債務整理

債権回収会社(サービサー)とはどんな会社?通知が届いたらどうしたらいい?

ある日突然、見慣れない会社から「借金を返してください」という手紙が届いたら、びっくりしてしまいますよね。もしかしたら、とても怖い気持ちになるかもしれません。

しかし、そのような手紙の多くは、「債権回収会社」というところから送られてくるものです。この名前を聞くと、なんだか不安になるかもしれませんが、実は国からきちんと許可をもらって活動している会社なのです。決して違法な取り立てをするような、怪しい会社ではありませんので安心してください。

この記事では、そんな債権回収会社がどんな会社なのか、そしてもしあなたのもとに督促が来たときに、どうすれば良いのかを分かりやすく紹介します。

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債権回収会社ってどんな会社?

債権回収会社は怪しい会社?その法的根拠

ある日突然、身に覚えのない会社から借金の督促状が届いたら、誰もが不安になることでしょう。しかし、その会社が「債権回収会社」と名乗っていたら、それは法務大臣の許可を得て営業している、れっきとした正規の会社である可能性が高いです。

債権回収会社は、「債権管理回収業に関する特別措置法」(通称:サービサー法)という法律に基づいて設立されています。この法律は、弁護士以外が債権回収を行うことを原則として禁止している弁護士法の特例として、不良債権の処理を促進するために作られ、民間の会社がこの業務をできるようになりました。

設立には厳しい条件があります。例えば、会社の元手となる資本金が5億円以上であること、暴力団員等の反社会的な人たちが関わっていないこと、そして、会社で働く取締役(のうち、少なくとも1人以上は弁護士であることなどが定められています。(参照:「債権管理回収業に関する特別措置法第5条」 法務省「債権管理回収業の営業の許可」)

このように、債権回収会社は、厳しい審査をクリアし、法務省の監督のもとで業務を行っているのです。決して、違法な取り立てを行うような「怖い会社」ではありませんので安心してください。

弁護士やファクタリング会社との違いは何?業務範囲の比較

債権回収会社と弁護士は、どちらも借金を取り扱う専門家ですが、その仕事の範囲にははっきりとした違いがあります。弁護士は、法律の専門家として、どんな種類の借金でも回収することができます。個人のお金の貸し借りから、会社の複雑な借金まで、幅広く対応できるのです。

一方で、債権回収会社が扱えるのは、「特定金銭債権」と呼ばれる、サービサー法で決められた特別な種類の借金に限られています。例えば、銀行や信用金庫、お金を貸す会社からの借金などがこれに当てはまります。

さらに、債権回収会社は、もともとお金を貸した会社から、借金の管理や回収を頼まれたり、借金そのものを買い取ったりして仕事をします。しかし、弁護士とは違い、債権回収会社は弁護士しかできない仕事(例えば、裁判であなたの代理人になることなど)を行うことはできません。

また、同じく債権を取り扱う会社には、ファクタリング会社というものがあります。これらの違いは、なんでしょうか?

まず、取り扱う債権の違いです。債権回収会社は、もう返済の期日が過ぎていて、なかなか回収が難しい「不良債権」を主に扱います。これに対して、ファクタリング会社は、基本的に返済期日が来る前の債権(売掛金など)を買い取って、会社の資金繰りを改善することを目的としています。

料金の仕組みも異なります。ファクタリング会社の手数料は数パーセントから20パーセントであることが多いです。

一方で、債権回収会社に依頼すると、債権額を非常に低額で売り渡すことも多いです。場合によっては、割引率は90%を超えることもあります。これは、債権回収会社が扱う再建には不良債権が多く含まれ、回収が困難であり、高いリスクがあるためです。企業としても、このようなゴミ債権を負い続けたくないということで、売却に応じることもあるのです。

このように、弁護士、ファクタリング会社、サービサーにはそれぞれ類似点もありますが、それぞれに専門の分野と役割があることを知っておくことが大切です。

サービサーの主な業務内容とは?

どんな債権を扱っている?特定金銭債権

債権回収会社が扱える借金は、債権管理回収業に関する特別措置法第2条で決められています。これを「特定金銭債権」と呼びます。具体的に言うと、銀行からの貸付金や、クレジットカードの利用代金、物を借りたときのリース契約の代金、そして保証会社が代位弁済した借金などが含まれます。

(※)代位弁済:借金をしている人がお金を返せなくなったときに、保証会社などがその人の代わりに、お金を貸した会社に返済することです。

しかし、友達や家族との個人的な貸し借り、お店での普通の買い物から生じた代金など、特定金銭債権に当てはまらない借金は、債権回収会社は取り扱うことができません。もし、このような借金について債権回収会社を名乗る業者から連絡があった場合は、十分に注意してください。

このように、限られた種類の借金を専門的に扱うことで、債権回収会社は、回収が難しい借金の問題を解決する手助けをしているのです。

どんな手段で回収を行う?そのプロセス

債権回収会社は、借金をしている人に対して、様々な方法で借金の回収を行います。まず、一番よくあるのは、書面での督促です。自宅に督促状や催告書といった手紙が郵送されてくることが多いでしょう。

次に、電話での連絡があります。借金の返済状況を確認したり、これからの返済計画について話し合いを求められたりすることがあります。場合によっては、直接会って話すことを求められることもあります。

もし、これらの方法で問題が解決しない場合、債権回収会社は法的手段を検討します。例えば、裁判所に「支払督促」という手続きを申し立てたり、最終的には裁判を起こしたりすることもあります。さらに、裁判で判決が確定すれば、「強制執行」として、給料や財産が差し押さえられる可能性も出てきます。

ただし、債権回収会社は、法律で禁止されているような、強引な取り立てや、あなたの生活を邪魔するような行為はできません。もし、不適切な行為があった場合は、すぐに弁護士や消費者センターなどの専門機関に相談してください。

債権回収会社から督促が来た時の対処法

絶対NG!やってはいけない対応とは

債権回収会社からの連絡に対して、絶対にやってはいけないことがあります。まず一つ目は、督促を無視し続けることです。連絡を無視すると、債権回収会社は借金を回収するために、裁判所を通した手続きなどの法的手段(ほうてきしゅだん)に移行する可能性が高まります。支払督促や訴訟を起こされ、最終的には給料や財産が差し押さえられる事態に発展することもあります。

二つ目は、安易に一部だけでも支払ってしまうことです。もし時効期間が過ぎている借金であっても、少しでも支払ってしまうと、「債務の承認」とみなされ、時効期間がリセットされてしまうことがあります。

これにより、せっかく成立していた時効が主張できなくなり、再び返済義務が生じてしまうのです。もし、連絡が来た借金に心当たりがない場合や、時効の可能性があると感じる場合は、まずは弁護士や司法書士に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしてください。

専門家への相談が、問題を悪化させないための最も賢明な選択と言えます。

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焦らず確認、まずは本物の会社か調べる

債権回収会社から督促の連絡が来ると、誰でも動揺してしまいます。しかし、ここで最も大切なのは、焦らずに冷静に対応することです。

残念ながら、債権回収会社を装った詐欺(さぎ)も存在します。そのため、連絡してきた会社の名前を、法務省のウェブサイトに掲載されている「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧」と照らし合わせてみましょう。もしリストにない会社であれば、詐欺の可能性もありえます。参照:法務省「債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧

また、法務省は「債権回収会社を詐称(さしょう)している等との情報の提供があった業者名の例一覧」も公開しています。これらの情報を活用して、まずは相手が信頼できる正規の業者であることを確認することが、適切な対処の第一歩となります。(参照:法務省「債権回収会社と類似の名前をかたった業者による架空の債権の請求に御注意ください」)

分割払いは可能?交渉の余地はあるか

債権回収会社から督促が来た場合でも、すぐに借金の全額を支払うことが難しい状況はよくありますよね。そのような時でも、決して諦める必要はありません。債権回収会社は、借金を回収することを目的としているため、分割払いの交渉に応じてくれる可能性は十分にあります。

重要なのは、督促を無視せず、誠実に対応することです。連絡を取り、今のあなたの経済的な状況を正直に伝え、無理のない返済計画を提案してみましょう。債権回収会社も、全く回収できないよりは、少しずつでも確実に回収できる方が望ましいと考えています。

ただし、交渉に応じてくれるかどうかは、借金の種類や金額、そしてあなたの状況によって異なります。もし、ご自身での交渉が難しいと感じる場合は、弁護士司法書士に相談して、あなたの代わりに交渉してもらうことも可能です。

専門家のサポートを受けることで、より良い条件で合意できる可能性も高まります。

時効かも?時効援用という選択肢を知る

サービサーは、回収が難しい借金を多く管理していることから、督促が来た時には既に、「時効」が成立している可能性があります。時効とは、ある一定の期間が過ぎると、借金を返す義務がなくなるという制度です。多くの借金は、最後に返済したり、取引をしたりしてから5年、または10年で時効が成立すると言われています。

例えば、消費者金融からの借金やクレジットカードのキャッシングは、一般的に最後の取引日から5年で時効を迎えることが多いです。しかし、時効が成立していても、自動的に借金がなくなるわけではありません。

時効の利益を受けるためには、借金をしている人が、お金を貸した会社に対して「時効援用」という意思表示をする必要があります。これは、内容証明郵便などを利用して行われることが一般的です。もし、あなたの借金が時効を迎えているかもしれないと感じたら、専門家である弁護士や司法書士に相談してみましょう。

時効援用は、借金問題を解決する有効な手段の一つですが、専門的な知識が必要となるため、自分で判断して行動するのは避けるべきです。

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債務整理を検討

もし時効が成立していなかったり、借金がどうしても返せない状況だったりする場合は、債務整理という方法を考えることができます。債務整理とは、借金問題を法的に解決するための手続きのことです。任意整理、個人再生、自己破産など、借金の金額やあなたの経済状況に応じて、最適な方法があります。

専門家と相談しながらこれらの手続きを進めることで、借金の額を減らしたり、支払いの負担を軽くしたりすることが可能になります。決して恥ずかしいことではありませんので、前向きに検討するべきです。

借金問題に困ったらどうする?債務整理の相談の流れについて解説しますこの記事では、債務整理相談の実施までの流れについて解説します。借金問題に悩んでいる方にとって、どのように相談を進め、最適な手続きを選ぶかは非常に重要なポイントです。まずは信頼できる相談事務所を見つけ、事前準備をしっかり行うことで、スムーズに問題解決へ向かうことができます。この記事を参考に解決策を見つけましょう。...

まずは専門家へ相談を

「どうすればいいのかわからない」「一人で対応するのは怖い」と感じている方は、一人で抱え込まず、すぐに専門家へ相談してください。

弁護士や司法書士は、あなたの状況を詳しく聞いてくれますし、今後の対応についても一緒に考えてくれます。通知書の内容を正確に判断し、時効援用の手続きや債務整理の相談にも乗ってくれます。自分だけで判断せず、専門家の力を借りて解決への道を探すこと

まとめ

債権回収会社は「正しい知識」で怖くない

突然の督促に不安を感じるかもしれませんが、債権回収会社は、法務大臣の許可を得て活動する、法律に基づいた正規の会社です。彼らは「サービサー法」という特別な法律によって、業務内容や取り扱い債権が厳しく定められています。つまり、違法な取り立ては行いません。もし連絡が来たら、まずは法務省のウェブサイトでその会社が正規の業者かどうかを確認しましょう。正しい知識を持つことで、不必要な不安を感じることなく、冷静に対応することができます。

困ったら一人で抱え込まず、専門家へ相談を

借金の督促は、一人で抱え込むと精神的な負担が大きくなります。しかし、決して一人で悩む必要はありません。債権回収会社からの督促に対しては、分割払いの交渉に応じてもらえる可能性もありますし、場合によっては借金の「時効」が成立していることもあります。もし時効が成立していれば、「時効援用」という手続きで借金を消滅させることが可能です。ただし、安易に一部でも支払ってしまうと、時効がリセットされることもあるので注意が必要です。困った時は、弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談し、適切なアドバイスとサポートを受けることが、解決への一番の近道です。