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新NISAは設定を間違えれば税金がかかる!?絶対に確認すべき注意点について解説します。

NISAは運用益に対して税金がかからない制度であり、2024年から新NISAが始まったことをきっかけに投資を始めた方は多いと思います。

しかし、NISAで運用していたとしても「配当の受取方法」の設定を間違えれば課税されてしまうという注意点があります。

配当とは、上場株式から得られる分配金のことで、決算状況に応じて年に1~2回分配され、配当目的で投資を行う方が多いです。

そこで本記事では、配当の受取方法の設定を間違えないように、確実に非課税で運用できる方法について解説します。

NISAの配当金とは?

NISAで受け取れる配当金には以下の2種類があります。

✅上場株式から得られる「配当金」

✅投資信託やETFから得られる「分配金」

これらの性質については以下のとおりです。

上場株式から得られる「配当金」

上場株式の多くは「配当金」が支払われます。

配当金とは、企業の事業活動によって得られた利益の一部を、株主に還元する制度のことで、保有株式数に応じて分配されます。

分配される時期や頻度、金額は企業によって異なりますが、一般的に年1~2回支払われます。

配当金は一般口座や特定口座などの課税口座で運用していると20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)の税金が徴収されます。

しかし、NISA口座で運用している銘柄から配当金を得た場合には原則、税金がかかりません。

投資信託やETFから得られる「分配金」

投資信託やETFでは「分配金」を受け取れる銘柄があり、保有口数に応じて分配金を受け取ることができます。

分配金は、配当と同様の性質を持っており、運用益の一部を投資家に還元する意味があり、NISA口座で運用している場合は分配金に対して税金がかかりません。

分配方式には「毎月決算型」や「年2回決算型」などの種類があり、それぞれ分配される時期が異なります。

なお、毎月分配型の投資信託の「元本払戻金(特別分配金)」については、利益を分配するものではないためNISA口座でなくても非課税扱いとなります。

NISAの配当金を非課税で受け取る方法

NISA口座で運用している上場株式から配当金を受け取る方法として以下の4種類があります。

受取方法概要
株式数比例分配方式証券会社で保有している株数に応じて配当金を受け取る方法
配当金領収証方式企業から郵送される「配当金領収証」を受け取り、金融機関で換金する方法
登録配当金受領口座方式指定した銀行口座にて配当金を受け取る方法(税引後の金額が振り込まれる)
個別銘柄指定方式金融機関を各銘柄ごとに指定し、配当金を受け取る方法

これら4種類から非課税で受け取る方法について解説します。

配当金を非課税で受け取る方法

NISA口座で配当を受け取る場合、「株式数比例配分方式」に設定しておくと配当金に課税されません。

株式数比例配分方式の意味は上記のとおりです。

保有している株数に応じて、証券口座に配当金が自動的に入金されるため「お金を受け取る」という手間を省くことができます。

証券口座に直接振り込まれることで、非課税で受け取れる以外に、配当金をすぐに再投資に利用できるという点もメリットとしてあげられます。

なお、同じ銘柄を複数の証券会社で保有している場合は、どちらかでまとめて受け取るのではなく、それぞれの証券会社で保有している株数に応じて支払われる点には注意が必要です。

さらに、NISA口座で「株式数比例配分方式」を選択している場合は、特定口座や一般口座で保有している上場株式の配当金についても、「株式数比例配分方式」が自動的に選択されます。

この設定は変更手続きを行った証券会社だけではなく、現在の株式を保有しているすべての証券口座に対して適用されるため、証券会社ごとで配当金の受取方法を設定できないという点にも注意しましょう。

変えられない点に注意しましょう。

配当金を非課税にできない受取方法

配当金の受取方法を4種類紹介しましたが、「株式数比例分配方式」に設定していると非課税になりますが、それ以外の設定になっている場合は、税金が徴収されてしまいます。

運用益に対して課税される3種類の受取方法は、一見するとメリットがなさそうですが、一体どのような場合に使用できるのかについて解説します。

配当金領収証方式

配当金領収証方式とは、企業から郵送された「配当金領収証」を郵便局などの金融機関に持参し、窓口で換金して配当金を受け取る方法です。

この受取方法では、現金を受け取れるというメリットがありますが、配当金の受取期日が設定されているので早めに換金する必要があります。

また、換金期限を超えてしまった場合は、信託銀行に配当金が移ることになるため、期限後は信託銀行で手続きをしなければいけないので注意が必要です。

登録配当金受領口座方式

登録配当金受領口座方式とは、事前に指定したひとつの銀行口座で、保有株式すべての配当金を受け取る方法です。

複数の証券会社にて複数の銘柄を保有している場合でも、1つの銀行口座でまとめて受け取れる点はメリットといえるでしょう。

個別銘柄指定方式

個別銘柄指定方式とは、保有している銘柄ごとに配当金の振込先を指定する方法で、1銘柄ごとに書類で手続きする必要があります。

同じ銘柄を複数の証券会社で保有している場合も、事前に指定したひとつの口座でまとめて配当金を受け取ることができるので、特定の銘柄の配当金だけを個別管理できるというメリットがあります。

しかし、複数銘柄を手続きする場合は書類手続きが大変なので、どうしても配当金を個別管理したい場合のみ行ってください。

その他の注意点

NISAで配当金を受け取る際の注意点について解説しましたが、配当金以外にも注意すべき点が以下の2点あります。

これらの点についてそれぞれ解説します。

外国課税は必ず徴収される

NISA口座で運用していても課税を避けられない税金が「外国課税」です。

外国課税とは、国外で発生した所得に対して当該国の法令に基づいて所得税に相当する税金を支払う必要があるということです。

例えば、米国株で利益を得た場合、アメリカと日本の両国に対して所得税を支払う必要があり、この状態を「二重課税」といいます。

NISA口座の場合は、利益に対して非課税となっていますが、これはあくまで日本国内向けの制度であり、国外では適用されません。

そのため、NISA口座で運用しているからといって、すべてが非課税となるわけではないという点には注意しましょう。

なお、特定口座や一般口座などの課税口座で外国課税がかかった場合は確定申告により「外国税額控除」を受けることができますが、NISA口座では受けられないという点も併せてご注意ください。

損失の繰越控除ができない

特定口座や一般口座などの課税口座で損失が発生した場合は、確定申告によって翌年以降の3年間まで損失額を繰り越すことができます。

これを「損失の繰越控除」といい、損失を繰り越すことで、当該年の損失と翌年以降の利益を相殺することができます。

相殺することで支払わなければいけない税金を減らすことができるというメリットがあります。

しかし、NISA口座では利益に対して税金がかからないというメリットがある一方で、損失を繰り越せないというデメリットがあるのでご注意ください。

まとめ

ここまでNISA口座で配当金を受け取る際の注意点などについて解説してきました。

NISA口座で発生する運用益や配当金に対して基本的には非課税であるため、税金のことは考えなくて良いと思っていた方には驚きの内容だと思います。

とくに配当金を受取方法の設定を間違えれば税金が徴収されてしまうので、必ず事前に「株式数比例分配方式」に設定しておきましょう。

しかし、NISA口座で運用していたとしても外国課税は必ず支払う必要がある点がと、損失の繰越控除を受けられない点は必ず把握しておきましょう。

新NISAで投資を始めたての方も多いと思うので、本記事を参考にNISAに対する正しい知識を身に着けていただけると幸いです。