理由
借金には様々な理由や形態があります。
- 事業拡大のため
- ライフステージの変化に合わせて、住宅や自動車の購入
- スキルアップのための奨学金
など、借り入れ理由は様々です。
一方で、返済見込みがないまま借り入れをし、破産に至るまで借り続けるような、望ましくない借り入れもあります。
この記事では、借金を始める理由や原因について説明し、それに応じたおすすめの対策も紹介します。
借金の理由や原因とは
前提として、「借金をすることが悪い」ということはありません。
理由も原因も人や事情に応じてさまざまであり、借金の理由や原因は多岐にわたります。
借り入れ理由によってはやむを得ないような性質のものも存在します。
例えば、住宅ローンや教育ローン、自動車ローンなどです。
これは、その人の人生を豊かにしたり、生活を向上させるなどの有益なものです。
また、結婚、離婚、子供の誕生、引っ越しなどのライフプランの変化に応じた借り入れもありますが、これらも重大な意味のある借金ではないかと考えられます。
一方で、計画的とは言い難い、望ましくない借金も存在します。
最も多いのは、生活費の補填や失業による収入減少による借金です。
また、遊びや飲食、交際費などの非必要な支出による借金も良くない借金の例でしょう。
一方で、意外にも贅沢やギャンブルによる借金は比較的少ないと言われています。
ただ、一部の浪費がちな人々にとっては深刻な問題となることがあります。
この節では、これらの借金の主要な理由と原因について詳しく説明します。
(なお、本稿は「公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会」が発行している情報に基づき作成しています)
最も多いのは「生活費の補填」や「失業による収入減」
借金をする最も一般的な理由は、生活費の補填です。
この理由による借金を行う人は、借金をする全体の6割以上を占めています。
直近3年間で一貫して最も多い理由となっています。
次に、「失業・転職・収入減」による借金が挙げられます。
全体の約5割弱の人々がこの理由での借り入れをしてるとされています。
収入が失われたり減少したりしたため、生計の補填のために借金をしています。
これらの理由による借金は、状況に迫られての選択であるとはいえます。
ただし、返済見込みが立たない無計画な借金とも言えます。
したがって、非常に深刻な問題であることは間違いありません。
借金の主要な理由が「生活費の補填」である場合、家計の収支が持続的に赤字状態である可能性が高く、いずれ破綻する可能性があります。
同様に、失業や転職に関しても、余裕のない状態で仕事を辞め、その収入不足をクレジットカードや消費者金融で埋め合わせたことを示しています。
このような状況では、返済の見通しが立ちにくく、計画性のない借金となります。
そのため、問題の解決が難しい状況と言えるでしょう。
遊びや飲食、交際費などによる借金もよくある理由
次に、「娯楽、飲食、社交」による借金が考えられます。
この理由により、借金が増加したという人が、約3割程度いると言われています。
このような借金の原因としては、クレジットカードの利便性などが考えられます。
読者の中にも、飲み会や趣味にお金を使って、翌月にクレジットカードの請求額に驚いた経験をしたことがある人もおられるでしょう。
クレジットカードは後払いの仕組みが一般的で、支払いに対する心理的な制約が少ないため、請求額が増え、結果的に借金につながるケースがあるため注意が必要です。
意外と少ない「贅沢品の購入や収入以上の買い物、ギャンブル」による借金
借金をしている人に対する一般的なイメージと言うと、
贅沢品やギャンブルにお金を使い、無駄に借金を重ねる問題のある人
というものかもしれません。
実際、漫画「カイジ」や「闇金ウシジマくん」に登場するキャラクターのようなイメージが、借金を持つ人々に対するステレオタイプとして広まっています。
しかし、現実は異なります。
実際に贅沢や無駄遣いによって借金を抱える人は、全体の2割弱しかいないのです。
前述の通り、借金の主な理由は「生活費の補填」や失業による収入減です。
借金をする人たちの大多数がこのカテゴリーに該当します。
上記のような偏見的な債務者というのは、実はあまり存在しない少数派なのです。
とはいうものの、過度な買い物や贅沢、ギャンブルによる借金は、制御が難しい場合が多く、問題の大きい借金と言えます。
現在は、ギャンブル依存症は精神疾患の一部として扱われています。
また、買い物依存症も精神的な問題があるとしての認識が進んでいます。
これらの借金問題は、依存症の可能性を考慮した配慮が必要となります。
借金による経済的な損失を回復するだけでなく、本人の健康と治療が必要となることから、他の種類の借金とは異なるアプローチが必要といえるでしょう。
借金の金額別 借金問題の解決法
- 借金の理由で最も多いのは「生活費の補填」や「失業による収入減」
- 交際費等の支出の数も多い
- 一方、無駄遣いやギャンブル等の借入は少数派
- ただし、問題が大きい借り入れであることには変わりない
ここまでは、借金をしてしまう理由や、深刻化しやすいケースについて解説してきました。
次に、借金問題の解決策について、借金の金額別で解説していきます。
借金が少額の場合
方法1|家計収支を見直す
借金問題を解決するためには、借金の額が多いか少ないかにかかわらず、家計収支を見直すことは必須だと言えるでしょう。
実際のところ、自身の生計に必要な金額正確に把握していない人は非常に多いです。
まずは、自分の生活を維持するために必要な金額と、実際の収入がどれくらいかを確認してください。
そして、支出が多い場合は無駄な出費を削減し、収入が不足している場合はアルバイトや副業をすることから始めるなどの対策を講じる必要があります。
方法2|自力で返済をする
借金が20~30万円程度の少額であれば、自己完済を目指すことも一つの方法です。
この金額は、個人によっては月の収入を超える場合もあります。
ただ、収入が安定している場合、数回の分割払いで返済が終わる範囲とも言えます。
ただし、ここで重要なのは「返済中は絶対に新たな借り入れをしない」という点です。
例えば、「5万円を返済したが、4万円を新たに借り入れた」という状態では、利息を考慮すると元本がほとんど減少しない可能性が高いためです。
方法3|任意整理を検討する
ただし、借金が少額であっても、一部の人にとっては返済が難しい場合があります。
そうした状況にある人は、任意整理を検討することも必要です。
任意整理は、弁護士や司法書士を代理人として、債権者(お金を貸してくれた相手)との交渉を行い、返済計画を立てたり、利息を軽減したりする制度です。
この方法を活用することで、通常、毎月の返済額が減少し、利息の一部または全額を削減できるため、返済プロセスを効率的に進めることができます。
さらに、家族や職場に知られるリスクが比較的低く、計画通りに返済を続ければ完済することができるという利点があります。
借金額は大きいが返済は可能な場合
方法1|家計収支を見直す
借金返済のためには、まずは家計を見直すことは借金の返済にとって不可欠です。
これは、金額が多い場合でも変わりはありません。
ただ、借金が高額になっている場合は、借金が少額であるときと比べると、捻出する必要のある金額が大きく、多大な努力が必要となります。
例えば、少額の借金の場合、毎月1万円または2万円ほどの範囲で返済できることもあり、
- 「月に2日、本職の仕事の他にアルバイトをする」
- 「携帯電話のプランを安価なものに変更する」
- 「娯楽や外食にかかる出費を週3回から週1回に減らす」
などの生活の改善で、十分に返済金を賄える可能性があります。
しかし、借金が高額になっている場合は、毎月5万円以上の返済資金を用意しなければならないということも珍しくありません。
そのため、
生活費を少し削減すれば何とかなる
という状況ではないことがよくあります。
「本業の後に週2回アルバイトをする」
「人付き合いは月に1回に減らす」
「食費を毎月2万円以下に抑える」
こうした努力が必要なことを理解し、借金返済に向けて計画を立てることが重要です。
方法2|借り換えローンで金利を下げる
借金の借入残高が大きくなると、それだけ金利額も大きくなります。
例えば、借金が総額200万円ある場合
元金 200万円
利率 最大15%
最大利息額 25,000円となります。
つまり、毎月50,000円を支払ったとしても、多くの利息を取られてしまうのです。
これを、金利8%で借り換えが出来た場合
元金 200万円
利率 8%
最大利息額 約13,400円
となり、同じ50,000円の返済でも、元金に当たる金額は大きくなります。
そのため、借り換えやおまとめローンにより金利を下げることで、返済が容易になる可能性はあります。
ただし、借り換えローンの場合は、銀行や消費者金融からお金を借りて、他社への借金を完済する手続きです。他社の契約等は解約されるわけではありません。
そのため、借り換えローンをした後も、クレジットカードなどは使えてしまいます。
よくある失敗で
借り換えローンを利用後、再度他社のカードを利用してしまい、借金が2倍になっただけで終わった
というケースを耳にします。
では、これを解消するためにはどうすればよいのでしょうか?
方法3|カードを解約する、信用情報機関に貸し付け自粛を申し入れる
手元にクレジットカードや消費者金融のカードがあると、つい使ってしまう
という方は、とても多いです。
そこで、最も効果的な方法は、クレジットカードや消費者金融のカードを解約することです。
これにより、借金の返済に専念する状態を強制的に作れるのです。
また、貸付自粛制度を利用することも考えられます。
貸付自粛制度は、信用情報機関に貸付自粛を申請することで、金融機関からの借り入れを制限できる制度です。
これを活用することで、新たに借り入れることができないようになり、借金が増えるリスクを抑えることができます。
また、貸付自粛制度は、事故情報(いわゆるブラックリスト)とは異なり、撤回が可能です。
そのため、
今ある借金を完済するまでは絶対に借り入れをしない
でも、将来はローンを組みたい
と決意をしている方には有効な方法と言えます。
方法4|弁護士や司法書士に相談し、債務整理の検討をする
借金の返済が難しい場合、債務整理を検討するという方法もあります。
債務整理を行うことで、借金を減額できるなど、効率的な返済を図ることが可能です。
ただし、借金額が大きい場合、裁判所を通じた自己破産や個人再生といった手続きの方が効率的に借金問題の解決につながる場合もあるため、検討すべきポイントは多岐に渡ります
例えば、
- 資産はあるか
- 持ち家の有無
- 職業
- 家庭環境
などの、様々な要素に応じて、取るべき債務整理の手続きを考えなくてはなりません。
そのため、一概に「これがよい」と決めるのではなく、弁護士や司法書士といった専門家に相談をすることがおすすめです。
借金額が大きすぎて返しきれない場合
方法1|借金と向かい合う
借金が返しきれないほど膨らんでいる方の多くは、
借金は膨らんでいるが、なんとかなるよ
と、現実を見ていません。
数多くの債務者を見てきましたが、何とかなると思って、本当に何とかなった人は見たことがありません。
どころか、借金問題を抱える方の多くは、自己流で問題を解決しようとします。
例えば、
- 「今月の返済のために、消費者金融やクレジットカードを利用する」
- 「家族や知人から、返済のためのお金を借りる」
- 「1か月に10万以上稼げる、という怪しげな副業に走る」
- 「全ての借金の支払いをストップし、逃げ出す」
等の行動を取りますが、当然のことながら、これらの行動は実際の問題解決には全く役立ちません。むしろ、借金を増やしてしまうことさえあります。
その結果、
なんとかしようとして、自分なりに頑張った結果、逆に借金が増えた
という最悪のケースに陥ります。
まず最初に、借金問題に真摯に向き合い、解決策を模索する勇気が必要です。
方法2|自己破産や個人再生を検討する
自分の借金と向き合ったら、最初の一歩は弁護士や司法書士に相談することです。
さきほども申し上げました通り、返済が難しい状況下で、自力で解決をしようとすることは得策ではありません。むしろ逆効果であることも多いです。
相談の結果、債務整理を選ぶのであれば、自己破産や個人再生について検討をしましょう。
自己破産とは、手元の財産を処分し、清算する代わりに、借金の返済を免除してもらう手続きで、個人再生とは、元金を最低で100万円、最大で10分の1まで減額のできる制度です。
借金が返しきれない人はこのような方法を採用することで、効率的に今ある借金問題を解決することが出来るのです。
なお、弁護士や司法書士に相談をしたからといって、必ず債務整理をしなければいけないということはありません。
債務整理が得意な弁護士や司法書士であれば
- 自力返済により、どれほどの利息が取られるか
- 毎月いくらの返済を行わなければならないか
- 一切追加の借金をしてはならない理由
- 具体的な返済プラン
などを事細かに説明してくれるでしょう。
その話を聞いたうえで、
たとえどれだけ辛くても、自分一人で借金を完済する覚悟は決まった
と思うのなら、それはその人の決断です。
問題なのは、前述のような自己流の解決策を考え出すことです。
そうならないためにも、弁護士や司法書士に相談することがベストな選択なのです。
債務整理がおすすめの理由
ここまで、借金の金額に応じて、どのような対策方法があるかを案内してきました。
最後に、上記の方法の中で、債務整理が一番おすすめである理由について解説します。
理由1|借金完済までの計画が立てやすい
自己の力で借金を返済するか、借り換えローンを利用する場合、借金を背負ったままの不確かな期間中に返済を続けなければなりません。
このような不確実性は不安を引き起こすことがあります。
いつまで続くのか分からない借金の返済は、精神的に負担が大きいものです。
一方で、債務整理を実行すると、借金問題の解決までのタイムラインが明確になります。
一般的な期間は次の通りです。
任意整理 一般的には3~5年程度(条件によって変動あり)
個人再生 申し立てから4~5年程度
自己破産 申し立てから半年~1年半程度
債務整理を行うことで、借金の完済までの計画が立てやすくなり、精神的な負担も軽減されます。
「いつまで返済すれば終わるのか」という不安がない状態で、借金問題の解決が見えてくるのです。
理由2|返済が楽になる
「借金の返済における大きな負担は、利息の支払い」という点は、「借り換えローンで金利を下げる」という前提でもお話ししました。
任意整理を行った場合、通常、利息の全額または大部分を削減し、借金の返済が楽になります。
それに加え、毎月の返済額を減らすこともよくあります。
個人再生を選択した場合、元本額を縮小して返済することになるため、当然、返済額も低くなります。
自己破産を選ぶと、財産を整理する代わりに、残っている借金を帳消しにしてもらえるため、当然、手続き後に借金の返済が不要です。
このように、債務整理を通じて借金を解決する方が、自力で返済するよりもはるかに簡単に借金から解放されることができます。
理由3|新たな借り入れが出来なくなるのは、メリットになる
債務整理をすることで、信用情報に影響が出るため、新規の借り入れやローン契約は出来なくなります。
しばしば
債務整理をするとブラックになる。
借り入れが出来ないのは不安だ
と思う方もおられるようですが、これは、実は大きなメリットとなり得ます。
何度も述べてきましたが、自力で返済する場合や、借り換えローンの場合、返済の一方で借り入れをしてしまうと、借金が減ることはありません。
債務整理をすれば、新規の借り入れが出来なくなるのですから、借金がこれ以上に増えることはありません。
債務整理中は、借金返済のみに集中できる環境を整えられる、これは大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
まとめ
借金の理由や原因は様々ですが、その中でも最も多い原因は、生活費の不足や失業による収入減です。
多くの借金事情は、急な支出や失業が背後に潜んでいることが多いのです。
また、遊びや飲食、交際費などによる借金もよく見られますが、これらも借金を増やす原因となります。
これらの借金の原因に対処するためには、以下のような対応方法が必要です。
借金が少額の場合には、返済計画の策定や支出の見直しなどで解決できることがあります。
ただし、返済が難しい場合は、債務整理を検討する余地はあります。
借金額は大きいが返済は可能な場合には、より綿密な計画的な返済スケジュールが必要です。
また、利息を削減するための借り換えを検討することが役立ちます。
ただし、自力での返済が難しい場合や、借金返済を効率的に行いたい場合は、債務整理を考えるべきでしょう。
借金額が膨大で返済が難しい場合には、まずは借金と向き合いましょう。
その後、弁護士や司法書士に、借金問題を相談するところを最初の一歩としてください。
債務整理により、借金の返済は今より簡単になります。
これにより借金問題の解決期限が明確になり、精神的な負担も軽減されるでしょう。