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債務整理

債務整理は何度もできる?失敗しないための重要ポイントと注意点も解説します

一度は債務整理で借金を片付けたはいいものの、借金癖が抜けずに2回目、3回目の借金問題を抱える人は決して少なくありません。

ここで、「債務整理をすでに経験しているが、再度の債務整理は出来るのか?」という疑問が生じるかもしれません。

本記事では、債務整理を経験した人が、二度目、三度目の債務整理をすることが出来るかどうかについて手続きごとに解説し、加えて、債務整理に失敗しないための重要ポイントと注意点についてもご紹介します。

債務整理は何度もできるのか?手続きごとに解説します

任意整理:出来ることが多いが、できないケースもある

任意整理は、債権者との交渉により、返済条件を変更し、利息をかからなくしたり、毎月の返済額を下げることを合意する手続です。

任意整理の場合は、手続きを取る会社を任意に選ぶことが出来ることから、任意整理をしている会社と、していない会社に分かれます。

任意整理をしていない会社との交渉に関しては、他社の任意整理を行っていても、問題なく受けてもらえることが多いです。

ただし、
「返済回数が少ない」
「返済状況が悪い」
「何年も返済していない期間があった」
「すでに訴訟をされており、判決が出ている」

などの状況に応じて、条件が悪くなることがあります。

では、任意整理をしている会社との2回目以降の合意はできるのでしょうか。

これについては、債権者が認める限りは、任意整理を行うことが出来ます。

ただし、一般的な消費者金融やクレジットカード会社の場合、2回目の和解を最後に、3回目以降は受けてもらえず、受けてもらえたとしても頭金や一括返済といった条件が付くという対応をされることが多いです。

個人再生の場合:7年以内に個人再生をしていると難しい場合あり

結論を先に言いますと、2回目の個人再生や別の手続からの切り替えは利用可能ですが、個人の状況によって注意点や対応策が異なります。

1回目:個人再生 2回目:個人再生の場合

個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つの手続き方法があります。

小規模個人再生は、裁判所の定める再生計画に従い、3年から最長5年で分割して返済する手続きです。

一方、給与所得者等再生は、将来も定期的な収入があり、その収入が安定している見込みのある個人債務者が選択できる個人再生の手続きです。

二つの手続きの違いは以下のとおりです。

小規模個人再生の場合、債権者の半数が反対するか、債務総額の半額以上を持つ債権者が再生計画案に反対すると手続きが中止されます。

他方で、給与所得者等再生の場合は。債権者の再生計画への同意は不要で、債権者の意向に関係なく手続きを進めることができます。

もっとも大きな違いは、給与所得者等再生の場合、再申立てが制限されることです。

給与所得者等再生の場合、再度の法的整理には期間制限が設けられており、再生計画の承認が確定してから7年間は、再び給与所得者等再生を行ったり、自己破産を申し立てたりすることはできません。

一方。小規模個人再生の場合、このような期間制限は適用されません。

このことから、2回目の個人再生は「前回の手続きが小規模個人再生であれば、制限はなく、給与所得者等再生の場合は、7年以内に申し立てを行っていた場合、個人再生は行うことが出来ない」ということになります。

1回目:自己破産 2回目:個人再生の場合

自己破産後の個人再生には、上記のような制限がありません。

個人再生は自己破産のような期間の制限がないため、制度上は、自己破産の翌年に個人再生を申し立てることも可能です。

もっとも、手続きに再生委員が付いたり、裁判官による1対1の呼び出しが行われることがあります。

再生委員は通常、裁判所が債務者に対して特別な注意が必要と判断した場合に選任される傾向があります。そのため、過去に自己破産を経験した債務者の場合、再生委員が付く可能性が高いと考えられます。

自己破産の場合:過去に自己破産をしていると許可が下りない可能性も

1回目:自己破産 2回目:自己破産の場合

前回の自己破産から7年間は、通常は再度の自己破産による借金の免責が認められません。

「再度自己破産を申し立てる場合、前回の免責決定から7年以内は法的に「免責不許可事由」とみなされ、免責が認められないことがあります。

この措置は、自己破産が債務者にとって借金を帳消しにする強力な手段である一方で、債権者にとっては不利益をもたらす可能性があるためです。

再び自己破産を繰り返すことを防ぐために、自己破産後の7年間は自力で経済的な再建を図る機会を提供することを目的としています。

ただし、特別な事情や裁判所の判断により、免責が認められる場合もあることに注意が必要です。

さらに、自己破産の2回目以降は、裁判所が審査を厳格に行います。

特に、同じ理由で再び自己破産を試みる場合、裁判所は債務者が同じ過ちを繰り返す可能性を検討し、免責を認めないことがあります。

したがって、自己破産の2回目以降は、免責を認めるハードルが高くなることを覚えておくべきです。

また、自己破産の2回目以降は通常、管財事件として裁判所が詳細な調査を行うことがあり、これに伴って費用や時間がかかることがあります。

1回目:個人再生 2回目:自己破産の場合

個人再生を経験した人が自己破産を考える際の注意点があります。

自己破産を申し立てるには、「支払不能」状態である必要があります。

しかし、再生計画を認可された債務者は借金が大幅に減額され、通常の「支払不能」要件を満たしにくいことがあります。

そのため、再生計画の取消し手続きが必要となることがあります。

取消しは、債務者が再生計画に従って支払わない場合、債権者が裁判所に申し立てて再生計画を無効にする手続きです。

これにより、債務者は再び「支払不能」と見なされ、自己破産の要件を満たす可能性が高まります。

また、自己破産の免責不許可事由にも留意が必要です。

自己破産を申し立てても、法的に定められた免責不許可事由に該当する場合、通常は免責が認められません。

その中には、「給与所得者等再生が確定してから7年以内に自己破産を申し立てた場合」という条件があります。

個人再生で給与所得者等再生を選んだ場合、再生計画の承認後7年間は免責が認められません。

また、ハードシップ免責が確定後の7年間も同様に免責を認めてもらえません。

ハードシップ免責は、再生計画の認可後に返済が困難になった場合に、特定の条件を満たす場合にのみ借金を免除する手続きです。

複数回目の債務整理の失敗しないための重要ポイントと注意点

手続きの種類を変更する

自己破産や個人再生の経験者が、同じ手続きを試みても、裁判所の承認を得ることが難しいケースが考えられます。

そのため、複数回の債務整理を検討する場合、以前とは異なる手続きへの切り替えを考えることが重要です。

たとえば、任意整理を試みたが返済に困難が生じた場合、再度任意整理を行っても失敗する可能性があります。

ですから、任意整理ではなく、自己破産や個人再生を検討することも選択肢となります。

ほかにも、自己破産を経験した後で再び債務整理が必要な場合も、任意整理や個人再生を検討するなど、手続きの柔軟な変更が失敗のリスクを回避するために役立ちます。

この際、自身で判断するのではなく、弁護士や司法書士などの専門家からアドバイスを受けることが非常に重要です。

たとえ、自己破産の経験者であっても、債務整理全般についての、深い知識を持っていることはほとんどありません。

また、債務整理を行う以上、一定のデメリットは甘受しなければなりませんので、全ての要望を聞けるわけではありませんが、債務整理に特化した専門家であれば、可能な限りニーズに合った解決策を提案し、適切なアドバイスを提供してくれるでしょう。

生活環境・生活事情が変化したことを伝える

2回目以降の債務整理を再度検討する場合、債務整理をするためには、債務者が返済できない状態である必要があります。

そのため、再度の債務整理を考える場合、以前とは状況が異なることを、債権者や裁判所に伝える必要があります。

ですから、生活状況の変化をしっかり説明できるようにすることが大切です。

たとえば、収入が減少した場合、会社でリストラにあった場合、または転職などが収入減の理由として具体的に挙げられます。

これらの変化を詳しく説明することで、債務者が返済できなくなった背後にある原因を明確にし、裁判所や債権者に納得してもらいやすくなります。

また、健康の問題に触れる場合、病気やケガが働くことを難しくしたことを説明しましょう。

状況を裏付けるために、医師の診断書や具体的な医療記録を提供することが役立ちます。

さらに、事故による賠償金支払い等についても、事故の詳細や支払うべき賠償金の金額、支払い期限などを具体的に伝えましょう。

事故に関する書類や警察の報告書、保険会社とのやり取りなどの証拠を示すことで、状況を理解しやすくなります。

つまり、再度の債務整理を考える場合、生活状況の変化を詳しく説明し、その変化が債務者の返済能力にどのように影響を与えたかを明確に伝えることが重要となります。

条件が悪くなることは覚悟する

では、実際、債務整理を経験する人はどのくらいいるのでしょうか?

JICC(信用情報機関)のデータによれば、クレジットカードやキャッシングを利用し、借金を抱えている人は約1700万人いると言われています。

そのうち約350万人が事故情報に登録されています。

ただし、これには延滞や滞納をした債務者も含まれていますので、すべての人が債務整理を経験しているわけではありませんが、参考にはなる数字です。

350万人という事故情報の数は多く感じるかもしれませんが、日本の総人口は約1億2000万人ですから、全体のわずか3%にすぎません。

つまり、借金が問題になるほど借りてしまう人というのは、30人に1人ほどの稀なケースなのです。

そして、多くの人は1回の債務整理で問題を解決し、その後は借金に悩まなくなります。

ですから、2回目や3回目の債務整理を経験する人は、さらにまれなケースです。

このようなケースでは、債権者や裁判所からの優しい条件や許しを期待することは難しいでしょう。

実際、1回目の債務整理と比較すると、2回目や3回目の債務整理の条件は厳しくなる傾向があります。

そもそも借りるべきではないことを忘れない

そもそも、債務整理は借金問題を解決する手続きです。

率直に言えば、債務整理が必要な状況は、一度は借金の返済に失敗したということです。

これは家計や生活の管理に疑念を抱かざるを得ません。

「二度あることは三度ある」と言いますが、借金で一度失敗した人が、生活状況や収支を考えずに再び借金をすると、再び失敗する可能性は高いでしょう。

実際、2回目や3回目の借金をする人は珍しくありませんし、途中で債務整理を諦めることもあります。

このような状況の債務者に、借金を適切に管理する能力があると考えるのは難しいです。

したがって、一度借金問題を解決した後は、再び借金に陥らないように警戒し、自己を律する必要があります。

また、債務整理後にお金を貸す業者は、通常、高金利の消費者金融や街金業者に限られ、返済が難しくなることがほとんどです。

さらに、信用情報に事故情報が記録されているため、一般的な金融機関からはお金を借りにくくなり、知人や親族から借りたり、場合によっては違法な闇金業者に頼ることになるかもしれません。

こういった状況に陥った場合、結末は非常に悲惨です。

会社や親族、知人から信頼を失うことにもなりかねませんし、人間関係に問題が生じることもあります。高利貸しや闇金に返済を迫られるかもしれません。

債務整理でせっかく身ぎれいになったのですから、「そもそも借りるべきではないことを忘れない」ということが非常に大切になります。

まとめ

債務整理は何度もできるか?手続きごとに解説しました。

それぞれの手続きには異なる条件と制約があります。

任意整理の場合多くのケースで複数回の実行が可能ですが、特定のケースではできないこともあります。

個人再生の場合、複数回の債務整理が許可されていますが、一定の制限に注意が必要です。

自己破産の場合、前回の自己破産から7年以内に再度申し立てると許可が下りないことがあることを覚えておいてください。

複数回目の債務整理を成功させるためには、重要なポイントと注意点があります。

まず、手続きの種類を変更することを検討しましょう。

また、生活環境や事情が変化した場合、それを正直に伝えることが重要です。

条件が悪化することも覚悟し、借金に関する過去の教訓を忘れずに、慎重な借金管理を心がけましょう。

最も重要なのは、借金を適切に管理し、再度の借金問題に巻き込まれないようにすることです。

自己破産や債務整理は状況を改善する手段ではありますが、繰り返し行うことは避け、借金に悩まされない生活を築くことが大切です。