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債務整理中でもお金を借りられる?神金融の危険性を徹底解説します

信用情報に影響が出る債務整理中には、お金を借りることは難しいとされています。

しかし、一部では、審査基準を緩和することで債務整理中でも融資を行っている消費者金融業者が存在し、ネット上ではそのような消費者金融業者を「神金融」と呼んでい場合があります。

しかし、神金融との名前とは裏腹に、これらの貸付は、大手消費者金融と比べても高めの利息を課したり、法に抵触するリスクのある取り立てを行ったりする場合もあります

また、債務整理を失敗させる原因になるなど、手続き上のデメリットも存在するため、注意が必要です。

本記事では

  • いわゆる神金融の危険性
  • 債務整理中にお金を借りる際のデメリット
  • 債務整理中にお金がない場合の対処法

について解説します。

神金融とは何か

冒頭から何度か出てくる「神金融」。

これは、どのような消費者金融を指すのでしょうか。

神金融とは、口コミや広告サイトで

「審査が甘い」
「激甘審査」
「スーパーブラックでも融資可能」

といった評判があるとされる、中小の消費者金融のことを指すようです。

では、なぜブラックでも甘い審査で融資をしてもらえるのでしょうか。

それは、神金融と呼ばれている業者は、通常の消費者金融や銀行の基準とは異なる、独自の審査基準を設けており、銀行や大手消費者金融よりも簡単に審査に通過する可能性があるためです。

これだけ聞くと「ブラックになり、大手消費者金融や銀行から見捨てられた自分でも救ってくれる、神様のような業者だ」と思ってしまうかもしれません。

ですが、彼らも仕事ですから、決して慈善の気持ちでやっているわけではありません。

神金融と呼ばれる消費者金融の特徴

神金融と呼ばれる消費者金融の特徴として、中小の消費者金融であることが挙げられます。

神金融は審査が甘いというのは、少し実態と異なります。

審査が甘いのではなく、大手消費者金融と中小の消費者金融では審査システムに違いがあるということです。

大手消費者金融では、申込者が提供した情報を基にコンピュータが自動的にスコアリングを行います。このスコアリングは、大手消費者金融が保有する膨大な過去の個人情報データを元にしたものです。審査もプログラムや自動化されたシステムによってかなりの部分が行われるため、信用情報にわずかでも問題がある場合、審査が否決される可能性が高くなります。

例えば、以下のような大手消費者金融では借り入れが出来ない可能性が高いと言えます。

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一方で、中小消費者金融は比較的に柔軟な審査を行ってくれる場合があります。

専門のスタッフが個人信用情報機関での情報と申込書の内容を考慮し、来店の場合には利用者の人柄なども判断材料にします。

中小消費者金融の審査はより人間的な要素が組み込まれており、「なぜ借りる必要があるのか」「どのように返済計画を立てているのか」といった個人的な事情を説明する機会があります。

また、中小の消費者金融では、過去の金融事故情報よりも「現在の返済能力」を重視する傾向があります。

これにより、信用情報に少し難がある場合でも、個別の状況や返済能力を考慮して貸付を検討してくれる場合があります。

ただし、必ず融資の審査に通るわけではなく、断られるケースも多々あるようです。

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個人情報に難ありでも貸してくれる?

では、神金融ではどのような貸付けを行っているのでしょうか。

まず、信用情報に問題のある方や、所得の低い学生や主婦に対しても、貸付を行っている会社があります。

また、10万円程度の少額の融資が多いというのも特徴です。これは、既に信用情報に影響が出ていることや、返済期間内に完済することが合理的に見込まれない貸付け、つまり、「返済能力を超える貸付け」は禁止されており、高額の貸し付けは難しいという理由もあると思われます。(貸金業法第13条の2(e-GOV法令検索より引用)、日本貸金業協会「お借入れは年収の3分の1までです」より)

信用情報に問題のある方や、所得の低い学生や主婦に対しての貸付に関しても、返済が見込めるのであれば、法令に違反するようなことではありません。ただし、過剰貸付による多重債務状態に陥る可能性が非常に高く、借りたはいいものの返済に苦しむ人は非常に多いのです。

債務整理中に神金融からお金を借りてはいけない?3つのデメリット

ここまでは、神金融とは何か、また、その貸し付けの特徴について解説をしてきました。

もっとも、神金融に頼る人と言うのは、逆に言うと「大手消費者金融や銀行から相手にされなかった人」とも言えます。

既に大手の審査に落ちている人に貸し付けをするのですから、リスクは承知でしょう。

ですから、リスクを上回る利益を得るために、大手消費者金融よりさらに金利が高いということもあるようです。

デメリット① 限度額が低めで金利が高い

中小消費者金融は、大手金融機関と比べてみると融資枠が比較的低く、10万円程度の少額融資であることが多くあります。

これは、大手消費者金融と比べて規模や資金力が限られているためとも言われています。

また、利息制限法では、融資金額や返済期間に応じて利息の上限が設けられており、これを超える利息を取ることはできません。

ただ、中小消費者金融の中には、利息制限法で定められた上限ぎりぎりの利息を取るという会社もかなり多いです。

例えば、融資額が10万円未満の場合、法定の上限利息は20%です。中小消費者金融の場合は、この上限のギリギリまで金利を引き上げることもあり、利息が高くなる傾向があります。

このような少額融資の場合、貸し借りを繰り返すことでずっと最高の利息を取られ続けるということも多くあります。

デメリット② 法令に抵触するリスクのある貸付けを行う

中小の消費者金融では、信用情報に問題のある人のみならず、生活保護の受給者や債務整理中の人、収入のない人にまで貸し付けを行っているケースさえ見受けられます。

まず、生活保護を受給している人に対しても、貸付を行っている場合があるようです。

一般的な金融業者が生活保護の受給者に対して貸付を行わないのは、生活保護費から借金の返済を行うことは法的に問題があり、生活保護の受給者が借金をしていることが訪問調査などで発覚すると、保護費の減額措置が取られる可能性があるためです。

しかし、生活保護は毎月決まった日にお金が入ってくることから、回収のめどが立ちやすいため、神金融のターゲットにされてしまうこともあるようです。

また、債務整理中(特に、自己破産や個人再生といった法的整理の場合)に新規の借り入れを行うのは当然問題です。

特に、他の会社に優先してこれを返済する行為は偏頗弁済に当たる可能性があり、破産法で免責不許可事由に該当しえる行為です(破産法第252条第1項第3号 e-GOV法令検索より)。

ですが、神金融では「こっそりと返してくれたらバレない。」と案内して、回収を行っているケースもあると聞きます。

さらに、総量規制に抵触するリスクのある貸付をも行っているという点には十分に注意が必要でしょう。

貸金業法においては、年収の3分の1以上の融資を貸金業者から受けることができないことを定めた、総量規制というものがありますが、神金融ではこの規制ギリギリまで貸しているケースもあります。

収入がない人の場合、そもそも借り入れができないはずですが、これに貸し付けを行っているというというのも、問題がありそうです。

このように、法令に抵触するリスクがある貸し付けを行っているのが、いわゆる神金融なのです。

デメリット③ 親切そうに見えるが任意交渉には厳しい

中小の消費者金融は、独自審査を謳い、簡単に融資をしてくれるケースは多いです。

ただ、これはあくまで借りるときの話であり、返すときには非常に厳しい対応になることも珍しくありません。

例えば、中小規模の貸金業者の場合、任意整理に応じてくれないケースが多いです。

これは大手企業とは異なる特徴です。

任意整理とは、債務整理の一種で、利息や元金をカットして、返済計画を立てるように交渉を行う手続きになります。

大手の消費者金融では、利息のカットや返済条件の変更など、任意整理に柔軟に応じる方針を採ることも多いのですが、中小規模の消費者金融の場合には、任意整理に対して消極的な姿勢を取る会社も存在します。

特に利息のカットを行わず、早期に裁判を起こすという手段に出ることもあります。

また、交渉に応じてくれたとしても、交渉内容が非常に厳しく、普通に返済しているのと変わらないような条件でしか、和解をしてくれないケースも散見します。

債務整理中にお金を借りてはいけない理由とリスクの詳細について等については、以下の記事で詳しく解説しています。

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債務整理中の借入は、債務整理に悪影響しかない!

しかし、デメリットはこれだけにとどまりません。

結論をいうと,債務整理中の神金融からの借入は、債務整理の手続きに悪影響しかありません。

詳しくは下記の通りとなります。

弁護士との関係が悪化して委任関係が解消される

債務整理中にお金を借りることのリスクの1つ目は、債務整理を依頼した弁護士や司法書士が、委任関係を終了し、辞任してしまうことです。

債務整理とは、借金を整理して、返済計画を立てたり、裁判所の許可を求めたりといった手続きになります。

新たな借り入れにより、毎月の返済額を増加しての返済計画が立てられなくなったり、裁判所が破産や個人再生の許可をしてくれなかったりということはあり得ます。

そのため、債務整理中の借り入れが発覚した場合、債務整理を依頼されている弁護士、司法書士としては、委任関係を続けることができなくなり、債務整理の手続きを継続できないということにもなってしまいます。

弁護士や司法書士は、依頼者を信頼し、協力して債務整理を進めていかなければゆかなければなりません。

なのに、依頼者が自ら手続きを失敗させるような行為(借入)をしていたら、責任が取れません。

ですから、契約を解除して、委任関係を解消してしまうのです。

手続き期間中に借り入れを行うことは、債権者や代理人である弁護士、司法書士の信用を失いかねない行為です。

決して借入はしないでください。

さらに借金を増やすことになり返済が厳しくなる

債務整理中に新たに借り入れをすると、生活が一層苦しくなる可能性があります。

債務整理を行う場合、各社への返済計画に基づき支払いを続けていくことになりますが、新たな借金をしてしまうと、月々の返済額が増えることになります。

また、返済期間が延びたり、返済計画が破綻したりする可能性もあります。

その結果、生活費や他の債務の返済に余裕がなくなり、結果的に生活が困難になることは目に見えています。

さらに、新たな借金によって借金が増えると、負の連鎖に陥ってしまう可能性もあります。

既に債務整理中の借金の返済が困難なのに、元本と利息の返済が増えることで、更なる負債を抱えることになります。

これにより、将来的な返済がますます困難になり、生活が厳しくなる可能性があります。

自己破産や個人再生ができなくなる

さきほど、新規借り入れは債務整理の失敗につながるということを言いましたが、詳しく見ていきましょう。

自己破産の場合、裁判所から「この人は借金を支払う能力がない」と認めてもらったうえで、「財産は処分終わったので、残りのお金は免除してあげますよ。」と認めてもらう必要があります。

これを、免責許可と言います。

破産法252条では、免責不許可事由が列挙されています。

これは、「手続き中や手続きの前後に、一定の行為をしている人には免責を認めない」という事柄を並べた条文です。

そして、破産的続き中の借り入れは、この免責不許可事由に当たり得る行為となります。

自己破産を申し立てる前の1年間から手続き開始までの期間に、借金がないように振る舞ってお金を借りると、裁判所から免責が認められないリスクが高まります。

一方、個人再生の場合には、このような免責不許可事由はありません。

だからと言って、手続き中に新規の借入をしていいわけでは当然ありません。

個人再生の手続きには、債権者による計画案の決議が行われるためです。

ここで、過半数の債権者が反対をする、または反対した人の貸している金額の合計が借金の総額の半分を超えている場合は、再生計画は認められないこととなります。

あなたが債務整理中の誰かにお金を貸している立場になったとして考えてください。

これから個人再生を行うとわかっているのにお金を借りておいて、借金を減らしてくださいというのは虫が良すぎるとは思いませんか。

その人の再生計画に、賛成し、自らの回収可能額を減らすことにメリットは感じるでしょうか。

このように、債務整理中の新たな借り入れは、手続きの失敗リスクを伴います。

債務整理中に借入をしてもバレなかったら大丈夫?

では、債務整理中に借入をしてもバレなかったら大丈夫なのでしょうか。

これについては、裁判所を通さない任意整理や特定調停であれば、可能かもしれません。

裁判所を通す手続きと比べて、債務整理をする相手を選べる、簡易で柔軟な手続き上でバレることが少ないためです。

実際、任意整理の場合であっても、借入先の会社のヒアリングは行いますが、相談者が

「借入先の会社がもう1社あったのに、残債務が少額だから伝え忘れてた。」
「家族からの借金は言わなくていいと思ってた。」

ということも、しばしばあります。
(このケースの場合、故意に隠しているわけではないことに注意してください。)

ただし、債務整理中に新たな借り入れをするほど生活状況が悪いということは、費用の支払いが滞りがちになることも多いです。

そのため、減額や支払延期などのリスケを繰り返しているうちに、実は借り入れをしていたことが発覚してしまうということも多いのが実情です。

また、自己破産や個人再生の場合は、すべての債権者を平等に取り扱わなければならず、債務整理をする相手を選ぶことができません。

そのため、(そもそも、手続き中に新規借り入れはしてはいけないのですが)借入先が増えた場合は、速やかに裁判所や債務整理を依頼している弁護士、司法書士に報告しなければなりません。

仮に、新規の借り入れをしていることがバレるのが嫌でわざと報告を怠ったり、業者に「うちだけは債務整理の対象にしないで」と頼まれたために債権者隠しをしたりした、ということになると、破産法上の免責不許可事由に当たり得る行為です。

また、個人再生の場合も不認可となる可能性があるでしょう、

このように、新規の借り入れは、バレたときのリスクは非常に大きいため、バレなければ大丈夫という気持ちで借り入れをするのは絶対にしてはいけません。

そもそもですが、バレたくないと思うのは、心のどこかで後ろめたく、「悪いことをしている」と自覚があるためではないでしょうか。

悪いことはしてはいけません。

悪いことをすれば、相応のペナルティがあるということを自覚してください。

 

まとめ

・神金融とは、独自な審査基準を持つ中小の消費者金融で、債務整理中でも貸してくれるとネットやSNS上の口コミで評判になっているように装っている。

・しかし、その実態は高金利で、法令に抵触している可能性もあるような貸し付けを行っている。

また、債務整理には消極的で、和解交渉に応じない、応じても条件が非常に悪いことも多い。

・神金融はもちろん、それ以外の借り入れ方法もリスクが大きい。

気づいたら、闇金の食い物にされているリスクや、質屋に身ぐるみを剝がされるおそれもある。

・債務整理中にお金を借り入れると、弁護士や司法書士が契約を解除する可能性や、債務整理手続きが失敗してしまうリスクが高まるため、そもそも、債務整理中にはお金を借りてはいけない。

そもそも債務整理中に借入できるのは神金融ではない

ここまで、債務整理中に神金融からお金を借りることのリスクや、それ以上に手を出してはいけない業者などを解説してきました。

債務整理中は、信用情報に問題があるのですから、そのような人にお金を貸してくれるのは、優しく人情にあふれた業者と勘違いしてしまうかもしれません。

しかし、金融業者はあくまで、慈善事業ではなく、仕事として貸しているのです。

利息や担保を取ることで利益を出すために、貸付を行っているのです。

もしも本当にあなたのことを思うのならば、債務整理をしている状況でお金を貸してはいけないのです。

なのに、神金融と呼ばれる業者は、お金を貸すことによって、債務整理に悪影響を及ぼしても、その後にどれだけ生活が苦しくなろうとも、業者側に利益さえ出れば、借入主がその後にどうなろうが関心はありません。

このような業者を神金融と言えるでしょうか。

考え方はそれぞれですが、私はそうは思いません。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る