債務整理

債務整理をすると住宅はどうなる?気になる影響と対策方法を解説

住宅ローンを抱えながら債務整理をすることは可能なのでしょうか? 住宅は生活の基盤であり、手放すことは容易ではありません。しかし、借金の返済に行き詰まってしまった場合、どのような選択肢があるのでしょう。

ただし、住宅ローンがあっても、工夫次第で債務整理をすることができるのです。

銀行との交渉、任意整理、個人再生など、状況に応じたアプローチ方法が存在します。ただし、それぞれにメリットとデメリットがあり、注意すべき点も多くあります。

場合によっては、住宅を手放して再スタートを切ることも選択肢の一つかもしれません。任意売却や自己破産といった方法も視野に入れる必要があるでしょう。

本記事では、住宅ローンを抱えた方が取るべき債務整理の方法について、詳しく解説していきます。

この記事でわかること💡

住宅ローンを債務整理するとどうなるか?

住宅を残しながら債務整理をする方法

その際の注意点等

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住宅ローンを債務整理するとどうなる?

基本的な流れは住宅ローンの支払いができなかった場合と同じ

最初に結論を言うと、住宅ローンを債務整理した場合の流れは、住宅ローンの支払いができなかった場合とほぼ同じです。つまり、強制競売に掛けられて、住宅を失うこととなるのです。

住宅ローンの支払いが難しくなると、まず銀行から督促状が届きます。その後、分割で支払う権利を失う「期限の利益の喪失」という事態に陥ります。
この時点で、保証会社があなたの代わりに銀行へ支払いを行います。これを「代位弁済」と呼びます。しかし、これは借金が消えるわけではありません。
保証会社は支払った金額の返還を求めてきます。もし返済できない場合、保証会社は担保となっている住宅の競売手続きを始めます。
つまり、債務整理をしても、結局は住宅を手放さなければならないケースが多いのです。これは住宅ローンが不動産を担保にした借金だからです。

そこで、最初に、住宅が競売に掛けられるまでの流れを見ていきましょう。

銀行から一括返済を求められる

まず、住宅ローンの支払いが遅れると、銀行からの対応は段階的に厳しくなっていきます。最初は督促状や電話、で始まり、最終的には住宅の競売という結果になることもあります。
住宅ローンの支払いが3ヶ月以上遅れると、支払いが遅れているという事実は、信用情報機関に登録されます。これは一般的に事故情報やブラックリストと呼ばれるもので、今後の借り入れに大きな影響を与えます。

そして、滞納が半年程度続くと、銀行はローンの分割払いの権利を取り消します。これは「期限の利益の喪失」と呼ばれる措置です。(民法第137条を参照)

期限の利益とは、債務者は債権者に対して、返済の期限が到来するまで返済をしなくてもよいという権利、利益のことです。例えば、毎月〇日に×万円を払う、という約束がそれで、〇日以前に債務者が任意で払うことは問題ありませんが、〇日を越えるまでは、債権者は早めに支払えなどと言うことが出来ないのです。

この期限の利益を喪失した場合、分割払いを認められなくなります。この時点で、残りのローン全額を一度に支払うように求められてしまうのです。

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ちなみに、債務整理の場合は、受任通知の到着により、期限の利益の喪失とされています。

そのため、この先の流れはほとんど同じになります。

保証会社に債権が移る

次に、重要な役割を果たすのが保証会社です。保証会社は、あなたが住宅ローンを借りる際に支払った保証料で運営されています。一般的に、借入額の年間で0.2%程度が保証料に充てられることが多く、住宅ローンとして3000万円35年契約で借り入れる際には、保証料は約80万円になります。

ただし、これで借金がなくなるわけではありません。保証会社は支払った金額の返還を求める求償権という権利を持ちます。以後、銀行と直接のやり取りをするのではなく、保証会社とやり取りをするようになるのです。

ちなみに、この代位弁済も、信用情報機関に登録される情報の一つであり、いわゆる事故情報の一つとされていますので、代位弁済が行われると、新たなローンを組んだり、クレジットカードを作ったりできなくなる場合があります。

強制競売から強制退去へ

保証会社からの求めに応じて、一括返済をできれば問題はありません。問題は、返済できない場合です。

その場合、最終的に住宅は競売にかけられることになります。

住宅ローンが返せなくなると、最終的に競売という厳しい現実に直面することがあります。ここでは、裁判所HP「不動産競売手続について」を参照しつつ、競売手続きの具体的な流れを説明します。

まず、住宅を担保にした住宅ローンの返済が滞ると、保証会社は差押えの登記を行います。これは、あなたが住宅を勝手に売却できないようにするための措置です。
その後、保証会社は裁判所に競売の申立てを行います。申立ては、不動産がある地域の地方裁判所で行われます。裁判所はこの申立てが適切かを確認します。
申立てが認められると、裁判所から「競売開始決定通知」が届きます。この通知には、競売になった理由や不動産の詳しい情報、借金の金額などが書かれています。

次に、裁判所の執行官が住宅の調査に訪れます。不動産鑑定士と一緒に、建物の外観や室内を写真に撮り、売却価格を決めるための調査を行います。調査は30分程度で終わります。
なお、この調査を拒否することはできません。拒否した場合、執行官には鍵を壊してでも立ち入る権限が与えられています。

調査後、裁判所は売却のための資料(物件明細書、現況調査報告書、評価書 いわゆる三点セット)を作成します。これらの資料は、購入希望者が閲覧できるようになります。

そして、裁判所が評価人の評価に基づいて定めた売却基準価額から10分の2に相当する額を差し引いた価額(買受可能価額)以上の金額の入札があった場合、売却が成立します。

最後に、売却代金は法律で定められた順番に従って配分されます。住宅ローンなどの抵当権がある借金が優先され、その後に他の借金が平等に扱われます。

競売は通常、住宅ローンの滞納から10~12ヶ月後に始まります。

ここまでのまとめ~住宅ローンの債務整理と競売の現実~

ここまで、住宅ローンの債務整理から競売までの流れを詳しく見てきました。重要なポイントを整理しましょう。

住宅ローンの債務整理を行ってしまうと、住まいを失うリスクが高いのが現実です。これは住宅ローンが不動産を担保にした借金だからです。

通常、債務整理の開始を通知した段階で、「期限の利益の喪失」により、銀行から住宅ローンの一括返済を求められます。続いて保証会社による代位弁済が行われ、最終的に競売手続きへと進むことになります。

競売までの期間は、通常、滞納開始から10~12ヶ月程度です。その間、差押えの登記や裁判所による物件調査など、具体的な手続きが進められていきます。

ただし、このような厳しい結果を避ける方法がないわけではありません。適切な対策や早めの行動を取ることで、住宅を守れる可能性もあるのです。

次の章では、具体的に「住宅を守る方法」について解説していきます。任意売却や個人再生など、状況に応じた選択肢を詳しく見ていきましょう。これらの方法を理解することで、より良い解決策を見つけることができるかもしれません。

住宅ローンの残っている自宅を処分せずに債務整理するために【3つの方法】

多くの人々は債務整理を行うことで、自宅を失いたくないと考えているのではないでしょうか。自宅は大切な資産であり、なんとか残す方法があれば当然に残したいと考えるのは自然なことです。

では、残債があるの住宅ローンを、自宅を手放さずに債務整理を行う方法は存在するのでしょうか。代表的な方法としては、以下の三つがあります。

①銀行との直接交渉(リスケジュールの申請など)

住宅ローンの返済に困った際には、まずは銀行と直接交渉をすることを考えてみてはどうでしょうか?

銀行には「リスケジュール」という助けになる制度があるからです。リスケジュール(略して「リスケ」)とは、住宅ローンの返済方法を見直して、毎月の支払いを楽にする方法です。

例えば、日本の最大手銀行の一つである三菱UFJ銀行では「ご返済条件の変更」に応じている旨を広告しています。また、同じく最大手銀行の一つであるみずほ銀行でも、「住宅ローンご利用中の金利変更」などを通じて、リスケジュールに応じています。

銀行と相談しながら、あなたの状況に合わせて返済プランを組み直すことができます。

リスケジュールの5つの方法

銀行では、一般的には、以下の方法で返済プランの見直しに対応しています。

  1. 借入期間を延ばす方法
    • 返済期間を長くすることで、1回あたりの支払い金額を減らすことができます。
  2. 一時的に返済額を減らす方法
    • 決められた期間だけ、毎月の支払い金額を少なくすることができます。
  3. 元金の支払いを待ってもらう方法
    • 一定期間、借りたお金(元金)の返済を待ってもらい、利息だけを支払います。
  4. ボーナス返済を見直す方法
    • ボーナス時の大きな支払いが負担な場合、毎月の返済に振り替えることができます。
  5. 金利方式の選択・切り換え
    • 金利方式の切り替えにより、返済額の見直しをすることができます。

リスケジュールのメリット

リスケジュールには、主に2つの良いところがあります。
まず1つ目は、当面の支払いの負担が軽くなることです。たとえば、毎月12万円の返済が9万円になるだけでも、家計の余裕が生まれます。

2つ目は、予期せぬ出費に対応できることです。例えば、

  • 子どもが私立学校に通うことになった
  • 家族の医療費が必要になった
  • 車の買い替えが必要になった

というような大きな出費は、意外なタイミングで飛び込んでくるものです。その際に、一時的に返済を楽にしてもらうことにより、状況の立て直しに繋がるのです。

注意が必要なポイント

ただし、リスケジュールにはいくつか気をつけることがあります。
まず、支払いが免除されるわけではないということです。そして、返済期間が延びることで、支払う利息の総額は増えます。
また、住宅ローンを借りてから1年以内の場合やこの1年間で返済が遅れたことがある場合には、リスケジュールを利用できないこともあります。

また、リスケジュールの際に、家族に保証人になってもらうよう銀行から求められることがあります。これは慎重に検討する必要がありますが、できるだけ家族を巻き込まないようにしましょう。特に、若い社会人のお子さんを保証人にすることは避けるべきです。家族の将来に大きな影響を与える可能性があるからです。

最後に、支払いの見直しは、あくまでも一時的な対応策であることを忘れないようにしましょう。

債務整理しないで借金を完済する方法!自力での完済できるかの判断基準」でもご紹介しました通り、まずは返済に回せるお金を確保することが肝心です。返済能力を高めることが、借金問題解決のために有効であるということです。リスケジュールを行う際には、月々の返済額を増やすために、収入アップと支出カットに取り組み、長期的な解決策も併せて考えることが大切です。

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②任意整理

任意整理とは

任意整理は、借金の問題を解決する方法の1つです。弁護士や司法書士に依頼して、借金の利息を無くしたり、返済計画を立て直したりする方法です。

例えば、消費者金融から100万円借りている場合を考えてみましょう。
多くの大手消費者金融の年間利息は約15%で設定されており、多額の利息を支払わなければなりません。そのため、毎月の返済のほとんどが利息となって、借りたお金(元金)が全く減らない状況が起こります。(参照「「【必見】借金がいくらまでなら完済可能?債務整理が必要?金額別で紹介」」)
任意整理を使えば、この利息をゼロにできます。元金だけの返済となるため、返済が進みやすくなります。また、返済計画は3~5年の分割払いにすることが多いです。毎月の支払い金額を減らすことができるので、返済が楽になります。

【必見】借金がいくらまでなら完済可能?債務整理が必要?金額別で紹介借金の返済に苦しんでいる方は多いですが、いくらくらいの借金があれば債務整理を検討した方がよいのでしょうか?借金の金額によって、おすすめの債務整理の方法も変わってきます。 本記事では、借金の金額別に自力返済が可能かどうか、債務整理が必要かどうか、それぞれの金額域でおすすめの債務整理方法をご紹介します...

住宅ローンがある場合の対応方法

任意整理の一番の特徴は、どの借金を整理の対象にするか、自由に選べることです。

消費者金融からの借金だけを対象にして、住宅ローンは今まで通り返済を続けることができます。住宅ローンがある方が任意整理をする場合、以下の3つの方法があります。

  1. 住宅ローンを対象から外す
    • 消費者金融などの借金だけを任意整理の対象にします。
  2. 銀行から同意をもらう
    • 住宅を手放さずに債務整理ができるよう、銀行と話し合います。
  3. 法的な手続きを使う
    • 法律で定められた方法で、住宅ローンを残したまま債務整理を進めます。

このうち、1番目と2番目の方法が任意整理で可能です。

任意整理の注意点

ただし、任意整理の注意点を考慮する必要もあります。当サイトの記事「債務整理はデメリットがやばい?債務整理のデメリットと影響を解説!」でもご紹介した通り、以下のようなデメリットがあることは考慮するべきでしょう。

  1. 元金は全額支払う必要がある
    • 自己破産や個人再生と違って、カットされるのは利息の部分のみであり、借りたお金自体は全額返さなければなりません。
  2. 銀行の判断次第の部分がある
    • 住宅ローンを残して他の借金だけを整理したい場合、銀行の同意が必要です。必ずしも希望通りにならないことがあります。
  3. 新しい借り入れが難しくなる
    • 任意整理をすると、信用情報に記録が残ります。その間は新しいローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることが難しくなります。また、今使っているクレジットカードも解約されたり、利用限度額が下がったりする可能性があります。

③個人再生

個人再生とは

個人再生とは、借金を抱えている人が裁判所を通して債務を整理する方法の一つです。この手続きを利用すると、債務総額を5分の1から10分の1程度まで減らすことができます。そして、減額後の残債務について返済計画を立て、それに従って支払いを進めていきます。

なお、具体的にどのくらいの借金が減額になるかについては、当サイトの記事「個人再生ではいくら払う?最低弁済額の基準について解説します」をご参照ください。

個人再生ではいくら払う?最低弁済額の基準について解説します個人再生には、〈最低弁済基準〉、〈清算価値保障基準〉、〈可処分所得基準〉の3つの基準があり、返済額が決まります。基準は個人再生の種類によって適用が異なり、支払う最低弁済額に影響を与えます。この記事では、個人再生の最低弁済額の基準について、わかりやすく解説します。...

個人再生のメリット

個人再生の大きなメリットは、住宅を手放さずに債務整理ができる点です。つまり、自宅を維持したまま、住宅ローンの返済を続けながら、それ以外の借金を減らせるのです。

これは、個人再生の『住宅資金特別条項』という特別なルールのおかげです。この条項を使うことで、住宅ローンを個人再生の対象から外し、それ以外の借金を大幅に減額したり、分割払いにしたりできるのです。

差押えや競売も止められる
たとえ住宅が差し押さえられていたり、競売手続きが始まっていたりしても、個人再生の申立てをすれば、その手続きを一時的に止めることができます。これは、民事再生法第26条同法第197条で定められています。
ただし、競売を止めるには、いくつか条件があります。競売にかけられた不動産がまだ落札されていないことや、保証会社による代位弁済から6ヶ月以内に再生手続きの申立てをすることなどです。

また、不動産がすでに競売にかけられてしまった場合でも、競売にかけられた不動産が落札されておらず。保証会社が代位弁済を行った日から6ヶ月以内に再生手続申立てが受理される場合であれば、競売を止めることが可能です。

個人再生のデメリット

一方で、個人再生にはデメリットもあります。

まず、個人再生にはいくつか条件があります。将来の収入が安定していることや、再生計画を立てられることなどが求められます。

また、債権者と裁判所の承認も必要不可欠です。まず、手続きが複雑で面倒なこと。裁判所を介するため、提出書類が多く、手間と時間がかかります。
さらに、信用情報への影響も避けられません。個人再生の情報は最長7年間、信用情報機関に登録されます。その間は、新たな借り入れなどがしにくくなるかもしれません。

住宅資金特別条項の利用要件

住宅資金特別条項は、すべての住宅ローンで利用できるわけではありません。以下のような要件を満たす必要があります。

  1. 住宅ローンとしての借り入れ(住宅資金貸付債権)であること
  2. 再生申立人が所有する住宅であること
  3. 申立人が実際に住んでいる建物であること
  4. 住宅ローン以外の借金の担保になっていないこと
  5. 保証会社の代位弁済から6ヶ月以内に申立てをすること

1つ目の要件である住宅資金貸付債権とは、民事再生法・第196条に定義されているように、住宅の建設・購入・改良などに必要な資金を分割払いで借り入れたものであり、抵当権が設定されているものを指します。つまり、住宅の購入や建設、リフォームなどのために借りたお金のことを指します。その住宅に抵当権が設定されている必要があります。

2つ目と3つ目の要件は、申立人が所有し、実際に住んでいる住宅で、また、床面積の2分の1以上を居住用に使っているものである必要があるということです。(民事再生法第196条

つまり、所有者の居住用とは言えない、投資用のマンションやアパートなどは対象になりません。また、住宅を店舗や事務所などと兼用している場合、その床面積の半分以上が居住用用途で使用されている必要もあることにも注意しましょう。

4つ目の要件は、住宅ローン以外の借金の担保になっていてはいけないというものです。(民事再生法第198条)もし住宅ローン以外の債権者が抵当権を行使すれば、住宅が競売にかけられてしまうからです。この点、共同抵当権(一つの債務を担保するために複数の不動産に抵当権を設定するもの)がある場合には、当該抵当権を後順位抵当権者が行使することで住宅の競売手続を取られてしまい、家を守れなくなってしまうこととなります。

最後に、保証会社による代位弁済から6ヶ月以内に申立てをしなければなりません。(民事再生法・第198条2項)この期限を過ぎると、住宅資金特別条項は使えなくなってしまいます。


なお、複数の抵当権が設定されていると、「住宅ローン以外の担保にしていない」という要件を満たせないと判断されることがあるのです。

以上のように、個人再生と住宅資金特別条項を活用すれば、住宅を失うことなく債務整理ができる可能性があります。ただし、手続きが複雑で、様々な条件もクリアしなければなりません。また、「住宅資金特別条項の利用要件」は非常に複雑であることから、債務整理を得意とする専門家に相談をすることを強くお勧めいたします。

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住宅を手放していいなら自己破産や任意売却という選択肢もある

絶対に家を守りたい、ということを考えてしまうと、無理な返済計画を立ててしまい、結果として、生活が破綻してしまう可能性もあります。

そのため、住宅ローンやその他の借金の返済がどうしても困難な場合は、住宅を手放して、人生を再スタートするという選択もあり得るかと思います。

その際に取れる方法としては、任意売却自己破産があります。

任意売却は、債務者が住宅ローンの返済が困難になった場合に、債権者の同意を得て不動産を売却し、その代金を返済に充てる手続きです。

自己破産は、債務者が債務の返済が困難な状況になった場合に、裁判所に申し立てて債務の免責を受ける手続きです。

自己破産では、住宅ローンの返済が免責されますが、他の財産や資産も手放す必要があります。

一方で、任意売却では、住宅ローンで購入した不動産を手放すだけで、他の財産を処分する必要はありません。

自己破産手続きとは、通常の給与や報酬、保有している資産を現金化して清算しても、借金を完済することができない状態であることを裁判所に認めてもらい、借金の返済を免除するための手続きです。

自己破産が認められると、借金を返済しなくてもよくなるという強力なメリットがあります。

借金額が100万円、1000万円、または1億円であろうと、裁判所が許可すれば返済の免除を受けることができます。

一方で、自己破産にはいくつかのデメリットが存在します。

自己破産の手続きをする場合は一定以上の価値のある財産は、売却するなどして清算しなければなりません。

従って、手元に住宅を残すことはほとんどのケースでできないということには、注意が必要です。

もっとも、自己破産の場合は手元の財産等を清算、処分すれば、その他の借金の返済は免除されるため、借金を減額できる範囲は最も広くなります。

これにより、借金の負担から解放され、生活再建のための機会を得ることができます。

自己破産は「借金返済の最終手段である」という点では、注意も必要ですが、その効果は大きな魅力と言えるでしょう。

まとめ

住宅ローンを抱えたまま債務整理をするには、いくつかの方法があります。まずは、銀行との直接交渉を試み、リスケジュールによって返済プランを見直すことが有効です。また、任意整理を利用して、住宅ローン以外の借金を減額することも可能です。

個人再生の『住宅資金特別条項』を活用すれば、住宅を守りつつ、他の借金を大幅に減らせる可能性もあります。ただし、これらの方法にはそれぞれ条件やデメリットもあるため、注意が必要です。

状況によっては、住宅を手放して再スタートを切るという選択肢もあります。任意売却や自己破産を検討してみるのも一つの方法です。

債務整理は複雑な問題であり、専門家のアドバイスを受けることが重要です。弁護士や司法書士などの専門家に相談し、自分に最適な方法を見つけていきましょう。借金問題は必ず解決できます。希望を持って、一歩ずつ前に進んでいくことが大切なのです。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る