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債務整理

弘前市で債務整理を依頼する弁護士・司法書士事務所の選び方|選定基準・注意点を徹底解説

債務整理とは、借金問題を解決する方法で、現在抱えている借金の減額や、場合によっては借金をゼロにできる可能性があります。

専門家に依頼することによって各人に合った手続きを提案し借金問題を解決に導いてくれます。

この記事では、弘前市で債務整理を相談する弁護士や司法書士事務所を選ぶ際、重視するポイントを解説します。

また、債務整理の費用相場、手続きの流れ、司法書士や弁護士事務所に依頼するメリット等をまとめていますので是非参考にしてください。

借金問題は必ず解決できる

目の前の借金が返済できなくて、他のところから借金して返済してしまう。

気がついたときには雪だるま式に借金が増え、督促に追われ、自分一人では冷静な判断ができなくなることも。。

しかし、どんなに借金を抱えていても必ず解決できます。

統計でみる青森県の借金事情

財務省東北財務局が発表している“多重債務相談受付状況(令和4年度)”によると、青森県の借金問題の特徴として次のようなポイントが挙げられます。

年齢層

・60代以上の方からの相談が最も多く、全体の約4割を占めている
・相談者の平均年齢は55.3歳で、前年度(52.1歳)を上回っている

 令和3年度令和4年度
人数構成比(%)人数構成比(%)
10代00.010.3
20代308.2205.7
30代4612.63911.1
40代6818.75415.4
50代7620.97120.2
60代以上11230.814039.9
不明328.8267.4
合計364351

職業

・給与所得者からの相談が約半数を占めている
・無職からの相談は116件となり、構成比は前年度比3.3ポイント上昇している

 令和3年度令和4年度
人数構成比(%)人数構成比(%)
給与所得者19553.616446.7
無職10829.711633.0
自営・自由業4311.85214.8
家事従事者30.841.1
学生41.110.3
不明113.0144.0
合計364351

借入先数

・1~2件が最も多く、全体の4割を占めている
・平均借入先数は3.6先で、前年度(3.7先)と同水準となっている

 令和3年度令和4年度
人数構成比(%)人数構成比(%)
1~2先13938.213438.2
3~4先9826.98423.9
5~6先6016.55816.5
7~8先287.7164.6
9~10先174.772.0
11先以上30.8123.4
不明195.24011.4
合計364351

借金の額

・200万円未満が133件となり、全体数の約4割を占めている
・平均借入額は6,290千円で、前年度(9,735千円)比で3,445千円減少している

 令和3年度令和4年度
人数構成比(%)人数構成比(%)
100万円未満5515.17120.2
100~200万円未満5515.16217.7
200~300万円未満4412.13810.8
300~400万円未満3710.2195.4
400~500万円未満236.3288.0
500~1000万円未満4211.543.12.3
1000万円以上6317.35415.4
不明4512.43610.3
合計364351

借金のきっかけ

・「低収入・収入の減少(生活費・教育費等の不足等)」の構成比が34.5%と最も高く、前年度比で約10ポイント上昇している
・一方「商品・サービス購入」、「ギャンブル・遊興費」の構成比は低下している

 令和3年度令和4年度
人数構成比(%)人数構成比(%)
低収入・収入の減少9125.012134.5
商品・サービス購入7721.26418.2
事業資金補填328.838.10.8
保証・借金肩代わり277.4288.0
ギャンブル・遊興費287.7246.8
住宅ローン等返済4211.5205.7
本人・家族の病気等164.4154.3
その他・不明5114.04111.7
合計364351

また、最高裁判所が発表している“司法統計”によると、青森高等裁判所管内で申し立てられた個人(自然人)による自己破産及び個人再生の件数は次のとおりです。

 令和3年令和2年令和元年平成30年
自己破産727件853件885件783件
個人再生126件148件163件163件

債務整理に強い弁護士・司法書士を選ぶポイント

債務整理するうえで司法書士・弁護士は大切なパートナーです。

失敗するリスクを少しでも減らせるように、債務整理を依頼する司法書士・弁護士の選び方について解説します。

司法書士・弁護士を選ぶポイントは次の5つです。

1 債務整理の実績がある司法書士・弁護士に相談する
2 複数の司法書士・弁護士事務所に相談する
3 経験や実績、債権者について詳しいか確認する
4 費用はいくらか

それぞれ、司法書士・弁護士に債務整理を依頼するまでの流れに合わせて見ていきましょう。

①債務整理の実績がある司法書士・弁護士に相談する

司法書士・弁護士を選ぶ最初のポイント、それは債務整理の実績がある司法書士・弁護士を探すことです。

債務整理の実績がない司法書士や弁護士に相談、依頼してしまうと、手続きがスムーズに進まなかったり、望んだ結果にならないケースがあります。

債務整理の実績がある司法書士・弁護士を探す方法は、インターネットを利用すると効果的です。

司法書士や弁護士事務所のホームページを見ると、“得意分野”、“相談分野”といった記載が必ずあります。

得意分野、相談分野の最初に記載されていたり、債務整理だけが記載されている場合は、債務整理に積極的に取り組んでいる司法書士・弁護士事務所といっていいでしょう。

また、過去の債務整理の実績等も記載されていれば、なお安心して相談できる事務所といえるでしょう。

②複数の司法書士・弁護士事務所に相談する

債務整理に強い司法書士や弁護士がピックアップできたら、相談に行きます。

相談だけであれば無料としている事務所もあります。

相談時に必要なのは、自分自身の収入と借金額が分かるものを用意しておくとよいでしょう。

一つの事務所だけでなく、複数の司法書士・弁護士事務所に相談することをお勧めします。

一つの事務所だけでは、「自分にとって最適な解決策なのか」を判断できる可能性は低くなってしまいます。

③経験や実績、債権者について詳しいか確認する

どの司法書士・弁護士事務所に依頼するかのポイントは、“過去の実績”や“債権者に精通しているかどうか”です。

裁判所を介しての手続きとなる自己破産や個人再生とは違い、債権者との直接交渉により借金の減額幅が決まる任意整理では、交渉力が決め手です。

司法書士・弁護士の腕次第で、元金を減らしたり経過利息を差し引いてくれたりする場合もあります。

そのため、経験豊富な実績のある司法書士・弁護士に依頼する必要があるのです。

経験・実績は次の方法で確認するとよいでしょう。

・ホームページを確認する
・相談時に取扱件数を確認する
・相談時に依頼する借入先の任意整理をしたことがあるか確認する

初めて会う司法書士や弁護士には聞きにくい質問かもしれません。

しかし、任意整理後の返済額を少しでも減額するためにも必ず聞いておきましょう。

④費用はいくらか

やはり司法書士・弁護士事務所に依頼すると費用がいくらぐらいかかるか気になるところです。

相談時に見積もりを出してもらい判断材料にしましょう。

全部でいくらかかるかも重要なところですが、次に掲げるポイントも確認するとよいでしょう。

・分割払いに対応してくれるか
・任意整理後の返済の代行をしてくれるか

複数の貸金業者等から借金をしている多重債務者の場合、手間がかかり、返済が滞る原因にもなりかねません。

司法書士や弁護士事務所が返済の代行をしてくれれば、返済が滞るリスクもなくなります。

全国対応の事務所もある

最近では、債務整理に強い司法書士・弁護士事務所が全国展開しています。

そのような司法書士・弁護士事務所は法人化して全国に支店を置いており、地域での相談にも対応できる体制を整えています。

メールなどのメッセージツールで相談を受け付けて、相談者の地域を担当する司法書士・弁護士が債務整理を担当することになります。

全国対応の司法書士・弁護士に依頼しても大丈夫な理由

全国展開している司法書士・弁護士事務所を利用するメリットとして次の点が挙げられます。

・インターネットから申し込める
・全国の支店で高水準のリーガルサービスを提供できる体制を整えている
・どの地域でも同じサービスの提供を受けられる

自宅の近くまで出張対応してくれる

全国展開している事務所は、依頼者の居住地を担当する司法書士・弁護士が活動しています。

支店から自宅が離れていて来所が難しいような場合でも、最寄り駅周辺の喫茶店などに出張対応してもらうことも可能です。

また、支店を持たない事務所でも、受任すれば出張対応してくれる事務所は多く存在します。

特に債務整理に積極的に取り組み力を入れている事務所では、そのような傾向が強く見られます。

1回のみの面談でOK

司法書士会・弁護士会の規定では、一度も面談することなく依頼を受けることを禁止しています。

ただし、債務整理の対応をすべて対面で行うことまで規定しているわけではありません。

依頼者は契約締結の際、司法書士・弁護士と面談し、債務整理の方針や費用などについて決めていきます。

債務整理を依頼した後は、司法書士・弁護士主体で手続きが進みます。

債権者からの通知や連絡を受けるもの司法書士・弁護士です。

依頼者は、契約の時に一度、司法書士・弁護士と面談した後は、基本的に手続きが完了するまで事務所に出向く必要はありません。

進捗状況の確認や相談は電話等で問題ない

司法書士・弁護士が手続きを進めるにあたって、進捗状況の連絡や相談は、電話・メール、その他のメッセージツールを用いて行います。

報告や相談等がある度に依頼者が事務所に出向く必要はありません。

司法書士・弁護士が依頼者に報告するタイミングとしては次のような場合があり、依頼者から事務所で話が聞きたいという希望がなければ、電話・メール等で報告を行います。

・受任した債権者の取引履歴がすべて揃い債務額が確定したとき
・方針を変更せざるを得ないとき
・債権者との和解が成立したとき

面談して債務整理を依頼すべき理由

司法書士でも弁護士でも契約時の面談を規定している理由は、依頼者と信頼関係を構築するためということもあります。

信頼関係を構築し債務整理を進めることで円滑に手続を進めることができます。

人柄・話しやすさは債務整理を依頼するうえで重要なポイントです。

どれだけ優秀でも高圧的な態度で接するような司法書士・弁護士や、常に忙しくは話す時間をゆっくり取れない司法書士・弁護士では債務整理を任せることに不安を感じるでしょう。

“自分に合う”“信頼できる”専門家に任せることで、安心して何でも相談することができるのではないでしょうか。

債務整理の費用の相場

債務整理は主に3種類の手続きがあり、裁判所や司法書士・弁護士の介在の度合いにより費用が変わります。

 任意整理個人再生自己破産
減額範囲利息のカット 過払金:充当/返還負債額を最大1/5程度まで減額全額免除
依頼費用 (弁護士)1社:3万~5万円 +減額報酬10%30万~60万円程30万~60万円程
依頼費用 (司法書士)1社:2万~5万円 +減額報酬10%20万~30万円程 書類作成等の限定業務のみ(代理不可)20万~30万円程 書類作成等の限定業務のみ(代理不可)
裁判所に 支払う費用なし20万円程通常管財事件 50万円~ 少額管財事件 20万円~ 同時廃止事件  2万円~ 少額管財事件は弁護士のみ
こういう方にお勧め家族・会社に絶対にバレたくない 手間をかけたくない 手続きする債務を選びたい 返済の意思がある 安定した収入がある債務総額を圧縮したい 自宅を残したい 浪費・ギャンブルによる借金がある 返済の意思がある 安定した収入がある返済能力がない 不動産等の財産がない 浪費・ギャンブルによる借金ではない 借金をなくしたい

※費用相場はあくまでも相場です。事務所や案件、裁判所等により変わります。

債務整理について

債務整理には主に3つの手続きの方法があります。

どの手続きが最も適しているかは依頼者である債務者の資産状況や収入、借金の金額等により異なります。

借金の返済で貯金ができない、利息しか支払えなくて元金が減らないなどと一人で悩むより、司法書士や弁護士に相談し、債務整理を行いましょう。

任意整理の流れ

  1. 司法書士・弁護士に相談・依頼
  2. 債権者へ受任通知送付
  3. 債務調査
  4. 和解案作成
  5. 債権者と交渉
  6. 和解成立
  7. 和解契約締結
  8. 返済開始

どの債務整理の手続きも、司法書士・弁護士に相談して方針を決めてから依頼します。

任意整理を受任すると、司法書士・弁護士は債務調査を行い、債務額を確定させて債権者との交渉に入ります。

月々の返済額が決まると和解契約を締結し、和解契約どおり返済を行っていきます。

任意整理とは

任意整理とは、貸金業者等の債権者と直接交渉し無理なく返済できるようにする手続きです。

任意整理することにより次の4点ができるようになります。

・将来利息カット
・借金を3~5年程度で完済できる
・月々の返済額を見直す
・利息制限法に基づく利率で計算し、過払い金があれば減額する

任意整理すれば、将来利息をカットして月々の返済の負担が軽くなり、自分の力で完済が可能になるでしょう。

また、司法書士や弁護士に任意整理を依頼することにより、受任通知をもって督促がストップしますので、債権者からの督促が精神的な負担になっていた人には大きなメリットといえるでしょう。

任意整理は、自己破産や個人再生と同じ債務整理の一つですが、裁判所を通さず手続きでき、職業や資格の制限もなく、勤務先や家族に知られずに手続きできるのが特徴です。

任意整理の条件

安定した収入があり支払い能力があること

任意整理は基本的に3~5年程度で返済するため、依頼者である債務者の安定した収入や支払い能力があることが条件になります。

債権者と返済について合意した後、決められた金額を支払えるかどうかが重要だからです。

債権者との交渉の際、返済の意思だけでなく、実際に返済可能な証拠として、家計状況や勤務先等の情報を開示する必要がある場合もあります。

安定した収入を証明できない場合、債権者から返済能力がない状態と判断されることになります。

その場合は任意整理ではなく、個人再生や自己破産によって債務の一部又は全部を免除してもらうのが現実的です。

3~5年程度で完済できる見込みがあること

任意整理では、現在の借金を3~5年程度で完済できる計画を立てる必要があります。

現在の総借金額÷36~60ヶ月の計算式で算出した金額の返済ができない場合、任意整理は難しいでしょう。

完済する意思があること

任意整理は、債権者と返済についての合意(和解)が成立したらそれで終わりというわけではありません。

和解成立後、返済計画に基づいて返済を行うことになります。

交渉の際、完済する意志があることをしっかりと債権者に示す必要があります。

任意整理後の返済が遅れた場合、和解が破棄され分割返済ができなくなってしまう可能性があります。

任意整理のメリット

最長5年程度の分割払いにしてもらえる

債権者と交渉することで、3~5年程度の分割払いにしてもらえる可能性が高いです。

利息をカットしてもらったり、長期の分割返済に応じてもらうことで、無理のない返済を行えるようになり、返済の目途がたち、いつ返済が終わるかわからないという不安や精神的な負担も軽くなります。

利息カットの和解ができるかもしれない

任意整理の最大のメリットは、将来利息をカットしてもらえる可能性が高いということです。

債権者と和解が成立すれば、完済するまでの利息がカットされるケースが多く、交渉次第で既に発生している利息もカットできる可能性があります。

法的な条件の規定がない

任意整理には、法的な条件の規定はありません。

自己破産の場合、破産手続き中は一定の職に就けなかったり、財産を処分する必要があります。

管財事件になった場合、郵便物を破産管財人にチェックされるだけでなく、居住地を移転する際には裁判所の許可が必要です。

また、個人再生の場合、債務額が5,000万円以下でなければならないという制限があります。

任意整理なら、個人再生や自己破産のような制限はありません。

また、複雑な手続きも不要で、裁判所に出頭することなく手続きを行えます。

過払い金がある場合、返還される可能性がある

任意整理の手続きを進める際、利息制限法に基づいて引き直し計算を行います。

これにより、借金の時期によっては過払い金が発生しているケースがあります。

目安は、2008年頃より前に貸金業者から借金した人は、20%を超える利息を支払っていた可能性があり、その中でも5~7年以上の期間、借金をしている場合は、過払い金が発生している可能性が特に高いでしょう。

過払い金が発生していた場合は元本の返済に充当でき、過払い金の額が元本を上回っていれば、貸金業者に返還請求することも可能です。

督促が止まる

司法書士や弁護士に債務整理を依頼すると、債権者からの借金の取り立てや督促が止まります。

債務整理を司法書士や弁護士に依頼すると直ちに、債権者に受任通知を送付するためです。

債務整理を司法書士や弁護士に依頼した場合、督促の電話をはじめ、訪問しての取り立て、債務者へ直接請求をしてはならないと貸金業法で定めています。

早ければ司法書士や弁護士に依頼したその日のうちに取り立てや督促が止まるでしょう。

任意整理では、“自宅まで取り立てが来るんじゃないか”、“職場に督促の電話がかかってくるんじゃないか”といった精神的な負担をなくすことも可能です。

司法書士や弁護士が代理で対応してくれる

任意整理を司法書士や弁護士に依頼した場合、依頼者である債務者の代理として債権者と対応してくれるのが一般的です。

また、任意整理後の返済を、司法書士や弁護士の口座に振り込む返済代行を依頼することも可能です。

返済代行の主なメリットは次のとおりです。

・債権者との直接的な対応が発生しない
・返済金額や振り込み回数の間違いを防げる
・債権者が複数の場合でも1回の振り込みで済む
・返済が難しい事情が発生した場合、相談できる

なお、返済代行は、債権者1件あたり1,000円程度の費用がかかります。

手続きする債権の対象を選ぶことができる

個人再生や自己破産と違い、任意整理では対象となる債権者を選ぶことができます。

“借金の返済が難しいが保証には迷惑をかけたくない”、“勤め先から借金している”といった悩みがある人も少なくないでしょう。

債権を選んで任意整理できれば、このような悩みを解決できます。

任意整理の対象にできる債権

・住宅ローン
・自動車ローン
・教育ローン
・クレジットカードのショッピング、キャッシング
・奨学金

任意整理の対象にできない債権

・税金(所得税、法人税、住民税など)
・国民健康保険料、国民年金保険料
・罰金
・養育費

財産を強制的に処分されない

任意整理は私的な整理となることから、所有財産を強制的に処分されずに済みます。

財産を手元に残したままで借金の減額を図ることが可能な手続きです。

担保付きの借金があった場合でも、任意整理の対象から外すことで抵当権の実行を回避できます。

自己破産の場合、生活するにあたり必要最低限なもの以外は処分されて債権者に分配され、個人再生では、“清算価値保証”によって一定の財産を処分しなければならない場合があります。

家族や周りの人にバレる可能性が低い

任意整理は家計の収入状況や、勤務先の退職金の有無などの申告は必要ありません。

同居の家族の預金通帳や源泉徴収票といった収入を証明する書類を提出する必要もありません。

家族や勤務先に任意整理を行ったことがバレることなく手続きを進められる可能性が高いです。

もちろん依頼を受けた司法書士や弁護士も家族や勤務先に任意整理を行う旨の連絡はしません。

自己破産を申し立てる際は、家計の収入状況や、同居の家族の収入を証明できる書類の提出が必要です。取得する書類によっては入手過程で家族にバレてしまう可能性もあります。

手続きが比較的簡易、期間もかからない

任意整理は、債権者と直接交渉することにより、遅延損害金や将来利息のカットが実現できる手続きです。

裁判所を介する自己破産や個人再生と違い、平日に裁判所に行く必要もありません。

任意整理は債権者との私的な借金減額交渉であるため、法律で定められたルールはありません。

債権者によっては給与明細等の書類の提出を求められる場合もありますが、必ずしも求められるわけではないと思っていいでしょう。

自己破産や個人再生の場合、裁判所に提出するための書類が多数ありますが、任意整理は比較的簡単なものです。

期間も、自己破産や個人再生は半年~1年程度かかるのに対し、任意整理では3~6ヶ月程度と比較的短期間で手続きが完了します。

債権者が任意整理に応じてくれる可能性が高い

任意整理の成功率は高いので、債権者の多くは任意整理に応じてくれる可能性が高いです。

債務者が自己破産を選択せざるを得ないとなれば、債権者は債務者の所有財産の範囲でしか返済を受けることができませんし、個人再生の場合も借金が5分の1程度まで圧縮されることを理解しています。

そうなった場合、債権者の損失は大きくなってしまいます。

従って、自己破産や個人再生になるより、任意整理の交渉に応じ少しずつでもよいから返済してもらう方法を選ぶのです。

任意整理のデメリット、注意点

ブラックリストに登録される

任意整理をすると、信用情報機関が管理・保有する信用情報に事故情報として登録されることになります。

俗にいう“ブラックリスト入り”と呼ばれる状態で、一定期間、ローンやクレジットカードの新規契約はもちろん、継続利用もできなくなります。

信用情報機関は、“CIC(株式会社シー・アイ・シー)”、“JICC(日本信用情報機関)”、“KSC(全国銀行個人信用情報センター)”の3つが存在します。

信用情報機関同士は“CRIN”と呼ばれるシステムで情報を共有していますので、任意整理をした場合、ほとんどのローン審査に影響をおよぼすことになります。

また、任意整理する以前から利用していたカードローンが利用できなくなったり、利用限度額が下がったりするケースもあります。

元本の返済義務は残る

任意整理で減額できるのは利息と遅延損害金のみですので、元本の返済義務は残ります。

個人再生は元本の5分の1~最大10分の1まで減額できます。

また、自己破産なら借金そのものがなくなる可能性が高いです。

個人再生や自己破産と比較すると、任意整理の減額効果は高くありません。

借金が高額なケースでは、任意整理では借金問題の解決は難しいでしょう。

借金額が高額な場合は、個人再生や自己破産を検討したほうがよいでしょう。

任意整理に応じてくれない金融機関もある

債権者の多くは任意整理に応じてくれる可能性が高いのですが、すべての債権者が任意整理に応じてくれるわけではありません。

交渉に応じない、和解案に同意しない債権者も存在することを覚えておいてください。

一般的に取引期間が1年以内の債務については任意整理に応じてもらえないケースが多く、過去に同じ貸金業者との間で交渉を行った、一度も返済がないといった場合は、完済が見込めないと判断され和解が成立しない可能性があります。

複数の借入れが存在する場合、借入額だけで判断するのではなく、債権者の特徴も含め総合的に判断する必要があり、自分自身で債務整理の手続きをするのではなく、まずは司法書士や弁護士に相談するのがよいでしょう。

個人再生の流れ

1 司法書士・弁護士に相談・依頼
2 債権者へ受任通知送付
3 債務調査
4 申し立て準備
5 裁判所へ申し立て
6 裁判所・個人再生委員と面談
7 再生計画案提出
8 再生計画案認可
9 返済開始

個人再生も、任意整理と同様、司法書士・弁護士に相談し、個人再生の方針を決めて依頼します。

司法書士・弁護士が債務調査を終えると、個人再生の申し立て準備として、申立書作成や添付書類の収集を行います。

申立書作成、添付書類の収集が終わると、裁判所に個人再生の申し立てを行います。

申し立て内容を確認するため裁判所若しくは裁判所から任命された個人再生委員と面談を行い、問題がなければ手続きが開始されます。

再生計画案を提出、認可されると返済が始まります。

個人再生とは

個人再生とは、“裁判所を通して債務額を5分の1(最大10分の1)程度まで減額する”、“減額後の借金を原則3年(最大5年)で返済する”という債務整理の手続きです。

裁判所から選任された個人再生委員が債務者と債権者から意見を聞き再生計画を作成し、債務者は認可された再生計画に基づいて分割で借金を返済します。

また、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用することにより所有している住宅を残すことも可能です。

次のような方に適している債務整理の手続きといえるでしょう。

・住宅ローン返済中の自宅を手放したくない
・自己破産を避け借金を大幅に減額したい
・現在所有する財産を処分することなく借金問題を解決したい
・職業や資格の制限を受けずに債務整理したい

個人再生の種類

個人再生の手続きには“小規模個人再生”、“給与所得者等再生”の2種類があります。

小規模個人再生

個人再生の基本的な手続きが小規模個人再生であり、多くの方が選択する方法です。

将来的に継続又は反復して収入を得られる見込みがある方なら、給与所得のある会社員だけではなく、個人事業主やルバイト・パートなどで収入を得ている方でも、原則、小規模個人再生を利用できます。

ただし、再生計画に対して不同意の債権者が半数に満たない且つ、不同意の債権者の債権額の2分の1を超えないという要件があります。

小規模個人再生の返済については、最低弁済額と清算価値総額のどちらか高いほうを支払っていきます。

最低弁済額とは“手続きするにあたって最低限支払う必要がある負債総額に応じた金額”、清算価値総額とは“自分の保有するすべての財産を処分した場合に得られる金額”を意味します。

給与所得者等再生

給与取得者等再生は、一般の会社員などのように将来的な収入を確実且つ容易に把握できる人を対象にした手続きです。

小規模個人再生の特則的なもので、債権者の不同意に関する決まりはありません。

債権者の反対が予想される場合は、給与所得者等再生が選択される傾向にあります。

給与所得者等再生の返済については、最低弁済額と清算価値、可処分所得(収入から生活費用として認められた費用や税金を差し引いた金額)の2年分のうち一番高い金額を返済します。

個人再生と任意整理の違い

個人再生と任意整理に共通するところは、借金を減額して返済を継続するという点です。

大きな違いは手続きの方法で、任意整理は、裁判所を通さず債権者と直接交渉を行い、今後の返済額、返済方法、返済期限等を決めて返済をする方法です。

それに対し個人再生は、裁判所を通して借金を大幅に減額、3年(最長5年)程度で返済をする方法です。

任意整理で減額できるのは将来利息や経過利息ですが、個人再生は利息の他に借金の元本も減額されます。

個人再生と自己破産の違い

自己破産は、税金等を除いた借金が全額免除される手続きです。

自己破産では生活に必要なものを除いた財産が換価されることになりますが、個人再生は、財産を残したり、住宅を残すことができます。

また、自己破産においては、手続きを開始することで一定の職業や資格に制限がかかり、場合によっては仕事を辞める必要もでてきますが、個人再生では制限を受けることはありません。

個人再生のメリット

借金を減額できる

個人再生では、原則として5分の1(借金が3,000万円以上の場合:10分の1)に債務を減額できます。

原則3年間で返済できるよう計画を立てますが、特別な事情があれば5年までの分割返済が認められる可能性があります。

住宅ローン特則により住宅を残せる場合がある

個人再生には“住宅ローン特則(住宅資金貸付債権に関する督促)”があります。

住宅ローン特則とは、住宅ローンがあり、借金の返済ができなくなった人が、住宅を手放すことなく借金を整理し、経済的に再生できるための制度です。

一般的に住宅を購入する場合、住宅ローンを組み、購入する住宅を担保(抵当権)にします。

この住宅ローンの返済ができなくなった場合、債権者は抵当権を実行し強制的に売却することによって、住宅を手放すことになります。

しかし、住宅は他の財産と違い生活の基盤であり、経済的更生に繋がるものです。

個人再生の手続きを行った後も返済は続くため、生活基盤である住宅を手放さすことなく経済的更生が図れるよう“住宅ローン特則”が設けられています。

ただし、住宅ローン特則を利用すると住宅ローンは減額対象にはならないので、これまでの契約どおりに返済していかなければなりません。

所有する車を残せる場合がある

ローンを完済した、一括払いで購入したというように、所有する車にローンがなければ手元に車を残すことができます。

ローンの返済が残っている場合、契約に所有権留保の項目があると車を失うことになるのは、車の所有権がローン会社にあるためです。

ただし、ローンが残っていても銀行のマイカーローンであれば、本人が車の所有者になっている可能性が高く、回収されません。

所有者を知りたいときは車検証を確認するとよいでしょう。

免責の制限がないため、借金の理由が問われない

個人再生は、自己破産と違い免責の制限がありません。

借金の原因が何であれ申立てが却下される可能性は低いです。

自己破産は、免責不許可事由に該当すると免責されないケースがあります。

免責不許可事由とは、ギャンブルや浪費が原因でできた借金や、破産手続きにおいて虚偽の申告をした場合等です。

個人再生のデメリット、注意点

信用情報機関に登録され、借入ができなくなる

個人再生をすると、信用情報機関に事故情報として登録されます。

いわゆる“ブラックリスト入り”の状態になり、5~10年間はクレジットカードやローン等の契約ができません。

信用情報機関の事故情報による制限

・銀行や消費者金融から融資を受けられない
・住宅や自動車、商品購入時にローンを利用することができない
・クレジットカードの保有・新規発行ができない
・携帯電話やスマートフォンの端末代金の分割払いができない

もちろん永久にブラックリスト入りするわけではありません。

情報が削除されれば借入れができる可能性はあります。

官報に掲載される

個人再生をすると、官報に氏名・住所・個人再生を行った事実といった情報が掲載されることになります。

官報とは、国が発行する機関紙です。

一般の方にも公開してますが、見る人はほとんどいないため官報に掲載されたことが理由で、勤務先や知人等に個人再生をした事実が知られる可能性は低いでしょう。

手続きが煩雑である

個人再生は裁判所を通す手続きのため手続きが厳格に定められており、必要書類も多く手間がかかるといったデメリットがあります。

また、再生計画を作成するには複雑な計算が必要です。

個人で手続きをするのは難しく、司法書士や弁護士のサポートが必須でしょう。

また、手続き終了までに半年程度の時間がかかることも珍しくありません。

免責許可が下りないなどで失敗する場合がある

申し立てが棄却・却下されて借金を減額できない場合があります。

・申し立てが却下される:
“再生計画案に沿って返済できる見込みがない”、“再生債権の総額が5,000万円を超えない”という利用要件を満たしていない

・廃止自由の発覚:
所有する財産を故意に隠匿または再生計画案の提出期限を遵守しないなど

・再生計画不認可:
“再生計画案に記した返済額が基準額に達しない”など再生計画案自体に問題があると裁判所が判断した

個人再生が失敗に終わる理由のほとんどが申し立てた側の事情です。

失敗しないためには、債務整理に詳しい司法書士や弁護士に相談し、サポートを受けるのがよいでしょう。

返済額が大きくなる可能性がある(清算価値保障の原則)

申立人が多くの財産を所有しているケースでは、個人再生の借金の返済額が大きくなる可能性があります。

“財産を残す代わりに所有する財産の合計額以上を返済する(清算価値保障の原則)”が個人再生の基本原則だからです。

債務者が財産を持っている場合、自己破産では財産の換価処分を前提としているのに対して、個人再生は強制的な処分が規定されていません。

この“清算価値保障の原則”は、“債権者にとって、自己破産によって財産処分(清算)をした場合に返ってくる価値以上の金額を債務者は返済しなければならない”という考え方になります。

住宅ローンで残債があり価値が残債以上になっているものについては、“残債以上の価値分”が返済額に乗ってくるため、返済金額が高額になる場合があります。

個人再生ができる条件

個人再生をする前に次の条件に該当するかを確認してください。

・債務総額が5,000万円以下であること
・返済経済できる収入があること
・債権者からの不同意がないこと
・特定の債務のみを対象としないこと

債務総額が5,000万円以下である

個人再生の手続きを行うには、債務総額が5,000万円以下であることが要件です。

この要件は“5,000万円要件”と呼ばれています。

住宅ローンの債務額は除外可能ですが、その他の債務残高の総額が5,000万円を超えると個人再生を利用することはできません。

返済継続できる収入がある

継続的な収入が見込めないと個人再生を利用することはできません。

個人再生は、借金の一部を原則3年(最長5年)の分割で返済することが前提となるからです。

“継続的な収入がある”、“収入の増減幅が少ない”といった条件に該当しないと、裁判所で個人再生を認めてもらえる可能性は低いでしょう。

無職や失業中の人は基本的に個人再生を利用することはできませんが、パートやアルバイトの人であれば、状況次第ですが利用できる可能性があります。

債権者からの不同意がない

個人再生の手続きのうち“小規模個人再生”のみ、債権者の不同意で再生計画が議決されない可能性があります。(民事再生法第231条第6項)

ただ、実際に債権者から不同意が出るケースは稀です。

不同意の意思表明をする確率が高い金融機関は存在しますが、一般的に同意又は消極的同意(反対の意思を示してない状態)である債権者がほとんどです。

特定の債務のみを対象にすることはできない

個人再生では、“債権者平等の原則”により特定の債務のみを手続きから外すことはできません。

知人からの借金、クレジットカードや消費者金融からの借入れも一律手続きの対象です。

債権者と直接交渉することにより借金の減額をしたり期間の猶予を持たせる任意整理とは大きく異なる点です。

なお、債権者の中から特定の債権者に優先的に返済すると“偏波弁済”となり、個人再生が認められなかったり、返済額が上乗せされることがあります。

自己破産の流れ

1 司法書士・弁護士に相談・依頼
2 債権者へ受任通知送付
3 債務調査
4 申し立て
6 管財人と面接(管財事件)
7 裁判所での面接
8 免責許可決定
9 借金が免責される

自己破産も、他の債務整理と同様、司法書士・弁護士に相談し、自己破産の方針を決めて依頼します。

その後に債務調査を行うことも同様です。

個人再生と同じように裁判所への申し立て準備を行い、準備ができたら裁判所に自己破産の申し立てを行います。

管財事件(少額管財・通常管財・特定管財)については、裁判所から選任された破産管財人と面接を行った後、裁判所での面接が行われます。

同時廃止事件については、裁判所での面接のみとなります。

裁判所での面接が終わると借金の免責許可決定が出され、確定すると借金が免責されます。

自己破産とは

自己破産とは、裁判所を通して一部を除いて借金をすべて免除してもらう手続きです。

裁判所に破産の申し立てを行い、免責許可が確定すると、税金などの非免責債権以外の債務はすべてなくなります。

以下に該当する方は自己破産を選択するタイミングといえるでしょう。

・月々の借金の返済額が収入を大きく上回っている
・借金を完済できる見込みがない
・保有財産を処分しても借金の返済が難しい
・大きな財産がない

自己破産のメリット

借金の返済義務が免除される

支払い不可能であると裁判所に認められ、借金の返済義務が免除(免責許可)されることにより、税金などの一部の借金(非免責債権)を除いて返済する必要がなくなります。

つまり借金がなくなるということです。

借金がなくなることで、借金問題の苦しみから解放され、今後の生活再建への道筋を考える余裕ができ、人生をやり直せます。

一定の財産は手元に残すことができる

裁判所が定める基準を超えない財産(99万円以下の現金・20万円以下の預貯金等)は手元に残せます。

また、冷蔵庫や洗濯機といったものまで処分されてしまうと、たとえ借金が免除されたとしても、その後の生活に支障が出てしまうため、原則として処分の対象になりません。

なお、処分される財産について、自分名義以外のものは処分の対象になりません。

たとえば妻名義の自動車や、本人が被保険者で父親が契約名義人の生命保険等は、処分の対象ではありません。

自己破産のデメリット

財産を処分する必要がある

自己破産は、任意整理や個人再生と異なり、返済義務が免除される手続きです。

ただし、返済義務が免除される以上、所有財産があれば処分する必要があります。

主な処分対象となる財産

・高額な現金、20万円以上の価値がある自動車やバイク
・クレジット―カードで分割払い購入したもの
・生命保険などの解約返戻金
・退職金の8分の1相当額が20万円以上の場合

ローンやクレジットカードが5年以上利用できなくなる

自己破産をすると、信用情報機関に事故情報として登録されます。

いわゆる“ブラックリスト入り”の状態になり、5~10年間はクレジットカードやローン等の契約ができません。

信用情報機関の事故情報による制限

・銀行や消費者金融から融資を受けられない
・住宅や自動車、商品購入時にローンを利用できない
・クレジットカードの保有・新規発行ができない
・携帯電話やスマートフォンの端末代金の分割払いができない

もちろん永久にブラックリスト入りするわけではありません。

情報が削除されれば借入れができる可能性はあります。

官報に掲載される

自己破産をすると、官報に氏名・住所・自己破産を行った事実といった情報が掲載されることになります。

官報とは、国が発行する機関紙です。

そのため官報を見るのは一部の人に限定されます。

官報に掲載されたことが理由で、勤務先や知人等に個人再生をした事実が知られる可能性は低いでしょう。

職業・資格に制限がかかる

自己破産の手続きを開始することで一定の職業や資格に制限がかかり、場合によっては仕事を辞める必要もでてきます。

自己破産で制限がかかる職業・資格

弁護士 司法書士 不動産鑑定士 土地家屋調査士 公認会計士 税理士 行政書士 中小企業診断士 宅地建物取引士 警備員 生命保険募集人 質屋 など

免責されない債務もある(非免責債権)

免責されない債務があることにも注意が必要です。

税金や罰金などは免責されません。

これを“非免責債権”といいます。

非免責債権

・税金、健康保険料・年金等の社会保険料
・罰金等
・横領などの賠償金等
・夫婦間の扶助義務など一定の親族関係にかかる請求権
・破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
・雇用関係に基づき生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
・債権者名簿に故意に記載しなかった請求権

自己破産ができる条件

自己破産できるか、自己破産できないのはどういう場合か、免責手続きも併せて説明します。

借金額に関係なく支払い不能な状態である

法律では、自己破産の条件は、“債務者が支払不能にあるとき”としています。

資産状況や生活状況は人それぞれですので、借金がいくらなら支払い不能という決まりはありません。

つまり、借金が1億円あったとしても、返済できるなら支払い不能ではないため自己破産できませんし、無職や失業などで収入がなく自らの資力では返済できない場合は、たとえ借金が100万円だったとしても支払い不能ということになりますので、自己破産できます。

免責不許可事由

借金を免除してもらう免責手続きでは、借金をした理由を問われます。

たとえば、収入が下がったために生活費が不足し、その補填のために借金が膨らんでしまったという事情であれば免責されやすいのですが、浪費やギャンブルが原因でできた借金ということになると、免責されないという可能性もあります。

このような事情を“免責不許可事由”といいます。

主な免責不許可事由

・浪費、ギャンブル
・換金行為(クレジットカードで商品を購入後すぐに転売する行為)
・名義貸し(借金をする必要がないにもかかわらず他人のためにカードを作り、使用させる行為)
・株や先物取引
・財産の隠匿、不当な処分
・偏波弁済(一部の債権者を優遇して返済する行為)
・虚偽の債権者一覧表の提出
・詐欺的な借入れ

上記のような事情でできた借金は免責不許可事由ですが、絶対に免責されないというわけではありません。

3種類の債務整理のメリット、デメリットを比較

 任意整理個人再生自己破産
こういう方に お勧め・絶対に会社や家族に知られたくない ・手続きに手間をかけたくない ・返済する債務を選びたい ・返済の意志があり、安定した収入が見込める・債務総額を圧縮したい ・自宅を処分されたくない ・浪費・ギャンブルによる借金がある ・返済の意思があり、安定した収入が見込める・返済能力がない ・大きな資産がない ・浪費・ギャンブルによる借金がない ・借金をなくしたい
減額範囲・利息のカット ・過払い金があれば充当、返還負債額を5分の1程度まで減額できる全額免除
返済期間3~5年3~5年
手続期間約1~4ヶ月約6ヶ月~1年約3ヶ月~1年
手続の煩雑さ小 司法書士・弁護士に ほぼ任せられる中 一部自分で書類を 準備する必要がある大 一部自分で書類を 準備する必要がある
裁判所の介在なしありあり
債務の対象選択可能すべてすべて
費用 (弁護士)1社:3万~5万円程 +減額報酬10%程度30万~60万円程30万~60万円程
費用 (司法書士)1社:2万~5万円程 +減額報酬10%程度20万~30万円程 ※代理不可:書類作成等の限定業務20万~30万円程 ※代理不可:書類作成等の限定業務
財産の処分なしなし ※ローン返済中の自動車等(所有権留保付)は除くされる ・金融商品・現金 ※現金99万円までは自由財産 ・換価20万円を超える財産・資産等
保証人の影響対象にした債務のみ請求がいく請求がいく請求がいく
家族・会社に バレる可能性ほぼなしほぼなし ・官報に掲載される ・手続きの過程で家族にバレる可能性ありほぼなし ・官報に記載される ・手続きの過程で家族にバレる可能性あり
職業の資格制限なしなしあり
ブラックリスト入りあり 期間:5年あり 期間:5~10年あり 期間:5~10年
注意点・返済能力があることが前提・返済能力があることが前提 ・最低弁済額、清算価値等により減額金額が変わる ・債務総額5,000万円以下が条件・免責不許可事由があり、財産・資産が処分される

※費用相場はあくまでも相場です。事務所や案件、裁判所等により変わります。

債務整理を司法書士・弁護士に依頼するメリット

状況に応じて適切な解決策を提案してくれる

債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産など様々な手続きがあり、それぞれメリット、デメリットがあります。

借金の状況や借金額などによって適した手続きがあり、債務整理の実績があり経験豊富な司法書士・弁護士に状況や要望を伝えることで、最も適切な解決策を提案してくれることは大きな魅力です。

消費者金融等の債権者からの督促が止まる

司法書士・弁護士が債務整理の手続きを開始すると、消費者金融等の債権者へ“受任通知”を送付します。

受任通知とは、債務者が債務整理の手続きを司法書士・弁護士に依頼したことを債権者に知らせるものです。

債権者が受任通知を受け取ると、債権者は電話や訪問、手紙などによる督促や取り立てができなくなります。

また、手続きが終了するまで毎月の返済もストップしますので、不安やストレスから解放され、生活再建について考える余裕が生まれます。

手続きや交渉を任せられる

債務整理の際は、利息の引き直し計算書、再生計画案、裁判所への申立書・陳述書など、手続きによって様々な書類の作成が必要です。

また、貸金業者等の債権者との交渉や裁判所とのやり取りも必要になります。

自分自身でも必要書類の作成や交渉を行うことは可能ですが、専門的な知識や経験がなければ、望む結果を得られなかったり、余計な時間や費用がかかることになりますのでお勧めできません。

債務整理の経験が豊富な司法書士・弁護士に依頼すれば、このような面倒な書類作成や交渉を任せることができますので、手続きをスムーズに進められます。

会社・家族に内緒で手続きできる

債務整理の中でも自己破産や個人再生は、財産処分や家族の協力が必要なため、家族に知られずに手続きすることは難しいとされています。

しかし、任意整理なら、司法書士・弁護士に依頼することで、会社や家族など周囲に知られずに手続きを行うことが可能です。

司法書士・弁護士に依頼することで、貸金業者等の債権者から連絡が来る、郵便物が会社・自宅に届くなど、会社や家族に知られるリスクをなくすことができます。

また、事務所名を伏せて郵送する、電話の際に事務所名を名乗らないといった配慮をしてくれる事務所もあります。

法テラスの利用も検討する

経済的に余裕がない場合は、法テラスの利用を検討するとよいでしょう。

法テラスとは、法律トラブルに直面したとしても、収入や資産等を十分に保有していない為、司法書士や弁護士に依頼することができない人のために、無料相談等の支援を行う国が運営する機関です。

正式名称を“日本司法支援センター”といい、全国に事務所があります。

一定の条件を満たしていれば、“民事法律扶助制度”を利用した専門家への無料相談ができます。(30分・3回まで)

同様に条件付きとなりますが、司法書士・弁護士の費用を立て替えてくれる制度もあります。

費用を分割払いできますので、月々の負担を軽くして費用を返済することができます。

法テラスを利用したほうがよい人

生活保護を受けているなど、法テラスを利用しなければ司法書士・弁護士への費用を捻出することが難しい場合は、法テラスが、司法書士・弁護士に依頼する唯一の手段となります。

生活保護を受けている場合、収入や資産の条件を満たしていることになりますし、生活保護を受けている限り立替払いの費用が免除されます。

生活保護を受けている人は、自身の負担なく司法書士・弁護士に依頼することができますので、積極的に利用するとよいでしょう。