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債務整理

任意整理いつから返済スタート?

任意整理手続きを開始した段階で、当面の間、業者に対する借金の支払いをストップさせることができます。

では、いつから支払いを開始していかなければならないのでしょうか?

ここでは、借金を完済するまでの流れを詳しく解説していきたいと思います。

任意整理の流れと期間を解説

任意整理の手続きを進める場合、どのような流れでどれくらいの期間がかかるのかを解説します。

手続きが多くて大変と感じるかもしれませんが、任意整理を弁護士や司法書士へ依頼をする事で、和解成立まで全て任せる事ができますので、依頼者ご自身で行う事はほとんどありません。

手続きの流れと期間

内容期間の目安
1弁護士や司法書士へ依頼即日
2債権者へ受任通知を送付即日~5日程度
3取引履歴の開示請求と債務額の調査上記2後、1~3ヶ月程度
4利息制限法に基づく引き直し計算上記3後、1ヶ月程度
5和解案の作成と債権者との和解交渉上記3.4後、3ヶ月程度
6和解成立上記5後、2週間程度
7返済開始~完済上記6後、3~5年程度

弁護士や司法書士へ相談・依頼

まず、ご自身の借金の状況を弁護士や司法書士に伝えて、任意整理で進めるべきか、どれくらい減額できるかを相談します。

任意整理を依頼する場合の流れ
電話やホームページの相談フォームから問い合わせする
弁護士や司法書士と相談日を決める
借金・任意整理について相談する
弁護士や司法書士へ任意整理の依頼をして契約

相談の時に、債権者名(クレジットカードや消費者金融業者の名前)・借金の残高・毎月の返済額・取引期間・毎月の収入額など現状が分かる資料を用意しておきましょう。

任意整理をした場合のメリット・デメリット・手続きにかかる費用についても事前にしっかり確認をしておきましょう。(後々トラブルになりやすい)

メリット・デメリットを充分理解し、費用についても納得できたら、正式に委任契約を交わして弁護士や司法書士に依頼をします。

債権者への受任通知の送付

正式に委任契約を結ぶと、弁護士・司法書士から各債権者へ『受任通知』を送付し依頼者の代理人となり任意整理の手続きに入ることを伝えます。

受任通知の送付は、基本的には依頼日当日~5日程度で行われます。

受任通知を送付することで、債権者からの借金の督促行為がストップし返済を一旦止めることができます。

これは法律上の根拠があり、貸金業法第21条1項9号で、『債権者に委託された弁護士・司法書士からの通知を受けた場合、債権者は債務者に返済を要求することができない』と定められています。

受任通知は介入通知と呼ばれることもありますが、内容は同じです。

取引歴の開示請求と債務額の調査

弁護士や司法書士は受任通を送付すると同時に、債権者へ『取引履歴』の開示を請求します。(受任通知に開示してくださいと記載しています)

取引履歴の開示、債務額の調査にはだいたい1~3ヶ月程かかります。

取引歴とは依頼者の借入・返済の記録です。

この取引履歴をもとに、依頼者の現在の債務額や取引の内容を調査します。

利息制限法に基づく引き直し計算

弁護士や司法書士は取引履歴の調査に加え、『利息制限法』に基づいた金利で利息を再計算して実際の債務額を確認します。

これを『引き直し計算』といい、債権者数にもよりますが1ヶ月程かかります。

引き直し計算の結果、払い過ぎた利息である『過払金』が発生していることがあります。

過払金がある場合は、借金の残債務に充当するなどして、債務額が最終的にいくらになるかを確定させます。

和解案の作成と債権者との和解交渉

引き直し計算で確定させた債務額をベースに弁護士・司法書士が返済計画(和解案)を作成します。

依頼者の状況を確認しながら、毎月無理なく返済できる金額に基づいて返済期間を計算して和解案を債権者へ提出します。

この和解案をもとに、弁護士や司法書士と債権者で和解交渉をし和解をまとめます。

この時に、依頼者が交渉に参加することはありません。

基本的には、交渉期間は3ヶ月程ですが、中には和解案に同意しない債権者もいるため、交渉が長引くこともあります。

和解成立

債権者から、和解案について合意が得られたら和解成立となります。

和解締結は基本的には合意をしたその日に終わります。

この後、債権者から『和解書』が届きますが、この和解書の取り交わしまでに和解合意から2週間ほどかかることがあります。

和解書の取り交わしももって、任意整理自体は完了となります。

和解成立までにかかる期間は弁護士や司法書士に依頼してから3~8ヶ月程です。

返済

債権者と和解が成立したら、和解書に記載されている返済額・返済期間に基づき返済をしていきます。

返済期間は基本的には、3~5年(最大で60回)程度になることが多いです。

債務額が少ない場合や、取引期間が短い場合は3年未満での返済を求められることもあります。

もし、臨時収入などがあった場合は繰り上げ返済をすることも可能ですので和解書に記載された返済期間より短く完済することもできます。

任意整理では、毎月きちんと支払える金額を設定しますので、原則として期日に遅れることなく返済を続ける必要があります。

遅れが2回以上続くと、残債を一括請求される可能性が高くなります。

これは、和解書に『返済が2回以上遅れたら債務者は期限の利益を喪失する』と明記されていることが多いためです。

期限の利益を喪失すると、完済までの期間中は遅延損害金も加算されていってしまうので、滞納前より返済の負担がさらに重くなります。

債権者の中には、5年以上の長期分割に応じてくれるところもありますので、どうしても負担が大きく支払えないかもしれないと感じたら、和解の前に弁護士や司法書士に、長期分割で交渉して欲しいと伝えてみてください。

必ず長期分割に応じてもらえる訳ではないので、注意しましょう。

任意整理の借金を完済するまでの期間は?

和解が成立したら、和解書に記載されている内容で返済をしていきます。

和解成立から3年~5年で完済するのが一般的です。

一般的に3~5年で分割返済する

和解が成立したら、和解契約書に記載されている内容で返済をしていくのですが、返済期間は3年(36回)~5年(60回)程度になることが一般的です。

任意整理に適しているのは200万円以下位の借金とされています。

仮に利息カットや引き直し計算を行った後の残債務が200万円だった場合は、3年間(36回)で返済をすると、毎月5万6千円ずつ返済をすることになります。

債務整理の1つに個人再生という裁判所を通じた手続きがあります。

こちらは原則3年間で返済をしていくことになるのですが、3年以上経過すると債務者の家庭状況や仕事の状況に変化があり、返済の継続に影響が及ぶ可能性があるため、3年という期間が1つの目安になっています。

しかし、月収が10万円程しかない方が毎月56,000円も返済に充てられるかと言えば、現実的には不可能でしょう。

ですので、収入が10万円程しかない方の場合200万円の借金を5年間(60回)の分割返済にすると3万4千円程に抑えることができるので返済継続可能と判断できます。

返済期間を5年以上にできる場合もある

多くの金融機関や貸金業者は、和解時の分割期間の上限は5年(60回)程度を想定していることが多いです。

しかし、交渉しだいでは5年を超えた返済期間で和解できる可能性もあります。

例えば、長期間取引が良好だった、年数がかかっても何とか返済をしていきたい意思を伝える、債権者が大手のクレジット会社や信販会社だった場合などがあります。

必ず長期分割返済に応じて貰える訳ではありませんので注意が必要です。

長期分割ができる一例を記載しておきますので参考にしてください。

和解後の支払額と分割回数債務額会社名
11,000円×72回790,000円エポスカード
12,500円×84回1,050,000円オリコ
20,000円×84回1,680,000円ニコス
11,000円×94回1,034,000円ニコス
15,000円×120回1,800,000円ニコス

任意整理後に返済支払いが遅れたらどうなる?

はじめから遅れても良いと思われる方はいないと思いますが、事情があって遅れてしまうこともあると思います。

そうなるとどうなってしまうんだろうと不安に思う方もいると思います。

やはり、返済が遅れてしまうと、督促の通知が来たり、延滞が続くと和解が破棄となり一括返済を求められ遅延損害金も請求されたり、財産が差し押さえられたりする可能性があります。

どうしても返済が遅れてしまいそうな時は、債務整理を依頼した弁護士や司法書士に連絡をして対応を相談しましょう。

弁護士や司法書士から代行返済をしている場合も必ず連絡をしましょう。

任意整理後に返済支払いができなくなった場合はどうなる?

任意整理は安定した収入があり、3年~5年で完済できる前提で行う手続きです。

そのため、失業などで収入を失い借金の返済見込みがなくなると、和解契約に基づいた返済ができなくなってしまいます。

この場合は、再度債権者と交渉し、和解契約を結び直すことをまず検討してみましょう。

そのためには、お支払いが困難と感じたらすぐに、任意整理を依頼した弁護士や司法書士に連絡をとって相談しましょう。

連絡をせずに放置しておくと条件がどんどん悪くなってしまいます。

もし、再和解をしても生活の維持や借金返済の目途が立たない時は、任意整理ではなく別の債務整理手続きの検討が必要になる場合もあります。

弁護士や司法書士の報酬はいつ支払うのか?

借金の返済が苦しくて弁護士や司法書士へ債務整理を依頼しているのにも関わらず、報酬の支払いが重くのしかかっては債務整理をする意味がなくなってしまいます。

債権者への返済と報酬の支払が重なってしまうのか不安に感じる方も多くいると思います。

報酬の支払には、任意整理で進めて本当に完済まで返済を続けていけるかを判断する『履行テスト』を兼ねている場合もあります。

ですので、この報酬の支払が遅れてしまうようなら任意整理の方針自体を見直す必要が出てくる可能性があります。

事務所によって、報酬の支払時期は異なるためまずはいつから支払っていくのか、業者への返済と重なるのかを確認しましょう。

弁護士や司法書士が介入すると、債権者への返済は一時的にストップするので、その返済分を報酬の支払いに充てることが可能になると思います。

できるだけ、報酬の支払いを業者への返済が重ならないようにして貰えるか相談して、そのように対応してくれる事務所を選ぶ方が負担は軽くなります。

各報酬項目の支払い時期

着手金

着手金はこれから業務を始めてもらう上での手付金のようなものです。

債務整理においてはお金に余裕がない状態で依頼をしていることが前提なので、相談料や着手金は無料にしている事務所もあります。

着手金は業務に着手するためのお金なので、契約時に一括で支払わなければならないことも多いので、まずは依頼する弁護士や司法書士に、着手金がかかるか、一括で支払うのか、分割払いに応じてもらえるのかなど事前に確認しておきましょう。

過払金請求により、着手金を含む報酬を差し引くことができる場合もあります。

成功報酬

成功報酬とは、一定の成果をあげたことに対する報酬です。(減額に成功した、利息をカットできたなど)

成功報酬については、分割払いに応じてくれる事務所が多いのではないかと思います。

任意整理で和解がまとまっている場合には、債権者への返済と並行して成功報酬を支払っていく形になる可能性もあります。

こちらもできる限り返済と重ならないようにできないか依頼している弁護士や司法書士に相談してみましょう。

実費

実費は報酬以外でかかった切手代や交通費などです。

こちらは先払いだったり後から精算だったりと対応はさまざまです。

そこまで高額になることは少ないので大きな負担にはならないはずです。

まとめ

任意整理から支払い開始までの期間は一般的には約3ヶ月~6ヶ月と言われています。

任意整理後に返済が滞ってしまうと、借金の残額の一括返済や遅延損害金、財産の差し押さえなどのペナルティが発生します。

財産の差し押さえは判決が確定するまではできませんので、早めに弁護士や司法書士に相談して早めに手を打つことが大切です。

和解に関しては、依頼する弁護士や司法書士と充分に話し合って支払開始時期や無理なく返済できる毎月の金額を決めて交渉を進めてもらうようにしましょう。

報酬の支払いについても分割払いに応じてくれる事務所は多数ありますし、無料相談を行っている事務所も多数ありますので、まずは不安に感じることはどんどん質問し納得した上で弁護士や司法書士に依頼しましょう。

信頼できる弁護士や司法書士と出会うことで、悩みを解決する方法がみつかるはずです。