借金問題を抱えている人の中には、債務整理に対して「人生が終わってしまう」といった漠然とした不安を感じている方も多いのではないでしょうか。確かに、債務整理にはデメリットも存在します。しかし、それ以上に、借金問題を放置することのリスクは計り知れません。
本記事では、債務整理の仕組みやメリット・デメリットを詳しく解説するとともに、債務整理をせずに借金を抱え続けた場合に起こりうる最悪の事態を具体的な事例からご紹介します。
「債務整理をするべきか」に悩むすべての方に、ぜひ参考にしていただきたい内容です。
債務整理のメリット、デメリットは?
「借金問題の解決」こそ、債務整理の最大のメリット!
債務整理の最も大きな利点は、借金問題の解決に大きく近づくことです。
借金問題は、多額の借金を抱えることが多いのですが、その解決方法は実は単純です。
それは、借金を完済することです。
しかし、借金には高い利息が付いており、利息制限法に基づき最大で年利20%、多くの消費者金融や銀行系のカードローンなどでも年利15%近い利息を取っています。これが毎月の返済に付されていることから、単に返済するだけではいつまでも借金問題が解決しないことが多いのです。
仮に借金が自力で完済が出来るとしても、毎月数千~数万の利息を何年も払うことから、完済までに時間がかかってしまったり、累計で多額の利息を支払うこととなります。
そこで検討すべきは債務整理です。
債務整理は、借金や利息を減額したり、返済期間を延長したりして、無理なく返済できるように整理したり、返済を免除してもらうための手続きです。これにより、借金の返済負担が軽減され、経済的な余裕が生まれ、借金の負担が軽くなることで精神的な負担も軽減され、借金問題からの解放感を得ることができるでしょう。
また、債務整理には、自分の状況に応じて、柔軟な対応ができるという大きな魅力があります。
「債務整理=破産」といったイメージがあるかもしれませんが、実際には破産は債務整理の一つの方法にすぎず、実際にはいくつかの方法があります。例えば、任意整理という手続きでは、高額な利息をカットし、毎月の返済額を減額することで借金完済をしやすい環境を整えることができます。また、自己破産では売却の対象となることの多い住宅を保持したまま、借金を減額できる個人再生という手続きもあるのです。
債務整理のデメリットはどんなものがある?
では、債務整理のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
・信用情報への影響
債務整理手続を開始した場合は、その事実は信用情報機関に「事故情報」として登録をされます。
事故情報とは、延滞・遅延、債務整理、強制解約などのネガティブな情報を指し、審査に悪影響を及ぼします。
これにより、新規の借り入れやローンを組むことが難しくなることを、俗に「ブラックリスト」と言います。
債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」という3つの方法がありますが、この3つすべてで「信用情報への影響」は発生します。
手続の種類 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
影響の有無 | 〇 | 〇 | 〇 |
回避可能か? | 不可 | 不可 | 不可 |

・保証人への請求
保証人とは「本人が支払いが出来なくなった時に、借金を代わりに払うことを保証する人」です。
そして、債務整理は「借金の支払いが出来なくなった場合」に該当することから、保証人が付いている借金やローンの債務整理をした場合は、債権者は保証人に債務の返済を求めることとなります。
個人再生、自己破産は、すべての債権者を対象にしなければならないことから、これを避けることはできませんが、任意整理であれば、債務整理をする借金を選ぶことが出来るので、回避可能です。
手続の種類 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
影響の有無 | △ | 〇 | 〇 |
回避可能か? | 可 | 不可 | 不可 |

・ローンの目的物の引き上げ
ローンを組んで購入した物品は、ローンの完済がされるまで、目的物(例えば、車や高級時計など)所有権が債権者に残る場合があります。
これが所有権留保と呼ばれるものです。
所有権留保が付いているローンを債務整理する場合は目的物は引き上げられるのです。
保証人の項目と同じく、任意整理であれば、回避可能です。
手続の種類 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
影響の有無 | △ | 〇 | 〇 |
回避可能か? | 可 | 不可 | 不可 |
・財産を手元に残せない
自己破産とは、「持っている財産を清算して、それでも借金が完済できない場合は借金の支払いの免除をしてもらえる」と言う手続きです。
そのため、価値のある財産がある場合は、清算手続きをしなければならず、財産を手元に残すことが出来ないことがあります。
一方、任意整理、個人再生の場合は、財産を手元に残したまま手続きを進めることが出来ますが、個人再生の場合は、減額される借金額に影響を及ぼす場合があります。
手続の種類 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
影響の有無 | × | △ | 〇 |
回避可能か? | 可 | 可 | 不可 |

・職業制限
自己破産の場合は、手続きの期間中は一定の資格が制限されることがあります。
身近な職業ですと、弁護士や司法書士、宅建士といった士業や、警備員や保険募集人などの資格が制限されます。
この制約は、任意整理、個人再生にはありません。
手続の種類 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
影響の有無 | × | × | 〇 |
回避可能か? | 可 | 可 | 不可 |

債務整理のよくある誤解
ここまでは、債務整理のメリットやデメリットについて、簡単に解説をしてきましたが、どうだったでしょうか?デメリットの方が数が多いなと感じたかもしれません。
しかし、これらのデメリットは回避する方法がありますし時間が経てば、影響がなくなる者も存在します。
ここからは、債務整理によくある誤解について、解説していきます。

ブラックリストは一生消えない?ちゃんと消えます!
よくある誤解の一つ目に、ブラックリストに一度登録されると、一生消えないと言われることがあります。
これは、完全に間違いです。
信用情報には登録の期間があり、登録期間は手続きの内容によって異なりますが、一般的な消費者金融やクレジットカードなどの債務整理の場合であれば、登録期間は「債務整理の終了後から5年間」です。
つまり、5年間の期間が経過すれば信用情報は回復するのです。
また、「ブラックリストは延滞や債務整理をしたら載るもの」と思われがちですが、貸金業者は借り入れ額や返済履歴、審査の申込み履歴なども考慮して、審査を行っています。
例えば、すでにかなりの借り入れ額がある場合や、短期間に複数社に審査の申込みを行っている場合などは、延滞や債務整理をしていなくても、審査が通らないかもしれません。
そのため、債務整理をして借金を完済した方が、借入残高が減っていき、結果的に早期に信用情報を回復できる場合もあるのです。

仕事を失う?その可能性は低いし、対処法もある
次に、仕事に関する問題について触れましょう。
職業制限の関係ない人の場合、仕事には何の影響もありません。
そもそも、会社に債務整理をすることを伝える義務はありませんし、仮に知られてしまったとしても、それを理由に解雇をすることは、不当解雇に当たる可能性があるためです。
では、職業制限のある仕事をしている人はどうでしょうか?
確かに、「自己破産が裁判所で審査されている間」はその仕事に就くことはできませんので、影響はあります。
ただ、自己破産の手続が終わってしまえば、資格制限はされなくなるので、元の仕事に復帰できます。そして、自己破産の手続き期間は、早い人だと3か月程度で終わるため、影響がある期間はそれほど長くないと言えます。
また、自己破産による職業制限を理由にする解雇も認められない可能性が高いですので、職を失う可能性もあまり高いとは言えないでしょう。
さらに、自己破産で職業制限がかかる場合があるとお伝えしましたが、これはあくまで「自己破産」の場合のみです。
任意整理、個人再生には関係がありません。

家族や知人には必ずバレる?バレない方法もあります
家族や知人に債務整理をしていることがバレるケースと言うのは、そもそも例外的です。
問題があるケースとしては「家族や知人から借金をしていて、それを債務整理の対象とする場合」や「通知書が自宅に届く場合」が考えられますが、これについては、特定の債権者を除外して進めることのできる任意整理であれば、家族や知人を対象から外すこともできますし、通知書等の送付先は、弁護士や司法書士といった代理人を付けることで問題を回避できます。
どちらかというと、よくある借金や債務整理がバレてしまうケースというのは、「債務整理をせずに借金を滞納してしまい、自宅に督促や通知書、訴状が来た場合」などであり、債務整理をしない方が、リスクが高いとすらいえるのです。
公的サービスを受ける権利や選挙権が制限されることはほとんどありません
最後に、「債務整理をすると、生活保護等の公的サービスを受けられなくなる、選挙権が制限される」という都市伝説を聞いたことがあるかもしれませんが、これは完全に間違いです。
生活保護を受けられるかどうかというのは、その人が「公的な扶助が必要かどうか」で判断されるものであり、債務整理とは関係がありません。
また、選挙権については、汚職や買収などのいわゆる「選挙犯罪」を犯した人は制限をされることがありますが、やはりこちらも、債務整理とは関係のないことです。
ただし、社会福祉資金貸付制度に関しては、自己破産や個人再生中には借り入れが出来ないことがあるようですが、手続きが終了した場合は利用可能です。

債務整理は人生終わりではない。借金問題が深刻化する方が怖い
ここまで、債務整理のデメリットに関するよくある勘違いを解説してきました。
家族や知人にバレることなく債務整理を進めることは可能し、債務整理が終わった後は、職業制限のかかる資格でも、問題なく仕事が出来ます。
公的サービスや選挙権が制限されることもありません。
ではなぜ、債務整理をすると人生終わりというような意見が出てくるのでしょうか?それは、本当の借金問題の怖さを知らないからです。
ここからは、本当に借金問題で終わってしまう人たちの事例をご紹介します。
【事例①】多重債務による返済不能に陥ったAさん
Aさんは、若い頃から無理なローンやクレジットカードの支払いに頼り、生活を支えていました。
最初は、日々の支払いを何とかやり繰りできる範囲だったものの、次第に借金が膨らんでいき、返済のために新たな借金を重ねるようになりました。最初は「ちょっとした借り入れがあるだけ」と感じていたAさんも、気づけば返済のために月々の支払いが重くのしかかり、生活が苦しくなっていったのです。
Aさんが返済に追われる日々を送る中で、収入は限られ、借金が雪だるま式に増えていきました。住宅ローンやカードローン、消費者金融からの借り入れと、各種の返済が重なり合い、支払期日が近づくたびに焦りと不安が募りました。
しかし、その時点でAさんは一度も専門家に相談することなく、自己流で問題を解決しようとしていました。
借金を返すために働く日々は、次第に心身ともに疲弊し、周囲の人間関係にも悪影響を及ぼしました。Aさんは周囲に頼ることができず、借金の返済を続けることができない状況に追い込まれました。最終的には、借金が返済不能なレベルに達し、未来に希望を持てなくなっていきました。
精神的な負担や孤立感から、次第に心の中で「人生が終わった」と感じるようになりました。
自転車操業とは、A社からの借金を返済するためにB社から借入を行い、B社への返済をするためにC社から借入をするという状態のことを指します。
一見、なんとか返済できているように見えますが、借金の返済には元金に加えて利息も支払わなければなりません。
返済した元本分のお金を再度借りてくるのですから、結局は利息を支払っているだけになります。
つまり、いくら「借りて、返して」を繰り返しても、借金の元金は減ることがないのです。
このような状況になっている人は、現在は借金の総額が少なくても、将来的には借金が膨らんでいく可能性が高いと言えます。
そして、借金が膨らんだことによる、経済苦や心身のストレスから自ら命を絶つという最悪の事態につながるケースもあります。
実際、独立行政法人国民生活センターの調査によると、弁護士や司法書士事務所に相談した人の中で、借金により「自殺を考えた」人は35パーセントにおよぶとの報告もあります。
また、厚生労働省自殺対策推進室と警察庁生活安全局生活安全企画課が発表した「令和2年中における自殺の状況」によると、令和2年の自殺者のうち、経済・生活問題が原因と思われるケースが3,216人に上ったそうです。 平成23年度の6,406人と比べると大幅に減少しているものの、今なお多くの人がお金の問題を苦にして命を絶っている現実は、看過できません。
【事例②】一生ブラックリストに載ったままのBさん
Bさんは、若いころから欲しいものをすぐに手に入れたくて、クレジットカードやローンを多用していました。初めは少額の借り入れだったものの、次第に返済が難しくなり、お金を借りて別の会社へ返す「自転車操業」を繰り返しました。
しかし、自転車操業を繰り返しても借金は減るどころか増える一方で、Bさんは返済期日を守れず、遅延や未払いを繰り返すようになりました。最終的には、Bさんは金融機関からの信用を失い、ブラックリストに載ることになりました。
その後、Bさんは新たな借り入れができなくなり、日常生活でも支障をきたすように。
信用情報を回復しようにも、異動情報(いわゆる事故情報)は、延滞解消から5年の期間登録され続けます。お金のないBさんは、延滞を解消することが出来ず、一生ブラックで居続けることとなりました。
住宅ローンや車のローンを組むことができず、夢だったマイホームも諦めることになってしまったのです。
Bさんの事例は、一度ブラックリストに載ると、経済的な自由を取り戻すまでには非常に長い時間がかかること、その間に失ったものは多く、取り返すのは容易ではないことを示しています。
貸金業者やクレジットカード会社は、それぞれの活動の根拠となる法令(例:割賦販売法第38条、貸金業法第13条など)に基づき、顧客と契約を結ぶ時に、返済能力等を調査しなければなりません。この際に利用されるのが、信用情報です。そして、この契約内容については、記録を作成して信用情報機関に登録をすることが義務付けられています。(例:割賦販売法第35条の3の3、貸金業法第13条第4項等)
これらの情報を管理するのが、信用情報機関です。
日本には、主に以下の3つの信用情報機関があります。
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
これらの機関は、それぞれ加盟している金融機関が異なり、保有している情報も多少異なります。ただ、いずれの場合も、延滞や未納が生じることで、異動情報が載ってしまうことには変わりがありません。
異動情報が載ることによって、債務者は新規の借り入れを制限されたり、ローンを組むことが出来なくなってしまう場合があります。
借金のせいで人生設計が大きく狂ってしまう、これこそ、人生が終わった状態と言えるかもしれません。

【事例③】街金、闇金に手を出すCさん
Cさんは、生活の中で少しずつ膨らんでいった借金に悩まされていました。最初は、急な出費に対応するために消費者金融から借りたお金でしたが、次第に返済が厳しくなり、他の金融機関から借りて返すという悪循環に陥ってしまいます。
しかし、利息が高く、返済が追いつかなくなったことから、通常の消費者金融からは、Cさんはお金を借りられなくなってしまいました。
Cさんは「どうにかしてお金を作らないと!」と焦り、さらに街金や闇金に手を出すようになりました。
街金や闇金は、通常の金融機関と違って、金利が非常に高く、返済期日も厳しいため、返済ができないと容赦なく取り立てが始まります。Cさんは、最初は借りた金額が少なかったため「なんとかなるだろう」と考えていましたが、次第に利息が膨らみ、借金額は増え続けました。
取立てや脅迫がエスカレートし、Cさんは精神的に追い詰められる日々が続きました。
借金の滞納などがあると、信用情報に影響が出てしまい、新規の借り入れが出来なくなってしまうというのは、すでにご紹介しました。
ただ、「債務整理中でもお金を借りられる?神金融の危険性を徹底解説します」でも解説した通り、街金のような中小の消費者金融の場合は、信用情報に問題があっても、お金を借りられる可能性があります。また、闇金は信用情報が関係ないため、債務整理中などでお金がない方が、しばしば引っかかって被害に遭っています。
しかし、限度額が低めで金利が高いことや、法令に抵触するリスクのある貸付けを行う場合があること、取り立てが厳しいといった事情があるためです。街金や闇金に手を出すことは、一時的な解決にしかならず、むしろ状況をさらに悪化させてしまいます。
ブラックリストに載り、頼れるのは街金や闇金。これこそ、「人生終わりだ」と感じてしまうような場面ではないでしょうか。
【事例④】差し押さえを受けてすべてを失うDさん
Dさんは、家族の医療費や生活費で借金が増えていき、返済に追われる日々が続いていました。最初は、リボ払いや分割払いで何とか乗り切っていたものの、徐々に返済額が膨らみ、支払いが困難になりました。返済期日を過ぎてもお金が足りず、借金がさらに増えていきました。
そんな中、最初の数回の督促状には無視をしてしまったため、最終的に債権者から訴えられ、裁判をするという通知が届きます。
差し押さえは、借金を返済できない場合に、給与や預金、不動産などの財産を差し押さえて強制的に回収する法的手続きです。Dさんは、この通知を受けて初めて事態の深刻さを実感しました。しかし、返済できない状態に変わりはなく、差し押さえが進んでいくばかりでした。
最終的には、給与の差し押さえだけでなく、自宅に対しても差し押さえが行われ、Dさんの家財道具や貴重品までもが差し押さえられました。Dさんは、生活に必要な物を失い、精神的にも追い詰められていきました。差し押さえが進むにつれて、周囲との関係も疎遠になり、家族との絆にもひびが入りました。
この状況に、ようやくDさんは専門家に相談を決意しますが、すでに手遅れになっていました。
「借金を滞納したらどうなる?借金滞納の結末について徹底解説します」でも解説をしましたが、債務の滞納が続くと、債権者から一括返済の請求や訴訟を提起される可能性があります。裁判で勝訴した場合、債権者はあなたの財産を差し押さえることができるのです。さらに、滞納期間が長くなるほど、延滞損害金が加算され、返済額が膨らんでいくでしょう。そして、判決が確定し強制執行に至れば、不動産や給与の一部、預貯金などの財産が差押えの対象となるのです。
こうなってしまうと、差し押さえて手続きを停止させる方法はほとんどなく、停止のためには、借金を完済するか、自己破産や個人再生といった法的整理の手続きを進める必要があります。
まさに、人生が終わったと言っても過言ではないような、どん底状態に陥るのです。
【事例⑤】犯罪や闇バイトに手を染めた人々
最後に、2025.2.12現在、債務者が起こした犯罪や闇バイトについてご紹介します。
まず、三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客の資産が盗まれた事件です。
容疑者の女性は「11年前に外国為替証拠金取引(FX取引)や競馬で700万円以上の損失を出し、民事再生手続きを受けた」と説明しています。同手続きの約1年後にFX取引を再開したとみられ、警視庁捜査2課は、再び多額の損失を出し、消費者金融の借金返済などのため貸金庫の金品を盗むようになった。(参照:時事通信「11年前に民事再生手続き 負債整理後、FX再開し損失拡大―三菱UFJ元行員窃盗・警視庁」)
容疑者の女性は、FXや競馬で多額の借金を作り、個人再生手続きをしていることから、異動情報のせいでどこからも借金が出来ない状態でした。にもかかわらず、借金やFX取引の損失の穴埋めのために顧客のお金を奪うという卑劣な犯罪に手を染めました。
次に、世間では「ルフィ強盗団広域強盗事件」として、大々的に報道されている事件をご紹介しましょう。
永田被告が犯した一連の強盗事件は、1人の尊い命を奪い、5人もの方が重傷を負うという悲惨な結果をもたらしたのです。
事件の発端は、永田被告の競艇へののめり込みにありました。賭けに勝った時の成功体験が忘れられず、総額780万円以上を費やしたといいます。しかし、「黒字にするまでやめられない」という思い込みから、抜け出すことができなかったのです。
そして、給料だけでは賭け事の資金が賄えなくなった永田被告は、消費者金融だけでなく、ヤミ金からも借金を重ねていきました。それでも競艇への欲求は収まらず、ついにはSNSで「闇バイト」を検索するに至ったのです。(0テレnews「人を傷つけるだけの人生なんてイヤでした」 闇バイト繰り返した“ルフィ事件”実行役リーダーが法廷で語った後悔【#司法記者の傍聴メモ】)
ここで注目すべきは、永田被告が消費者金融とヤミ金から借金を重ねていたという点です。近年流行している闇バイトの中には、債務者が多数含まれていると言われています。(参照:「闇バイト応募か「借金があり金が欲しかった」 大船質店強盗事件 回収役の男を逮捕」「借金抱え「勝負したかった」 闇バイト頻発の背景に誤った認識」「闇バイト なぜ手を染めるのか 元実行役が語る」)
上記の2つの事件からわかるように、借金を滞納し、返済から逃げ続けて、最後の最後にどうにもならなくなった債務者が行きつく先は、犯罪や闇バイトです。
共に、2025.2.12現在、判決が確定していませんが、無期懲役や相当長期の有期刑を受けることは間違いないでしょう。両名とも、刑期を終えて出所が許されたころには、人生も終盤に差し掛かった年齢になっています。
犯罪による収益は、損害賠償をしなければならないということも忘れてはならないでしょう。前者であれば60人以上が被害に遭い、被害総額は現金や金塊など合計17億円以上もの損失を出している可能性があり(CBCweb:「三菱UFJ銀行で貸金庫から窃盗。今後想定される展開は?」)、およそ一生かけても弁済はできないでしょう。後者も、死傷者が出ていることから、損害賠償は数億に達する可能性もあり得ます。
犯罪に手を染めて、5世先まで働いてもおよそ返しきれないであろう賠償金の支払いに追われる人生、これこそ、本当の意味で「人生が詰んだ状態」だと言えるのではないでしょうか。

最後に
債務整理が終われば借金問題は解決される
まず、債務整理手続きが終われば、借金問題は解決され、督促や借金の返済からは解放されることとなります。
長いこと借金を返すことに慣れてしまってる方に思い出してほしいのですが、借金がない頃、毎月の給与日が待ち遠しくて仕方なかったのではないでしょうか?
「何を買おう」「何をしよう」と計画を立てて、ワクワクしながら給与日を待っていたはずです。
それがいつからか、借金の返済に追われて、給与日は「借金返済のための原資をもらう日」と言った感じになってしまっていたのではないでしょうか?このようになってしまうと、給与日に感じるのは、ワクワクや嬉しさより、「今月も何とか借金が返せる」という胸をなでおろすような気持ちだったのではないでしょうか?
債務整理をして借金問題が解決すると、毎月のクレジットカードや消費者金融への支払に追われることもなく、督促の電話や通知におびえることもなくなります。
また、常にお金に困って、24時間いつでもどうやって借金を返すかばかりを考えているような生活を止められることで心の余裕が出てきますし、今まで無駄に取られるばかりだった利息や借金を返さなくてよくなることにより、経済的な豊かさを味わうことが出来るのです。
新たな借り入れやローンは組みずらくなるけれど
信用情報の影響に関しては、債務整理が終わった後に残るほぼ唯一の影響と言えます。
債務整理が終了してから一定の期間は、情報が残りますので、新たな借入やローンを組むことは困難になる場合があります。
しかし、考慮すべき点がいくつかあります。
まず、債務整理をすることで借金の残債がなくなるため、借入額に関する信用は回復します。
例えば、消費者金融や銀行などの貸金業者が審査する場合、「事故情報があるが借金のない人」と「事故情報がないが借金が多額に残っている人」のどちらがより安全に見えるでしょうか?借金があることは、貸し付け条件を悪化させる要因となる可能性があります。
さらに、債務整理後に、再度審査を通す理由についても、十分に考える必要があります。
過去に債務整理を行った人々の多くは、
「クレジットカードがないから不便だから」
「お金が無いから消費者金融から借りよう」
と気軽に思ってクレジットカードを作り、消費者金融や銀行から借り入れを行い、その結果借金を膨らませて、債務整理を行ったわけです。
再び借金を始めるリスクのある行為に審査を通すべきではありませんし、もしもそれが「昔来た道」と同じなら、なおさらです。
債務整理をしない方が問題は大きい
最後になりますが、「債務整理をすると、お金を借りられないから債務整理をしない」という考え方も存在します。
しかし、お金を借りないと生活が成り立たない状況は、家計が破綻していることを意味し、生活が安定していないことを示しています。
このような状況下で、借り入れをして一時的に繋ごうとすると、最終的には破綻する可能性が高いと言えます。
A社の借金を返すためにB社から借りて、A社から再び借りてB社に返す、というような悪循環に陥ることで、借金が膨れ上がってしまい、最終的には返済不能にもなり、首が回らなくなるという方は、非常に多いのです。
一般的に、収入の3割以上が借金返済に消える人や、借金が年収の半分を超える人は、破産するリスクが高いとされています。
もし、あなたがこのような状況にあるのであれば、債務整理をすることをためらわずに、将来に待ち受ける破滅的な結末を考えるべきです。
そして、その結末を避けたいのであれば、早めに行動することが重要です。