借金の返済を長い間していないと、「もう時効だから大丈夫」と思っていませんか?確かに、借金にも消滅時効という制度があり、一定期間が経過すると債務が消滅する可能性があります。
しかし、時効が成立するには厳密な条件があり、時効の援用という手続きを踏まなければなりません。また、うっかり債務を認めてしまうと、時効の利益を受けられなくなってしまうこともあるのです。
時効援用にはメリットもありますが、リスクも伴います。専門家に相談しながら、慎重に対応することが大切です。この記事では、消滅時効の条件や時効援用の方法、注意点などを詳しく解説します。借金問題でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
借金にも時効がある?「消滅時効」とは?
「消滅時効」とは?
「時効」と聞くと、刑事事件で時間が経っても解決せず、迷宮入りして自動的に無効になるようなイメージがありますかもしれません。
実は借金にも「時効」があるのです。
では、そもそも、借金の時効とは、どのようなものなのでしょうか?
「消滅時効」とは、一定の期間、債権者が債務者に対し、借金回収の権利を行使せず経過した場合に、その回収権利を消滅させるものです。(債権等の消滅時効 民法第166条)また、時効の効力は、その起算日にさかのぼると定められており、借金を借りたという効力が、借りた当初にさかのぼって消滅することとなります。((時効の効力)民法第144条)
時効援用のメリット
時効援用の最も大きなメリットは、借金の返済義務がなくなることです。
時効が成立すると、借金の返済義務が消失し、それに伴い債権者からの取り立ても完全に停止します。これにより、毎日のように続いていた支払いのプレッシャーから解放されることができます。
また、時効援用は、自己破産など他の債務整理とは異なり、財産を失うことなく手続きを進めることができます。
自己破産の場合は財産を処分する必要がありますが、時効援用は単に時効の成立を主張するだけの手続きなので、自宅や貯金など自分の財産をそのまま保持できます。この点が、時効援用の大きな魅力となっています。
時効援用の手続きは非常にシンプルで、債権者に対して内容証明郵便を送るだけで完了することも多いです。そのため、自己破産や個人再生のような他の債務整理に比べて、手間も費用も大幅に少なく済み、手続きが家族や勤務先に知られるリスクが少ない点も大きな利点です。
最後に最も重要なポイントとして、信用情報機関に登録されていた事故情報(延滞情報など)が、抹消されることが期待できます。これにより、今後のクレジットカード利用やローン申請の際に、以前の借金の影響が薄れる可能性があります。信用情報機関の一つであるJICCでは、「「時効の援用」については、お客さまが債権者である登録会社に対し「時効の援用」をし、登録会社と認識に相違がない場合に、時効の起算日に遡って完済として登録されます(その時点で登録期間経過により登録情報は抹消されます)。」としており、契約当初にさかのぼって借金の記録を抹消するとしています。(参照:「JICCに登録されている信用情報は、どのくらいの期間登録されるのですか?」)
これにより、信用情報に載っている事故情報が抹消されるケースがあることは、早期の信用情報の回復に資することと言えるでしょう。
時効援用のデメリット
上記のようなメリットがある一方で、時効援用に失敗する場合があることには注意をするべきでしょう。
時効援用に失敗してしまうと、様々なリスクが伴います。最も大きな問題は、借金の返済義務が残ってしまうことです。そして、長期間返済を行っていないため、未払いに対する利息や手数料である遅延損害金が加算され、請求額が増加することもあり得ます。元金が数十万円だったものが、数百万円にまで膨れ上がることもあるのです。このような状況に陥ると、返済が困難になってしまうでしょう。
また、時効援用を試みたことで、債権者に自分の居場所が知られてしまうリスクもあります。もし債権者が居場所を特定し、訴訟を起こした場合、時効が更新されて再度消滅時効の期間を経過するまで、借金の返済義務が延長されるする恐れがあるのです。
さらに、時効援用を行うと過払い金請求ができなくなるケースもあります。過払い金請求は、過去に払い過ぎた利息を取り戻す手続きですが、時効援用と同時に進めることはできません。
もし借金が残っている状態で過払い金請求をすると、借金を「認めた」とみなされ、時効が更新されてしまうのです。反対に、時効を援用してしまった場合、過払金を請求できなくなるため、返ってくるはずのお金を取り戻し損ねるということが生じる場合もあり得ます。
以上のように、時効援用にはリスクが伴うことがあります。したがって、時効援用を行う前に、自分にとってどの手続きが最も有利であるか、慎重に判断することが大切です。
借金の消滅時効の条件
では、「消滅時効」が成立するにはどのような条件があるのでしょうか?
民法では、2つの条件が明文で規定されています。
さらに、時効の完成猶予及び更新がされていないこと(民法第147条以下)も条件となります。
条件①債権の消滅時効の期間が経過している
時効援用を成立させるためには、まず借金の消滅時効期間が経過している必要があります。消滅時効期間は、借入れの時期によって変わってきます。
令和2年3月31日以前に銀行やサラ金などの金融業者から借りたお金の時効期間は5年、信用金庫・個人間の貸借奨学金などの場合は10年と定められていました。
一方、民法の改正により、令和2年4月1日以降の借入れについては、債権者に関係なく、「権利を行使できる時から10年間」または「権利を行使できることを知った時から5年間」のどちらか早い方となりました。
金融業者からの借金は通常、返済期日が決まっています。この返済期日は、債権者が権利を行使できることを知った時に当たります。つまり、金融業者からの借金の消滅時効期間は、返済期日の翌日から5年間ということになるのです。
したがって、時効援用を成立させるには、「返済の期日」もしくは「最終返済日」から5年または10年が経過している必要があります。
ここで、「5年」と「10年」の違いについて説明しましょう。これは、2020年4月の民法改正が関係しているのです。民法の改正によって、時効の考え方である起算点と期間が変更されました。
つまり、民法改正後に発生した借金は、以下のいずれかのうち、早いタイミングの時効期間を適用します。
- 主観的起算点➡債権者が借金の請求権を「行使できることを知った」とき
- 客観的起算点➡債権者が借金の請求権を「行使できる」とき
改正前は、消費者金融や銀行等からの借金の消滅時効期間は一律5年でした。しかし、改正後は、主観的起算点(債権者が借金の請求権を「行使できることを知った」とき)から5年、または客観的起算点(債権者が借金の請求権を「行使できる」とき)から10年のいずれか早い方となったのです。
つまり、民法改正後に発生した借金については、主観的起算点と客観的起算点のどちらか早いタイミングの時効期間が適用されるようになりました。
借入先の種類 | 消滅時効の期間 | |
改正前(2020年3月31日まで) | 改正後(2020年4月1日以降) | |
消費者金融・銀行等 | 5年 | 主観的起算点から5年または客観的起算点から10年 |
信用金庫・個人間の貸借奨学金など | 10年 |
(参考:法務省「民法(債権法)改正」)
条件②「時効援用」の手続きをする
借金の時効は時効期間が過ぎただけでは成立しません。
民法第145条では、「当事者等が時効の援用の意思表示をしないと、裁判所はこれによって裁判をすることができない」とされています。反対に言えば、時効の主張を出来るのは、時効の援用の意思表示を事前にしている場合だということです。つまり、時効援用を成立させるためには、「時効援用の手続き」が必要不可欠であり、時効の意思表示を行うことで初めて債務が消滅するのです。
では時効援用とはなんでしょうか?
時効援用とは、「時効の利益を受けます」という意思を、当事者が債権者に伝えることを指します。民法第97条では、「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。」と定めています。通知と言うと書面で行うイメージがありますが、民法上、口頭でも通知とされています。時効援用の方法に特別な規定はなく、書面ではなく口頭で時効援用を主張することもできるのです。
ただし、口頭だと証拠が残りづらい関係上、一般的には「時効援用通知書」などの書類を内容証明郵便で債権者に送付します。手続きにはある程度の費用がかかりますが、弁護士事務所や司法書士事務所に代行を依頼することもできます。
なぜ、時効の援用が必要なのか?
ここで疑問に思うのは、なぜこのような面倒な手続きが必要なのかということです。これは、時効の利益を受けるかどうかを当事者に委ねるという趣旨によるものです。
世の中には、
時効になっていようが、時効の利益は受けません!
借金は何年経ってでもお返しします!
という潔い方もおられるでしょう。であれば、なぜ、今の今まで何年も借金を返さなかったのか?という疑問は沸くかもしれませんが、人にはそれぞれ事情があるものです。
世の中には、時効になっていても時効の利益は受けず、何年経っても借金を返済したいと考える人もいるでしょう。そのような人にまで時効の効果を押し付けるのは適切ではありません。
したがって、当事者の意思を尊重するために、時効の援用が必要とされているのです。
条件③時効の完成猶予及び更新がされていないこと
時効の援用を成立させる3つ目の条件は、時効の完成猶予及び更新がされていないことが挙げられます。
時効の更新とは、民法第147条以下に定められた一定の更新事由が発生した場合に、その時から新たな時効期間の進行が開始されることです。
上記更新理由があることにより、時効期間の進行が阻止され歓声が猶予されたり、進行していた時効期間のカウントがゼロから再開される効果があります。
時効が認められない代表例|時効の完成猶予・更新事由
裁判上の請求や支払い督促
借金の返済をせずに引っ越しをしてしまうと、債権者からの督促状などが届かなくなり、請求の有無がわからなくなってしまいます。そのような状況が長期間続くと、債権者は裁判所に「支払督促」や「訴訟」を申し立てることがあります。
裁判所から送られてくる支払督促状や訴状が手元に届かない場合、自分が支払督促や訴訟の被告になっていることに気づかないことがあります。「届かないんだから大丈夫でしょ?」と思うかもしれませんが、それは大きな間違いです。
債権者が「公示送達」という原告の意思表示を被告に到達させる申立てを行えば、被告である債務者に支払督促や訴訟の意思が伝えられたとみなされ、手続きが進んでしまうのです。
訴訟提起されてしまった時点で、時効の進行は停止します。債権者が裁判上の請求や支払督促を行うと、手続き中は時効の完成猶予となり、確定判決などで権利が確定すれば時効が更新されてしまいます。
ただし、手続きが取下げによって終了した場合は、取り下げから6ヵ月間の完成猶予となります。また、裁判外の催告書や督促状のような請求については、請求から6ヵ月間の完成猶予になります。
金融業者にとって督促はあくまで臨時的な対処なので、この6ヵ月の間に法的手続きを行ってくると考えておくべきでしょう。
差押え、仮差押え、仮処分
差し押さえとは、借金を返済せずに滞納し続けている債務者の財産を、債権者が法律に基づいて強制的に換金・処分し、借金の回収を行う手続きのことです。これは「強制執行手続」の一つであり、債務者が滞納している借金を法的に回収する方法です。
差し押さえの手順としては、まず債権者が債務者の財産を処分できないようにします。その上で、その財産を取り立てたり、競売で換価する手続きを行い、借金の回収を図ります。
債権者が差し押さえを行うには、「債務名義」を取得し、裁判所を通して強制執行の手続きを進める必要があります。
強制執行による差押えは、時効に関して特別な扱いがあります。差押えの手続き中は時効の完成猶予となり、差押えが終了すると時効が更新されます。ただし、取り下げなどで差し押さえ手続きが終了した場合は、取り下げから6ヵ月間の完成猶予となります。
また、仮差押えと仮処分については、手続き中および手続終了から6ヵ月間が完成猶予の期間となります。
差し押さえは、債務者にとって非常に大きな影響を与える手続きです。財産を失うだけでなく、信用情報にも傷がつき、今後の経済活動に支障をきたす可能性があります。
債務者による債務の承認
債務の承認とは、債務者が債権者に対して、借金の存在や返済義務を認めることを指します。借金には消滅時効という制度があり、債権者が借金の回収権利を行使しないまま、最終取引日から一定期間(5年もしくは10年)が経過すると、その権利が消滅します。
通常、消滅時効が成立すれば、時効の援用手続きを行うことでその借金の返済義務はなくなります。しかし、最終取引後に債務を承認してしまうと、たとえ規定の期間が経過して時効の援用手続きを行ったとしても、借金の支払い義務は消滅しないのです。
時効の成立には「最後に返済した日」が重要な基準となります。しかし、単に忘れていただけで、時効の成立前に返済を行ってしまうケースが数多く見られ、時効援用失敗の大きな要因となっています。これが「債務承認」です。
債権者からの電話や訪問で「返済します」「〇〇日までに返します」「〇〇円ずつ返します」などの発言をしてしまうと、「債務が存在することを認めた」「返済義務があると認めた」「返済を約束した」と主張されてしまう危険性があります。
債務承認は、時効の援用を妨げる大きな障害となります。たとえ少額でも、時効成立前に返済をしてしまうと、時効の起算点が更新されてしまうのです。また、債権者との会話の中で不用意に返済を約束したり、債務の存在を認めたりすることも、債務承認とみなされる可能性があります。
したがって、時効の援用を検討している場合は、債務承認に十分注意する必要があります。債権者からの連絡には慎重に対応し、安易に返済を約束したり、債務を認めたりしないことが大切です。
裁判で判決が出ると時効はさらに10年延びる
判決で確定した権利の消滅時効については、民法第169条に特別な規定があります。この規定では、「法律で十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は十年とする。」とされています。(民法第169条)
つまり、本来は5年間で時効が成立する借金であっても、裁判を起こされて判決が出た場合、その時点から時効期間が10年に延長されるのです。これは、時効の更新や完成猶予に当たる事由がない場合でも適用されます。
債務者の自宅に裁判所からの通知が届いていない場合でも、債権者は「公示送達」という方法で裁判を起こすことができます。公示送達とは、裁判所の掲示板に呼出状を掲示することで、法律上の送達とみなす手続きです。
したがって、債務者が知らない間に裁判を起こされ、判決が出ていたというケースも起こり得ます。
このような事態を避けるためにも、借金問題には慎重に対応する必要があります。
そもそも、借金の債務者には返済義務があり、債権者は当然の権利として本来回収すべき金額を回収しようとします。債権者は様々な手段を用いて時効の成立を阻止しようとしてくるため、専門家に相談することが賢明です。
また、訴訟提起された場合、被告側が答弁書の提出、出廷、異議の申し立てを行わなければ、原告の請求内容でそのまま判決が下されてしまいます。判決が確定すると、時効期間はそこから10年に延長されるのです。
さらに、判決書は「債務名義」と呼ばれ、給与や口座の預貯金に対する差押えを可能にする強力な武器となります。
以上のように、判決で確定した権利の時効期間は10年に延長され、債務者にとって非常に不利な状況となります。借金問題を抱えている場合は、早めに弁護士や司法書士などの専門家に相談し、適切な債務整理の方法を検討することが大切です。
こんなケースでも時効が使える?
訴状が届いた場合(裁判)の時効援用の方法
長年にわたって借金の返済をしていない場合、時効の成立期間が過ぎていることから「もう裁判されることはない」と考えている債務者もいるかもしれません。しかし、中には時効期間経過後でも裁判を起こしてくる会社も存在するのです。
このように時効期間経過後に裁判を起こされた場合、債務者は裁判の手続きの中で「時効の主張をする」ことになります。つまり、時効が成立していることを裁判所に明示し、債務の消滅を主張するのです。
多くの場合、時効が成立していれば裁判は取り下げられることになります。債権者としても、時効の主張に対抗するのが難しいと判断すれば、裁判を継続することは得策ではないからです。
ただし、裁判を放置してはいけません。時効の主張を行うためには、答弁書にその旨を記載し、口頭弁論期日までに提出する必要があります。裁判所から送られてくる書類を無視したり、出廷しなかったりすると、債務者の主張が認められず、不利な判決が下される可能性があるのです。
したがって、時効期間経過後に裁判を起こされた場合は、速やかに弁護士や司法書士などの専門家に相談し、適切な対応を取ることが重要です。時効の主張を適切に行うことで、債務の消滅を認めてもらい、裁判を有利に進めることができます。
支払督促が届いた場合の時効援用の方法
訴状の他に、支払督促が届くこともあります。支払督促は民事訴訟法第382条以下で定められた簡易な裁判手続きですが、同法396条ではこれが確定したときは、支払督促は、確定判決と同一の効力を有するとされており、裁判と同様の効果があるとされています。そのため、、通常の裁判と同様に放置してはならず、債務者は適切な時効援用の手続きを取る必要があります。
支払督促を受け取ったら、2週間以内に異議申立書を作成し、裁判所に提出しなければなりません。この異議申立書を提出することで、支払督促の手続きから通常裁判に移行します。
通常裁判に移行すると、債務者の住所地を管轄する簡易裁判所から呼出状と答弁書催促状が送られてきます。この答弁書に「時効を援用する」旨を記載し、裁判所と相手方に提出することが重要です。
債権回収会社や弁護士事務所から督促状が届いても時効援用で解決可能
債権回収会社や、弁護士事務所から督促や通知、取り立て等が来た場合、債務の消滅時効の援用で、返済をなくすことができる可能性があります。
✅消費者金融や銀行カードローンなどの借り入れ
✅クレジットカードのキャッシング、ショッピング
✅家賃
✅携帯電話料金
こうした様々な支払いの滞納・未払いで、消滅時効の援用ができる場合があります。
しかし、督促状や催促状、和解提案書などには、「期日までにご連絡ください」という文言が入っていることがありますが、これらの言葉に惑わされてはいけません。安易に自分で連絡してしまうと、時効で消せるはずの返済が消せなくなってしまう恐れがあります。
自分では自覚していなくても、「債務承認」によって時効が中断してしまうことがあるのです。債権者との会話の中で不用意に債務を認めたり、返済を約束したりすると、時効の援用ができなくなる危険性があります。(民法第152条)
したがって、支払督促や督促状が届いた場合は、まず冷静に対応することが大切です。時効の成立要件を確認し、弁護士や司法書士などの専門家に相談して、適切な時効援用の手続きを取ることが賢明でしょう。
時効援用手続きの流れ・時効援用通知書に記載する内容
時効援用の流れ
①借金が時効になっているか、信用情報を開示し、確認する
まず、時効援用前に、時効が可能かどうかを調べる必要があります。その方法として以下の情報を確認する方法が考えられます。
- 債権者からの通知書を調べる
- 信用情報機関に照会する
債権者からの通知の場合、届いたものに開始時期や取引期間が書いてあれば、それを基に時効援用を主張できます。ただし、取引履歴などは通知書に記載がない場合は、相手方の会社に連絡を取り、開示請求を行うこととなります。これの際に「債務承認」と取られる発言をしてしまうリスクがあることから、履歴開示から弁護士や司法書士に依頼するべきでしょう。
また、信用情報機関に照会するという方法もあります。
ただし、紹介には手数料が生じることには注意が必要です。
②援用通知書を作成する。
内容証明に記載する内容については、決まった形式はありません。
「時効援用すると相手に伝えて」「誰が誰に伝えているのか」特定できていれば問題ありません。
✅日付(作成日・発送日どちらでも可)
✅相手の住所・名前
✅自分の住所・名前・生年月日
✅消滅時効を主張する旨
✅契約番号など契約を特定できる事項
✅信用情報を削除・訂正してほしい旨
✅時効援用に対して異議があったら教えてほしい
✅その他
【時効援用通知書の書式、テンプレート】 「時効援用通知書」以下について、最終弁済日である〇年〇月〇日より、既に5年以上が経過しており、時効消滅しています。 つきましては、本書をもって、当該借金の時効を援用いたします。 借入人氏名:〇〇〇〇(フリガナ) 住所:〇〇県〇〇区〇〇 生年月日:○○〇〇年〇月〇日 当初借入日:〇〇年〇月〇日 当初借入額:〇〇〇円 |
③時効援用通知を内容証明郵便で送る
前述の通り、時効援用には法律上の決まりは特にありません。
極端にいえば、債権者に電話などで告げても、法律的には有効ということです。
しかし、証拠が残らず、あとから債権者に「聞いていない」「援用していない」と言われてしまう可能性もゼロではありません。
「援用した事実」が非常に重大なので、配達証明をつけた内容証明で援用通知を送ることで証拠を残すことを推奨します。
まとめ
借金の返済をしないまま時効期間が経過すると、債務が消滅する可能性があります。これを消滅時効と言います。消滅時効が成立するには、①時効期間の経過、②時効援用の手続き、③時効の完成猶予・更新事由がないこと、の3つの条件を満たす必要があります。
時効援用には、借金の返済義務がなくなるというメリットがある一方で、失敗のリスクもあります。時効援用に失敗すると、返済義務が残り、遅延損害金で請求額が増える可能性もあるのです。
したがって、時効援用を検討する際は、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、適切な手続きを踏むことが大切です。時効の成立要件を確認し、内容証明郵便で時効援用通知書を送るなど、慎重に対応することが求められます。
借金問題の解決には、時効援用以外にも、任意整理や個人再生、自己破産などの方法があります。自分に合った債務整理の方法を見つけ、着実に実行していくことが、借金問題からの脱却につながるのです。