが、結局自分はどれを選べば良いのだろうという点が気になるかと思います。

債務整理のそれぞれの種類について、適している人の条件をまとめます。

生活への影響を最小限にしたい人は任意整理

債務整理をせざるを得ないが、生活に影響が出るのは困るという方におすすめなのが、任意整理です。

債権者(貸した側)と直接交渉し、裁判所を通すことがないため、周囲への影響が少なく、手続き自体が比較的簡単です。

利息分などの返済額の減額や返済計画の立て直しを図る方法ですので、借金を減額する効果は薄いものの、所有財産への影響がありません。

他の手段と比べると減額の幅は小さくなることが多いですが、交渉する債権者を選択することで、デメリットを抑えることができます。

借金総額が少ない
一定の返済能力がある
住宅ローンや車のローンを組んでいる

これらの条件に当てはまる場合、まず任意整理を検討することになります。

家財を残しつつできるだけ借金を減額したい人は個人再生

個人再生は、裁判所に返済不能状態であることを申し立て、借金の元金の減額を認めてもらう方法です。

任意整理では圧縮される額が少なく、返済しきれないという場合には、個人再生が適しています。

また、任意整理で債権者の同意を得にくい場合に、個人再生の手続きをした方がよい場合があります。

借金の利息分だけではなく、元本も減らしたい
ギャンブルや浪費が原因の借金を債務整理したい
職業上の理由で自己破産が難しい
マイホームを守る道を探りたい

ギャンブルでの借金や浪費は、免責不許可事由に当てはまるため、自己破産での手続きが難しくなります。

できるだけ借金を減らしたいが自己破産は難しいと思われる場合に、個人再生を検討するのがおすすめです。

ローン支払い中の持ち家がある場合でも、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用すればそのまま住み続けることができます。

特定調停は手続上、本人が負担する部分が大きい

弁護士費用を節約するために特定調停を選択する場合には、自分で全てを処理しなければなりません。

自分で動く必要が大きい特定調停は、手続きを行う個人の負担が大きく、問題解決の成功率が低い方法だと考えられています。

このため、以下のような条件を満たしている方が検討することになります。

書類準備や作成など、自分で動くことが苦ではない
取り立てが止まるまでに時間がかかっても構わない
とにかく自分で責任をもって進めていきたい

他の債務整理と比較して、失敗の危険が大きいのが特定調停です。

こちらを選択する場合、これらのデメリットについても、しっかりと頭に入れておく必要があります。

手続の負担を軽減し、成功率を上げるために弁護士に依頼するのであれば、特定調停よりも効率的な任意整理が適しているでしょう。

支払い能力がない人は自己破産

自己破産は、裁判所に支払不能であることを申し立て、借金の支払い免除を認めてもらう手続ですので、借金問題の解決方法としては最も効果がある一方で、手続き上の負担も大きい手段です。

自己破産は、誰にでも認められるというわけではありません。

裁判所において免責が認められるには、主に以下の条件を満たす必要があります。

返済能力がない
借金の原因が浪費やギャンブルではない
自己破産をすれば借金をせずに生活できる

たとえ借金を減額してもらっても返済ができないと思われる場合は、自己破産を検討しましょう。

他の債務整理より自己破産をおすすめできる人の特徴は下記の通りです。

・手元に残しておきたい財産がない人
・収入が少なく任意整理や個人再生が難しい人
・他の方法では完済できないくらい借金が膨らんでいる人
・自己破産手続き中の職業制限に該当しない人
・連帯保証人や保証人のついている借金がないか、または保証人の理解が得られている人

全ての所有財産を調査し、一定額以上の財産は処分されてしまうため、生活への影響が大きなものになります。

しかし、全ての手続きが完了した後のお金の使い道にまで、制限がかかるわけではありません。

条件に当てはまっている場合は、自己破産手続きを必要以上に恐れて避けるのではなく、是非積極的に利用してください。

債務整理を検討する際に注意したいポイント

返済条件を緩和したり、返済義務が無くなったりと、非常に魅力的な債務整理ですが、注意しなければならない点も数多くあります。

債務整理をしようと考え始めたときに、知っておきたい注意点を紹介します。

自己破産以外は「返済能力」が求められる

債務整理をしても、無条件で借金が無くなるというわけではありません。

まず、任意整理ですと、各債権者に、借金の減額や分割返済など、返済条件を変更する交渉をします。

任意整理での分割返済期間は、債権者との交渉次第とはなりますが、5年の60回まで認めてもらえます。

しかし、任意整理は分割返済の承認を得られるとしても、返済能力がないといけません。

返済能力とは、今後3年~5年の間、定期収入を得られる見込みのことをいいます。

特定調停についても、手続き後は返済を続ける必要があり、条件は任意整理とほぼ変わりがありません。

個人再生は元金が減額される分、負担が減りますが、減額された金額を通常は3年で返済を終える必要があります。

この3年間に一定の収入が得らえる見込みがない方は、裁判所の認可が得られません。

以上のように、自己破産以外の債務整理は、一定の収入があり、返済を継続する能力がなければ行えません。

自身の生活状況ついて冷静に判断した上で、最適な方法を選択することが大切です。

素人が債務整理を自力でするのは難しい

特定調停はもちろん、費用節約のため、自力で債務整理の手続きを行う方もいますが、法律の知識のない一般の方が行った場合の成功率は、極めて低いのが実情です。

複雑な書類を用意する必要がありますし、貸金業者との話合いで良い条件を引き出すには、法律関連の知識が必須で交渉力も必要です。

確実に成功させたいのであれば、弁護士や司法書士を頼った方がよいでしょう。

任意整理においては、自分で交渉をしても相手にしてもらえなかったり、厳しい返済方法を提示されたりして、失敗に終わることがあります。

個人再生は、申し立て前に膨大な書類を準備し、申し立て後は裁判所からの指示に何度も対応しなくてはいけません。

自己破産も、申し立て前に書類の準備が必要であり、破産法に関する知識がないままに書類を揃えるのは困難です。

専門家を代理人として立てることで、交渉を有利に進めることができ、書類の準備をお任せしてしまうことができます。

債務整理をすることによる生活への影響がある

お金に関する問題は、非常にプライベートなものですので、できれば周囲に知られたくないと思います。

この点、個人再生や自己破産を選んだ場合、これらの手続きをしていることが官報へと掲載されてしまいます。

しかし、職場に対して個別に通知されるようなことはありませんので、債務整理していることが職場の同僚に知られるというようなことは通常はありません。

ただし、勤務先の会社でもお金を借りていた場合、会社も債権者となりますので、債務整理の事実を知られてしまう可能性が高いです。

また、裁判所からの通知がもとで、債務整理をしている事実を同居の家族に知られてしまう場合もあります。

絶対に秘密にできるとは限らないという点を頭に入れた上で、手続きを進めていきましょう。

家族に秘密にしたいという気持ちもわかりますが、生活再建のためには、情報を共有して一緒に頑張ろうと考えるのがおすすめです。

債務整理をしたらどうなる?ブラックリストについて解説

債務整理に共通するデメリットとしては、いわゆる「ブラックリストに載る」ことが挙げられます。

実際には、ブラックリストというものは存在せず、「ブラックリストに載る」とは、信用情報機関に事故情報が登録されることを意味しています。

信用情報とは、利用者と各金融機関との取引内容をまとめたもので、以下の信用情報機関で管理されています。

​​株式会社​​​​シー・アイ・シー(CIC):主に信販会社が加盟
株式会社日本信用情報機構(JICC):主に消費者金融が加盟
全国銀行個人信用情報センター(KSC):主に銀行や信用金庫、信用保証協会などが加盟

債務整理をした場合、4つのうちどれを選んでも、その情報は個人信用情報へと登録されます。

個人信用情報に事故情報が登録されると、以下のような影響が出ます。

・すでに所有しているクレジットカードが、強制的に解約される
・新しいクレジットカードを作れなくなる
・カーローンや住宅ローンも含め、新たなローンが組めなくなる

債務整理したらクレジットカードが利用停止になる

債務整理を行うと、業者の定めた利用規約に基づいて、それ以降クレジットカードの利用ができなくなります。

債務整理の対象となったクレジットカードは、手続き開始とほぼ同時に、強制的に解約になってしまいます。

利用できない期間は、事故情報が登録されている期間です。

この期間にキャッシュレスの決済方法を利用したい場合は、デビットカード、プリペイドカード、QRコード決済サービスなどを利用することをお勧めします。

なお、任意整理で対象外としたクレジットカードは、しばらく利用できることもあります。

ただし、信販会社は、クレジットカードを利用している会員の信用度を定期的に審査しているため、更新の際には、他社の利用状況や延滞の有無などもチェックされるため、いずれ使用できなくなることに注意してください。

債務整理後は5〜10年程度クレジットカードの新規契約ができない

銀行や貸金業者などは、審査時に申込人の信用情報を照会します。

信用情報に事故情報が登録されていると(いわゆるブラックの状態)、借入の審査やクレジットカード利用に影響が出る可能性があります。

債務整理後は事故情報が登録された状態になるため、基本的に5〜10年間は審査に通らず、新たにクレジットカードを契約することは難しくなります。

事故情報が載っていると、信用に問題があるとされ、クレジットカード等の審査に落ちてしまいます。

ただし、債務整理したらクレジットカードが作れないというのは事実ですが、永久に不可能なわけではなく、一定期間を過ぎれば再び可能となります。

また、債務整理の対象にしたクレジットカード会社やその系列の会社では、事故情報の登録期間が経過した後でも、審査に通らないことがあります。

これは、クレジットカード会社が社内で管理しているデータが存在し、社内では半永久的に事故情報が残ると考えられるからです。

債務整理したら返済中のローン契約はどうなるか

債務整理後は「ブラックリスト」に載るため、基本的に 5〜10年間は審査に通らず、新規の住宅ローン、自動車ローンの契約はできなくなると考えられます。

クレジットカードの新規契約と同じく、債務整理の対象にした会社や系列会社ではいわゆる「社内ブラック」に情報が残っていると考えられます。

事故情報の登録期間が終わった後も、新規の借り入れが認められない可能性が高いでしょう。

一方で、スマホや携帯電話が買えないと思っている方もいますが、ブラックリストに載っていても契約はできます。

携帯端末の分割払い契約がローンとみなされ、審査が通らなくなりますが、一括払いであれば当然に端末の購入や機種変更はできるので安心してください。

自動車の購入も、できないのではなくローンの審査が通らないだけです。

現金一括払いであれば購入できますし、中古車販売店が独自に提供している自社ローンなら分割で払える場合もあります。

今すぐでなくても、将来的に住宅や自動車の購入を検討している方は、5年~10年の期間が過ぎれば、またローンの審査が通るようになります。

マンション等の賃貸借契約の審査に通りにくくなるというのは、その賃貸物件に信販系の保証会社がついている場合です。

大家や不動産会社が信用情報をチェックすることはありませんが、保証会社は内容を確認しています。

ブラック期間に転居する方は、家賃保証会社が信販会社でない物件を選ぶとよいでしょう。

持ち家や自動車への影響は、債務整理の種類によって以下のように異なります。

任意整理は住宅ローン、自動車ローンを対象から外せば影響しない
個人再生では特則を使えば家を残せる
自己破産では家や車は原則回収される

それぞれについて解説します。

【任意整理】住宅ローン、自動車ローンは対象から外せば影響しない

任意整理では、整理の対象とする債権者を選べます。

返済を継続している住宅ローンや自動車ローンを任意整理の対象から除けば、自宅や所有する自動車を手放す必要はありません。

ただし、同一の銀行でカードローンと住宅ローンの契約がある場合や、同一の会社でクレジットカードと自動車ローンを契約した場合などは、対象の選択ができない場合があります。

また、一見別の債権者に思えても、保証会社が同一の会社であれば、債務整理に自動車ローンが巻き込まれ、自動車が引き上げられてしまう可能性もあります。

自分の場合はどうか、債務整理を担当する弁護士・司法書士によく相談してから手続きを開始しましょう。

債務整理の対象とするつもりはなくても、継続中のローンに契約については、債務整理開始時に弁護士・司法書士に全て申告してください。

なお、前述したとおり、任意整理後の借金完済からの5年間は、住宅ローンや自動車ローンの新規契約はできないものと思った方がよいです。

【個人再生】特則を使えばローン返済中の家を残せる

個人再生は、任意整理とは異なり、特定の債務者を手続きから除外することはできません。

そのため、 自動車ローンを返済中で、かつローン会社や販売会社などによる「所有権留保」がついている場合は、車を引き上げられてしまいます。

銀行のマイカーローンでは、所有権留保がつかないことが多いため、車が引き上げられる可能性は低いです。

※所有権留保とは
売買契約で売り主が売買代金を担保することを目的に、代金の全額の支払いが完了するまで、引き渡した目的物の所有権を留保すること。

自宅については、個人再生の住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用すれば、住宅ローンの返済中でも影響を受けることはありません。

※住宅ローン特則(住宅資金特別条項)とは
住宅ローンを手続きから除き、その他の債務を個人再生で減額する制度。

この住宅ローン特則が適用されるには、以下の条件を満たす必要があります。

・住宅資金貸付債権(住宅ローンとしての借り入れ)であること
・再生債務者(個人再生の申立人)が所有している住宅であること
・再生債務者の居住用の建物であること
・対象となる物件の床面積の2分の1以上の部分が居住用であること

【自己破産】財産全てを処分する

自己破産をすると、原則として所有不動産や自動車は処分されてしまうと考えましょう。

自己破産では、申立人の財産を換金して債権者に配当するため、生活に必要な最低限の金銭以外の財産は、裁判所が回収することになります。

例えば以下の財産が回収の対象です。

・不動産
・自動車(20万円以上の価値があるもの)
・アクセサリーなどの貴金属
・99万円を超える現金
・20万円を超える預貯金、生命保険の解約返戻金、退職金、有価証券 など

自己破産をした場合、法律で定められた限度を超える価額の財産は、原則として裁判所によって処分されてしまいます。

手元に残せるのは、総額99万円までの自由財産のみとなります。

生活必需品である家具や家電が没収されることはありません。

自己破産後に稼いだお金が、差し押さえられることもないので、安心してください。

債務整理をしたら現在の仕事に影響があるか

債務整理によって仕事に影響が出ることは、ほとんどないといえます。

そもそも債務整理をしたことが職場に知らされることが、基本的にはないからです。

ただし、例外もあるので、以下で詳しく解説します。

債務整理が勤務先に知られるケースは限られる

債務整理が勤務先にバレてしまうとすれば、以下のようなケースが考えられます。

勤め先が金融や保険業の会社であって、官報をチェックしている場合
自己破産で資格や職業に制限を受ける場合
従業員貸付や共済組合などからの借金を債務整理の対象にした場合
債務整理によって給与振込口座が凍結された場合

自己破産や個人再生を行うと、国の機関紙である「官報」に申立人の氏名や住所が掲載されます。

「官報」は一般の人がチェックする媒体ではないのですが、以下のような業種の職場であれば、同僚が掲載内容をチェックしている可能性もあります。

金融業
保険業
不動産業
役所などの公的な組織

官報を見た職場の同僚に債務整理をしていることが知られる可能性は、ゼロではないでしょう。

なお、任意整理をしても、官報に名前が掲載されることはありません。

自己破産手続中は、ある種の資格を行使したり、職業に就いたりすることができなくなります。

下記の職業に就いている場合、 一時的にではあってもその職を辞する必要があります。

弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、宅地建物取引士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、証券会社外務員、旅行業務取扱管理者、生命保険募集人、商工会議所会員、有価証券投資顧問業者一団体企業の役員、会社役員、警備業者、質屋 など

会社によっては、福利厚生として従業員に貸付を行っていることがあります。

従業員貸付を利用していて、その返済を債務整理の対象にした場合、弁護士や司法書士からの通知や裁判所からの連絡などが会社に届くことになります。

また、労働組合などの会社に近い団体や、同僚からの借金を債務整理の対象とした場合も、会社に債務整理をしたことを知られてしまいます。

任意整理であれば、これらの借金を任意整理の対象から外せば、リスクを下げることができるでしょう。

銀行からの借金を債務整理の対象にすると、預金口座が一時的にではありますが、凍結される可能性があります。

少しでもお金を取り戻そうと、銀行が預金口座に残っているお金と借金を相殺しようとするからです。

口座が凍結されると、勤め先は給与の振り込みができなくなります。

そうなると、銀行との間でトラブルがあったとが想像されますので、いずれ債務整理したことがわかってしまう可能性が出てきます。

債務整理を行う前に、給与の振込先を変えておくようにしましょう。

債務整理を理由に解雇されることは原則ないが、注意すべき業種も

債務整理を行ったことにより、直接的に解雇につながるということはありません。

万が一債務整理を理由に解雇された場合、会社側に法的根拠がないため、不当解雇を主張すれば解雇が無効になる可能性が高いでしょう。

しかし、上記でも触れた従業員貸付を債務整理対象にした場合は、債務整理を行うことで会社に損害が発生します。

この場合は、債務整理を理由として解雇されることも考えられます。

債務整理が終わった後で転職活動を行う場合、債務整理が理由で条件が不利になることはありません。

ただし、前述したとおり、官報を細かくチェックしている可能性がある業種に関しては、債務整理をしていた経歴を知られてしまうかもしれません。

個人再生や自己破産を行ったことがあると、官報の記載を確認している業種への転職が困難となると場合がないとは言い切れません。

債務整理したら家族に影響は出るか

債務整理をしたことは、家族に知られる可能性はあります。

ただし、家族が借金を肩代わりする必要はありません。

家族がブラックリストに載ったりすることもありません。

家族に関する影響について、具体的に解説します。

債務整理が家族に知られる可能性はある

債務整理を、家族に完全に隠しておくのが難しい場合があります。

特に自己破産や個人再生において、裁判所に自宅や自動車を処分されれば、家族には債務整理のことを話さなければならないでしょう。

一方、任意整理は裁判所を介さずに、私的な交渉により進められるので、必ずしも家族の協力が必要というわけではありません。

弁護士や司法書士に事情を伝えて、連絡手段に気を配ってもらえれば、家族に知られる危険は相当に小さいといえます。

ただし、任意整理によってブラックリストの状態になると、完済から5年程度はクレジットカードが使えなくなるため、理由を尋ねられた場合には言い訳が必要となります。

債務整理をしても家族に直接的な影響はないが、注意が必要な場合も

債務整理を行った場合に、 家族が借金を代わりに返済する必要はありません。

契約は、あくまでも債務者である当人と貸金業者の間で結ばれたものだからです。

当事者が債務整理したからといって、無条件にその家族が金融業者から請求を受ける理由はありません。

法律によって債務者の家族への請求は禁止されています。( 貸金業法第21条7項)

親の債務整理が、子どもの結婚や就職の障害となることもありません。

子どもの生活が親の債務整理によって制限されるという法的根拠はないのです。

ただし、債務整理後ブラックリストに載っている間は、子どもの学費に奨学金を利用しようと思っても、保証人にはなることができません。

債務整理が家族のクレジットカードの利用を止めたり、借り入れの審査に影響を及ぼしたりすることはありません。

ただし、家族カードを利用している場合は、主契約者が債務整理をすると、家族カードも含めすべて解約となります。

借金をした当人(主債務者)に保証人・連帯保証人が要る場合、その借金を債務整理することにより、保証人や連帯保証人にも一括での返済が求められます。

任意整理においては、家族が保証人・連帯保証人になっている借金を対象にしなければ、約定通りに返済を継続することで、家族への影響を防ぐことができます。

債務整理に必要な時間と具体的な流れ

債務整理にかかる時間は、選択する方法よって違ってきます。

手続き開始から終了までの必要時間は以下のとおりです。

任意整理 2ヶ月~6カ月程度
個人再生 6ヶ月~1年
特定調停 3ヶ月~4カ月
自己破産 6ヶ月~1年

素早く手続きを進めることを希望するのであれば、任意整理をお勧めします。

ただ、個人再生や自己破産の場合でも、弁護士・司法書士に依頼した時点で取り立てはストップするので安心して任せてください。

任意整理手続きの場合、手続きの流れとしては以下のとおりとなります。

①専門家への相談
②正式依頼(受任通知の発送により、取り立てストップ)
③取引履歴の開示請求(弁護士・司法書士)
④開示内容をもとに、金融業者と話し合い(弁護士・司法書士)
⑤和解して手続き完了、返済スタート

一方で、自己破産の場合の大まかな流れは以下のとおりです。

①専門家への相談
②正式依頼(受任通知の発送により、取り立てストップ)
③裁判所への申し立て
④裁判所による面接(※裁判所によって異なる可能性も)
⑤破産手続きのスタート
⑥免責審尋(債務者本人が裁判所で面接)
⑦免責許可決定から確定へ

弁護士や司法書士に依頼すれば、自分で難しいことを考えなくても、流れに沿って進めてくれます。

債務整理にかかる費用と種類別の相場

「お金ない」と悩む人がする手続きが債務整理ではありますが、実際には債務整理にもお金がかかります。

以下は、債務整理をする場合の必要の費用相場となります。

・任意整理 紙代や切手代
・個人再生 収入印紙代(1万円)、官報への掲載費用(1万2,000円)、
・郵便切手代(1,600円)、再生委員への報酬(25万円)
・特定調停 申し立て料(500円程度/債権者1社)や切手代
・自己破産 申し立て料(1,500円)、郵便切手代(2,500円~1万5,000円)、
・予納金(同時廃止:1万5,000円~3万円、少額管財事件:20万円、特定管財事件:50万円~)

またこれらの費用のほかに、弁護士費用や司法書士費用の支払いが必要となります。

弁護士や司法書士に依頼した場合の手続き費用は、それぞれの事務所ごとに異なります。

一般的には、司法書士費用の方が、安いケースが多いようです。

以下の表は、専門家に依頼した場合の費用の目安を紹介します。

・任意整理 着手金:4~5万円/1債権者
・成功報酬:減額できた金額の10% 着手金:2~4万円/1債権者
・成功報酬:減額できた金額の10%
・個人再生 30~60万円 30~40万円
・特定調停 2~3万円/1債権者 2~3万円/1債権者
・自己破産 20~50万円 15~30万円

費用面では司法書士に依頼する場合の方がメリットは大きいですが、「1社あたりの借金が140万円まで」という制限があります。

任意整理は裁判所を介する必要がないため、債務整理の中では費用は安めとなります。

個人再生手続きは必要な書類が多く、手続きも複雑で、債務整理の中では最も費用が高額です。

自己破産手続きは同時廃止事件になると費用は個人再生手続きに比べると少し安めとなりますが、管財事件になると高額となります。

借金問題を抱えている人が支払いに困ることは当然のことですので、費用の支払いを後払いや分割払いにしている事務所が多いです。

債務整理は個々に合った方法を選ぶことが重要

毎月の返済の負担を少なくしたいと思ったときには、放置したり借金の踏み倒しを考えたりするのではなく、一度債務整理について検討し専門家に相談してみましょう。

少額の借金甘く見ていると、気づけば膨大な額になっていたり、多重債務に陥ってしまったりする可能性は十分に考えられます。

債務整理には4つの方法があり、自分にとって一番良い解決方法を選択することが大切です。

債務整理はメリットも多くありますが、やはりデメリットがあることも事実です。

事故情報の登録や債務整理後の返済義務の有無、専門家に依頼した際の報酬などの問題もありますので、慎重に判断しましょう。

「債務整理は借金がいくらであれば利用できる」という規定はありません。

借金の返済が「キツい」「ツラい」と思ったら、弁護士や司法書士に相談してみてはいかがでしょうか。

2度目の債務整理について

債務整理後に、再び借金をして返済の目処がまた立たなくなってしまったという場合、再度の債務整理を検討する方もいると思います。

債務整理は1回限りという決まりもありませんし上限もないのです。

よって再び手続きを踏むことは可能です。

ただし、再度の債務整理は1回目の債務整理よりもハードルは上がります。

再度の債務整理が難航する理由は、再度の交渉に応じてくれない債権者がいたりするため、交渉が難航するケースが多いからです。

同じ債権者と交渉する場合は、最初の約束を破っているわけですからそう簡単には交渉に応じてくれません。

2回目も任意整理をしたいと思っていても、2回目は自己破産の選択肢しかない場合もあります。

また、一度自己破産をし、その後2回目も自己破産をする場合には、同時廃止ではなく管財事件となることがほとんどです。

再度の債務整理を成功させるためには、完済する意思があることをしっかり示し、誠実な姿勢が必要でしょう。

h債務整理の中でも、任意整理は生活への影響が最も少ない方法

これまでの解説からもわかるように、 任意整理は他の債務整理方法と比べデメリット部分が少なく、生活への影響も他の手続きに比べると小さいといえます。

一定の収入があるような場合には、最初に検討する選択肢となるでしょう。

任意整理は中においては

・財産を残すことができる
・保証人への影響を避けることができる
・家族や職場に内緒しておける
・職業に制限を受けない

といった特徴・メリットがあります。

返済に困っていて、任意整理をしても本当に返済が継続できるか不安な方も、まずは専門家に相談してください。

借金をしないで生活するための、生活改善の方法について、弁護士・司法書士に助言を得ることができます。

任意整理をすると、生活を立て直しながら、返済を続けていくことができます。

それでも悩むのであれば、弁護士・司法書士に一度気軽に相談を

借金の返済が苦しいからといって放置していては現在の状況は全く改善することはありません。

債務整理をしても、想定外の影響が出るのではと不安を感じている人は、まず弁護士・司法書士に相談して自分の状況を伝えてみてください。

債務整理に関して弁護士に相談すると、以下のようなメリットが考えられます。

・交渉、手続きなどの多くを代理で行ってもらえる
債務整理に必要な、複雑な書類の作成、裁判所や債権者とのやりとりなど、ほとんどの作業を任せることができます。

・督促や取り立てを一時的にストップできる
債務整理の依頼を受けると、専門家は債権者に対して「受任通知」を送付します。

「受任通知」が届くと債権者は督促や取り立てをすることが出来なくなると法律で定められているからです。( 貸金業法第21条1項9号)。

・自分に合った債務整理の方法を提案してくれる
自分自身ではどの債務整理手続きが合っているかについて、判断することが難しいでしょう。

法律、実務双方に関する知識が豊富な弁護士・司法書士から的確なアドバイスを得ることができます。

無料で借金相談を受けている弁護士・司法書士事務所も少なくありません。

債務整理をするか迷っているなら、まずは相談無料の事務所に連絡してみてはいかがでしょうか。