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債務整理

債務整理の方法とは?任意整理・個人再生・自己破産手続きごとに詳しく解説します

借金の返済ができない、もしくは辛うじてできてはいるものの、生活が圧迫されている場合、債務整理という手段を取ることができるのはご存じでしょうか。

債務整理という言葉は知っていても、具体的にどういったことをするかまでは分からないという人も多いと思います。

今回は、債務整理の方法について手続きごとに解説していきます。

債務整理手続きを考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

債務整理って?

まず、債務整理とは一体何なのかについて解説します。

借金を減らす・なくすことができる

債務整理とは、借金が収入に比べて大きくなってしまい、返済することができない、もしくは返済のために生活が苦しくなっている場合に取ることのできる手段です。

債務整理手続きを行うと、借金の返済義務が一部、もしくは全て免除されます。

つまり、借金が減る、またはなくなるということです。

債務整理手続きは、借金をしている相手の任意によってか、もしくは法律に則って行われるものなので、借金問題を解決する上ではこの上なく正当な手段です。

大抵の借金には利息があるため、返済できずにいる期間が長引けば、それだけ借金の総額も膨らむことになります。

借金の返済に苦しんでいるのであれば、対策をするのは早ければ早いほど良いのは確かです。

手続きには種類がある

債務整理手続きと一括りで呼ばれていますが、具体的には種類があります。

どの手続きも、最終的には借金が減る、なくなるものではありますが、その効果がどの程度のものになるか、そして手続きを行う方法や制約についても変わります。

具体的には、任意整理、個人再生、自己破産の3つに分けられます。

任意整理では、借金の利息分をカットして、借金を減らすことができ、個人再生では、借金を総額のおよそ5分の1程度まで減らすことができます。

また、自己破産では借金の返済義務をなくすことができます。

効果が大きくなるほど、手続きは複雑になり、制約も大きくなると言えるため債務整理手続きをするのであれば、自分の借金、収支、生活の状況を鑑みて、最も自分に適した手続きを選択しなければなりません。

債務整理の方法

具体的な手続きの方法について解説していきます。

任意整理

任意整理は、借金をしている相手との交渉によって、借金を減らしてもらう手続きです。

書面、電話などで相手に直接連絡を取り、交渉をしていくことになります。

任意整理に限り、交渉をする借金としない借金を選ぶことができるので、まずは今ある借金をひとつひとつ精査するところから始まります。

借金の中には、連帯保証人がいたり、担保のある借金があります。

こういった借金を手続きすると、連帯保証人に一括請求が来たり、担保になっていた財産が引き上げられたりすることになるため、任意整理の場合は避けた方が良いという判断になります。

完済前のローンがある場合も、完済前に手続きをすると、購入したものが引き上げられてしまうことがあります。

このような手続きするべきではない借金と、そしてその借金と同じ相手会社から別の名目で借り入れている借金についても同様です。

交渉しても問題のない借金に絞り終えた後で、相手に連絡をします。

交渉に応じるかどうかは相手の意思に委ねられていますが、相手としても、もう払えないと言っている人に変わらず返済を求めたとしても回収できる見込みはなく、最悪の場合自己破産手続きをされて1円も回収できなくなるかもしれないことは理解しています。

つまり、全く回収できなくなるよりは元本分だけでも回収できた方がましだということで、交渉に応じてもらえることがほとんどです。

たいていの場合は、借金のうち利息分をカットし、残った額を月々の分割払いにて返済する形なら認めると提案されます。

こちらが支払うことができ、なおかつ相手も認める内容に落ち着けば、和解成立となります。

後は、取り決め通りに借金を返済すれば、いずれ完済に至ります。

個人再生

個人再生は、民事再生法という法律に則った手続きになります。

任意整理とは違い、手続きを行う時はまず裁判所に申し立てる必要があります。

申し立てをするには、申立書、陳述書、債権者一覧表、家計表など、必要な書類を用意し提出しなければなりません。

書類を揃え申し立てが受理されると、裁判所によっては個人再生委員というものが選出されることがあります。

個人再生委員は、申し立てた人の収入や財産状況の調査と、それをもとに再生計画案の作成について助言をする、手続きを進めるための助けとなる人です。

再生計画案とは、申立人の借金の総額を額に応じて減額し、残った額を分割払いで返済するという内容のものです。

減額できる幅は借金の総額によりますが、おおよそ5分の1程度です。

この再生計画案を作成して裁判所に提出し、裁判所の認可を得ることが最終的な目標となります。

個人再生委員は、再生計画案で予定されている分割支払額と同じ額を、毎月指定の口座に振り込むように申立人に求めます。

これは、申立人が手続き終了後にきちんと計画通りに返済する能力があるかどうかのテストです。

仮に再生計画案が認可されたとしても、その後で返済を滞ると減額された分の借金も元に戻り、手続きをした意味がなくなってしまうので、重要なテストです。

個人再生委員は、上記を含む申立人とのやり取りをしたうえで、個人再生手続きをするべきかどうかを検討し、裁判所に意見書を提出します。

意見書をもとに裁判所が審査をし、問題がないと判断されれば、個人再生手続きが始まります。

個人制裁手続きが開始されると、裁判所からそれぞれの借金の債権者に対して、手続きの開始決定書、債権届出書が送付されます。

債権者はここで、自らが申立人に対して持っている債権、つまりは借金額を届け出ます。

申立人は借金額に対する認識に相違がないかを確認し、債権認否一覧表を提出します。

そして、再生計画案の作成と提出を行います。

提出した再生計画案が裁判所に認可されれば、手続きは終わります。

テストの時と同じように毎月計画通りの返済をし、完済すれば減額された部分の借金の返済義務はなくなります。

自己破産

自己破産は破産法という法律に基づく手続きです。

そのため、手続きを行う時は、個人再生と同じく裁判所に申し立てることになります。

申立書、陳述書、そして給与明細や預金通帳など申立人の収入や財産に関する様々な書類の提出を求められますので、それぞれ準備をする必要があります。

書類の準備ができ、それが不備なく裁判所に受理されれば、破産手続きが開始します。

自己破産手続きをする上での最終的な目標は、裁判所から借金の返済義務を免除する許可を得ることにあります。

これを免責許可と呼びます。

免責許可が下りた場合、税金や罰金、養育費など一部のものを除いたあらゆる借金の返済義務がなくなることになり、非常に大きな効果がもたらされます。

そのため、当然ながら他の手続きよりも厳しい条件が設けられています。

例えば、借金の理由が浪費、ギャンブル、株取引などの射幸行為によるものであった場合は、免責許可は非常に下りにくくなります。

また、財産の処分を免れようとして財産を隠したり、他人に預けたり、破産をすれば返済義務がなくなるからと新しい借り入れをしている場合も同様です。

免責許可を得るためには、誠実な態度で手続きに臨む必要があるということです。

手続きが開始されると、裁判所は今回の手続きが「同時廃止事件」になるか、「少額管財事件」または「管財事件」になるかを判断します。

同時廃止事件は、申立人に高額な財産がなく、上述した免責についても特に調査の必要なく許可できると判断された場合のものです。

この場合は、一度免責審尋と呼ばれる裁判官との面接が行われた後、免責許可が下され手続きは終了します。 少額管財事件、管財事件は、申立人に高額な財産がある、または免責許可について調査が必要と判断された場合のものです。

たいていはこちらの手続きになります。

高額な財産というのは、評価額が20万円を超える土地、車、服飾品などがこれにあたります。

こういった財産がある場合は、それらは適切な処分により換金され、債権者に配当されることになります。

少額管財事件、管財事件の手続きに決定すると、裁判所により破産管財人が選出されます。

破産管財人は申立人の財産の調査、処分、免責許可に関する調査などを行います。

破産管財人とは面接があり、そこでは借金をした時期、原因などを聞かれることになりますが、破産管財人に対しての態度も免責許可の判断に影響するため、誠実な態度で臨むことが重要です。

次に、裁判所により、債権者集会が開かれます。

これは破産管財人から債権者に手続きに関する報告が行われる場で、債権者に対して配当がある場合は、それぞれにどの程度の配当の見込みになるかの報告もされます。

債権者はこれに参加し、手続きに関する質問や異議を申し立てることもできます。

問題なく手続きが進めば、最後に裁判所によって免責許可の決定が下されます。

これにより、全ての手続きが終了します。

債務整理をするには

具体的な債務整理の方法については、以上で説明した通りです。

しかし、難しい、よく分からないと思った人もいるのではないでしょうか。

それでは、債務整理をしたいと思った時、何から始めればよいのかお話しします。

弁護士・司法書士に依頼する

上述の通り、債務整理の手続きというのは様々な工程を必要とし、どれも法律の知識を要する複雑で難しい手続きです。

そのため、最初から最後まで一人で行うというのは、なかなかできることではありません。

そもそも、債務整理手続きのうち任意整理、個人再生、自己破産のどの手続きを行うのかについても、自己判断で決めることはお勧めできません。

効果と制約がそれぞれで違うため、思わぬ結果に終わってしまうことも有り得るためです。

債務整理手続きをするのであれば、弁護士・司法書士に依頼することは必須と言っても過言ではありません。

手続きをするかどうか迷っているような場合でも、無料で相談を受け付けている事務所がありますので、とりあえず相談してみることも選択肢の一つです。

専門家と一緒に手続きを進める

弁護士・司法書士に依頼をすると、先ほど紹介したような手続きのほとんどを弁護士・司法書士に代理してもらえます。

任意整理であれば相手会社との交渉の全てを、任意整理や自己破産の場合は、裁判所に提出する書類の作成はもちろん、破産管財人との面接など申立人自らが行わなければならない手続きの時もアドバイスを受けることができます。

とは言っても、問題の中心はあくまで自分の借金であり、手続きの中で重視されるのも自分の収支、生活、財産状況であるため、依頼して終わりというわけではありません。

手続きを進めるために、弁護士や司法書士から今抱えている借金の一覧、給与明細、家計の状況など、様々な資料や情報の提供を求められるはずです。

手続きを進めるために必要とされているものなので、少し面倒であったとしても、依頼した専門家に協力しましょう。

手続きが終わった後は

手続きが終わると、借金は減額されている、もしくはなくなっている状態になるため、生活は以前より楽になるはずです。

債務整理手続きをすると、個人信用機関に一時期手続きをしたという情報が載るため、しばらくの間は新しい借り入れやローンを組むことが難しくなりますが、それも一定期間が経過すれば消えるため、元と同じ生活を送ることができるようになります。

しかし、任意整理や個人再生の場合では、返済すべき借金は減ったとはいえまだ存在しています。

減った分の借金は、あくまで残りをきちんと完済することを前提に減っているものなので、滞ってしまうと元に戻ってしまい、手続きをやり直すことになってしまいます。

自己破産の場合でも、返済義務がなくなったからといって無理な借り入れを増やしてしまえば、同じことになります。

債務整理手続きが終わった後は、同じことが起こらないよう、しっかりと計画を立てて生活することが大切だと言えます。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る