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債務整理

「債務整理」~3つの手続きの違いとメリット・デメリット、適用条件について~

債務整理をする時に、しっかりその手続きについて理解しておくことが大切です。
ここでは債務整理の手続きの内容とそのメリット・デメリットや手続きができる条件について解説します。

任意整理

任意整理は、簡単に言うと、裁判所を使わずに、返済をしやすくしていく手続きです。

債権者(金融業者など)に対して、代理人となった弁護士や司法書士が将来的にかかる利息のカットや、利息制限法に基づいて再計算し、過払金の返還請求、そして、長期分割で返済していけるように交渉していきます。

裁判所を通す必要がないので、弁護士や司法書士に依頼してしまえば、自分でやることはほとんどありません。

弁護士や司法書士に依頼する際の費用も安く済み、比較的短期で借金問題を解決できるので、借金に悩んだら、まずは任意整理を検討するといいでしょう。

現状、払えないわけではないけれど、毎月支払いが厳しいという人にはぴったりの手続きです。

任意整理をするメリット

・手続きが簡単
弁護士や司法書士に依頼すれば、自分ですることはほとんどありません。

・過払い金が発生していれば、借金が減額されることもある
2010年以前に現金の借入をしていた場合、「過払金」が発生している可能性があります。過払金が発生していると、現在の借金が減額されたり、場合によっては借金が0になったり、手元にお金が戻ってくることもあります。

・催促、督促が止まる
すでに支払いが遅れてしまい、督促の電話やハガキが届いてしまっている場合、弁護士や司法書士から債権者に通知がいくことで督促が止まります。

任意整理をするデメリット

・信用情報機関に事故情報が残る
クレジットカードの新規発行や更新ができなくなったり、ローンが組めなくなったりします。

・保証人になれなくなる
家族の奨学金やローンの保証人になれなくなります。

任意整理の適用条件

任意整理をするには下記の条件を満たすことが必要です。

・収入が安定していること
任意整理は交渉がまとまり、和解した後に返済が開始となり、それを確実に支払っていかなければならないため、収入が安定していないと手続きができません。

収入が安定していれば、雇用形態は正社員でなくても、アルバイト・パートでも大丈夫です。

・3~5年で完済を目指せること
任意整理はだいたいの債権者が3~5年での分割に応じてくれますが、その分割払いを継続して完済を目指せるかどうかが重要です。それが難しい場合は、他の手続きを検討しなければなりません。

・返済計画を提示できること
収入の安定や返済計画の提出などで、確実に返済して行けることを明示していく必要があります。(債権者によっては家計収支の提出を求めてくる場合もあります)

個人再生

個人再生とは、裁判所に返済困難な状況を認めてもらい、借金を最大1/10まで減額する手続きです。減額された借金を、原則3年ほどで分割し返済を行う再生計画を立てていきます。

個人再生の大きな特徴は、住宅ローンを返済しながら他の借金については圧縮して返済することができるという部分です。住宅ローンは手続きから除外されるので、住宅や不動産を手放さず済む方法で、住宅を持っている人には最適な債務整理です。

「住宅があるけど借金の返済が厳しい・・・」
そんな時は、自己破産の前に個人再生を検討してみるといいでしょう。

裁判所を通す必要があり、任意整理と比べると、非常に複雑な手続きではありますが、弁護士や司法書士に依頼することで、面倒な手続きは代行してやってくれます。

個人再生をするメリット

・住宅を手放さずに済む
個人再生をする最大のメリットは、個人再生の最大の特徴である住宅が残せることです。

たとえば、住宅ローンが1000万円、金融業者が2社で500万円あったとすると、金融業者2社に対してだけ借金を圧縮して返済する手続きをし、住宅ローンはそのまま継続して支払っていくようになります。

・借金を大幅に減額できる
借金の金額によって、1/5~1/10まで借金を圧縮できるので、将来利息しかカットできない任意整理と比べると、大幅に借金を減額できます。

個人再生をするデメリット

・官報に掲載される
官報とは国が発行している機関誌のことです。この官報に個人再生をしたことが掲載されます。

国の機関誌に掲載されるとなると、かなり身構えてしまうと思います。しかし、実際は、官報を一般の人が見ることは、ほぼありません。

確かに、調べられたら知られてしまいますが、知られてしまうリスクはさほど高くありません。

・信用情報機関に事故情報が残る
クレジットカードの新規発行や更新ができなくなったり、ローンが組めなくなったりします。

・保証人になれなくなる
家族の奨学金やローンの保証人になれなくなります。

個人再生の適用条件

個人再生をするには下記の条件を満たすことが必要です。

・収入が安定していること
個人再生は住宅ローンを含めた再生計画案を作成し、それに基づいて返済をしていきます。

その再生計画案通りに返済ができないと、その再生手続きは失敗ということになってしまいます。そのため、安定した収入がないと、個人再生の手続きはできません。

・返済計画を提示できること
任意整理同様、収入の安定や返済計画の提出などで、確実に返済して行けることを明示していく必要があります。毎月の家計収支や通帳のコピーなども提出が必要です。

・借金の総額が5000万円を超えていない
個人再生は5000万円以下の借金が対象になります。5000万円以下だと思っていても、実際調べてみたら超えているということもあるので注意が必要です。

自己破産

自己破産とは、収入や事情によって借金の返済が不可能であることを裁判所に認めてもらい、借の返済を免除にする手続きです。
自己破産をすると、まるで人生終わりのようなイメージを持っている人もいるかもしれませんが、きちんと知れば生活の再建に有効な債務整理の手続きであることがわかります。

もちろん、同じことを繰り返さないために、節約をして収入の範囲内で生活をしていくことが重要ですが、精神的な負担からは解放され、落ち着いて暮らすことができるでしょう。

借金が大きく膨れてしまった、収入が激減してしまったなど、返済をしていくことが明らかに難しい場合、最終手段として検討するといいでしょう。

自己破産をするメリット

・借金が0になる
自己破産の最大のメリットは借金が0になることです。自己破産にかかる費用を支払ったあとは、返済するものがなくなり、生活を立て直すことができます。

・99万円以下の預貯金は残せる可能性がある
自己破産をして、なにもかも手放してしまっては生活ができません。生活をしていけるだけの預貯金は手元に残し、生活再建の努力をしましょう。

自己破産をするデメリット

・官報に掲載される
官報とは国が発行している機関誌のことです。この官報に個人再生をしたことが掲載されます。国の機関誌に掲載されるとなると、かなり身構えてしまうと思います。

しかし、実際は、官報を一般の人が見ることは、ほぼありません。確かに、調べられたら知られてしまいますが、知られてしまうリスクはさほど高くありません。

・信用情報機関に事故情報が残る
クレジットカードの新規発行や更新ができなくなったり、ローンが組めなくなったりします。

・保証人になれなくなる
家族の奨学金やローンの保証人になれなくなります。

・財産を手放すことになる
自己破産をためらう理由の多くは、この財産の手放しだと思います。住宅などの不動産、車、その他に、高価な時計や着物など現金に換えられるものは手放しの対象になります。

・保険の解約返戻金も手放しの対象になる可能性がある
保険の解約返戻金が20万円を超える場合、その解約返戻金も手放しの対象になるため、解約をしなければなりません。

・借金の理由によっては、免責されないか可能性がある
任意整理や、個人再生と違い、自己破産は借金の理由によっては免責されないことがあります。借金の理由がギャンブルや浪費の場合や虚偽申告をして借入をした場合などがその一例です。

・職業制限がある
手続中、就けなくなる職業があるのも自己破産の特徴です。生命保険の営業(生命保険募集員)や警備員、士業に就いている場合、その職に就けません。

自己破産の適用条件

自己破産をするには下記の条件を満たすことが必要です。

・返済が不可能であることを裁判所に証明する必要がある
財産や家計収支を提示して、裁判所に返済ができないことを認めてもらう必要があるため、家族と暮らしている場合、同居家族の理解と協力を得られるかも重要です。

・自己破産の費用が払える
自己破産をするにも費用がかかります。弁護士や司法書士に支払う費用、管財事件になった場合には、管財人に支払う費用がかかります。

分割でいい事務所がほとんどだとは思いますが、それでも支払えない場合は、法テラスに相談してみるといいでしょう。

・2回目の破産の場合、7年以上経過している
2回目の自己破産の場合、7年以内は手続きができません。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る