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債務整理

債務整理手続きの方法とは?手続きの流れを解説

借金の返済に困っている場合の解決方法として、債務整理手続きというものが存在します。

ネットの広告でも見かけることの多い言葉なので、目にしたことがある人は多いかもしれません。

しかし、債務整理手続きの具体的な方法については知らない、分からないという人もいるのではないでしょうか?

この記事でわかること💡

債務整理手続きの流れ

手続きをするために何が必要か

債務整理手続きとは?

まず、債務整理手続きとは何かご存じでしょうか。

債務整理手続きとは、借金をしている人が収入の減少、突然の出費など何らかの事情で借金の返済が難しくなった時に解決する手段です。

債務整理手続きには種類があり、それぞれ任意整理、個人再生、自己破産の手続きがあります。

任意整理は借金をしている相手方に交渉をして利息分を減額してもらう手続き、個人再生は裁判所に申し立てて借金の減額を認めてもらう手続き、自己破産は裁判所に申し立てて借金の返済を免除してもらう手続きです。

どの手続きをしても、結果としては借金の額が減る、またはなくなることになります。

借金の返済に追われていて苦しい、もしくは返済ができず滞っているという状況の場合、そのまま放っておいても事態は悪化するばかりなので、債務整理手続きを検討すべきと言えます。

債務整理手続きを始めたい時は

それでは、債務整理手続きを始めたいと思った時、どういった流れで債務整理手続きを進めることになるのでしょうか。

どの手続きをするか決める

上述した通り、債務整理手続きには任意整理個人再生自己破産という種類があります。

手続きをするのなら、これらのうち、どの手続きをするのかを決める必要があります。

選ぶうえで重要になるのは、やはりそれぞれの手続きのメリットとデメリットです。

任意整理

個人再生や自己破産とは違い裁判所への申し立てを必要としないので、比較的手続きが簡単です。

また、手続きをする借金を選ぶことができるため、連帯保証人がいる借金や完済前のローンなど、手続きするデメリットの大きい借金については、手続きしない選択をすることができます。

個人再生

任意整理より大幅な借金の減額ができます。

ただし、裁判所に申し立てる必要があり、そして任意整理のように手続きする借金を選ぶことはできません。

自己破産

借金の減額ではなく返済義務を免除してもらう手続きなので、任意整理や個人再生とは違い、借金がなくなります。

その代わり、一定額以上の財産が没収される、手続き中の一部職業・資格に制限がかかる、借金の理由によっては手続きできないことがあるなど、制約も多くなります。

このように、それぞれの手続きで内容が変わってくるので、自分の状況と意向に合わせた手続きを選ばなければなりません。

弁護士・司法書士に相談する

手続きを選ぶ必要があるとは言っても、自分に本当にふさわしい手続きがどれなのか分からない、という人もいるはずです。

また、この手続きをしたいという意向がある人であっても、そのまま独断で決めてしまうのは危険です。

債務整理手続きを検討している場合は、弁護士・司法書士といった専門家に相談しましょう。

相談者の借金と収支や資産の状況、意向に合わせて提案をしてもらえるはずです。

実際に債務整理手続きを始める時には、様々な法的知識を必要とするため、ほとんどの人は弁護士・司法書士に依頼をすることになります。

まずは相談をしてみて、納得のできる対応、提案を受けられる事務所があれば、そのまま依頼をすることでスムーズに債務整理手続きに移ることができます。

債務整理手続きの流れ

債務整理手続きの具体的な流れについて紹介します。

手続きをする準備

弁護士・司法書士に依頼し、手続きに入る前に準備することがあります。

まずは、借金の相手方に弁護士・司法書士が受任通知を送ります。

任意整理の場合は手続きをする借金に限って、個人再生や自己破産の場合は全ての借金の相手方に送ります。

既に返済が滞っており、相手方から督促の連絡が来ているような場合、この時点で督促の連絡は止まります。

そして、相手方に取引履歴の開示を求めます。

これは借金額を確定させるために行われるもので、貸金業者は開示に応じる義務があるので、拒否されることはないはずです。

また、これによって過払い金が判明することがあります。

過払い金というのは、出資法及び貸金業法の改正前に、利息制限法の上限を超える金利で借り入れをして返済したことがある人に発生しているもので、条件を満たせば返還請求が可能です。

過払い金の返還請求ができる状況であれば、弁護士・司法書士が過払い金分を回収します。

任意整理

任意整理の場合、弁護士・司法書士が手続きをする借金の相手方に連絡し、交渉が始まります。

交渉に応じるかどうかは相手方の意向次第ですが、相手方の立場からしても、せめて貸し付けた元本は返してもらわなければ損になってしまいます。

そのため、債務者に破産手続きをされ、貸したお金が一切返って来なくなるよりはましだという理由で、交渉に応じてもらえることがほとんどです。

基本的に任意整理手続きで減額してもらえるのは、借金の利息分と、月々の返済額になります。

交渉の結果、債務者が支払うことができ、債権者が納得することのできる条件に落ち着いたら、示談書を作成します。

これらは依頼を受けた弁護士・司法書士が行うので、依頼をした債務者本人がしなければならないことはあまりありません。

示談後の返済が滞りなく行えるよう、お金の用意をしておきましょう。

個人再生

個人再生の手続きは、裁判所に申し立てることから始まります。

弁護士・司法書士が各種書類を作成し裁判所に提出します。

その際、債務者の通帳、給与明細、家計表なども求められることになります。

これらは本人にしか用意することはできないので、弁護士・司法書士の求めに応じて準備することが必要です。

必要書類が揃い、裁判所が申し立てを受け付けると、裁判所によって個人再生委員というものが選ばれることがあります。

個人再生委員は手続きを進める助けとして選ばれ、債務者の収支や財産の状況を調査します。

個人再生委員がいる場合は、再生計画案の作成についても助言を受けることができます。

再生計画案とは、債務者の借金の総額をその額に応じて減額し、残額を分割払いで返済するという内容のものです。

これが裁判所に認められることで、個人再生の手続きは終了します。

また、個人再生委員により、返済の履行テストが行われます。

これは、債務者が再生計画案と同じ額を毎月個人再生委員に送金するというもので、手続きが終わった後に計画通り返済する能力があるかどうかを測るテストです。

個人再生は、手続きをしたら終わりではなく、計画通りに完済をしなければ意味がありません。

このテストは今後のためにも重要なものなので、きちんと対応する必要があります。

裁判所は、個人再生手続きを行うべきか審査することになりますが、個人再生委員が選出されている場合、個人再生委員からの意見書も審査の材料となります。

問題ないと判断されれば、個人再生手続きが開始されます。

手続きが開始されると、裁判所から債権者に対し、手続きの開始決定書、債権届出書が送られます。

債権者は手続きを申し立てた債務者に対して持っている債権の額を届け出て、債務者はその額に相違がないか確認し、債権認否一覧表を提出します。

そして、再生計画案を裁判所に提出し、裁判所からの認可を得ることになります。

裁判所からの認可が下されれば、再生計画案通りに借金は圧縮されることになり、後は計画通りに返済をすれば、いずれ完済に至ります。

自己破産

自己破産も、個人再生手続きと同じく、まずは裁判所に申し立てることから始まります。

申し立てを受けた裁判所は、今回の手続きが「同時廃止事件」になるか、「少額管財事件」または「管財事件」なのかを判断します。

同時廃止は、債務者に高額な財産がなく、特に調査の必要なく免責の許可を下すことができるとみなされた場合の手続きです。

免責というのは、借金の返済義務の免除のことで、免責の許可を得ることが自己破産手続きにおける最終的な目標です。

同時廃止の場合、免責審尋という裁判官との面接が行われた後で、免責許可が下りて手続きが終わります。

少額管財もしくは管財事件は、債務者に高額な財産があったり、上述した免責の許可について詳しい調査が必要と判断された場合の手続きです。

自己破産手続きをするたいていの人は、こちらの手続きになります。

高額な財産というのは、具体的には評価額が20万円を超える財産で、土地や家を所有している場合は、ほぼ間違いなくこれにあたります。

このような財産を所有している場合、それらは適切に処分されて換金され、債権者に債権の割合に応じて配当されます。

また、こちらの手続きでは、裁判所によって破産管財人が選ばれます。

破産管財人は債務者の財産の処分や、免責を許可できる状況かどうかの調査等を行います。

手続きを申し立てた債務者が破産を見越して新しい借り入れをしていたり、財産の処分を避けるために財産を隠したりと、手続きに関して誠実でない行いをしている、もしくは借金の理由がギャンブルや浪費などの理由であった場合、免責の許可が下りないことがあります。

破産管財人からは面談や書類の提出を求められることになりますが、その際の態度も免責の許可が下るかどうかの判断材料になるので、誠実な態度で臨みましょう。

裁判所では、債権者集会が開かれます。

ここでは破産管財人が債権者に対して手続きに関する報告を行い、債権者からは質問や、異議を申し立てることができます。

債務者に配当できるだけの財産がある場合は、その見込みについても報告されます。

これらの手続きを行い、問題がなければ、最終的に裁判所により免責の許可が決定されます。

債務整理手続きが終わった後は

このように債務整理手続きは進み、終わっていくわけですが、手続きが終わった後にするべきこと、気を付けるべきことはあるのでしょうか。

任意整理と個人再生の場合

任意整理と個人再生の場合では、減額されたとはいえ借金はまだ残っています。

この借金を約束通りに返済し、完済しなければ本当の意味で手続きが終わったとは言えません。

任意整理や個人再生では、減額された後の残額を約束通りに返済することを前提として借金額が減額されています。

完済できず返済が滞ってしまうと、せっかく減額した借金が元に戻ってしまうのです。

そうなると、もう一度同じ手続きをするか、もはや返済することはできないとして破産の手続きに移行するかのどちらかになりますが、どちらにせよ二度手間になる上に、二度目の手続きは当然ながら一度目より難航することが多くなります。

減額を認めた債権者もしくは裁判所にとっては、一度した約束を破られたという形になり、債務者への心証が悪化しているからです。

このような事情により、二度目の債務整理はできないとは言いませんが、お勧めはできないと言えます。

再度手続きをしなくても済むように、任意整理の場合は和解が成立したら、個人再生の場合は再生計画案の許可が下りたら、予定通りの返済を心がけましょう。

自己破産の場合

自己破産の場合は、免責の許可が下りて手続きが終わった後は、返済すべき債務は一部の特殊なものを除いて存在していません。

そのため、生活はおそらく非常に楽になり、手続き後の収入はいくらであっても没収されることはなく、一定期間が過ぎれば以前と同じように借り入れをしたりローンを組んだりすることもできるようになります。

ここで注意しなければならないのは、以前と同じような借り入れの仕方をしてはいけないということです。

手続き前と同じように借り入れを重ねると、そのうちまた返済が苦しくなっていき、手続きをする前と同じ状態に戻ってしまいます。

そうなると、また破産手続きをするほかありませんが、二度目の自己破産は前回の手続きから7年が経過していなければできず、前回より免責の許可を得るまでのハードルも上がります。

借金がなくなったからと気を緩めず、浪費には十分気を使って生活していくことが大切です。