過去に債務整理をしたことがあるものの、また返済が苦しくなってしまうことがあるかもしれません。
そんな時、もう一度債務整理をすることはできるのでしょうか。
今回は、2回目の債務整理は可能なのかについて解説していきます。
また、2回目の債務整理における注意すべきポイントや、できない場合はどうすべきなのかについても紹介します。
債務整理はもう一度できるのか
さて、それでは、過去に債務整理手続きをしたことがある人が、もう一度債務整理手続きをすることはできるのでしょうか。
任意整理の場合
再和解は、以前任意整理をした業者と同じ業者を相手に交渉する場合になります。以前手続きした相手とは違う相手に任意整理手続きを行う場合は、通常の任意整理です。
一度任意整理をしたものの支払いが滞った場合、再度同じ手続きをすることができます。手続きは再和解と呼ばれています。
相手の業者からすれば、一度譲歩している債権です。利息分をカットしたり返済期間を長くしてあげたりした覚えがあります。それにも関わらず、返済の約束を守ってもらえなかったのです。当然、債務者に対する目はより厳しくなっていることは覚悟しなければなりません。
そのため、和解はできても最初の条件より厳しくなってしまう可能性はあります。
また、再度和解をするかどうかは業者の判断に委ねられています。そのため、場合によっては応じてもらえないということもありえます。
とは言っても、それを恐れて最初から手続きをしないのはますます良くありません。
返済の期限を過ぎると、遅延損害金というものが発生します。これは返済しない限りどんどん増えていきます。
そして再和解の場合、遅延損害金の部分は減額に応じてもらえない可能性があります。
そのため、遅延損害金がこれ以上膨れ上がる前に、一刻も早く手続きに移りましょう。
個人再生の場合
個人再生は、裁判所での手続きです。そのため、条件を満たしてさえいればもう一度手続きをすることはできます。
再生計画通りに返済ができた場合に、残りの借金の返済が免除されるという手続きです。
再生計画通りの返済ができなかった場合は、減額されていた借金が元に戻っています。再度手続きをする際は、元に戻った分を含めて再度再生計画を作成しなければなりません。
また、個人再生の手続きは、細かく2つの手続きに分かれています。
基本的には小規模個人再生と呼ばれる方で手続きをしている人が多いです。しかし、中には給与所得者等再生という手続きをしている人もいます。
給与所得者等再生は、安定した給与収入が見込める人にしか手続きができません。
小規模個人再生より返済義務のある額が大きくなることが多いです。しかし、債権者の意思に関わらず手続きをすることができるというメリットがあります。
つまり、会社員など安定した給与収入のある人で、なおかつ小規模個人再生では成立できないほど債権者から反対されている、もしくは反対される見込みの高い人だけが選択する方法です。
この給与所得者等再生によって手続きをした人に関しては、再度手続きが可能になるまで7年かかります。
給与所得者等再生をしたことのある人は、このような注意点があります。
自己破産の場合
自己破産についても、条件を満たせば再度自己破産手続きをすることは可能です。ただし、条件は厳しくなります。
まず、以前の手続きで免責の許可が下りた日から7年以内の場合は、原則として手続きができません。
やむを得ない事情があると認められた場合にのみ例外として認められることもあります。しかし、そのようなケースはほとんどないと言えます。そして、理由も重要です。
基本的に、以前の手続きと同じ理由による自己破産はできません。反省しておらず再度繰り返すとみなされるためです。
そのため、もう一度自己破産を検討する時には、自分の収支状況をより一層見直し、二度と同じことは繰り返さないという決意をもって手続きをする必要があります。
できない時は?
このようにもう一度債務整理をするということは、可能ではあるものの、以前より条件は厳しく、難しくなります。
そのため、条件を満たすことができず、以前と同じ手続きができないかもしれません。
そんな時はどうしたらいいのでしょうか。
闇金など無理な借金をするのはNG
手続きが難しいからといって、どうにかお金を確保しようと借金を重ねることはお勧めできません。
単純に借金が膨れ上がりより苦しくなるだけでなく、別のリスクも生じます。
任意整理や個人再生で手続き後、完済できていない、もしくは完済後間もないという状況では、信用情報機関にはまだ手続きをしたという情報が載ったままです。
この状態で貸付をしてくれる貸金業者はほとんどいません。大手の業者では、ほぼゼロと言えるでしょう。
そういった状況で甘い言葉をかけてくるのが、いわゆる闇金と呼ばれる違法な業者です。
審査は必要ない、働いていなくても大丈夫などと響きの良い宣伝文句で借り入れをするように勧誘してきますが、ここで借り入れをしてしまうと後が大変です。
法外な高い利息で返済を迫られ、返済できなければ厳しい取り立てを受けます。
カードや携帯電話の名義貸しを求められ、気付かぬうちに犯罪に協力させられていたというようなこともありえます。
別の手続きへ切り替える
借金を重ねてはいけないと言っても、それだけでは今の状況はどうにもなりません。
最も有効な手段としては、債務整理の別の手続きに切り替えられないか検討してみるということが挙げられます。
任意整理をしてみたがやはりまだ返済が苦しいという時は、より返済額が減る個人再生、もしくは返済義務がなくなる自己破産を検討すべきです。
個人再生をしてもやはり返済ができないのであれば、返済義務のなくなる自己破産を検討すべきです。
再度の自己破産ができない時は、ある程度の返済能力があれば、任意整理か個人再生であれば手続きができるかもしれません。
このように、以前行った手続きとは違う手続きを行うことによって、事態が好転する可能性はあります。
弁護士・司法書士に相談する
前回の手続きの時にも弁護士・司法書士に依頼や相談をしたかもしれません。その時と同じところでも違うところでも、やはり専門家に相談することが大切です。
以前債務整理手続きをしたにもかかわらず、再度手続きが必要な状態になってしまったということは、最初に選んだ手続きが合っていなかったのかもしれません。
もしくは、最初に手続きをした時はその手続きで合っていたのかもしれません。しかし、その後何らかの理由で状況が悪化してしまったということも考えられます。
自己判断で手続きをしても、また同じ状態を繰り返すことに繋がりかねません。
まずは弁護士・司法書士に相談し、以前債務整理手続きをしたということも含めて現在の状況を話しましょう。
解決策について提案してもらえるはずです。
債務整理をするためのポイント
今回は、以前債務整理手続きをした人が、もう一度債務整理手続きをできるのかどうかについて解説しました。
最後に、債務整理手続きをしたことのある人、ない人に関わらず、債務整理手続きをする上で大切なポイントについてお話します。
自分に合った手続きを選ぶ
債務整理の3つの手続きは、それぞれやることが異なります。他の手続きと比べたメリットや、他の手続きにはない注意すべき点があります。
そのため、自分の状況と意向に合った手続きを選ばなければなりません。
返済をする余裕がないのに任意整理や個人再生を選ぶと、結局返済が苦しくなります。再度手続きをしなければいけなくなるかもしれません。
反対に、ある程度の返済ならできる余裕があるのに自己破産を選ぶと、その必要はないにも関わらず持ち家や土地、車などの財産を失うことになってしまいます。
このように、債務整理手続きと一言で言っても、手続きの効果は全く変わってきます。
弁護士・司法書士に依頼するメリット
弁護士・司法書士を頼るメリットは、様々あります。専門家の知識を活かして手続きを選んでもらえることだけではありません。
任意整理の場合、相手業者との交渉をしなければなりません。
貸金業者は利息によって利益を得るという事業をしています。そのため、本来は減額に応じたくはありません。過去に一度減額を認めた相手であればなおさらです。
その業者を相手に、減額を認めてもらえるように交渉をすることになりますので、当然簡単ではありません。
個人再生や自己破産の場合は、裁判所での手続きです。裁判所に提出するための書類の作成や、裁判所から選ばれる個人再生委員や破産管財人とのやり取りも必要です。
弁護士・司法書士に依頼すれば、これらの手続きを全て代わりに行ってもらえるのです。
債務整理は、今後の生活を左右する重要な手続きです。専門家の力を借りて必ず成功させ、今後の暮らしを立て直しましょう。