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債務整理

過払い金とは?20年前の借金でも返ってくる?

”過払い金”という言葉をご存知でしょうか。

テレビやラジオのCM、近年ではインターネットの広告など様々な媒体で宣伝されているため、耳にしたことがあるという人は多いと思います。

しかし、返済した借金が返ってくることがあるらしいというぼんやりとしたイメージがあるだけで、具体的にどうしてお金が返ってくるのかは分からない、という人もいるのではないでしょうか。

また、借金をしたことはあるが、もう20年、30年経っているので自分は対象外だろう…などと考えてはいないでしょうか。

そのような人でも、場合によっては過払い金が返ってくることがあります。

今回は、過払い金について徹底解説していきます。

また、過払い金はないが借金の返済ができない時の対処法についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

過払い金とは? 

はじめに、過払い金とは何かについて詳しくお話しします。

支払いすぎていた利息

当然のことではありますが、借金をして返済をする時、最初に借りた額と同じ額を返せば、それで完済になるわけではありません。

ほとんどの借金には利息というものがついており、利息分まで含めて返済する必要があります。

利息とは、いわばお金を貸してもらうというサービスを受けることに対する利用料であり、この利息によって最終的に利益を得られるからこそ、各種金融機関はお金を貸し出してくれるということになります。

利息は、借り入れた額と期間に従って増えていくので、借りた額が大きく、返済まで時間がかかった借金ほど、利息は膨らんでいきます。

過払い金というのは、この利息分について、法律で定められた額を超えて支払いすぎていた時に発生するものです。

しかし、闇金業者から借りたわけでもない借金の利息が、どうして法律に違反するような事態になっているのでしょうか。

どうして過払い金が発生したのか?

利息を計算する際に使われる金利について定めた法律は、「利息制限法」と「出資法」の2つが存在しています。

この2つの法律では、かけられる金利の上限がそれぞれ定められているのですが、かつてその制限には差異がありました。

利息制限法での金利の上限が15%から20%であったのに対し、出資法での上限は29.2%だったのです。

利息制限法の上限と出資法の上限の間の金利で貸し付けを行った場合、利息制限法には従っていないが、出資法には従っている、という状態になります。

この2つの法律のうち、違反した時に刑事罰が科されるのは出資法だけのため、利息制限法には違反しても、出資法を守っていれば罰されないという状況が生まれていました。

そのため、利息制限法の上限と出資法の上限の間の金利はグレーゾーン金利と呼ばれ、この金利で貸し付けを行う業者が少なくありませんでした。

そこで、2010年(平成22年)に改正貸金業法および改正出資法が施行され、出資法の金利の上限が利息制限法と同じ15%から20%に統一されました。

それにより、これまでグレーゾーン金利で計算されていた利息が明確な違法行為となり、返却しなければならない過払い金となりました。

過払い金が発生する条件

法律で定められた15%から20%の上限を超える金利で借り入れを行い、返済をした利息がある場合、それは過払い金となります。

改正貸金業法および改正出資法が施行されたのは2010年6月18日です。

2010年6月17日より前に借り入れをしており、完済または一部を返済している場合、過払い金が発生しているかもしれません。

ただし、民法によって時効が存在し、最後の取引から10年が経過している場合は、過払い金の請求権がなくなってしまっています。

つまり、完済してから10年が経過している場合は、グレーゾーン金利で借り入れをしていても過払い金請求ができません。

しかし、完済から10年が経過していない、または現在も返済中である場合は、たとえ20年前、30年前の借金であったとしても、過払い金請求が可能です。

クレジットカードの場合でも、キャッシングのリボ払いを利用していた時に限り、上記の条件を満たせば過払い金が発生している可能性があります。

過払い金がある時はどうしたらいい? 

それでは、過払い金がある場合は、一体何ができるのでしょうか。

返還請求ができる

過払い金がある場合、支払った相手に対して過払い金請求をすることができます。

支払い終えた利息について、もしも金利が上限通りで借り入れた場合どうだったかを計算します。

利息は、借り入れた元本、返済までの期間、金利を掛けて計算されるため、返済まで時間のかかった借金であればあるほど、利息の方が膨れ上がって元本を大きく超えているということも珍しくありません。

法定を超えた高金利で借りていたのであれば、なおさらです。

その場合、最初から法定通りの金利で借り入れていれば膨れ上がった分がなくなる計算になるので、非常に大きな過払い金が返ってくることになります。

2010年6月17日以前に借り入れをして返済をしたことがある人は、例え元本が小さくとも場合によってはかなりの返還を求めることができるかもしれません。

注意点

過払い金を請求できる状況でも、注意点があります。

過払い金を請求する相手に対して、まだ借金の返済が残っている場合、過払い金請求をすると信用情報機関に情報が載ることになります。

過払い金請求の結果、過払い金があり、なおかつそれで残っている借金を完済することができる場合は、すぐに情報は削除されますが、もしも借金が残ってしまった場合は完済しない限り情報が載り続けます。

信用情報機関に情報が載っていると、新しく借り入れをしたり、ローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることができなくなります。

その場合は、続けて債務整理手続きを行った方が良いでしょう。

もう一つの注意点としては、過払い金の請求を行った相手会社について、今後の新たな借り入れが難しい可能性があるということです。

ただ、借り入れのできる金融機関は多く存在することや、そもそも新たな借り入れをする必要がなければ関係ないので、大きな問題ではないと考えます。

請求する方法

過払い金請求は、過払い金のある相手会社に連絡し、交渉することで行います。

このように書くと簡単なようにも思えますが、必ずしもそうではありません。

相手会社からすると、返還する義務があるとはいえ、既に利益として回収したお金を支払わなければならないということで、当然進んで行いたいものではありません。

連絡をすればそれだけで全額がすんなり返ってくるとは限らないということです。

業者によっては、交渉での過払い金返還には応じず、裁判までしなければ対応してこないところもあるほどです。

そのため、過払い金請求をする時は、手続きに慣れており、いざという時の裁判の対応も可能な弁護士もしくは司法書士に依頼することをお勧めします。

借金が苦しい時は?

ここまで過払い金請求についてお話ししてきましたが、借金が苦しく過払い金請求を考えている、もしくは考えていたものの、請求できる条件を満たしていなかった、という方もいるかと思います。

そのような時、過払い金請求以外にできる手段についてご紹介します。

債務整理手続きができる

借金の返済が苦しい人は、債務整理手続きをすることができます。

債務整理手続きとは、借金の返済が不可能な時、もしくは返済のために生活が圧迫されている時など、借金問題に困っている人が取ることのできる手段です。

任意整理、個人再生、自己破産という3つの種類の手続きがあり、どの手続きを行ったとしても、無事に進めば最終的には借金が減る、またはなくなることになります。

そんなことが可能なのかと思われるかもしれませんが、債務整理手続きは借金をしている相手会社との交渉、または裁判所での法律に則った手続きによって行うものであり、借金問題に対する正当な対処法です。

過払い金請求によって借金問題が解決することが難しい人の場合は、債務整理手続きをすることをお勧めします。

債務整理手続きの種類

債務整理手続きの3つの種類について、詳しく説明していきます。

まず、任意整理とは、借金をしている相手会社との交渉によって利息分の返済を免除してもらう手続きです。

相手会社からすれば応じるメリットがないのではないかと思われるかもしれません。

しかし、詳しくは後述しますが債務整理続きの中には自己破産というものがあり、これをされると借金の返済義務が免除されるため、相手会社は場合によっては1円も回収ができなくなってしまいます。

そのため、1円も返って来なくなるよりは元本だけでも返ってくる方が良いという判断から、交渉に応じてもらえるという形です。

借金の元本分の返済についても、分割払いで交渉ができます。

交渉が成立した後は、決まった通りに返済をして、完済すれば終了です。

個人再生と自己破産は、裁判所で行う手続きです。

個人再生では、借金の総額を額に応じておよそ5分の1程度に減額した上で、残った額を分割払いで返済するという再生計画案を作成し、それを裁判所に認めてもらうことによって借金を大幅に減らすことができます。

自己破産では、申し立てた人の財産状況、借金状況を裁判所が調査した上で、一部の債務を除いた全ての借金の返済義務を免除してもらうことで、借金をなくすことができます。

どちらも任意整理より大幅な減額が可能な手続きですが、その代わりに裁判所に提出するための書類の準備などの必要があり、任意整理よりも手続きにかかる手間が多いという特徴もあります。

しかし、メリットが非常に大きいため、任意整理をしてもまだ楽にならないほど借金に追われているという状況であれば、検討する価値の高い手続きです。

債務整理手続きをしたい時は

債務整理手続きの方法については上述した通りですが、どの手続きを行うにしても、法的な知識を必要とするのは間違いありません。

そのため、債務整理手続きをしたいと考えているのであれば、まずは債務整理手続きに詳しい弁護士や司法書士に相談してみることをお勧めします。

専門家からそれぞれの手続きのメリットやデメリットの説明を受けることができ、また現在の状況を直接聞き取った上で、最もふさわしい方法を提案してもらうことができます。

話をしてみて、信頼のおける専門家と判断できた場合は、そのまま債務整理手続きを依頼することも可能です。

任意整理では相手会社との交渉、個人再生と自己破産では裁判所とのやり取りを必要とするため、債務整理手続きをしている人の多くは弁護士・司法書士に依頼して行っています。

借金問題に関する無料相談を受け付けている事務所もあるので、債務整理をするとまだ決めていない段階であっても、相談してみることで先が明るくなるかもしれません。

借金を抱えて苦しい思いをしている人は、この社会に決して少なくありません。

後ろめたく、現状を打ち明けづらい、相談しづらいと思っている人もいるかもしれませんが、誰もに起こりうることであり、正しい対処をすれば解決できる問題であるということは心に留めていただきたいと思います。