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債務整理

債務整理をすると住宅や住宅ローンにはどのような影響がある?気になる点を徹底解説します

債務整理をすると住宅を手放さなければいけない…
今後住宅ローンを組むことが出来なくなってしまう…

などの心配をされている方は多いのではないでしょうか。

住宅は生活に欠かせないものですので、債務整理を躊躇してしまう方も少なくないかもしれません。

では本当に、債務整理をすると住宅(住宅ローン)に影響は出てしまうのでしょうか。

結論をいうと、住宅を手放さずに債務整理をする方法はあり、債務整理が終わった後に住宅ローンを組むことも可能です。

この記事でわかること💡

✓ 住宅を残しながら債務整理をする方法

✓ その際の注意点等

債務整理をしたら住宅と住宅ローンはどうなる?

多くの方は債務整理を行うことで住宅を失いたくないと考えているのではないでしょうか。

住宅は大切な資産であり、なんとか残す方法があれば当然に残したいと考えるのは自然なことです。

ただ、残債務がある住宅ローンを債務整理の対象としてしまうと、住宅は保証会社により競売の対象とされてしまいます。

では、自宅を手放さずに債務整理を行う方法は存在するのでしょうか。

以下にて、3つの債務整理の手続ごとに解説していきます。

任意整理の場合

「任意整理」とは、消費者金融などの債権者との間で金利の再調整や借金の削減を交渉し、支払い負担を軽減するための債務整理方法です。

この方法は裁判所を介さずに行う点で、自己破産や個人再生とは大きく異なります。

任意整理では、手続きを進める債権者を自分で選ぶことができます。

そのため、住宅ローンを債務整理の対象から除外し、手続きを行うことが可能です。

ただし、返済負担の縮小幅が小さいという点を考慮する必要があるでしょう。

自己破産の場合

自己破産手続きとは、通常の給与や報酬、保有している資産を現金化して清算しても、借金を完済することができない状態であることを裁判所に認めてもらい、借金の返済を免除するための手続きです。

自己破産が認められると、借金を返済しなくてもよくなるという強力なメリットがあります。

借金額が100万円、1000万円、または1億円であろうと、裁判所が許可すれば返済の免除を受けることができます。

一方で、自己破産にはいくつかのデメリットが存在します。

自己破産の手続きをする場合は一定以上の価値のある財産は、売却するなどして清算しなければなりません。

従って、手元に住宅を残すことはほとんどのケースでできないということには、注意が必要です。

もっとも、自己破産の場合は手元の財産等を清算、処分すれば、その他の借金の返済は免除されるため、借金を減額できる範囲は最も広くなります。

これにより、借金の負担から解放され、生活再建のための機会を得ることができます。

自己破産は「借金返済の最終手段である」という点では、注意も必要ですが、その効果は大きな魅力と言えるでしょう。

個人再生の場合

個人再生は、裁判所を利用して、住宅を保持しながら借金を削減した返済計画を承認してもらう手続きです。

個人再生の特徴の一つは、「住宅資金貸付債権に関する特則」が存在することです。

この特別条項は、住宅ローンなどの住宅資金貸付債権に関して、自宅やマイホームを保持しながら、住宅ローン以外の借金を削減したり分割払いにしたりすることができる規定です。

個人再生を通じて、住宅ローンを支払いながらも、その他の借金額を最低100万円から最大で元本の10分の1まで減少させることが可能です。

債務整理後に住宅ローンは組める?

ここで一度、債務整理と住宅ローンの関係についてまとめます。

・任意整理であれば、住宅ローンを対象とせずに手続きを進めることも可能
・自己破産の場合、借金の支払いは免除される反面、住宅を残すことは難しい
・住宅を手元に残しつつ、元金を減らすことの出来る個人再生が、住宅を残すという意味ではベストの選択肢になる

上記のとおり、住宅を保持したまま、債務整理をすることは可能な場合があります。

では、債務整理後には、住宅ローンを組むことはできるのでしょうか。

ここからは、この点について解説をします。

一定期間は組めなくなる

信用情報とは、個人の収入雇用状況借金の有無返済履歴など、債務者に関する借金の情報を指します。

債務整理手続きを弁護士や司法書士に依頼すると、借金を抱えている各金融機関に対して債務整理が始まったことを通知する書類(受任通知)が送られ、代理人として手続きが進行します。

この通知が金融機関や債権回収業者に届くと、各会社は信用情報機関に債務整理の開始を記録します。

そのため、個人の信用情報には債務整理の履歴が残り、信用情報機関における事故情報として記録されます。

この信用情報は、消費者金融、銀行、クレジットカード、キャッシングローンなど、さまざまな借金に関連しており、当然、住宅ローンにも影響を及ぼす可能性があります。

具体的に、どのように信用情報が利用されるのか

まず、住宅ローンを組もうと考えた場合、銀行等の金融機関に対して、住宅ローンの融資、審査の申込みを行います。

申込人が住宅ローンの申請を行うと、金融機関は申請者の信用情報を確認し、収入や返済履歴、他社からの借り入れの有無等を調査したうえで、住宅ローン融資の可否を判断するのです。

つまり、この信用情報に事故情報が存在する場合、信用が低いと見なされ、審査に不利に影響し、融資額が減額される可能性があるということです。

これにより、一定期間内は審査が難しく、住宅ローンを組むことに制約がかかってしまうことが考えられます。

住宅ローンが組めるようになるまでの期間

では、債務整理後どのくらい経過すれば住宅ローンを組めるようになるのでしょうか。

債務整理を行った後、住宅ローンを組むことができる時期は、信用情報機関に登録されている期間に依存します。

登録期間は、過去に行った債務整理の種類によって異なります。

通常、一般的な任意整理の場合、登録期間は約5年間と言われています。

一方で、個人再生や自己破産の場合、金融機関との関連がある場合、登録期間は通常約10年間とされています。

ただし、信用情報機関同士は情報を定期的に共有しており、直接に個人再生や自己破産の対象でなかったとしても、これらの手続きの履歴が確認される可能性があることには注意が必要です。

事故情報の登録期間の目安

手続きの内容KSCJICCCIC
任意整理5年5年5年
個人再生10年5年5年
自己破産10年5年5年

債務整理後に住宅ローンを通す方法

では、債務整理後に、住宅ローンの審査を通すためにはどのような対応をすればいいのでしょうか。

住宅ローンの審査の際には、

・信用情報に問題がないこと
・借り入れが過大ではないこと
・収入が安定的であること
・年齢や職業
・頭金の金額

などが考慮されると言われています。

そのため、これらの情報を改善しておく必要があります。

また、そもそも住宅を購入する必要があるのかという根底の部分についても、再検討の余地があるでしょう。

信用情報を回復する

信用情報は一定の期間が経過しないと消えないため、いわゆるブラックリストから外れるためには次の方法が有効と言えます。

もっとも大切なのは、借金を早く返すことです。

借金の完済日や契約完了日を基準に、事故情報が自然に消えることが多いため、借金の優先返済を検討しましょう。

ローンやクレジットカードの返済実績をしっかり積み上げることで、金融機関からの信用を回復することにもつながり、将来のローン申請が有利になるでしょう。

また時折、信用情報に誤った情報が登録されることがあります。

クレジットカードの不正利用や金融機関のミスが原因です。

誤った情報がある場合は、情報を登録した金融機関に連絡し、訂正や削除を依頼しましょう。

借金額を減らす(なくす)

信用情報への影響から、債務整理を避ける選択をする人がいるかもしれません。

しかし、借金問題を解決することなく、住宅ローンの借入の審査を通すというのは非常に困難だと言えます。

信用情報には、現在の借入状況が記録されており、これも審査に影響します。

すでに多額の借金がある場合、住宅ローンを貸し出すリスクが高まります。

信用情報を確認されれば、既存の借金が金融機関に露呈し、住宅ローンの審査では、良い評価はされないということになります。

また、頭金の金額や資金の使い方も審査の要因であり、計画的なお金の使い方を示すことが難しい状況では、審査を通すのは難しいと言えます。

確かに債務整理をすることで、信用情報には影響は出てしまうでしょう。

その一方で、債務整理をすることで借金完済までの道筋が見えてきますし、計画通りに支払えば、3~5年程度で債務整理手続きは終わります。

手続が完了すれば一定期間経過後、住宅ローンを通すことも可能になります。

借金を減らす、なくすという点では、債務整理は良い解決方法です。

安定した収入を得る

お金を借りる際に、借りる側の収入は返済能力を評価する上で極めて重要です。

ただし、高収入だからといって必ずしも借入が認められるわけではありません。

審査過程では、特に安定した収入があるかどうか、そして返済余裕があるか、将来も収入が安定するかどうかも重視されると考えていいでしょう。

他にも、雇用者の会社規模や職種、雇用形態も要素も審査の対象となります。

正社員や公務員は、安定した雇用が将来にわたって見込まれ、収入の変動が少ない傾向があり、リスクが低いと見なされます。

一方、フリーランスなどの雇用形態は、収入が高くても将来的な安定という面では見通しが不透明であるため、審査が厳しいことが多いです。

さらに、住宅ローンの審査においては、通過が難しい業種も存在します。

たとえば、飲食業や接客業などがその一例で、収入が大きく変動する業種も審査が難しいとされています

ただし、信用情報や財務管理に問題がなければ、あまり心配する必要はありません。

頭金を用意する

頭金を用意することは、住宅ローンの審査を通過するためにも重要です。

頭金を増やすことで、借入額を抑えることが出来るため、毎月の返済額を減らすことが出来るといったメリットがあります。

また金融機関としても融資額を低額にできるといった点は、審査の可否にポジティブな影響を与えます。

ただし、頭金を多額にするだけが重要ではないことに留意が必要です。

頭金の金額を決める際に考慮すべきポイントがあります。

最初に考慮すべきは、追加の出費に耐えられるかという点です。

建築中にオプションを追加したり、家具を購入したりするかもしれません。

これらの費用に対応できるよう、頭金以外の部分にも余裕を持たせることが大切です。

次に、住宅以外の急な支出にも対応できるかという点です。

病気やケガによって収入が減少したり、急な出費が必要になったりすることもあるかもしれません。

そうした状況に備えて、手元にお金を残しておくことが重要です。

以上のことから、手元に残すお金と頭金の金額をどの程度のバランスで準備するかは、一概に言えませんが、半年程度は生活できるお金を残しておくことを目安にすることをおすすめします。

まとめ

住宅を保持したまま債務整理をできるか

任意整理、個人再生、自己破産の種類によって状況が異なります。

任意整理、個人再生の場合は、可能なことが多いですが、自己破産を選ぶと、ほとんどの場合、住宅を残すことはできません。

それぞれの債務整理方法には、住宅や住宅ローンに与える影響が異なりますので、個人の状況に応じて選択する必要があります。

債務整理後の住宅ローンに関して

債務整理を行った後、一定期間は住宅ローンの新規借り入れが難しくなることがあります。

信用情報に記録された債務整理の情報が影響し、ローン申請が不利になるためです。

事故情報の登録機関期間は、債務整理の手段やよって5~10年と幅があります。

債務整理後に住宅ローンを組むためには

債務整理後に住宅ローンを組むためにはいくつかのステップを踏む必要があります。

まず、信用情報に債務整理の情報が正確に記録されていることを確認します。

また、借金額を減らすか完済することも審査に有利です。

複数のローン申請は避け、安定した収入を維持し、必要であれば頭金を用意することが重要です。

最後に、住宅ローンを組むことが果たして自分にとって良いことなのかを改めて検討することも大切です。

住宅ローンを組むことは、多額の借金を長期にわたって抱えることと同義です。

自分の収入や生活に合った選択であるのか、今一度、検討する余地は大いにあるのではないでしょうか。