債務整理

債務整理をするべき状況は?3つの判断基準と注意点

債務整理すべき

借金の返済に悩んでいる場合、債務整理を検討することが解決策となる可能性があります。

しかし、どのような状況で債務整理をするべきなのでしょうか。

逆に債務整理をするべきではない時とは、どのようなものなのでしょうか。

また、債務整理をするとどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは

  • 債務整理をするべきかどうかの判断基準
  • 債務整理をするべきでないケース
  • 債務整理のメリット

について詳しく解説します。

借金問題で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

債務整理をすべきかどうかの判断基準

債務整理をするべきかどうかの判断には、以下のような要素が考慮されます。

支払いを滞納し一括請求が来ている場合

借金の返済が数ヶ月滞納されると、金融機関や貸金業者などの債権者から残債を一括請求されることがあります。

一括請求は、債権者が債務者からの返済を促す手段の一つです。

債務者が返済義務を果たしていないと判断された場合に発動されます。

一括請求が行われるのは、一定期間の滞納により「期限の利益」が債務者にとって喪失されるためです。

期限の利益が失われると、債権者は一括返済を要求する権利を持つことになります。

一括請求が行われると、債権者は一般的に個人の分割交渉に応じにくくなります。

また、債務者が返済を怠り続けると、債権者に訴訟を起こされる可能性があります。

さらに無視した場合には財産の差押えなどの法的手続きが行われる可能性があります。

一括請求された残債を返済する見込みがない場合は、債務整理をすることが適切です。

毎月の支払い期日を守れず、遅れが生じたり自転車操業になっている場合

毎月の支払い期日を守れず、支払いが遅れたり、生活が手探り状態になっている場合や、

借金返済に追われて何とかやりくりしている状況でも、債務整理をするべきでしょう。

支払いが期日までに滞っている状況が続いている場合、債務整理を実施することで、

複数の債権者からの支払いを一本化し、月々の返済額を減らせる場合があります。

また、ぎりぎりの生活が続いていると、急な出費に対応できず、いつ一括請求になってもおかしくありません。

また、自転車操業の状態にある場合も、債務整理を検討することが推奨されます

自転車操業とは、借金の返済に借金を重ねていく状況のことを指します。

例えば、クレジットカードの支払いをキャッシングで行ったり、住宅ローンの返済額を消費者金融から借り入れて支払ったりする状況を指します。

自転車操業をしていると、何となく返済が出来ているような感じはしてしまいます。

ですが、これらは問題を先送りにしているだけで、解決には至りません。

むしろ、借金がじわじわと増えている場合さえあります。

債務整理を通じて、早期に借金問題から抜け出すことを目指しましょう。

借入れの総額が年収の3分の1を超えている場合

過度な借入れから消費者を保護するために、総量規制という法律が設けられています。

この規制は、個人の年収を基準にして、その3分の1を超える貸付けを原則的に禁止しています。

具体的には、年収300万円の場合、借入額は最大で100万円までに制限されます。

年収の3分の1以上に相当する借金は、返済がかなり難しい可能性があります。

また、過度な返済によって家計が困窮し、生活の質が大幅に低下するおそれがあります。

そのため、このような状況では債務整理を検討することが適切です。

債務整理を通じて、借金の整理や返済計画の見直しが可能になります。

これにより、借金問題に効果的に対処し、生活の質を改善することができます。

返済してもなかなか減らず、むしろ増えていく場合

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返済を続けても、借金がなかなか減らず、むしろ増えている……

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きちんと返済しているのに元金が減らない

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利息の支払い額が借金額と同じくらい高い

と感じる方も多いかもしれません。

借金の元金が減らない理由は、毎月の返済額の多くが利息に充てられているからです。

元金を減らすには、「返済額を増やす」ことが最も有効な方法です。

しかし、これが容易なことではないのも事実です。

また、元金がほとんど減っていない状況で新たな借入れを繰り返すと、返済が終わる見込みがますます遠のき、深刻な状況に陥る可能性があります。

ですので、このような状況になったのなら、債務整理をするべきと言えるでしょう。

長期的な破綻を避けるために、早期の行動が重要になります。

病気などで休職し、収入を得る方法がない場合

病気や失業などの不可抗力によって収入を得る手段が途絶えた場合でも、債権者からの督促は止まりません。

しかし、債務整理をすることで、借金の返済プランを現在の状況に適した状態にできます。

このような状況下では債務整理を行うことで、精神的な負担を軽減し、病気の治療や就職活動に集中することができます。

さらに、弁護士や司法書士との相談を通じ、将来に向けた計画を立てることも可能です。

これにより、不確実な状況に対処するための準備を進めることができます。

債務整理は、精神的な負担を軽減し、将来への不安を和らげる手段として推奨されます。

自身の状況に合わせて適切な方法を選択し、安心して前に進むための一歩と考えられます。

債務整理すべきではないのはどんなとき?

ここまでは、債務整理をするべきケースをご紹介してきました。

債務整理をするべきケース
  • 支払いを滞納し一括請求が来ている場合
  • 毎月の支払い期日を守れず遅れが生じたり自転車操業になっている場合
  • 借入れの総額が年収の3分の1を超えている場合
  • 返済してもなかなか減らず、むしろ増えていく場合
  • 病気などで休職し、収入を得る方法がない場合

一方で、債務整理が適切ではないケースもあり得ます。

例えば、収入に余裕がある場合には自力で返済をしてもいいでしょう。

また、直近でローンを組む予定がある人も、債務整理は控えるべきです。

一方で、債務整理を行おうとしてもできない場合としては、収入が足りないケースです。

このような場合、カードや借り入れがないと生活が破綻することもあります。

また、借入れの理由に問題がある場合などは、行えない手続きもあります。

以下で詳しく解説します。

収入に余裕がある場合

第一に、収入に余裕があるケースが考えられます。

この場合は、自力で返済をすることを考えてもいいでしょう。

特に、借金が少額であれば、数か月の我慢でなんとかなるかもしれません。

ただし、長期的に考えた際には債務整理をした方がいいということもあります。

車などのローンを組む予定がある場合

直近でローンを組む予定がある方にも、債務整理はおすすめできません。

債務整理をする、信用情報機関に事故情報が登録されます。

一般的にはブラックリストと呼ばれる状態なってしまうのです。

このブラックリストへの登録期間中は、新たなクレジットカードの取得やローンの新規契約が制限される場合があります。

したがって、将来的に高額な商品をローンで購入する予定がある場合、債務整理を行うかどうかを慎重に検討することが不可欠です。

現在の債務整理のメリットと将来の影響を総合的に考慮し、慎重な判断をすることが肝要です。

生活の安定と将来の資産形成の両方を考えた決断をすることが重要です。

カードがないと現状の生活が厳しい場合

失業などで現在の生活に困窮しており、生活費をまかなうためにクレジットカードが必要な場合も、ただちに債務整理を行うべきではありません。

仕事を再開すれば返済が可能な見込みがある場合、クレジットカードを利用することも一つの選択肢です。

ただし、この状況は一時的な応急処置に過ぎません。

時間の経過とともにより深刻な状況になる可能性があります。

そのため、長期間にわたって再就職が見込めない場合などは、国の支援を受けることを検討すべきです。

失業手当や生活保護などの支援制度を活用し、生活の安定を図ることができます。

重要なのは、状況に応じて適切な対応をすることです。

一時的な問題に対して長期的な解決策を模索し、自らや家族の将来を見据えた判断を行うことが重要です。

職業制限や借入れ理由による制限

債務整理の中でも自己破産を検討している場合、一定期間、特定の職業に就くことが制限されることをご存知でしょうか?

この制度は自己破産による「職業制限」または「資格制限」として知られています。

この制度の特徴は、法律や金融、警備などの一部の職種に対して制限が適用されることです。

つまり、弁護士や税理士といった士業だけでなく、金融業や警備業なども対象となります。

一度職業制限の対象となった場合、免責許可が下りるまでの一定期間、特定の職業に就くことができません。

そのため、転職を考えていない場合は専門家とよく相談をしてください。

また、自己破産を行う際には、借金の理由によっては免責が認められないこともあります。

たとえば、詐欺や過度なギャンブルによる借金などはその一例です。

したがって、自己破産を検討する際には、十分な注意が必要です。

債務整理メリット

債務整理をするべきではないケース
  • 収入に余裕がある場合
  • 車などのローンを組む予定がある場合
  • カードがないと現状の生活が厳しい場合
  • 職業制限や借入れ理由による制限

ここまでは、債務整理をするべきではないケースについて考えてきました。

ですが、債務整理には、多くのメリットがあります。

具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

借金を減額したり完済したりできる

債務整理の最も大きなメリットは、借金を減らしたり完全に無くしたりできる点です。

債務整理手続きを行うことで、借金返済の完全な免除や減額、利息のカット、分割返済の場合でも元金に充てることが可能になり、負担を軽減できます。

これにより、借金の返済によって生活が苦しくなることがなくなり、精神的な安定を取り戻すことができます。

借金が整理されることで、新たなスタートを切ることができるため、将来的に再び健全な財産を築くことが可能となります。

自己破産には、お金の面だけでなく精神的な面でもポジティブな影響があり、借金問題から解放されることで、人生の質を向上させることができます。

将来に向けて計画性のある返済計画が立てられる

専門家に債務整理の相談をすることで、将来に向けて計画性のある返済計画が立てられます。

専門家は個々の状況を丁寧に分析し、収入や支出、借金の残高などを考慮して最適な解決策を提案します。

彼らは債権者との交渉を行い、返済額の減額や利息の引き下げなどの取り決めを導き出します。

さらに、返済計画を立案し、将来の支出や収入の見通しを考慮に入れます。

専門家はまた、個々のニーズや状況に合わせたアドバイスや支援も提供します。

その結果、計画的な返済が可能となり、将来の財務状況が安定することが期待されます。

専門家のアドバイスを受けることで、借金問題に対する将来の生活不安やストレスも軽減され、より前向きな未来を見据えることができます。

精神的負担を軽減できる

債務整理を行うことで、精神的負担を軽減できます。

借金問題は多くの人にとって深刻なストレスや不安を引き起こすものですが、債務整理を通じてその負担を軽減することが可能です。

まず、債務整理によって借金が整理されることで、返済のためのプレッシャーやストレスが軽減されます。

返済の期限や金額に頭を悩ませる必要がなくなり、精神的に安定した状態を取り戻すことができます。

また、債務整理を行うことで借金の取立てや督促が停止されるため、ストレスの原因が一時的に解消されます。

さらに、専門家のアドバイスやサポートを受けることで、借金問題に対する不安や心配を共有し、解決策を見つけるための道筋が明確になります。

これにより、借金問題に対するマイナスの感情やストレスが軽減され、精神的な負担が和らぐことが期待されます。

債務整理はあくまでもやり直すための手段です。

迷っている場合は、お早めに決断することで、残りの人生を明るくできます。

まとめ

債務整理をすべきかどうかは、支払いの滞納状況、借入れ総額と年収の割合、返済状況、収入の有無などを総合的に判断する必要があります。

一括請求が来ていたり、借入れ総額が年収の3分の1を超えていたり、返済しても借金が増えていく状況では、債務整理を検討することが適切でしょう。

一方で、借金が少なく返済可能な場合や、将来のローン予定、現状の生活維持のためにカードが必要な場合などは、債務整理をしない方がよいケースもあります。

また、職業制限や借入れ理由によっては、債務整理ができない場合もあるため注意が必要です。

債務整理のメリットとしては、借金を減額や完済できること、将来に向けた計画的な返済が可能になること、精神的負担が軽減されることなどが挙げられます。

借金問題で悩んでいる場合は、早めに専門家に相談し、自分に合った債務整理の方法を検討することが重要です。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る