債務整理

債務整理とわ?借金問題を解決する4つの方法と債務整理を考えるべき5つの理由

借金問題を解決する方法が債務整理です。
債務整理にはいくつかの方法がありますが、この記事では主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」の方法に焦点を当てて説明します。

また、なぜ債務整理を考えるべきなのかについても、詳しく解説していきます。
借金で困っている人にとって、どのような選択肢があるのか、分かりやすくお伝えします。

債務整理とは何か?

「お金を返すのが難しい…」
「これ以上お金を返すことはできない」

と感じている人にとって、生活を再建にするための方法が「債務整理」です。

債務整理とは、借金問題を解決するための方法です。これによって、借金を減らしたり、支払いの猶予をもらったりすることができます。

対象となる借金は、銀行や消費者金融での借金はもちろん、ATMでお金を借りるキャッシングやカードローン、クレジットカードで使いすぎたりリボ払いしたりすることで生じる借金も、整理をして少なくすることができます。

債務整理の意味と目的

債務整理とは、借金を少なくするために、法律を使って借金を整理することです。利息制限法や破産法などの法律を使って、借金を減額したり、返済を免除したり、支払いの期間を延ばしてもらったりする手続きです。これによって、借金を返すことが難しい人の経済状況を立て直すお手伝いをします。

債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」といった方法があります。これらを合わせて債務整理と呼んでいます。

債務整理の目的は、借金をしてしまって、返せない人の経済的な立て直しと、再スタートの支援です。

もしも、借金で失敗したからといって、一生返済を続けるように言われたり、二度と誰からもお金を借りられないということになれば、誰もお金を借りてチャレンジをしようと思えなくなりますし、それは社会全体にとっても不利益です。
ですから、法律をちゃんと整備しているのです。

債務整理は多くの人が利用している

「債務整理をするのはほんの少しの人だけかもしれない…」
と考えているかもしれませんが、安心してください。債務整理は多くの人に利用されている方法です。

実際、債務整理を利用している人はたくさんいます。裁判所を通して行う「自己破産」という手続きは、年に約7万人ほどが利用しています。
また、「個人再生」という手続きは年に約1万人ほど利用しています。

さらに、裁判所を使わない「任意整理」は、正確な数はわかりませんが、年に約200万人ほどが利用していると推定されています。

特に任意整理は、裁判所を通さずに直接金融機関などの借りた人と話し合う方法です。だから、比較的使いやすい方法といえるでしょう。

債務整理手続の4つの方法

債務整理には、主に4つの種類があります。
・任意整理
・個人再生
・自己破産
・特定調停

それぞれの手続きは、借金の問題を解決するための方法で、いずれも有効な方法です。ただ、別々の手続きであることから、条件や特徴、効果、メリットとデメリットは違います。

また、借金の問題を抱えているからといって、どの方法でも自由に選べるわけではありません。だからこそ、債務整理の種類ごとの特徴を理解し、自分にぴったりの方法を選ぶことが大切です。

借金を楽に返せるようにする「任意整理」

まず、任意整理という方法があります。
前に説明した4つの方法の中でも、一番よく使われているのは「任意整理」です。

任意整理は、弁護士や司法書士を通じて、お金を貸してくれた人(債権者)と話し合い、利息を減らしてもらったり、支払いを少しずつにすることで、毎月のお金の返し方を楽にするように合意をする方法です。

任意整理は、「毎月のお金の返済がもう少し楽なら、返すことができるのに…」と思っている人に向いている方法です。

任意整理のメリットは、支払いが楽になるということだけではありません。
任意整理以外の方法は、裁判所を通じて行う方法が多く、裁判所への申し立て以降も、複雑な手続きが必要です。さらに、まだローンが残っている車や家がある場合は、引き揚げや競売をされてしまうこともあります。

しかし、任意整理は、裁判所を通さずに進めるので、早く問題を解決するのが比較的簡単です。また、借金の一部だけを整理することも可能です。そのため、「車が必要で債務整理ができない」という人でも、安心して利用できるのです。

ただし、注意が必要なポイントもあります。

まず、任意整理をすると信用情報に事故情報が記録され、しばらくの間は新たな借り入れやクレジットカードの契約がしにくくなる可能性があります。また、一度任意整理を行った会社では、社内ブラックに該当するため、再び借金することは難しいこともあります。そして、任意整理の目的は返済を楽にすることで、借金の元金や返済額は大きく減らすことはできません。

とはいえ、借金の支払いが遅れると債務整理をしなくてもブラックリストに載ることになります。それに、債務整理は借金問題を解決する手続きですが、同時に将来の生活を整えることも大切です。

返済が楽になるため、自力で返済するよりも債務整理をする方が、負担を減らしながら、短い期間で借金を返せるメリットがあります。

自宅を残したまま借金を減らす「個人再生」

「個人再生」とは、債務整理の一つであり、裁判所に申し立てを行い、借金を大幅に削減してもらい、その借金を3年から5年の間に分割して返済する手続きです。

個人再生は、自己破産と同じように、裁判所が関与する大規模な手続きですが、いくつか異なる点も存在します。

個人再生の利点は以下の通りです。
・借金が元の金額の最大10分の1まで減額できることがある
・借金の理由はあまり問題にならない
・基本的には住宅などの資産を手放す必要がない
・手続き中は職業や資格に制約がかからない

例えば、自宅を所有している場合、自己破産の際には住宅を売却しなければならないことがありますが、個人再生の場合、一定の条件を満たすと住宅を維持できることがあります。

また、自己破産では、借金の原因がギャンブルや浪費だと免責されないことがありますが、個人再生ではこの点がほとんど問題になりません。

しかし、個人再生には以下のような注意点もあります。
・保証人(共同保証人)も責任を負う場合がある。
・手続きが複雑で時間と費用がかかることがある。
・信用情報に影響を及ぼすことがある。

個人再生は、法廷を介して行う債務整理の手続きであり、借金の減額が可能です。しかし、個人再生は借金をすべて無くすわけではなく、返済を前提とした手続きです。そのため、将来の収入が確保されることが必要です。

また、個人再生を進めると、保証人も返済の責任を負うことになります。保証人がいる場合、その人も影響を受ける可能性があるため、慎重に検討し手続きを進めることが重要です。

借金の支払い義務をなくす「自己破産」

自己破産は、裁判所で特別な許可を受けることによって、借金が免除され、支払いの義務が消えるという手続きです。自己破産も個人再生と同様に、裁判所を通じて行われます。

もし裁判所から「免責決定」が下されれば、税金や養育費などの「非免責債権」を除いて、全ての借金がなくなります。ただし、「免責不許可事由」がない限り、ほとんどの場合で免責が認められます。免責不許可事由は、例えばギャンブルや無駄遣いによる借金などの場合を指します。

一方、個人再生では借金自体は免責されませんが、自己破産なら免責が認められると、借金を返済する必要はありません。
そのため、多くの借金があり、それを返済するのが難しい場合や、生活が大変な状況にある場合に、自己破産が利用されます。

ただし、自己破産では、借金をなくす代わりに家や車などの貴重な財産を手放すことが必要です。また、信用情報にも影響を及ぼすことも、他の手続きと同様です。

さらに、自己破産に特有の制限として、職業制限が挙げられます。
これは、自己破産の手続き中には、一定の職業には就くことができないという制限がかかります。

裁判所を使って返済計画を作る「特定調停」

特定調停というのは、裁判所を通じて進められる債務整理の手続きです。裁判所の専門家が仲裁役となり、借金の返済条件や借金をどうするかについて話し合い、解決を図るものです。

特定調停では、弁護士や司法書士に依頼せずに個人で行うことが出来ます。そのため、報酬を支払う必要はありません。ですから、お金を節約することができるというメリットがあります。

ただし、特定調停にも注意が必要な面があります。
例えば、特定調停を選ぶ人は、裁判所とのやり取りを自分で行う必要があるため、時間や労力が必要です。また、調停の結果が必ずしも良くない場合もあるため、慎重に考えることが重要です。支払いが遅れると、お金を取り立てられる可能性もあるため、気を付ける必要があります。

さらに、手続きの過程で家族に知られる可能性や、調停がうまく進まない場合や不利な条件が提示される場合もあります。

ちなみに、特定調停の結果は、任意整理という手続きの結果に似ていることが多いです。ただ、任意整理は専門家に手続きを頼むため、安心感があります。そのため、特定調停を選ぶ人はあまり多くはありません。

債務整理を考えるべき5つの理由

【理由1】借金が減る

借金が減ることで、毎月のお金の支払いが楽になります。
そして、借金を完済することで、自分の信用が向上することもあります。信用が上がることで、住宅ローンを組んだり、車を買ったりするのにも役立ちます。借金がなくなることで、将来の夢や目標を実現する道が広がる可能性もあります。

さらに、借金の重荷から解放されることで、気持ちも楽になることがあります。借金の心配が軽減されるので、前向きな気持ちで新たなスタートを切ることができるでしょう。自分の未来を明るくするための一歩となることでしょう。

総じて言えることは、債務整理は借金問題を解決する大きな一歩であるということです。

【理由2】返済が楽になる

借金が減ると、支払いが楽になります。
例えば、任意整理の場合、元本だけを返済すれば良いので、利子を払う必要がなくなり、返済期間が短くなったり、毎月の支払額が少なくなることがあります。

自己破産では支払いが免除されますし、個人再生では借金が減るので、毎月の支払い額が減少することが多いです。
返済が楽になり、生活にゆとりが生まれることで、貯金を作ったり、生活費に多くを回すことも可能となる場合があります。

【理由3】取り立てを止められる

多くの借金がある人にとって、しつこいお金の取り立てに対処するのは難しいことです。お金を返すのが難しいだけでなく、取り立てによってさらに体や心が疲れてしまうことがあります。

そこで、債務整理のメリットの一つに、取り立てを止められるということが挙げられます。
つまり、弁護士や司法書士に債務整理を頼むと、クレジットカード会社や貸金業者などからのお金の取り立てが、手続きが終わるまで止まるということです。

弁護士や司法書士に債務整理を頼むと、クレジットカード会社や貸金業者などの貸金業者に対して、「手続きが終わるまでお金の取り立てを止めてほしい」という通知を出してくれます。これを、受任通知と言います。

受任通知を受けたクレジットカード会社や貸金業者などのお金の相手は、法律で定められた通り、お金の取り立てを一時的にやめなければなりません。債務整理を通じて取り立てがしばらくの間止まることで、気持ち的にも楽になり、お金の問題を前向きに整理することができるでしょう。

【理由4】法的措置や強制執行を止められるかも

債権者から督促や裁判などの動きはあるけれども、実際には給与や口座の差し押さえはまだ行われていない場合、弁護士や司法書士を通じて、任意整理を進めて分割で支払う方法を取り決めることで、給与や口座の差し押さえを防ぐことができることがあります。

また、自己破産や個人再生に関しても、早く裁判所に申し立てて開始決定を得ることで、給与や銀行口座の差し押さえをされる前に中止することができます。

また、すでに給与の差し押さえが行われている場合であっても、同時廃止事件の自己破産や個人再生の場合、開始決定が出ると差し押さえ手続きは中断され、債権者への支払いが止まります。

法的措置や強制執行を止められるかどうかは、「行動の早さ」で決まります。
裁判をされる前に任意整理を依頼してもらえば、そもそも裁判にならず、または裁判中には話をまとめられることが多いです。
また、個人再生や自己破産の場合であっても、判決が確定する前に裁判所に手続きの申し立てを行うことで、差し押さえを回避できる可能性があるのです。

支払が滞ったり、借金が払えない状態でまずいと思ったら、放置することなく、素早く弁護士や司法書士に連絡を取り、相談、依頼することを検討してください。

【理由5】借金のストレスが軽くなる

日本で自殺する人の中で、5人に1人はお金の問題が原因だと言われています。借金やお金に関するトラブルが増えると、未来が暗く思えてしまい、そのストレスは自殺につながってしまうほどの重圧となることもあり得るのです。

そこで、弁護士や司法書士に助けを求めて債務整理をすると、様々なストレスの軽減につながります。例えば、債権者からの連絡はすべて弁護士や司法書士に対応してもらえます。煩わしい催促や通知の心配がなくなり、借金の取り立てから解放されるようになるのです。

それに、毎月決まったお金を用意するだけで、決まった期間で借金を返済することができるのですから、「5年返済すれば借金がなくなる」というような、借金完済への展望が開けます。

その結果、
「借金はいつになったら完済できるんだろう?」
「今の生活がいつまで続くんだろう?」
「今は元気だけど、5年後はどうなるか分からない。でも借金があるから不安だ」
というようなネガティブな気持ちも軽減されます。

債務整理は、いろんなストレスを軽くしてくれて、将来に不安を抱く気持ちを減らしてくれます。債務整理はあなたの負担を軽くし、将来の借金完済への期待を醸成してくれる大切な手段なのです。

おすすめの債務整理手続きの選び方とは?

ここまで、債務整理とはどんな手続きか、どんなメリットがあるかを解説してきました。
もしかすると、「債務整理のメリットはわかったけれど、どの手続きが自分にとって最適なのか、選び方が分からない」とお考えの方もおられるかもしれません。

そこで、以下では、債務整理の選び方について、一例を挙げて説明していきます。

債務整理の選び方のポイントは
・返済の元手が準備できるか?
・債務整理に求める効果
・回避したいと考えているデメリット

を明確化することです。

つまり、借金の現状と、あなたのニーズや目的を考慮して、問題点は可能な限り回避し、メリットをちゃんと享受できる手続きが、最も良い手続きだと言えるということです。

任意整理がおすすめの人

・借金が高額すぎない人

元金を返すという性格上、借金が非常に高額で、たとえ返済計画を見直しても支払いが困難な場合は、他の手続きを検討した方が良いでしょう。

・収入が安定している人

任意整理は収入が安定しており、返済に充てる余裕のある人にとって適しています。
「少し返済が楽になれば返せるから、返済期間を延ばしてほしい」
「元金はきちんと返すから、利息はなくしてほしい」ということを、債権者に認めてもらう手続きだからです。

・柔軟な対応を求める人

自己破産や個人再生では、借金はすべて対象にしなければならず、債務整理をしたら引き上げをされてしまう自動車ローンや、競売の対象となる住宅ローンも対象となってしまいます。また、知人や友人、親族から借金をしていたり、保証人を頼んでいる場合は、彼らも債務整理の対象となります。

さらに、同居している家族の収支報告が必要となることもあり、家族に内緒で手続きを行うことは難しいと言えるでしょう。

一方で、任意整理では、手元に残したい財産や家族への影響など、個々の状況に応じた柔軟な対応が可能です。そのため、「どうしても家族に言えない」「祖父を保証人にして自動車ローンを組んでるから、おじいちゃんに迷惑を掛けたくない」というような要望にも柔軟に応じられるのです。

個人再生がおすすめの人

・借入金額が大きい人

個人再生では、最低100万円から最大で元本の10分の1までの減額が可能です。返しきれるか自信がないほどの多額の借金を抱えている場合には、個人再生がおすすめです。

・一定以上の安定した収入がある人

個人再生は、裁判所に認めてもらった再生計画に基づいて、3年程度の返済を行う必要があります。そのため、安定した収入が見込める方でなければ、個人再生が途中で失敗する可能性があります。

・住宅を手放したくない人

個人再生では、住宅ローンの支払いが残っていても、特例を活用して自宅を保持しながら他の借金を減額できます。住宅を手放したくないという希望がある場合は、まず個人再生を検討するのが良いでしょう。

自己破産がおすすめの人

・借金が膨れ上がっている場合

任意整理や個人再生では借金を縮小させることは可能ですが、それでも返済が困難な状況であれば、自己破産を検討すべきでしょう。

任意整理や個人再生では支払きれないほど借金がある場合、具体的には、年収を越えてしまうほどの借金がある場合、第一に検討すべきは自己破産になるでしょう。

・収入が安定しない仕事の人

他の手続きは、返済を必要とするというのは、何度も申し上げきました。つまり、任意整理や個人再生は、決められた計画に従い、返済が出来ることが必須なのです。

逆に言うと、現在の収入がない方や輸入が著しく低い方、無職の方、生活保護を受給している方などは、自己破産が適切な解決策となります。

まとめ

債務整理とは、借金を支払いやすい状態にしたり、返済を免除してもらうための法律的な手続きのことです。

債務整理には任意整理、自己破産、個人再生といった手続きがあり、それぞれ、手続きや利用条件、メリットやデメリットが異なります。

債務整理のメリットは、借金が減り、返済が楽になるだけでなく、取り立てが止まり、法的措置や強制執行も防げる可能性があること、そして、借金完済に向けての道筋が見えることで、借金のストレスが軽くなる点です。

そして、債務整理を選ぶ際のポイントは、返済の元手の準備が可能か、債務整理に期待する効果、避けたいデメリットを明確にし、借金の現状とあなたをニーズを満たせるような最適な手続きを選ぶことを考えるべきです。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る