この記事では、債務整理相談の実施までの流れについて解説します。借金が膨らんでしまった場合、どのように相談を進め、どの手続きを選べばよいか迷っている方は少なくないでしょう。債務整理は、借金を減らしたり、返済を調整したりするための重要な手続きですが、その流れを事前に理解しておくことで、安心して相談を進めることができます。
まず、最初のステップは「相談事務所を選ぶこと」です。信頼できる事務所を選ぶためには、相談料や費用の明確さ、債務整理を得意としているかどうかをしっかりチェックしましょう。次に、事務所が決まったら「相談の予約」を取り、事前に必要な書類を整えておきます。これらの準備をすることで、実際の相談がスムーズに進みます。
相談当日には、しっかりと借金の状況を伝え、専門家のアドバイスを受けながら、どの手続きを進めるかを決定します。債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの方法があり、それぞれの特徴を理解した上で選択することが重要です。最後に、契約を交わし、手続きを開始すれば、あなたの借金問題は着実に解決へと向かっていきます。
この記事を参考に、債務整理相談の流れをしっかり理解し、借金問題から解放される第一歩を踏み出してください。
目次
債務整理相談の流れ
債務整理相談の流れと注意点について順番に説明します。
step1.相談事務所を選ぶ
まず、債務整理の相談先を選びましょう。
債務整理の相談先を選ぶ際のポイントとして
- 相談料がかかるかどうか
- 債務整理の費用が明確になっているか
- 債務整理を得意とする事務所か
などを確認しましょう。
まず、相談料がかかるかどうかです。これについては、事務所のホームページなどで確認しましょう。債務整理を得意とする事務所の場合や、電話やネットでの相談が可能な事務所の場合は、相談料を取っていないケースも多いです。
次に、債務整理の費用です。
これについては、事務所によってかなりの開きがあります。例えば、同じ債務整理の手続きでも、事務所によって「2倍ほど費用が違う」ことがあるのです。「高い費用の事務所に依頼して、費用が払えなくなって辞任される」というのは、よくある失敗パターンです。
費用面は慎重に比較して、相談する事務所を選ぶことが大切です。
また、「費用の総額が明確に示されている事務所」に相談するのがおすすめです。
ホームページで一見安そうに見えても、「○万円~」と記載されている事務所があります。
この書き方では、上限が明記されていないため、最終的にいくら費用がかかるのか分かりません。
正式に依頼するまで費用が明確でない事務所への相談は、避けた方が賢明です。
最後に、債務整理を得意とする事務所であることを確認しましょう。
例えば、弁護士の中には、債務整理を得意とする弁護士もいれば、会社法務を得意とする弁護士もいます。司法書士でも、登記等を中心に行っている人もいれば、債務整理を得意とする方もいます。
このように、同じ専門家であっても、債務整理が得意かどうかは、重要なポイントになります。以下の記事で、債務整理を得意とする専門家の特徴について、詳しく解説しております。
また、債務整理費用の相場についても解説をした記事がありますので、合わせてご参照ください。


step2.相談予約
「債務整理の相談をしたい」と思える事務所が見つかったら、事務所に相談の予約を入れましょう。
通常、債務整理の相談は事務所へ直接訪問して行いますが、電話などでの相談が可能な事務所が増えています。
相談予約は、一般的に「電話」や「メール」で行います。中には、お問い合わせフォームや事務所の公式LINEから相談予約を取れるケースもあるようです。
債務整理の相談は、所要時間は30分から1時間程度となることが多いです。そのため、ある程度時間を確保できる日時を選びましょう。
メール等オンラインで予約する場合、相談したい内容や希望の日時を記載しておくと、スムーズに相談に進むことができます。
【文章例】
クレジットカード4社、銀行1社 計300万円ほどの借金があります。
月々の返済額は7万円ほどですが、収入が減ったため毎月の返済金額を5万円以内に収めたいと考え連絡しました。
相談希望日は12/15、12/20ともに17:00以降です。
また、手続きの内容が決まっているのであれば、「自己破産の相談をしたい」「任意整理の相談をしたい」ということも明記してください。
step3.相談の事前準備
予約が済んだら、相談時の事前準備をしましょう・
相談時までに、以下の点について、手元に書類や控えなどがあると、スムーズに相談を進められます。
- どこの会社にいくらぐらいの債務があるか
- それぞれの会社で、いつ頃借りたか
- 借金が増えた原因
- 家計収支(家計簿)
- 通知書等が送られてきている場合は書類など
これらの内容を確認するために、手元に通帳や明細などあれば理想的ですが、おおよその数字でも問題ありません。
正式に債務整理を依頼する可能性が高い方は、相談の前に、「できればやっておいていただきたいこと」が2点あります。
1点目は「支払い方法の変更」です。
支払い方法が、クレジットカード払いになっているものがある場合、コンビニ払いや銀行振込、引き落としなど別の支払い方法に変更することです。
債務整理をするとクレジットカードは解約になり使えなくなるため、事前に支払い方法を変更しておくことで手続きがスムーズに進みます。
2点目は、「銀行の口座凍結への対応」です。
銀行を債務整理すると、その銀行の預金口座が凍結され、口座からの出金ができなくなります。
この口座凍結に備えて、あらかじめその口座にお金が入らないように対処することが大切です。
具体的には、凍結される口座に給料が振り込まれる場合、振込口座の変更が必要になるかもしれません。
給与振込口座の変更ができるか、できる場合いつ分からできるか、勤務先に確認しておくことをおすすめします。
これらの対応を事前に済ませておけば手続きはスムーズに進みますが、まだ手続きするか検討中の場合や、事前には対応しにくい場合などは、後日、依頼後に行っても大丈夫です。
step4.債務整理の相談当日
予約が完了し、事前準備も終わったら、相談当日まで待ちましょう。
債務整理の相談当日は、以下の点に注意が必要です。
まず、当然のことではありますが、事務所に訪問して相談する場合は、相談時刻に遅刻しないようにしましょう。続けて次の相談者の予約が入っている場合などは、相談が途中で終了してしまうこともあります。
特に直接訪問する場合は、道に迷うことや交通機関の遅延も考慮して、少し早めに事務所に向かうのがおすすめです。
電話などで相談する場合も同様に、次の予約が入っていると、相談が途中で終了したり、相談日時が先延ばしになったりすることもあるため、相談時間には電話で話せる状態にしておきましょう。
そして、弁護士や司法書士が債務の内容(どの業者にいくらぐらいの債務があるか)を聞いた際は、一部の債権者を除外せず、借金のすべてを伝えることが大切です。
キャッシング以外の「ショッピングでのリボ払い」や「分割払い」も、抜けがないよう伝えるようにしてください。
任意整理の場合、一部のみ手続きすることができるため、まだ使いたいカードの申告をしない方がいます。
しかし、債務整理の方針は、手続きをしない債務も含めて決定する必要があるため、必ず全体の債務を申告してください。
任意整理や個人再生の今後の返済の見通しを立てるために必要であり、自己破産の場合は免責不許可事由に影響するため、把握しておくことが重要なのです。
なお、相談には以下のような書類が役に立つことがあります。一部だけでも借金額などが把握できる場合もあり、全てをそろえる必要はありません。併せてご確認ください。


step5.どの手続きをするか決める
債務整理の相談をした結果、債務整理を行うと決めたら、次にするべきことはどの手続きを進めるかです。取引履歴や返済計算をもとに、債務整理の中でどの方法が適切かを検討していきます。
ポイントは、「3年で完済」できる金額かどうかです。
債務整理には「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」の3つの方法があります。
この中で、債務整理手続き後も返済が必要なのは、「任意整理」と「個人再生」です。任意整理では、減額後の借金を「3年を目途に完済」することになります。
そのため、「3年で完済できるか?」「返済のために安定した収入はあるか?」がポイントとなります。
3年で完済が目指せる場合は「任意整理」を選ぶ方が良いケースもありますが、一方で3年で完済することが難しい場合は、「個人再生」や「自己破産」を検討する必要があります。
また、「借金の総額、収入、資産」も検討余地がある部分です。
任意整理の場合は、元金を返す必要がある一方で、個人再生や自己破産の場合、元金の一部、または全部の返済免除が認められるケースがほとんどです。ただし、資産を保有している場合、売却や債権者への返還が必要になることもあることから、一概に個人再生や自己破産が必ず優れているとは言えないでしょう。
依頼者が自分の判断で債務整理の選択を行うことは容易ではないため、弁護士や司法書士など専門家に検討してもらい、アドバイスをもらうことがベストな方法と言えます。
なお、詳しい債務整理の流れや手順に関しては、以下の記事もご参照ください。

step6.契約、手続き費用の支払い
債務整理の方針が決まり、正式に依頼をすることになりましたら、契約書等を締結します。
これで弁護士や司法書士が正式にあなたの代理人となります。
委任契約が成立すると、弁護士や司法書士から各債権者宛に「受任通知」が送付されます。
この受任通知は、「依頼者がこれから債務整理を行います」と各債権者に知らせるものです。
これにより、各債権者からの督促や連絡は全て、弁護士・認定司法書士宛に届くようになります。
また、受任通知の送付から債務整理手続き完了までの間は、返済がストップします。

債務整理相談の流れのまとめ
ただし、手続きを依頼し、委任契約を結ぶと着手金が発生します。原則として、着手金の支払いがなければ債務整理の手続きを開始できません。
しかし、事務所によっては、着手金が無料の場合や一部入金でよい場合など、取り扱いは様々です。
- 相談事務所を選ぶ
- 相談予約
- 相談の事前準備
- 債務整理の相談当日
- どの手続きをするか決める
- 契約、手続き費用の支払い
債務整理を検討する際、まずは相談事務所選びが重要です。
費用の総額が明確で、ホームページに知りたい情報が詳しく掲載されている事務所が望ましいでしょう。
相談予約は電話やメールで行い、事前に借金の状況や家計収支などの情報を整理しておくとスムーズです。
クレジットカードの支払い方法変更や、口座凍結対策なども、できれば事前に済ませておくことをおすすめします。
相談当日は、遅刻せず、借金のすべてを漏れなく伝えることが大切です。
債務整理の方法には、任意整理、個人再生、自己破産の3つがあり、「3年での完済可能性」が選択の目安となります。
専門家のアドバイスを受けて、自分に合った方法を選ぶのがベストな方法です。
手続き開始後は、着手金の支払いと受任通知の送付により、債権者からの督促がストップします。
債務整理は、借金問題からの脱却と新たなスタートのための重要なステップです。
適切な方法を選び、専門家の力を借りて、前向きに取り組んでいきましょう。
まとめ
債務整理を検討する際、まずはどのように進めるべきか、流れをしっかりと理解することが重要です。この記事では、債務整理相談の流れと注意点について順を追って解説します。借金問題に悩んでいる方々にとって、どの相談事務所を選び、どのように準備を整えて、最適な手続きを選ぶかは非常に重要です。これからご紹介する内容を参考に、少しでも不安を軽減していただけると幸いです。
債務整理の第一歩は、信頼できる相談事務所を選ぶことです。相談先を選ぶ際には、費用が明確であるかどうか、債務整理を得意としている事務所かどうかを確認することが必要です。また、相談料が無料の事務所も多いため、事前にしっかり確認しておきましょう。選んだ事務所が自分に合っているかを確かめたら、次は相談予約を行います。電話やメールで簡単に予約できることが多いので、気軽に申し込みましょう。事前準備も大切です。どの会社にどれくらいの借金があるのか、家計収支などの書類を整えておくと、よりスムーズに相談が進みます。
そして、相談当日には、手元に必要な書類を持参し、遅刻しないように心掛けましょう。借金の状況や原因を正直に伝えることが、最適な手続き方法を選ぶために欠かせません。債務整理の方法には、任意整理、個人再生、自己破産の3つの選択肢があります。自分に合った方法を選ぶためには、専門家のアドバイスを受けることが大切です。手続きが決まれば、着手金を支払い、受任通知が送られることで、返済のストップが確認できます。
これらのステップを踏んで、借金問題の解決へと進んでいきましょう。