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投資の「順張り」「逆張り」とは?成功事例から学ぶ投資手法の基本

投資に興味があるけれど、「順張り」や「逆張り」という言葉を耳にして、少し難しそうだと感じていませんか?これらの考え方は、意外と私たちの身近なものに例えることができます。たとえば、人気の商品を買うために、みんなが行列に並ぶのが「順張り」です。逆に、誰も見向きもしない掘り出し物を見つけて、安く手に入れるのが「逆張り」だと考えると、少し分かりやすくなるのではないでしょうか。

投資の世界でも同じで、多くの人がお金を投資する流れに乗るか、あえてその流れに逆らうかという違いしかありません。しかし、この二つの手法には、それぞれ全く違う良さや注意すべき点があるのです。

この記事では、投資の基本である順張り・逆張りについて、その違いやそれぞれのメリット・デメリットを、できるだけ簡単な言葉で分かりやすく解説します。ぜひ最後まで読んで、自分に合う投資のやり方を見つけてみてください。

投資には順張りと逆張りがある

トレンドの流れに乗る!順張りとは

投資における順張りとは、市場の流れに沿って売買をする手法です。つまり、価格が上がり始めたら買い下がり始めたら売ることで利益を狙います。たとえて言うなら「人気があるものを買い、人気のないものは売る」と言ったスタンスです。

この方法は「トレンド・フォロー」とも呼ばれ、「流れに乗る」という非常にシンプルな考え方に基づいています。

順張りは、すでに形成された流れに乗るため、初心者でも比較的判断しやすいという特徴があります。特に株価が急騰している時など、その勢いを見て「自分も乗り遅れたくない!」と感じるのが、人間の自然な心理です。

しかし、そのシンプルさゆえに、多くの人が最初に学び、そして挑戦する手法です。

実際、著名な投資家の中にも、この手法で成功した事例が数多く存在します。彼らは、単なる感覚ではなく、明確なデータに基づいた分析によってトレンドを特定し、その流れに乗って大きな利益を上げています。

トレンドに逆らい大きな利益を出す!逆張りとは?

一方で逆張りとは、市場の大多数とは逆の行動をとる投資手法です。つまり、逆に価格が大きく上昇して「もうこれ以上は上がらないだろう」というときに売り、価格が大きく下落して多くの人が投げ売りしているときに買うのです。たとえて言うなら「人気があるものを売り、人気のないものは買う」と言ったスタンスです。

この方法は「コントラリアン投資」とも呼ばれ、「人と同じことをしない」という強い信念が根底にあります。

逆張りを行う投資家は、市場が感情的に動き、特定の銘柄を過小評価したり、過大評価したりしていると考えます。たとえば、一時的な悪材料で優良企業の株価が急落したとき、逆張り投資家は「これは買いのチャンスだ」と判断します。

この手法は、市場の混乱やパニックを利用して、安値で仕込み、その後の価格の反発で大きなリターンを狙うものです。

しかし、逆張りには非常に高いリスクも伴います。多くの人が売っている時には、さらに価格が下がる可能性も十分にあります。「底値だ!」と思って買ったら、さらに価格が下がり続ける「底なし沼」にはまるリスクも存在します。

そのため、逆張りで成功するには、市場の動向を冷静に分析し、強い心理的耐性を持つことが不可欠です。

順張り投資は「流れに乗る」

順張り投資のメリット・デメリット

シンプルな手法で大きな利益を狙える

順張り投資は、市場の流れに乗るため、わかりやすく、初心者でも始めやすいというメリットがあります。まず、判断基準がシンプルです。

株価チャートを見て、移動平均線が上向きになっていたら買う、といった明確なルールを設けることができます。これは、感情に左右されやすい投資において、非常に重要な要素です。

また、大きな利益を狙える可能性を秘めています。一度、大きなトレンドに乗ることができれば、利益はどこまでも伸びていきます。例えば、企業の業績が好調で株価が上がり続けている時など、トレンドが続く限り保有することで、大きなリターンが期待できます。実際に、米国の有名な投資家ウィリアム・オニール氏が開発した「CAN-SLIM」戦略は、成長株のトレンドに乗ることで莫大な利益を上げてきました。

高値掴みと騙しがデメリット

しかし、順張り投資にはデメリットも存在します。もっとも大きなリスクは、「高値掴み」です。トレンドの最終局面で買ってしまい、その後すぐに価格が反転して下落に転じることです。特に、株価が急騰している時には「もっと上がるかも」という期待が膨らみがちですが、それが一番危険な瞬間だと言えるでしょう。

さらに、「騙し(ダマシ)」に遭うリスクもあります。これは、トレンドフォロー戦略が、ボックス相場(一定の価格帯で上下する相場)からトレンド相場への転換を狙うものであることに起因します。そのため、一時的に天井や底を抜けたと思ったら、すぐに元の価格帯に戻されてしまうというケースは非常に多いのです。

この点に追加して「勝てない時期があるため、精神的につらい」というのも問題です。

後にお伝えするタートルズの戦略でもそうですが、トレンドフォロー戦略は一度大きなトレンドに乗ることができれば、その利益はこれまでの小さな損失をすべて補って余りあるほど大きくなる一方で、30%から40%の勝率にとどまると言われています。そのため、勝てない時期が続くことも珍しくありません。

順張りで成功した有名投資家たち

順張り投資で歴史的な成功を収めた人物として、伝説の投機家ジェシー・リバモアと、トレンドフォローの哲学を実践的に証明した「タートルズ」というトレーダー集団が挙げられます。彼らの物語は、トレンドフォローがいかに有効な戦略であるかを示しています。

米国の伝説の相場師 ジェシー・リバモア

ジェシー・リバモアは、20世紀初頭に活躍した伝説的な投機家であり、トレンドフォロー手法で巨額の富を築きました。彼は、市場の動きを徹底的に観察し、株価のパターンを分析することで、トレンドの始まりと終わりを特定することに長けていました。

リバモアの投資哲学は、「相場の流れに逆らわない」というシンプルなものでした。彼は、株価が上昇し始めたら買い、下落し始めたら空売りを仕掛け、感情に流されることなく、あくまで客観的なデータに基づいて行動しました。

彼の成功は、ファンダメンタルズ(企業の財務状況など)だけでなく、市場の「勢い」を捉えることの重要性を証明しました。リバモアの著書『株式投資の真実』は、今なお多くの投資家に読み継がれるバイブルとなっています。

初心者でもトレーダーになれることを証明したタートルズ

一方で、タートルズは、トレンドフォローの哲学をさらに発展させ、「誰でも優秀なトレーダーになれる」ことを証明したことで有名です。1980年代、伝説のトレーダー、リチャード・デニスは「投資は才能ではなく、訓練で身につけられるスキルだ」という仮説を立て、新聞広告で集めた投資未経験者たちに、自身の厳格なトレンドフォロー戦略を教え込みました。

この集団は「タートルズ」と呼ばれ、わずか2週間の訓練後、彼らは数億ドルの利益を上げたと言われています。彼らが用いた手法は、以下のシンプルなルールに基づいています。

  • エントリー(仕掛け)ルール: 価格が過去一定期間の最高値を上回ったら買う。
  • リスク管理: 損失が一定額に達したら、感情を挟まずに即座に損切りする。
  • ポジション管理: トレンドが続く限り、段階的にポジションを追加して利益を最大化する。

タートルズの成功は、複雑な分析ではなく、明確なルールに基づいた機械的な取引と、そのルールを徹底的に守る「自己規律」が投資において最も重要であることを示しました。

彼らは、トレンドフォロー戦略を実践し、単なる運ではなく、規律とシステムが利益を生み出すことを証明したのです。


逆張り投資は世間の流れに逆行する

リターン比率が高く、安値で売り買いが出来る

逆張り投資は、市場の多くの人が悲観的になっているときに買うという、心理的に非常に難しい手法です。

しかし、成功すれば大きなリターンが期待できます。最大のメリットは、「安値で買える」可能性があることです。

市場がパニックに陥り、株価が急落している時には、本来の価値よりもはるかに安く資産を手に入れることができます。そして、その後相場が回復すれば、大きな利益を得ることができます。

また、逆張りは、リスクリターン比率が良いと言われています。これは、安値で買うため、万が一さらに下がったとしても損失を限定しやすく、逆に価格が回復した場合の上昇幅が大きいためです。

たとえば、企業の不祥事で一時的に株価が暴落したとしても、企業の本質的な価値が変わっていなければ、やがて株価は回復に向かいます。この回復を捉えるのが逆張りです。

間違えると破滅へ一直線

逆張り投資は、多くの人が避ける局面で行動するため、高いリターンを狙える可能性があります。しかし、その裏には多くのリスクが潜んでいます。

最大のデメリットは、「底なし沼」にはまるリスクがあることです。多くの人が売却している銘柄には、一時的な悪材料だけでなく、企業の構造的な問題や、業界全体の衰退など、根深い原因が隠されていることが少なくありません。安易に「底値だ」と判断して買い向かうと、株価がさらに下がり続け、大きな損失につながります。

また、逆張りは市場の大多数と逆の行動をとるため、非常に強い精神力と孤独な戦いが求められます。ニュースや周囲の意見が悲観論一色になっている中で、自分の判断を信じ続けることは簡単ではありません。少しでも迷いが生じると、感情的な売買に繋がり、当初の戦略が崩壊する危険があります。

さらに、多くの投資家が関心を持たない「不人気な銘柄」に投資することが多いため、流動性の問題に直面する可能性があります。いざ保有株を売却しようとしても、買い手が見つからず、希望する価格で売れなかったり、売却自体ができなかったりするリスクも無視できません。

これらのデメリットは、逆張り投資が単なる「安いから買う」という単純なものではなく、徹底した調査と分析、そして何よりも強い自己規律が求められることを示しています。安易な判断は、投資家を破滅へと導く可能性があるのです。

逆張りで成功した有名投資家たち

ウォーレン・バフェット

長期的な投資で有名な投資の神様とも称されるウォーレン・バフェットですが、逆張り投資でも最も有名な人物の一人です。

彼は「みんなが貪欲になっているときに恐れを抱き、みんなが恐れているときに貪欲になれ」という有名な言葉を残しており、これはまさに逆張りの精神そのものです。

実際、バフェットは、2008年のリーマンショックで金融株が暴落し、多くの投資家が絶望していたときに、ゴールドマン・サックスなどの大手企業に大規模な投資を行いました。その後の株価の回復で、彼は莫大な利益を上げ、逆張り投資の正しさを証明しました。

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マイケル・バーリ

もう一人の有名な逆張り投資家が、映画『マネー・ショート』で主人公として描かれたこともあるマイケル・バーリです。

彼は2008年の金融危機以前に、アメリカの住宅市場が崩壊することを予測しました。当時、サブプライムローン(低所得者向け高リスク融資)は安全な投資商品として扱われていましたが、バーリは独自の分析で、その延滞率が上昇していることに気づきました。

そして、大多数の意見に逆らい、住宅市場が暴落した場合に利益が出る金融商品に投資し、見事に成功しました。参照(マイケル・ルイス「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」)