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債務整理

債務整理するとできなくなることは?誤解されやすいことやメリットも紹介

債務整理はお金の問題を解決するための手続きですが、債務整理をすると信用情報や財産の所有に大きな影響が出ることがあります。

そのため、

などと、デメリットを考慮し、債務整理を躊躇する方も多くいらっしゃいます。

ただし、債務整理には借金や利息を減らして返済しやすくするなどのメリットもあります。また、実際には、影響がないにもかかわらず、制約があると誤解されていることも多々あります。

だからこそ、債務整理をする前に、その制約に関する正確な理解や自分の状況に合った選択肢をよく考える必要があります。

この記事では、債務整理を選ぶことで影響を受ける可能性のある項目、債務整理をするとできなくなることについて説明します。

債務整理とは

債務整理とは返済方法を変更したり、借金を減額、免除することにより、借金問題を解決するための方法です。

手続きによって減額できる金額や、裁判所を通じて手続きを行うかなどの方法が異なります。

債務整理のおもな方法は「任意整理」「個人再生」「自己破産」となります。

以下で詳細に解説していきます。

任意整理とは

任意整理は消費者金融などの債権者と交渉して、金利の引き直しや借金の減額を行い、返済を生活に支障なく行えるようにする債務整理の方法です。

裁判所を利用せずに行われる点が破産や個人再生との大きな違いです。

例えば、消費者金融A社から100万円を借りている場合、法律で定められた利息の上限は15%です。毎月の返済のほとんどが高い利息を支払っていることになります。

任意整理は、この高い利息を削減し、元本のみを支払う状態にする手続きです。これにより、返済額が元本に充てられるため、返済が容易になります。

さらに、元本に利息が含まれていた場合よりも毎月の支払額が減ることもあります。

また、任意整理の魅力は手続きの柔軟性です。裁判所を介さず、債権者との交渉によって進められるため、手続きの制約が少ないです。

また、調査や制限を受ける必要もなく、手続きを進める業者を自由に選ぶことができます。家族や勤務先への影響も少ないため、プライバシーが守られます。

個人再生とは

個人再生は裁判所を使って、自宅を手元に残しながら借金を減額する返済計画を認めてもらう手続きです。

個人再生には、「住宅資金特別条項」という特別な規定があります。この規定により、住宅ローンなどの住宅資金貸付債権について、自宅やマイホームを手放さずに、住宅ローン以外の借金を減額または分割払いすることが可能となります。

個人再生を利用するためには、将来的な収入が安定していることや裁判所への申立てや再生計画の作成などの手続きが必要となります。

個人再生は他の債務整理方法では実現できない、手元の財産や自宅を手放すことなく、大幅な借金の圧縮(最大で90%の減額)が可能な手続きです。

自己破産とは

自己破産手続きは、借金が返せない状態であることを裁判所に認めてもらい、借金を返さなくてもいいようにしてもらう手続きです。

自己破産のメリットは、借金を返さなくていいということです。借金が100万円でも1000万円でも、裁判所が承認すれば返済を免除してもらえます。

借金の負担から解放され、新たなスタートを切ることができます。

例えば、既に多額の借金を抱えていて、消費者金融やクレジットカードから複数の借り入れがある人や、給料の大半を返済に充ててしまっている人は、自己破産を考える価値があるかもしれません。

債務整理をするとできなくなること

前項では、債務整理の内容と、そのメリットを案内してきましたが、一方で注意点もあります。大きく分けると、以下の4つの問題が生じると言えます。

①信用情報に影響が出る

一番有名なのは、債務整理をすると信用情報に影響が出ることです。(いわゆるブラックリスト)

金融機関は信用情報を確認して厳しい審査を行うため、お金を借りることやクレジットカードの利用が難しくなります。

ただし、事故情報は、ずっと残るものではありません。一定の期間が経過すると、事故情報は消えます。

例えば、過去に債務整理をした場合でも、信用情報から事故情報が削除されていれば、金融機関やローン会社はその情報を知ることはありません。そして、ローン審査に影響を受けることなく、再びローンを利用できるようになります。

以下の表は、信用情報機関の名前と業務範囲と、事故情報の登録期間の一般的な目安です。

・信用情報機関の名称と業務範囲

全国銀行個人信用情報センター(KSC)銀行、信用金庫、信用組合、農協
株式会社日本信用情報機構(JICC)貸金業者(消費者金融など)
株式会社シー・アイ・シー(CIC)クレジットカード会社

・事故情報の登録期間の目安

 KSCJICCCIC
任意整理5年5年5年
個人再生10年5年5年
自己破産10年5年5年

ただし、ブラック期間が消えるまでの期間は個人の状況によって異なるため、これらの期間は目安となります。

②債務整理するとマイホームを手放すことになる

住宅ローンの債務整理をすると、住宅の状況がどうなるのか知っていますか?あやふやなイメージがあるかもしれません。

通常、住宅ローンを組む際には、保証人を立てたり、保証会社を利用することが一般的です。これは、もしも債務整理や返済の遅れが生じた場合、ローンを組んだ人の代わりに、返済を行ってくれる人や会社が必要だからです。

まず、債務整理をすると金融機関に通知をすることになります。この時点で保証会社が銀行に代わってローンを返済することになります。

その後、保証会社が返済金を回収し始め、住宅は競売にかけられる可能性があります。つまり、住宅ローンの債務整理をすると、大切な住宅を失う可能性があるのです。

下記のようにマイホームを維持できる手続きもあります。

また、住んでいる家が自分の持ち家ではなく、賃貸物件である人も多いですが、この場合、債務整理をすることで家を出なければならないのかというと、実はそうではありません。

賃貸物件を借りる際には、信用情報は関係ありませんので、債務整理をしても、賃貸契約が解除されたり、新しい契約ができなくなることはありません。

債務整理をしていても、現在住んでいる賃貸物件には引き続き住むことができます。

ただし、家賃を滞納していた場合、滞納した家賃を債務整理の対象に含めている場合、家主から退去を求められることがありますので、それには気をつけましょう。

③債務整理後のカーローン契約

債務整理をすると、車が取り上げられる可能性があります。車が取り上げられるケースは、自動車ローンを組むときに「所有権留保」という保証がついている場合です。

所有権留保とは、ローンの返済が完了するまで、車の所有権が信販会社などの債権者に残る仕組みです。これは、ローンの返済が滞った場合に車を取り上げることができるというメリットがあるため、ディーラーやクレジットカード会社などでよく使われています。

自己破産では車は原則回収される

一般的には、自己破産をすると車を手放す必要がありますが、ローンを完済した車や現金で購入した車の場合は、一部の条件を満たす場合には手元に残すことができる可能性があります。

自己破産をする際、生活に必要な最低限の財産【=自由財産】は残すことができます。

一般的に、車は自由財産には含まれませんが、車の価値が20万円以下で、かつローンが完済されている場合には、自己破産しても手元に車を保持することができる可能性があります。

任意整理で対象から外す

任意整理は、自己破産や個人再生と異なり、整理する対象を選ぶことができます。

つまり、車を引き上げられたくない場合は、車のローンを債務整理の対象から外し、他の債権者に対してのみ任意整理を行うことにより、引き揚げを回避することが出来ます。

個人再生の場合、車のローンが完済されているかどうかによって、状況は異なります。

個人再生を行う場合、まだローンの残っている車は通常、競売や引き揚げの対象となります。

個人再生の場合

個人再生では、財産や資産が強制的に売却されることはありません。言い換えれば、個人再生では財産や資産を売却する必要はなく、所有し続けることができます。

また、例外的な方法として、「別除権協定」というものがあります。

別除権協定は、所有権留保などの権利者と特別に締結する契約で、個人再生の場合においてローンの減額が行われても車を回収しないことを約束するものです。

ただし、別除権協定は例外的な措置であり、生活や職業にかかわる場合に限られ、娯楽や買い物のための車には適用されません。

個人再生において車を保持するためには、特別な条件が必要であり、裁判所が認める場合も限られています。

④自己破産特有の制限

自己破産は任意整理や個人再生と違い、借金を一切払わなくていいということから、債権者へのダメージは非常に大きいといえます。そのため、他の手続きとは異なった制約が課されることがあります。

自己破産手続き中には、一部の職業への就業が制限されることがあります。

例えば、警備員や銀行員、保険外交員などの一部の職業は制限される場合があり、特定の資格(弁護士や司法書士、宅建士など)も制限を受けることがあります。

なお、自己破産をすると公務員になれないという噂がありますが、これは真実ではありません。

破産者は自身の所有する財産について管理や処分する権利を失います。

自己破産手続き中の人は、自由に住まいを変えたり長期旅行をしたりすることは許されません。その理由は、破産者が自分の持ち物についていつでも説明できる状態でなければならないためです。

破産手続きが始まってから終わるまでの間、破産者が受け取る郵便物は破産管財人に転送され、開封されて内容が確認されます。

その理由は、破産者が債権者を差し引いたり財産を隠したりする可能性があるからです。

債務整理をしても影響ないもの

ここまで、債務整理を行うと影響が出るものの例を上げてきました。では、職場や転職、家族などへの影響はないのでしょうか。

仕事関係

債務整理を理由に会社から解雇されることは原則ない

債務整理を行ったからといって、基本的に会社から解雇されることはありません。

ただし、一部の職業では、破産手続き中は制限があり、就業制限や資格の欠格事由になる場合があります。そのため、業務が制限されたり、就業規則によって解雇事由となることもあります。

もっとも、会社は従業員を解雇する前に、代替案として配置転換などの措置を講じる義務がありますので、自己破産したからといってすぐに解雇される可能性は非常に低いです。

そもそも債務整理が勤め先にバレるケースは限られる

そもそも論として、上記の解雇されるされないという話は、「会社にバレたら」という前提です。

現実的には、債務整理を行っていると会社に知られるケースはほとんどありません。

債務整理をしたからと言って、その事実を会社に通知する義務があるわけでもありませんし、各債権者や裁判所が通知することもほとんどないためです。

家族関係

家族への影響はほとんどない

整理をしても、家族が借金を肩代わりする必要はありません。

また、子どもの進学・就職・結婚を妨げることも基本的にはありません。

さらに、債務整理を行ってブラックリストになった場合でも、家族の信用情報には、影響しません。

全く影響がないわけではない

ただし、家族が保証人として着いている場合、返済義務が本人から家族へ移ることとなります。例えば、家族が車のローンや奨学金の保証人となっている場合は債務整理をすると家族に支払い義務が移ります。

債務整理を検討する際には、保証人の有無は必ず調べる必要があると言えるでしょう。

自己破産や個人再生では、同居家族の協力が必須

自己破産や個人再生の手続きを行う場合、同居家族に内緒のまま手続きを進めることはほとんど不可能と言っていいでしょう。

自己破産や個人再生の手続きを行う際に、家計収支のほ卯国をしなくてはならないのですが、その際に、家計を一緒にしている家族の収入証明や支払の履歴を出すように求めらえれることも多いです。

ただし、これはあくまで生計を同じくする同居人の場合にのみ当てはまります。

その他

海外旅行にも影響はない

自己破産をすると、一定の期間の間、転居や旅行に裁判所の許可が必要ということはすでに述べました。しかし、これはあくまで「自己破産手続き中」の「免責許可が下りるまで」の話です。

あくまで、一時的な我慢ということであり、信用情報とは異なり、手続き後まで影響が出るようなものではないのです。

健康保険、生命保険の契約には影響はない

自己破産していても、生命保険に加入することは問題ありません。

生命保険は保険料を支払うことで、万が一の時に保障を受ける契約です。信用に基づく契約ではありません。

保険会社にとって保険料の支払いが滞った場合でも、単に保障がなくなるだけであり、保険会社に直接的な損失は生じません。

そのため、自己破産後でも生命保険に加入することができるのです。