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債務整理

債務整理相談は司法書士にもできる?弁護士との違いは?

債務整理を相談する窓口には、弁護士事務所がまずは思いつきますが、司法書士事務所に相談することも可能です。

どちらも債務整理手続きを代理できる有資格者ですが、違いはどこにあるのでしょうか?

この記事では、債務整理相談は司法書士にも出来ることとその理由や、弁護士に相談する場合との違い、どちらに相談するのがよいかについて詳しく解説していきます。

債務整理相談は司法書士にもできる?

債務整理は司法書士にも相談可能

そもそも、司法書士は債務整理を行うことが出来るのでしょうか。

これについては、法務省のHP(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji115.html)に以下のように記載されています。

司法書士の業務中略(4)簡裁訴訟代理等関係業務を行うこと。(簡裁訴訟代理等関係業務とは,簡易裁判所における訴訟手続,支払督促手続,民事保全手続,民事調停手続等であって,簡易裁判所の事物管轄に属する事件について代理することをいう。) (4)の事務に関して,相談に応じること等も,業務に含まれる。(4)の業務については,簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると法務大臣が認定した司法書士に限り,行うことができる。

簡単に言うと「簡易裁判所で裁判が行われる案件については、司法書士の業務である」ということです。

そして、債務整理も140万円以下の借金の問題に関しては、簡易裁判所が取り扱う案件です。

そのため、司法書士は、債務整理の相談に応じることが出来ます。

また、借金が1社につき140万円以上の借金の問題に関しても、相談に応じることはできます。

あくまで、借金140万円の問題についての訴訟手続や訴外での交渉などが出来ないだけであって、相談を受けること自体は行われていることです。

相談だけではなく手続きを依頼することも問題なし

上記の通り、司法書士には簡裁訴訟の代理業務やそれに関連する業務を行う権限があるため、債務整理に関する相談に応じるだけでなく、債務整理手続きを依頼することも問題ありません。

この点について、「簡易裁判所で扱う案件でないと依頼できないということは、貸金業者に訴えられてからしか依頼できないの?」という誤解をされる方がおられるかもしれません。

簡易裁判所で扱う案件というのは、あくまで金額の話であり、事前に司法書士に依頼することも当然可能です。

司法書士は訴訟上および訴訟外の交渉において依頼者を代理し、相手方と合意を形成させることも可能であることから、訴訟が開始される前に司法書士を代理人とすることは全く問題ないのです。

債務整理相談を弁護士と司法書士にする場合の違いとは?

ここまでのまとめ💡

・司法書士に認められた業務は「簡裁訴訟代理等関係業務」であり、簡易裁判所で取り扱われる事件については、司法書士が代理をすることが出来る

・債務整理でも、1社につき140万円以下の借金の問題であれば、司法書士に相談、依頼が可能である

では、債務整理の相談を、弁護士と司法書士にする場合、何か違いがあるのでしょうか。

これについては「相談の段階ではほとんど違いはない」と言えます。

また、140万円以上の借金のある会社についても、自己破産や個人再生の書面作成を請け負うことが出来ます。

ですから、「140万円以上の借金がある場合は、弁護士にしか相談が出来ない」ということもないのです。

司法書士が依頼を受けられるのは借入額が1社あたり140万円以下の案件のみ

まず、一番大きな違いは、弁護士と司法書士で取り扱える借金の金額が違うということです。

司法書士は上記の通り、簡易裁判所で扱う案件に関して、訴訟の代理やそれに関連する業務を行えます。

そして、簡易裁判所で取り扱うことのできる金額は、1社から借りた金額140万円までの案件となります。

つまり、借金の額が1社140万円を越えている場合は、簡易裁判所で取り扱える案件ではなくなるため、司法書士が依頼を受けることが出来なくなってしまうのです。

一方で、弁護士にはこのような制約はありません。そのため、1社の借り入れが200万円でも1000万円でも、問題なく依頼を受けることができるということです。

なお、債務整理を行う債務者は、複数の会社からの借り入れをしていることが多いです。

例1

借入先債務額
A社(消費者金融)100万円
B社(クレジットカード)80万円
C社(銀行カードローン)50万円
計3社計230万円

このような場合、合計金額が230万円ですが、1社につき140万円を越えている会社はありませんから、全社を司法書士に依頼をできます。

例2

借入先債務額
A社(銀行おまとめローン)150万円
B社(クレジットカード)120万円
C社(消費者金融)80万円
計3社計350万円

また、上記のようなケースでは、A社の借金は140万円を越えているため、依頼を受けることはできませんが、B,C社に関しては、金額が140万円を越えていないため、司法書士に依頼することが可能です。

さらに、司法書士には裁判所に提出する書類の作成が法律で認められているため、140万円以上の借金のある会社があっても、個人再生や自己破産は相談や依頼が可能です。

自己破産や個人再生の場合、司法書士は裁判所に出廷はしない

また、自己破産や個人再生の対応についても、違いがあります。

自己破産や個人再生は地方裁判所が行う手続きのため、簡易裁判所での代理業務が業務範囲である司法書士が、債務者の代理人として地方裁判所に出廷したり、債務者に代わって裁判所とのやりとりをすることはできません。

一方、弁護士を代理人とした場合、地方裁判所で行われる手続きを代理することもできますから、自己破産や個人再生の手続中に、裁判所対応などを行ってくれるほか、出廷が必要な場合は、代理人が代わりに出廷してくれます。

ただし、ここにはいくつかの注意が必要です。

まず、自己破産や個人再生を司法書士が取り扱えないのかというと、そういうわけではありません。

再度、法務省のHPで記載されている「司法書士の業務」を見てみましょう。

司法書士の業務中略(2)裁判所,検察庁又は(地方)法務局に提出する書類を作成すること。(裁判所に提出する書類とは訴状や準備書面を指し,検察庁に提出する書類とは告訴状等を指し,法務局・地方法務局に提出する書類とは,登記申請書のほか,登記原因証書となる売買契約書等をいう。)

要するに、司法書士であっても、自己破産や個人再生の申立書を地方裁判所に提出することはできます。

そして、司法書士は単に書類を作成するだけでなく、申し立て後の、裁判所とのやり取り、補正指示への対応、返済の管理など、書類作成以外の様々なサポートを提供します。

「書類を作成したら終了で、それ以降は関与しない」というスタンスではありません。

確かに、弁護士は必要に応じて裁判所対応を行うことができますし、自己破産や個人再生の手続きが進行中に出廷が必要な場合、債務者の代わりに出席してくれます。

ただし、これは多くの場合、1~2回程度であり、頻繁な出廷が必要なわけではありません。

加えて、自己破産の場合、債務者と裁判官の面接が行われますが、これには本人が出席しなければなりません。

つまり、最低1回は本人が出廷しなければならないことを意味します。

さらに、出廷が必要なのは初回の面接だけで、それ以降は出廷が必要ないままに手続きが終了することもあるため、代理人が出席するケースはあまり一般的ではありません。

したがって、弁護士と司法書士の違いは、実際の対応において大きな差があるわけではないと言えます。

債務者が手続きを主導し、自身で申し立てるか、弁護士の名義で申し立てるかといった、形式的な違いがあるものの、具体的なサポートにおいて大きな違いはないと考えられます。

費用は司法書士の方が安め

債務整理を考える際に、最も気に鳴るのが費用の面です。

この点については、弁護士と司法書士の費用は大きな差があるわけではありません。

手続き別の費用の相場

任意整理1社あたり5~15万円程度
個人再生50~100万円程度(別途 申立費用等)
自己破産40〜100万円程度(別途 申立費用等)

ただ、個人再生や自己破産の手続きを行う場合は、司法書士の方は代理人となれない関係からか、一般的には弁護士が設定する費用より、多少安めの金額を設定しているケースが多いように思われます。

とはいえ、司法書士に依頼するからといって大幅に費用が安く済むということはありません。

債務整理相談は弁護士と司法書士のどちらに相談するべき?

債務整理の相談は、弁護士にするべきなのか、司法書士に頼むべきなのかについて解説します。

自分のスケジュールや都合に応じて決めればOK

債務整理の相談は、弁護士や司法書士のどちらにもできます。

自分の都合に合わせて相談できる場所を選ぶことが大切です。

特に、債務整理に特化していない弁護士や司法書士の事務所は、夜遅くや週末に対応できないことがあります。

時間的制約により相談ができないと、借金の問題が悪化し、債権者からの圧力や法的措置のリスクが高まるかもしれません。

そのため、18時以降でも相談できる事務所や、土日祝日にも対応している事務所を探すのと同時に、電話やウェブを利用した相談が可能な事務所を見つけることが大切です。

最初に自分の都合に合わせた相談場所を選び、相談を始めることをおすすめします。

弁護士と司法書士のどちらに相談しても大きな差はない

実際には、弁護士と司法書士の大きな違いは、扱える借金の金額と一部の裁判所手続きにおけるやり方に過ぎません。

債務整理の手続き自体は、弁護士と司法書士によって大幅に異なることは滅多にありません。

「弁護士に頼めば大幅な借金の減額が可能で、司法書士ではできない」ということはありませんし、「司法書士だけが特別な手続きを行えるが、弁護士ではできない」ということもありません。

そのため、前述の通り、まずは自分の都合やスケジュールに合った相談がしやすい事務所を選び、それが最も効果的な方法であると言えます。

借金140万円を越えた会社のみを任意整理したい場合は弁護士に相談する

もっとも、借金が1社あたり140万円以上の場合、これは法律上、司法書士に許された業務の範囲を超えるため、司法書士はその案件を処理できないことがあります。

そのため、借金が140万円以上あるならば、最初に弁護士に相談をする方が良いことが多いかもしれません。

ただし、いくつか注意するべきポイントがあります。

前述のとおり、司法書士には裁判所に提出する書類の作成が法律で認められているため、140万円以上の借金のある会社についても、個人再生や自己破産は相談や依頼が可能です。

したがって、「絶対に自己破産や個人再生はしたくない」「任意整理で借金問題を解決したい」という明確な希望がある場合は、頼れる先は弁護士だけになってしまいますが、「自己破産したい」「個人再生を希望している」という場合は、司法書士に相談し手続きを依頼しても問題がないということです。

また、司法書士が弁護士事務所と付き合いがあることもあり、140万円を超える案件の場合、法律事務所を紹介してくれることもあります。

そのため、借金の金額が大きいからといって、必ずしも弁護士事務所以外では相談できないわけではありません。

司法書士事務所で相談をしてみることも、一つの選択肢として検討する価値があります。

まとめ

債務整理相談は司法書士が行うことも可能です。

また、司法書士は相談だけでなく、手続きを依頼することも問題ありません。

ただし、弁護士と司法書士による債務整理相談において、いくつかの違いが存在します。

まず、司法書士が受任できる案件は、借入金額が1社あたり140万円以下の場合に限られます。

1社あたりの金額が140万円を越えた案件については、弁護士の協力が必要となります。

自己破産や個人再生の場合、司法書士は債務者の代理人として裁判所への出廷が出来ません。

一方、弁護士は債務者の代理人として裁判所からの連絡に対応したり、債務者の代わりに代理人として出廷が可能であり、対応に差が生じます。

費用については、弁護士と司法書士の間に大きな差はありません。

債務整理相談の相手方として、弁護士または司法書士のいずれを選ぶかについては、自身の都合やスケジュールに合わせて検討すべきです。

ただし、借金が1社あたり140万円を超えており、任意整理を行うことを考えている場合には、弁護士への相談が適していることがあります。

一方で、自己破産や個人再生を検討しているのであれば、司法書士であっても相談、依頼が可能です。

そのため、個別のケースによって最適な選択が異なりますが、司法書士に相談を行うことも、決して無駄ではありません。