債務整理は、借金を減らすための手続きであり、借り入れは借金を増やす行為です。
この二つは決して相容れることはありません。
債務整理中の借り入れは厳禁ということになります。
とはいえ、そもそも生活が苦しいから借金をしている人も多く、債務整理中であっても借金をしないと生活が成り立たないという人もおられるかもしれません。
そういった方は、ついつい、債務整理中でも借り入れが可能な消費者金融を探してしまうかもしれませんが、そういったことは絶対に避けなければなりません。
なぜなら、債務整理中という困難な状況につけ込んだ金融業者がかなりの高金利で貸し付けたり、ヤミ金の甘い言葉に誘惑されて、弱みに付け込まれてしまうかもしれないからです。
そのほかにも、債務整理そのものが難航したり、借り入れが犯罪行為になってしまう可能性さえあります。
本記事では、債務整理中の借り入れは絶対にしてはいけない理由を、詳しく解説してゆきます。
合わせて、債務整理中に困ったときにはどうすればいいのか、その対処法についてもご案内いたします。
債務整理中に新たな借り入れをする4つのリスクとは?

リスク①債務整理中に借入できる会社は「中小消費者金融」に多くありますが…
一部の消費者金融業者では債務整理中でも融資を受けることができる可能性があります。
法律上、債務整理中でもキャッシングは禁止されていませんので、借り入れ自体は可能なのです。
債務整理を行った場合、信用情報に事故記録が残ってしまいます。
大手金融機関では信用情報を基に厳格に審査を行うため、お金を借りることは難しいでしょう。
一方で独自の審査基準のある中小消費者金融業者では可能性があります。
ただし、必ずしも債務整理中でも貸し付けを行ってくれるわけではありません。
また、債務整理中という経済的な信用力が低い状態でも貸し付けをするということは、消費者金融側にもそれなりにリスクがあるわけですから、条件は厳しくなる可能性もあります。
中小金融機関は便利な反面金利が高い
債務整理中は信用情報に事故情報が登録されています。
言い方は悪いですが、既に一度、借金の支払いに問題が生じたことがあるという事実は否定できないでしょう。
そのような信用が低い人を相手にするということは、消費者金融側としてもそれなりにいい条件でなければ貸し付けはできないでしょう。
ですから、債務整理中でも貸し付けを行ってくれる中小の消費者金融においては、利息を利息制限法の上限の金額いっぱいで設定して、利益を確実に上げようとしています。
大手の消費者金融よりさらに高い金利を設定していることも多く、返済額も高めに設定されていることがあるとのことです。
借金返済・生活が困難になる
債務整理中に新たに借り入れをすると、生活がさらに苦しくなる可能性があります。
債務整理中に新たな借入をすると、当たり前ですが、返済負担が増えます。
既に債務整理を行っている場合、返済計画が立てられています。
新たな借金をすることで、返済期間が延びたり、月々の返済額が増えたりする可能性があります。
これにより、生活費や他の債務の返済に充てる余裕がなくなり、結果的に生活が苦しくなるでしょう。
また、新たな借金をすることで、借金が雪だるま式に増えてゆくという負の連鎖から抜けられなくなってしまう可能性があります。
ただでさえ、債務整理中の借金を返済するのに大変なのに、元本と利息の返済が増え、さらなる負債を抱えることになります。
これにより、将来的に返済がますます困難になり、生活が厳しくなる可能性があります。
リスク②債務整理そのものができなくなることがある
さらに悪いことに、債務整理中の借り入れが発覚した場合、債務整理を依頼されている弁護士、司法書士としては、委任関係を続けることができなくなってしまうことがあります。
また、債務整理の手続きを継続できないこともあり得ます。
目の前の生活を回すために行った借り入れにより、借金の減額できない環境を作り上げてしまうことになるのです。
債務整理中に借り入れがばれると契約解除される可能性がある
もし新たな借入が明らかになれば、借金問題の解決が不可能と判断され、弁護士や司法書士は辞任し、委任関係を解消する場合もありえます。
債務整理中には、弁護士や司法書士から借り入れを避けるよう指示されています。
借り入れを行う人は「債務整理中の借り入れも、バレなければ大したことがない」と思っているかもしれませんが、これは間違いです。
新たな借り入れをして借金を増やさないのは、債務整理を継続するためには必要不可欠ともいえるほど大事なことです。
当然、契約時にも明確に伝えられているでしょう。
それに違反するというのは、重大な契約違反ですから、委任関係を解消されるのもやむを得ないです。
弁護士や司法書士との委任関係の解消後、債権者からの督促が始まることがあります。
彼らは一括請求や最終手段として訴訟(裁判)に訴える可能性があります。
さらに、場合によっては差し押さえなどの手続きも行われることがあります。
このような状況になると、債務者はさらなる困難に直面することになります。
債務整理の手続きには失敗する可能性がある
では、何故、こんなにも債務整理中の新たな借り入れはいけないのでしょうか。
それは、債務整理の手続きそのものが失敗してしまうおそれがあるからです。
債務整理には特定調停、任意整理、個人再生、自己破産の選択肢がありますが、どの手続きを選んでも、手続き期間中に借り入れを行うと信用を失うことになります。
自己破産では、自己破産を申し立てる前の1年間から手続き開始までの期間に、借金が存在しないかのように振る舞いお金を借りた場合、裁判所から免責が認められない可能性が高まります。
特定調停や任意整理の場合であっても、交渉相手の金融機関から「生活再建の意思がない」と判断される可能性があります。
個人再生の場合、裁判所から再生の見込みがないと判断され、再生計画の認可を受けられないリスクが高まります。
上記のように、債務整理中の借り入れには、手続き失敗のリスクが大いにあります。
弁護士や司法書士は、依頼者を信頼し、協力して債務整理を進めていかなければゆかなければならないのに、依頼者が自ら手続きを失敗させるような行為をしていたら、責任が取れませんよね。
ですから、契約を解除して、委任関係を解消してしまうのです。
リスク③詐欺罪に問われる可能性も
自己破産をすると借金の返済が免除されるということになりますから、
「借り入れをしてもチャラになる。」
と思い込み、お金を借りてしまう悪知恵の働く人もいるかもしれません。
ですが、それは、刑法上の詐欺罪に当たる可能性もある非常に危険な行為です。
そもそも、借り入れを行うときには、返済をする意思のもとで借り入れを行いますから、その後に返せない理由ができてしまっても、借主は詐欺罪に問われることはありません。
しかし、借主が債務整理をすることを隠していたり、返済のめどが立たないことを分かっていながらそれを貸金業者に知らせないで借金をした場合は、詐欺罪に問われる可能性がありえます。
なお、以下の4つの条件がすべて揃う場合、借主に詐欺罪が成立します。
①借主が貸金業者を欺く意図で嘘をついたり真実を隠したりする(欺罔行為)
②借主の欺罔行為によって貸金業者が騙される(錯誤)
③騙された貸金業者が借主に財物や利益を提供する(処分行為)
④借主が③によって受け取った財物や利益を受け取る(財物・利益の移転)
詐欺罪には懲役刑が科され、判決が下ると最長で10年の懲役が科されます(刑法第246条)。
罰金刑は規定されていませんので、執行猶予がつかない場合は刑務所に収監される可能性があります。
せっかく債務整理をして人生を再スタートさせようとしているのに、刑務所に入れられてしまっては余計に不利益でしょう。
無用なリスクを避けるためにも借り入れは絶対にしないでください。
リスク④知らずに闇金に手を出す危険性
債務整理中は、信用情報に影響が出ていることから、そもそも借り入れができないことが多いです。
金銭的に困っていると「とにかくお金を借りてなんとかしたい」という状態になるかもしれません。
闇金業者は、その困難につけ込んで「ブラックでも借りられる」というような魅力的な言葉を使って近づいてきます。
そして、法外な金利を要求してくるのです。
闇金とは法定利息を超える違法な高金利で融資を行う業者です。
貸金業としての登録もしておらず、暴力などの違法な取り立て方法を用いて利用者からの回収を試みる悪質な行為です。
また、最近では、LINEやtwitter等のSNSを経由して、自分の素性を隠して近寄ってくる闇金業者もおり、その方法は巧妙化しています。
闇金からお金を借りることにはリスクが伴います。
闇金はどんな状況にある人でも融資を行うため、お金に困っている人にとっては救いのように見えるかもしれません。
しかし、その金利は法外に高く、「トイチ」と呼ばれる10日で1割の利息や、「トゴ」と呼ばれる10日で5割の利息を要求されることもあります。
「債務整理中に融資を提案してくる貸金業者は、闇金の可能性がある」ということを覚えておきましょう。
魅力的な言葉に惑わされてお金を借りることは絶対に避けるべきです。
どうしてもお金が必要な場合の対処法

債務整理中に借り入れをしてはいけない理由は、上記の通りです。
しかし、現実的な問題として、目の前の生活費や債務整理の費用、借金の返済をしなければならないということも多いでしょう。
その場合、どのような対応法があるかを紹介します。
手続を依頼した弁護士に相談
債務整理中や債務整理後に経済的に困難な状況に陥った場合は、まずは債務整理を依頼した弁護士に相談することが大事になります。
しばしば、支払いが難しいということをいうのが恥ずかしいのか面倒くさいのか、連絡をせずに消えてゆく依頼者も多くいるのが現実ですが、弁護士は借金問題のプロですから、良い解決案を教えてくれるケースはかなり多いです。
例えば、弁護士費用の支払いが厳しいという場合は、今後の支払スケジュール等、相談に応じてもらえる可能性があります。
また、任意整理を依頼している方が、自己破産へ切り替えることによって、全ての借金の返済をストップできる状態になれば、支出額が減らせるため、生活再建に役立つことも大いにあります。
さらに、弁護士費用をまったく支払えない状況であれば、法テラスの民事法律扶助制度を利用することもできる場合があります。
月収や保有財産などの条件を満たしていれば、債務整理に必要な費用を法テラスが立て替えてくれます。
最悪なのは、どこか中小消費者金融や闇金から借り入れをしてしまってから弁護士に相談をするようなケースです。
このような場合、もはや弁護士も手を貸しようがないことも多く、自己破産への切り替えもできないなど、債務整理の選択肢が制限されてしまいます。
かならず、依頼している弁護士を先に頼りましょう。
親や友人に相談する
借り入れをする際に信用情報が関係があるのは、あくまで金融機関からの借り入れの場合だけです。
ですから、親や、友人、会社からの借り入れ間では禁止はされていません。
急にまとまったお金が必要な場合、身近な人に援助を求めるという選択肢があります。
借金のことを他人に打ち明けることは気が引けるかもしれませんが、家族や親戚、親しい友人に状況を話して助けを求めることは一考の価値があります。
親族や友人から利子を請求されるということはあまりありません。
そのため、借り入れを必要以上に増やすことなく、迅速に必要な現金を手に入れることができるでしょう。
ただし、このような借金をする場合、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。
まず、もし返済が滞った場合、親族や友人との関係性が悪化する可能性があります。
金銭の問題は人間関係に大きな負担をかけることがありますので、借金をする前に細心の注意を払う必要があります。
さらに、家族や知人に金銭に困窮していることが知られ、場合によっては借金をしていることがバレる可能性もあります。
他人に借金をしていることが知られることで、信用やプライドが傷つくということもあるでしょうから、注意が必要です。
手続きの面でも問題があります。
自己破産を検討中であるか手続き中の場合は、親族からの借金も免責の対象となる可能性があります。
この場合、親族や友人からお金を借りておいて破産したから返さない、という状況が裁判所からの通知で発覚することになるでしょう。
印象が悪いのは当然です。それだけではなく、親族や友人との、今後の関係性が破綻する可能性も考慮しなくてはいけません。
ただし、借入としてではなく贈与として援助を受けることで、他の債務整理手続きに移行した際に問題が生じる可能性を回避できます。
ですので、正直に債務整理中だということを伝えたうえで、資金援助を受けることをおすすめします。
いずれにせよ、資金不足で知人や親族から借り入れをしようとしている際には、事前に弁護士に相談することをおすすめします。
最終的なリスクが小さい方法を教えてもらえる可能性もあります。
副業や短時間のアルバイトをする
人間の基本は、生活費は働いて稼ぐことです。
債務整理中であるかに関わらず、借り入れで生活費などを賄うという考え方は、改めなければいけません。
債務整理中であっても副業をすることは問題ありません。
債務整理中に新たに副業を始めることは良い選択肢と言えます。
任意整理や個人再生を行っている場合は、副業収入は返済期間を短くすることに寄与し、生活費の不足を補填する助けとなります。
また、自己破産の場合でも、副業収入は生活費として使用することができ、生活費もままならないような貧困状態を解消する手段となります。
ただし、副業収入があまりにも多くなりすぎると、自己破産や個人再生が認められない可能性があるため、注意が必要です。
また、副業収入があることは隠すことなく報告するようにしましょう。
任意整理の場合は裁判所を介さないため、すべてを報告する必要はありませんが、依頼をしている弁護士・司法書士には、どの程度の収入があるかを報告しておく方が無難です。
報告を怠ると、正確な収支状況が把握できなくなり、貸金業者との交渉に悪影響を及ぼす可能性があるためです。
個人再生や自己破産のような裁判所手続きの場合は、収入状況を明確にする必要があります。
副業収入を隠すと、将来的に事実が明るみに出た際には財産隠しではないかと疑われ、免責が許可されない、再生計画の認可が下りないなどといった不都合が生じる可能性はありえます。
したがって、裁判官の信頼を損なわないためにも、副業収入を正確に報告することが重要です。
家計を見直して生活を改善する
借金をしている人、特に多重債務に陥っている方は、
「自分がいくらの借金を毎月支払っているか」
「何にいくらのお金を使っているか」
などの把握をされていないことが大変多いです。
お人柄の面で言えば、おおらかで細かいことにくよくよしないのは良いことかもしれませんが、お金のことに関しては話は別です。
実際に、給料はそれほど少なくないのに、支出が毎月上回っていて、詳しく聞くと趣味にお金を使いすぎていたりすることは多々あります。
もっと悪いことには、買い物が趣味で、借金を作った理由もそれなのに、債務整理中も辞めておらず、返済が出来ないというケースも散見されます。
借金せずに給料の範囲内で趣味や遊びにお金を費やす分には好きにして良いのですが、債務整理中の返済にまで影響するようでは、考えものです。
家計収支表を作成することで、収入と支出のバランスを把握し、無駄な支出を減らしたり、貯蓄を増やしたりするための参考になります。
定期的な収支の確認を通じて、家計管理を効果的に行いましょう。
家計収支を把握するための注意点を挙げていきます。
1. 収入の把握:
手取り収入を毎月確認します。給与明細や振込履歴、通帳の記録をチェックしましょう。
2. 支出の把握:
支出の把握は、大雑把でも良いです。
あまり細かすぎると続けることは難しいでしょう。
支出内容の把握は、毎月必ずかかる家賃や光熱費、携帯代、借金返済の元手等の固定費をまずは算出し、収入との差がいくらあるかを確認しましょう。
固定費と収入の差額の部分が、あなたの使えるお金になります。
使えるお金があまりに少ないようなら、副業やアルバイトを検討するのも手です。
反対に、使えるお金があるのに、毎月ギリギリまで使っているようなら、必要以上に使っている部分を減らすなど工夫をしましょう。
債務整理は人生の再スタートであり、その後も人生は続いて行きます。
債務整理が終わった直後は借金は綺麗に片付いていても、また借り入れをして同じように借金を膨らませてしまっては意味がありません。
借金とは決別をするという思いを持ち、今のうちから家計を管理し、借り入れに頼らない生活を出来るようになっておくことは、後々にもプラスに働きます。
公的融資制度を利用する
「家族からの支援は断られた。」
「バイトをして、支出を見直し、それでもお金が足りない。」
「もう、どこかから借りてくるしかない。」
と思った方もおられるかもしれません。
その場合は、間違っても消費者金融やヤミ金に頼らないでください。
借り入れで失敗する方の多くは、そもそも、頼るべき場所を間違っています。
テレビCMを打つような消費者金融やクレジットカード会社は、あくまで営利目的の団体であり、利益を出すために高い利息を設定しています。
彼らは慈善団体ではないですし、それを咎めるのは筋違いです。
本当に苦しいのであれば、頼るべきは国や地方公共団体が提供する公的な融資制度です。
ここでは、いくつか有名な公的な融資制度や福祉制度を解説していきます。
生活福祉資金貸付制度
債務整理中にお金が必要になった場合、有効な対策として生活福祉資金貸付制度を活用することが挙げられます。
生活福祉資金貸付制度は、国が都道府県の社会福祉協議会を通じて提供する融資制度であり、無利子または非常に低い利率(1~3%)で資金を借りることができます。
生活福祉資金貸付制度では、総合支援資金という、生活費用や公共料金等の立て替え費用、債務整理をするために必要な経費などを融資してくれます。
また、けがや病気、失業などを補填する福祉資金や、低所得者世帯のお子さんが高等学校、大学又は高等専門学校に終了するために用意された教育支援資金という、豊富な種類の融資制度が整っています。
言い換えれば、生活費はもちろん、住居費や教育費など、さまざまな目的に資金を利用することができるということです。
これらの借り入れは、返済開始までに半年ほどの猶予があります。
また、返済が開始になっても、収入が元に戻っていない場合や返済が困難なときには、再猶予や支払いの免除を認めてもらえることもあります。
さらに、これらの借り入れを債務整理の費用の支払いや返済に当てることも認められます。
自己破産や個人再生への影響もありません。
これだけ聞くと素晴らしい融資制度のように聞こえますが、支給開始までに時間がかかること、融資の際に審査があり、所得制限が課せられているため、収入が多い方だと利用できない場合があるということには注意が必要です。
加えて、法律上は債務整理の費用に充てることも認められてはいるのですが、実際のところは消極的で、窓口によっては「債務整理中には借り入れはできない」と断っているところもあるそうです。
すぐにお金が必要な場合は緊急小口資金
緊急小口資金は、国が各都道府県の社会福祉協議会を通じてお金を貸し付ける融資制度です。
少額であるという点はネックですが、比較的短期間で振り込みを完了してくれるため、直近の生活が困った場合には頼る先として挙げられます。
特徴として、緊急小口資金は無利子です。
ただし、返済期限を過ぎると年率5%の延滞利子が発生します。
返済の開始までには2ヶ月の猶予期間があります。
審査は他の制度に比べて早く、緊急性の高い事案に対して貸付が行われます。
貸付内容は、最大で10万円までの貸付が可能で、担保や保証人も必要ありません。
注意点としては、緊急小口資金は他の福祉制度と比べて、支給までの期間はかなり早い方ではありますが、即日融資されるわけではありません。最短でも申し込みから5日程度、長い場合、10日程度は待たなければならないことがあります。
また、少額小口資金が返済開始となった後に支払いを怠った場合、5%の遅延損害金が生じることも覚えておきましょう。
なお、「即日融資」がないことを理由に緊急小口資金は使えない、という方も稀におられるようですが、債務整理中に即日融資をしてくれる業者はほとんど存在しないものと考えて差し支えありません。
(当然、利用は推奨はしませんが)中小の消費者金融ですら、申し込みから融資まで数日かかります。
そして、利息は何十パーセントも向こうの方が高いのです。
また、仮に即日融資をしてくれる神様のように優しい人がいたとして、その人はほぼ確実に闇金業者でしょう。
即日融資というのは、実はそれほどリスキーなものであり、基本的には近寄らないことを強くおすすめします。
求職者支援資金融資制度
求職者支援資金融資は、ハローワークの「職業訓練受講給付金」を受給する生活に困っている人を対象とした公的な融資制度です。
配偶者や同居家族がいる場合は月10万円(上限)、それ以外の場合は月5万円(上限)を受講予定訓練月数(最大12カ月)で計算して借りることができます。
担保や保証人は不要です。
融資を受けたお金は、職業訓練が完了した月から4カ月後に返済が開始されます。
返済は元本と利息の支払いで、貸付利率は年3.0%と比較的低めです。
ただし、返済が遅れた場合には遅延損害金として年率14.5%の支払い義務が生じます。
ハローワークで職業訓練受講給付金を受けることと、求職者支援資金融資要件確認の交付を受けることが条件です。
なお、求職者支援資金融資制度の窓口はハローワークになりますが、融資を受けるためには、労働金庫からの審査に通過する必要があります。
返済能力がないと判断されると貸し付けを受けられない可能性があります。
母子父子寡婦福祉資金貸付制度
母子父子寡婦福祉資金貸付制度は、自分の居住地から最寄りの市役所で申し込める、お子さん等を扶養している母子家庭の母又は父子家庭の父等を対象に資金の貸付けを行う制度です。
貸付の名目は多種多様に渡り、生活資金や住宅資金などを支援するものの他、子供の就学費用、修学旅行費、就職の際の準備金、ひとり親の就職支援のための技能研修費用などを貸し付けてくれます。
利息は制度により異なりますが、おおむね1~3%程度と金利は安く設定されています。
債務整理中に借入が必要な理由として、お子さんの進学費用や学校で必要になる備品などが上がることは珍しくありません。
そのため、そういったお金に困っている方であれば、役所の窓口で相談されることをおすすめいたします。
生活保護を検討する
上記の融資制度を利用してもなお、どうしても生活が成り立たない場合、最終手段として生活保護を検討する必要があります。
ここで、「借金があっても生活保護は受けられるのか?」という疑問を持たれる方もおられるかもしれませんが、問題ありません。
なぜなら、生活保護の受給において、借金の有無は受給要件には関係ないからです。
生活保護は、生活に困窮している方々に対して最低限の生活を保障するための制度であり、借金があるかどうかは受給の対象には影響しません。
生活保護の受給には、収入や資産、能力の活用などが評価されます。
借金がある場合でも、それを返済するための収入や資産が不足している場合には、生活保護を受けることができます。
ただし、借金がある場合でも、受給申請時には収入や資産の状況などを詳しく調査されることがあります。
また、生活保護の受給を決定する際には、借金の返済能力なども考慮される場合があります。
注意が必要なのが、生活保護を受給したからといって借金が無くなるわけではなく、借金返済の義務や責任は依然として存在するということです。
また、生活保護を受けても借金を返済するための支援や免除はありません。
生活保護の受給額は最低限度の生活費をカバーするものであり、借金返済に充てることは困難です。
また、生活保護のお金で借金を返済することは不正受給になり、生活保護の打ち切りのリスクがあります。
借金の返済義務は放置しておくことは許されず、生活保護受給中も含めて返済義務は継続します。
借金問題については法的な対応が必要な場合もあります。
そのような場合には、法テラス(日本司法支援センター)に相談し、自己破産などの適切な手続きを行うことが推奨されます。
法テラスでは、生活保護受給者に対しても特別な支援を提供しています。
【結論】債務整理中は新しい借入をするのは絶対にNG

繰り返しになりますが、債務整理は借金をなくしたり、減らしたりする手続きであり、買い入れはその逆です。
片方では「借金を返す」と言いながら、もう一方で「借金させてください」と頼む、この二つは相いれない行為です。
そういった矛盾した態度を取ることは、依頼した弁護士、融資をしてくれた金融業者、手続きを行う裁判所など、手続きに関わる全ての人に対する背信行為と言ってもいいでしょう。
それほど重大な問題であることをまずは認識しましょう。
また、「即日融資」や「ブラックでも借りられる」などの甘い言葉に誘われ、高利貸しの街金業者や違法な闇金業者に付け込まれてしまい、余計なリスクを負う羽目になってしまいます。
債務整理中は新しい借入をするのは絶対にNGであることを、胸に刻んで債務整理中はぐっと我慢しましょう。
ただし、そういった高利貸しの貸金会社ではなく、低金利や利息ゼロで借り入れを行えるケースもあります。
親しい知人や親族、公的な機関を頼ることで、直近の生活費などを融資してもらえる可能性はあります。
もし、それでも生活が困難な場合、生活保護を受給するというのも検討した方が良いでしょう。