債務整理は、借金返済に困っている人々が負担を軽減するための法的手続です。
債務整理を行うことで、クレジットカードや消費者金融からのキャッシングといった、借金問題に解決の道筋をつけることができます。
ですが、債務整理と一言に言っても、様々な手段があり、「借金総額はそれほど大きくない」という人と、「このまま一生働き続けても、返済できる気がしない」という人では、取るべき債務整理の手続きが変わってきます。
失敗のない債務整理をするためには個々の状況やニーズに応じて手続きを選ぶことが重要となります。
ここでは、4つの債務整理方法について、それぞれのメリットと注意点について解説し、あなたにとってベストの方法の選び方をお教えします。
債務整理とはどんな手続きか

借金救済制度?債務整理とは借金の負担を減らすこと
「今月の支払いができない」
「毎月毎月、支払いが遅れて督促の連絡が来てしまう」
「払っても払っても完済が見えてこない」
「借金の支払いに困って、新たに借り入れしてしまった」
こういった悩みをお持ちの方は、全国に多数おられます。
借金問題は、毎月毎月の返済に追われて、金銭面が苦しいのはもちろんのこと、借金が減っていかない焦りや、支払いがいつまで続くかという不安感から、精神的にも大きな負担となります。
そのような悩みをお持ちの方は、債務整理を検討してみてはいかがでしょうか。
債務整理とは、借金の総支払額を減らすことや、毎月の返済額を軽減する手続きの総称です。
これにより、返済の負担を軽くし、借金問題に対処することができます。
債務整理を利用すべき4つの状況
では、どのような状況に陥っている人が、債務整理を検討した方が良いのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。
借金の総額が年収の3分の1近い
「これ以上の借り入れをすると大変だ」という基準を、実は国が定めています。
貸金業法13条の2では、「貸付けの契約を締結しようとする場合において、前条第一項の規定による調査により、当該貸付けの契約が個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは、当該貸付けの契約を締結してはならない」
と定められています。
つまり、年間の給与及びこれに類する定期的な収入を大きく超える貸付けを貸金業者が行うことは過剰貸付けとして禁止される、総量規制が導入されているということです。
そして、総量規制の貸付上限は、年収の3分の1と定められています。
言い換えると、国が「この基準を超えると、多くの人で返済が困難になってしまい、多重債務に陥るリスクがある」というラインを引いていて、それが年収の3分の1だということです。
既にこの金額に近く、または超えてしまっている人は、早めに債務整理をご検討された方がよいでしょう。
自転車操業に陥っている
自転車操業とは、借金を返済するために別の貸金業者から借金を繰り返す状況を指す言葉です。
自転車は停止すると倒れてしまうため、やめたくてもやめられない状況を表現しています。
一般的には、企業が赤字を承知で借入れと返済を繰り返しながら操業を続ける状態を指すのですが、個人の場合でも同様の状況に陥ることがあります。
例えば、A社のクレジットカードの返済のために、B社からキャッシングを利用してお金を借りてきたり、C社への返済で生活にも困るから、D社のクレジットカードを利用して食いつなぎ、そを返済するために消費者金融E社から借金をするといったことです。
この状況では、借金の返済に借金を重ねることになり、借金額が減らずに抜け出せなくなるリスクがあります。
それどころか、借金がさらに増える可能性もあります。
自転車操業に陥ってしまった場合は、債務整理などの手続きを検討することが重要です。
借金問題を早めに解決することで、負担を軽減し、新たなスタートを切ることができます。
支払最低額での返済が続いている、元金が減らない
クレジットカードのキャッシングやリボ払い、消費者金融の借入などでは、利用金額に応じて「最低返済額」が設定されています。
これは、会社によって異なりますが、一般的に2~3%であることが多いです。
この、最低支払額を毎月払っていれば、借金は減っていると思っていませんか?
それは大きな間違いです。
通常、返済額は利息と元金の合計で計算されますが、最低返済額はほぼ利息の金額に当たってしまい、ほとんど元金が減っていないということが多いです。
例えば、消費者金融のA社から100万円を借り入れていて、利息は15%、返済の最低額が2万円だったとしましょう
この場合、約1,2万円が利息に当たり、元金に充当されているのは、わずか数千円。
これでは、一生返済を続けても、なかなか借金は減っていきません。
リボ払いも、名目は利息ではなく手数料となっていることもありますが、理屈は同じです。
借金が減らない一因に、高すぎる利息があるということです。
毎月の返済が遅れがち
「本来は月末に支払わなければならない借金を、翌月の15日の給料日まで待ってもらって支払っている……」
という経験はありませんか?
この状態になっていることは、多重債務への第一歩と言ってもよいでしょう。
世の中の多くの人は、月に収入が何度もあるわけではありません。
当然、給与日が半月も過ぎた頃になると、生活が苦しく、手元に現金がないから、キャッシングやショッピングに頼り、結果、借金を膨らませるというのは負のスパイラルに入っていく第一歩と言っていもいいでしょう。
また、このような状況に陥っている人は、既に消費者金融やクレジットカード会社から愛想をつかされて、利用停止や限度の縮小などを受けている方もおられるかもしれません。
支払いが決まった日にできない状態を続けていると、それは信用情報に影響が出ることが十分考えらえます。
取るべき債務整理の方法とは?
ここまで、債務整理を利用すべき4つの状況について述べてきました。
・借金の総額が年収の3分の1近い場合
・借入れと返済を繰り返す「自転車操業」に陥っている場合
・最低限の額しか返済できず、元金が減らない場合
・返済が遅れがちな場合
これらの状況に該当する場合は、債務整理を利用することにより、状況を改善できる可能性があります。
また、債務整理を行うことで、元金の減少や一時的な支払い停止など、さまざまなメリットが得られます。
もっとも、債務整理には効果の違ういくつかの方法があります。
ここからは、主に利用される債務整理の方法である任意整理、個人再生、自己破産、特定調停について詳しく説明します。
これらの方法の特徴や注意点を理解することで、適切な債務整理方法を選ぶことができます
①任意整理

任意整理とは、債権者である消費者金融等に対して、金利の引き直し、借金の減額を交渉し、生活に支障なく返済できるよう見直す債務整理方法です。
裁判所を利用しない手続きであることが、破産や個人再生との大きな違いです。
例えば、消費者金融A社から100万円を借りている場合、法定利息の上限15%となります。
つまり、毎月、頑張って支払いをしても、1万円を越える利息を支払っていることになるのです。
そのため、毎月の返済額の大部分が利息に充てられ、元本がほとんど減らないという状況に陥ることもあります。
任意整理は、この高すぎる利息をなくして、元金のみを支払う状態にする手続きです。
今まで、毎月利息込みで借金を支払っていたのなら、任意整理をすれば、これが全額元金に当たるようになるのです。
任意整理のメリット
任意整理の最大のメリットは、利息をなくすことで支払ったお金はすべて元金にあてられ、結果、返済が容易になる点です。
また、元金に利息が乗っていた時よりも、毎月の支払額が軽減される場合もあります。
利息をなくして、支払額を下げられる。
これが任意整理の特徴です。
他にも、手続きの柔軟性が高いのも、任意整理の魅力の一つです。
手続きを取るのに裁判所を通じて行わなければならない自己破産や個人再生とはちがい、任意整理は法廷外の交渉です。
ですから、裁判所の調査が不要で、手続き中の職業制限や資格の制限などの制約を受けずに手続きを行うことができるというメリットがあります。
さらに、任意整理では手続きする業者を自由に選ぶことができます。
そのため、自宅や車、貴重品などを保持したまま手続きを進めることもできます。
また、同居している家族や勤務先の協力が必須ではないため、家族や会社に手続きを知られるリスクが少ないのもメリットと言えます。
任意整理の注意点
自己破産、個人再生と比べれば、任意整理の場合はデメリットや制約が小さい手続きと言えます。
しかし、全くノーリスクで手続きをできるわけではなく、デメリットやリスクもあるという点には注意が必要です。
・信用情報に影響が出るため、新規の契約がしずらくなる
まず、債務整理を行うと一定期間、新規の借り入れができなくなります。
特に、信用情報に登録されることがよく知られています。
信用情報は、借入申し込みや契約などに関する情報を指し、金融機関はこれを基に審査を行います。
債務整理手続きを取ると、事故情報(ブラックリスト)に登録されます。
事故情報が登録されている間は、新たなローンやクレジットカードの申し込みが通りにくくなります。
・既存の契約が解約される可能性がある
また、手続きをしていないクレジットカード業者であっても、定期的に事故情報を確認しています。
事故情報を見たクレジットカード会社が「取引はできない」と判断した場合は、カードの利用を停止される、もしくはカード利用自体できるが、借り入れ限度額は減額する、といった措置を取られてしまうこともあります。
・保証人がいる場合、保証人に請求が行く
さらに、保証人や連帯保証人がついているものを債務整理すると、返済の義務が保証人や連帯保証人に移るため、保証人に対して請求が行われます。
例えば、家族や会社が車のローンや奨学金の保証人になっている場合が考えられます。
そのため、彼らに迷惑をかけることになります。
しかし、任意整理では手続きする会社を選ぶことができるため、保証人がついている債務を回避し、他の債務の整理を行うことができます。
任意整理手続きを選ぶことで、保証人への迷惑を最小限に抑えることができます。
任意整理は意味がないと言われるが……
しばしば、任意整理は破産や個人再生と比べて、あまり意味がないと言われることがあります。
なぜなら、任意整理は、利息を削減する手続きであり、元本を減らすという効果は例外的にしか認められません。
したがって、任意整理を行ったからと言って、借金の返済が完了するわけではないためです。
そのため、たとえ利息を減らして、元金のみを支払う状態にしたとしても、借金の返済能力を超えてしまっているのであれば、任意整理をする意味がないとも言えます。
ただ、任意整理をすることで、利息がなくなり、負担が減ることがあるというのは間違いありません。
毎月の支払額を減らせることも多いですし、何より、完済までの道筋をつけることができます。
債務整理の最終的なゴールは、借金を完済できるように道筋をつけて、借金問題を解決することです。
借金を完済しやすい環境を整えられるというメリットがありますから、任意整理に意味がないということは全くないと言えるでしょう。
任意整理の手順・費用
任意整理の手順
①任意整理手続きを行う際は、任意整理に精通した弁護士や専門家に相談しましょう
任意整理の相談は通常無料で行われます。
②次に、委任契約を結びます
その際に、必要な書類として、身分証明書、カード、通帳、収入証明書などの提出を求められることがあります。
③契約が正式に成立
弁護士、司法書士から各消費者金融やクレジットカード会社といった債権者に対して受任通知を送付します。
この受任通知が届いた後は、借金の返済開始に至るまで、各社は債務者に対して督促を行ってはいけません。
従って、電話や通知での連絡がストップするようになります。
④受任通知が発送されると同時に、代理人となった弁護士、司法書士は、各債権者に対して、債権調査票や取引履歴の開示の請求を行う
ここで、残債務額を確定したり、過払金の有無を調査します。
⑤残債務額が確定したら、各債権者と任意整理案の交渉を行う
ここでは、利息をカットするか、元金を何年程度で支払うか、その他、細かい条項についての協議を行います。
債権者と債務者が合意をできた段階で、和解書を交わします。
⑥和解内容に従い、返済を再開
弁済開始後は、節制した生活を送り、計画通りに弁済を続けることが必要です。
以上の手順に従って、任意整理手続きを進めることで借金問題を解決することができます。
弁護士や司法書士に依頼をした場合、3~5については、すべて代理人が対応することとなります。
任意整理の費用
任意整理の費用の相場感1社5~15万円程度が目安となります。
任意整理の費用は
事件に着手した際に頂く費用である、「着手金」
債務整理手続きが終了した際に受け取る「解決(減額)報酬」
郵便切手や通信費等の、業務遂行に必要な諸経費「事務管理手数料」
に大別されます。
一般的には、上記3つを合算して「費用」と呼びます。
任意整理の場合、多くの弁護士、司法書士事務所で、費用の総額は約5万円から15万円程度になることが多いようです。
この金額に解決(減額)報酬が加わります。
解決(減額)報酬は、定額である場合もあれば、事件解決後に借金の減額分の10〜20%を請求されることもあり、最も金額の変動が多い部分と言えるでしょう。
事務手数料は2000円~5000円程度に設定している事務所が多いといえます。
自己破産とは

自己破産手続きとは、普段もらっている給与や報酬、手持ちの資産をすべて現金化しても、借金を完済できない状態であることを裁判所に認めてもらい、借金の返済をしなくてもよい状態を作るための手続きです。
裁判所が認めたら借金の返済をしなくてよくなるのは、自己破産の大きなメリットです。
たとえ、借金が100万円だろうが、1000万円だろうが、1億円だろうが、裁判所が許可をすれば、返済の免除を受けることができます。
借金の負担から解放され、経済的に再建するチャンスを得ることができます。
これにより、将来の安定した財政状況を築くことができるでしょう。
ただし、デメリットも多くありますので、敬遠されることが多いです。
しばしば、誤ったイメージを持たれている方も多いです。
「自己破産をすると人生が終わりだ」と思う方もおられますが、むしろ、人生を再出発させるために「最終手段」であることは、覚えておきましょう。
自己破産のメリット
任意整理や個人再生と異なり、借金の返済が不要になる点です。
裁判所の承認を得れば返済が免除されるため、ゼロからの再出発を切ることができます。
このメリットが特に大きく感じられるのは、借金の金額が支払い能力を大きく超えてしまっている人でしょう。
例えば、借金も莫大で、消費者金融やクレジットカードからも借り入れがある方や、給料の大半を返済に使ってしまう人などは、自己破産を考えても良いかもしれません。
また、自己破産を代理人弁護士や司法書士にお願いした場合、任意整理と同様、受任通知を発送し、それが到着したら各債権者は、督促をすることが法律上禁止されるため、いったん全会社への返済をストップできます。
そのため、弁護士や司法書士に依頼をした段階で、生活を立て直すきっかけとなることも多いです。
自己破産の注意点
・手続きが複雑
もっとも、自己破産を簡単にされてしまっては、債権者は、怖くてお金が貸せなくなってしまいます。
「ギャンブルや高級品を買い漁って、払えなくなったら自己破産すればいいや」
という安直な気持ちで借り入れをするような、道義的に問題があり得る行為が横行しかねません。
そのため、自己破産手続きには手続きが煩雑であり、返済できない状態を裁判所に認めるために、さまざまな書類や資料の提出が必要となります。
・財産を処分しなければならない
普段もらっている給与や報酬、手持ちの資産をすべて現金化しても、借金を完済できない状態であることを裁判所に認めてもらう必要があることから、価値のある財産を手放さなければなりません。
・職業制限
手続き期間中には職業制限があることがあり、一部の職業に就くことが制限(例:警備員、銀行員、保険外交員等)されたり、特定の資格(例:弁護士や司法書士、宅建士等)を制限されるといったデメリットもあります。
・信用情報への影響
信用情報にも影響が出ます。
自己破産をした後も、信用情報に事故情報が残ります。
従って、新たな借り入れができなくなります。
各信用情報機関の登録機関は以下のとおりです。
CIC(信用情報センター):事故情報の発生から5年間が登録期間となります
JICC(日本信用情報機構):事故情報の発生から5年間が登録期間となります
KSC(貸金情報センター):破産手続きの開始の決定から最大で10年間が登録期間となります
自己破産の手順・費用
自己破産の手順
①弁護士・司法書士に依頼する(約1~2週間)
弁護士・司法書士に相談し、契約条件が合えば依頼します。
②受任通知で取り立てから解放(即日~2週間程度)
弁護士・司法書士が債権者に受任通知を送り、取り立てや請求をストップさせます。
③書類作成など申立の準備(約2~3ヶ月)
自己破産の申立に必要な書類を準備します。
④裁判所での面接と自己破産手続の開始決定(約2~3週間)
裁判所に申立書を提出し、面接で自己破産の経緯を説明します。
破産手続きの開始決定が出されます
⑤【管財事件・少額管財の場合】破産管財人による財産の処分と債権者集会(約3~6ヶ月)
自己破産手続きには同時廃止事件、管財事件、少額管財事件の3つの手続き方法があります。
・同時廃止事件
債権者に分配するほどの財産がない場合に行われる手続きです。
破産管財人による財産の調査・換金・分配の必要がなく、短期間で手続きが進められます。
裁判所への支払い費用も最低限ですむ特徴があります。
・管財事件
一定以上の財産があるか、借金の原因に問題がある場合に行われる手続きです。
一定以上の価値のある財産は没収され、さらに破産管財人への報酬(予納金)が納められる必要があります。
報酬の金額は40万円以上となります。
・少額管財事件
管財事件の中でも、予納金の負担が少ない場合に適用されます。
ただし、一部の裁判所でしか適用されず、条件として「弁護士に依頼していること」「債権者数が多くなく、借金状態が複雑ではない」などがあります。
管財事件は一定以上の財産を有する法人や個人の場合に適用され、少額管財事件は一部の条件を満たす場合に限られます。
管財事件となった場合は、財産の処分や売却を行い、債権者に配当を行います。
破産債権者に対して、破産手続の進行についての情報を提供し、破産管財業務を監督する機会を与えるために、債権者集会も開催されます。
そのため、申し立てと同時に免責許可が下りる同時廃止事件と比べると時間がかかります。
もっとも、実際には、自己破産手続きの約70%が同時廃止事件として処理されています。
⑥免責確定(約3~6ヶ月)
免責許可決定を得るための免責審尋が行われます。
免責が許可されると借金から解放されます。
全体にかかる期間としては、同時廃止事件の場合は約3~4ヶ月、管財事件の場合は約6~12ヶ月、少額管財事件の場合は約4~6ヶ月の期間が目安とされています。
自己破産の費用
自己破産の費用相場は約40万円から100万円程度です。
自己破産手続きには、大まかに分けて裁判所費用と弁護士費用の2つの費用がかかります。
第一の裁判所費用ですが、まず、申し立て費用が発生します。
これは、自己破産の申し立てをする際に裁判所に支払う費用です。
金額は裁判所によって異なりますが、一般的には1.5万円程度です
また、管財事件という裁判所から選ばれた破産管財人が破産者の財産を一時的に管理し、債権者に分配する手続きが行われる場合、弁護士費用や裁判所に最初に払う費用とは別に、管財費用が発生します。
管財事件では、破産管財人に報酬として予納金が支払われます。
一般的な管財事件では、報酬として40万円の予納金が基準額とされています。
一方、少額管財事件では、報酬として20万円の予納金が基準額とされています。
第二の弁護士費用は、自己破産手続きをサポートしてくれる弁護士に支払う費用です。
相場としては30万円から60万円程度とされていますが、状況や弁護士事務所によって異なります。
これらの費用を合算すると、自己破産手続きには総額40万円から100万円程度の費用がかかることがあります。
個人再生とは

多くの人が債務整理をためらう理由の一つは、
「借金は減らしたいが、債務整理をすると自宅を手放さなければならないのではないか」
という悩みです。
確かに、自己破産であれば、自宅を保持したまま、手続きを進めることはほとんどの場合で認められません。
また、任意整理の場合は、元金を支払わなければならず、メリットはあるものの、裁判所を通じて行う手続きと比べると、支払わなければならない金額は大きくなる傾向にあります。
そのため、自宅を残しつつ、債務整理を行いたいという方は、この個人再生を検討されることをお勧めいたします。
個人再生とは、裁判所を利用して、住宅を手元に残しつつ、借金を減額した返済計画を認めてもらう手続です。
個人再生の特徴の一つに、『住宅資金貸付債権に関する特則』が存在します。
一般的にはこれを『住宅資金特別条項』と呼びます。
この特別条項は、住宅ローンなどの住宅資金貸付債権について、自宅やマイホームを手放さないようにしたうえで、住宅ローン以外の借金を減額や分割払いとすることが可能な条項です。
そのため、個人再生では、住宅ローンを組んでいる自宅を残しながら、借金の金額を最低支払額は100万円、最大で元金の10分の1まで減額することができます。
個人再生のメリット
個人再生では自宅を保持しながら裁判所を通じて借金を減額することが可能となります。
さらに、利息だけでなく、最低支払額は100万円、最大で元金の10分の1まで減額することができます。
このため、大幅な債務圧縮が可能となります。
ただ、個人再生を利用するためには、以下の条件と手続きが必要となります。
・将来的な収入が安定していること
・裁判所への申立てのために必要な書類や資料を準備し、再生計画を作成すること
・債権者が再生計画を承認し、それを裁判所が認可すること
これらの条件を満たすことで、個人再生を利用することができます。
個人再生は、債務整理を行いながらも自宅を保持するため、家庭の安定を守りながら再スタートを切ることができるメリットがあります。
個人再生の注意点
・手続きが複雑
個人再生は裁判所を通じた手続きとなるため、任意整理と比べて、手続きが複雑になりがちです。
提出書類も多いですし、記載しなければならない事項も多岐に渡ります。
そのため、自己破産同様、手続きが複雑となりがちです。
・手続きを取る会社や相手を選ぶことができない
個人再生では、お金を貸してくれた相手全員を対象としなければなりません。
すべての債権者を平等に扱わなければならないのです。
例えば、「両親や親族、友人からお金を借りているが、この人たちにはちゃんと返済したい」「消費者金融の借金だけを減額したい」と希望していても、それは認められません。
また、認められないからと黙っているしても、それがバレると、再生計画案の不認可につながるリスクがあります。
・信用情報への影響
任意整理の部分でもでも述べましたが、個人再生も信用情報に影響を与えます。
個人再生の情報は最長で5年間、信用情報機関に登録されることがあります。
この登録は、将来の借入や信用取引に影響を与え、借り入れなどが難しくなる場合があります。
・財産の処分を必要とすることがある
個人再生では、一部の財産や資産を売却して債務を返済することが求められます。
これにより、自宅以外の財産に当たる、車や貴重品を手放さなければならない場合もあります。
個人再生の手順・費用
個人再生の手順
①弁護士や司法書士に相談後、委任契約を締結します
②その後、弁護士や司法書士から受任通知が発送され、各社への債権調査や過払い金計算などが行われます
③債権調査が終わり、総債務額が個人再生申立書類の準備をする(収支・家計の調査と財産・資産の調査)
④住所地を管轄する地方裁判所に個人再生を申立てを行います
⑤その後、再生計画案の認可までに、いくつかのテストや裁判所の関与、各債権者の決議が必要となります
具体的には、下記のようなものを求められます
・個人再生委員を選出し、履行テストを開始する
・個人再生委員との面談を行い、再生手続きの開始決定を得る
・金融業者による債権届出と債権認否一覧表の提出を行う
・小規模個人再生の場合、書面による決議を行い、再生計画案を作る
⑥⑤で作成裁判所に再生計画案を裁判所に提出します
それに基づき、裁判所が再生計画案の認可・不認可を決定します
⑦返済計画が認可された後、再生計画に沿って各債権者へ返済を開始します
支払期間は通常3年で、最長5年となります
個人再生の費用
個人再生の費用相場は約50万円から80万円程度となることが多いです
この金額には着手金と成功報酬が含まれている場合があり、着手金は約30万円程度、成功報酬は20万円から30万円としている事務所が多いようです。
さらに、裁判所によっては追加の費用が必要になる場合もあります。
具体的な費用としては以下のようなものがあります。
・予納金(官報掲載料)>個人再生の申し立てをする際にあらかじめ裁判所に納める費用です
予納金を支払わないと申し立てが却下される可能性があります。
一般的には1万3,744円です。
・収入印紙(申し立て手数料)>個人再生申し立てに必要な費用で、申立書に収入印紙を貼り付ける必要があります。
通常は1万円です
・郵便切手(通知呼び出し料等)>債権者に対して個人再生手続きが行われる旨を通知するために必要な費用です
数千円程度の費用がかかります
以上のように、裁判所に支払う費用は大きな金額ではありません。
加えて、個人再生委員への報酬として15万円から25万円程度を支払う必要がある場合もあります。
特定調停

特定調停は、裁判所に債務者と債権者が出廷して行われる和解手続きです。
任意整理を裁判所を通して、自ら行うようなイメージでしょうか。
特定調停のメリット
特定調停のメリットとして、考えられるのは、特定調停は、弁護士を依頼せずに自分自身で手続きを進めることができるという点です。
また、債務者が自身で手続きをする場合は、費用を抑えることができます。
一般的な特定調停の場合、一社当たりの手数料は収入印紙500円と郵便切手代420円の費用がかかります。
特定調停の注意点
ただし、費用が掛からないのは、あくまで債務者本人が自力で手続きをする場合に限ります。
また、間に弁護士や司法書士を入れない限り、督促を止める義務はありませんので、調停が成立するまでは督促の連絡が止まらず、訴訟に発展する場合もあり得ます。
加えて、債権者が特定調停に応じる義務があるわけでもないため、特定調停自体の成功率も低いとされています。
そのため、弁護士や司法書士による代理人を立てて行われることもありますが、その場合、一般的には、弁護士や司法書士費用は1社5~15万円程度が相場とされています。
前述に任意整理と同じくらいの金額となることには注意が必要です。
その他

ここまで債務整理の種類について説明をしてきましたが、借金問題の解決に役立つ方法は他にもあります。
これらは債務整理とは異なりますが、払いすぎた利息を取り戻したり、長期に渡って支払していない借金をなくしたりすることができます。
過払金請求
過払い金とは、2010年(平成22年)以前から利用していた借り入れで、利息制限法に定める利率を越えて利息を支払っていた場合、業者に対して払いすぎた利息を返してもらうよう請求することができる手続のことです。
過払金請求と簡単に言っていますが、今まで支払ってきた利息がいくらか覚えていますか?
数十年も前に支払った利息の総額なんて、覚えていないのが普通です。
また、少しでも過払金の支払いを抑えたい業者は、あの手この手を使って支払いを拒否したり、支払っていた額より少ない金額を提示する場合もあり、相手のペースに乗せられて不利な条件で話をまとめられてしまい損してしまうこともあります。
ですから、最初から弁護士・司法書士を立てて過払金請求することをおススメします。
なお、債務整理とは異なり、信用情報に影響を与えるわけではありません。
多くの事務所で、着手金等は無料で対応していることが多いです。
また、過払金には時効があります。
ですから、まずは調査をするというのが良いでしょう。
消滅時効の援用
時効とは、借金の返済をせずに5年もしくは10年が経過したとき、時効の援用の意思表示を相手方にした場合、債務が消滅し、以後支払いが免除される手続きです。
時効という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、時効期間が過ぎたからといって、自動的に借金や利息(債務)が消滅するわけではありません。
借金を消滅させるためには、時効期間が経過した後に、債務者が
「時効ですから、もう支払いはしません。」
と意思表示をすることが必要です。
以下に時効の条件をまとめておきます
①返済をまったくしておらず、支払いの約束などもしていないこと
②裁判をされていないこと(裁判の判決が確定したら時効が延びる)
③5年または10年の経過
つまり、「〇〇日までには支払う」と支払いの約束をしたり、数年に一度であっても、断続的に支払いをしていたりすると、時効を主張することができなくなってしまいます。
どの種類の手続を選択すればよいのか?

ここまで、債務整理の種類について案内してきました。
「それぞれのメリット、デメリットは分かったが、どれを選べばいいかわからない」
という方もおられるかと思います。
あくまで個別の状況やニーズに応じて手続きを選択するべきですが、「このような条件がある方は、この手続きが向いているのではないか」という一例をお示しいたします。
任意整理が適しているケース
借金がそれほど多くない
任意整理は、借金総額を大幅に減額できるわけではなく、主に利息の減額または免除に焦点を当てた債務整理方法です。
従って、任意整理を選ぶのであれば、収入が安定しているなど、返済が可能な状況であることが非常に重要です。
つまり、借金を返済するための収入や資金源があることが前提となります。
例えば、毎月の捻出可能額が5万円だったとして、任意整理をした後の借金支払いの総額が7万円になる、というケースもあり得ます。
これでは、返済を一時的に続けられたとしても、長期的には返済が困難になる可能性が高いでしょう。
返済が不可能な状態では、任意整理だけでは問題を解決することは難しい場合があります。
そのため、そこまで高額の借金をしていない場合に適していると言えるでしょう。
目安としては、1社からの借入額が200万円を超えている場合や100万円を越える借り入れを数社からしている場合などには、別の債務整理方法を選択することが推奨されます。
デメリットをなるべく抑えたい
任意整理は、他の債務整理とくらべると必要書類が少なく、簡単な家計収支や本人確認書類のみで手続きをすることができることが多いです。
デメリットとして、信用情報に影響が出て、新たな借り入れが難しくなるものの、自己破産や個人再生といった方法とは違い、財産を売却する必要もありません。
裁判所の手続きも不要です。
そのため、任意整理は手続きが比較的容易であると言えます。
自己破産や個人再生といった方法は、手続きだけでも半年程度の時間を要する場合があり、申し立てまでの期間を考慮すると、1,2年かかることも珍しくありません。
その点、任意整理の場合は、法返済再開までの期間も通常は半年程度で終わります。
そのため、なるべくデメリットの少ない債務整理をしたいと考えている方におすすめです。
家族には内緒で債務整理したい
任意整理では、裁判所に出向く必要もなく、家計収支の報告も家族の協力を得る必要はありません。
また、官報に掲載されることもありません。
そのため、家族や職場など周囲に内緒にしたい方にとっても安心な債務整理方法と言えます。
あなたのプライベートな情報が公になることなく、家族や職場への影響を最小限に抑えることができるのです。
両親や配偶者、親戚、職場、近隣住民など、借金を知られたくない相手は様々ですが、自分の借金問題を他人に知られてもいいと思う人は少ないでしょう。
借入を誰にも知られずに借金問題をクリアしたいという方はとても多いのが現状です。
そのようなニーズは、自己破産や個人再生であればかなえられませんが、任意整理なら要望を満たせる可能性が高いです。
保証人がついている
保証人がついている場合も、任意整理を行った方が良い場面に該当します。
よくあるのは、「自動車のローンの保証人を、両親に頼んだ」というケース。
この際に、自動車ローンの債務整理を行ってしまうと、両親に請求が来ることとなり、当然のことながら、債務整理をしたことは知られてしまいます。
その過程で、ほかの借金があるということも、発覚してしまう恐れがあります。
任意整理は、「A社は債務整理をする、B社は債務整理をしないで、手続きから外す」といったように、対象とする債権者を選ぶことができます。
保証人がついている借金を整理するのであれば、保証人に請求は行きますが、それ以外の債務整理については、影響はありません。
従って、保証人に迷惑をかけることはありません。
家や車などの手放したくない財産がある
住宅ローンを組んでいる銀行を債務整理の対象としてしまうと、家は取り上げられて競売に掛けられます。
また、カーローンは一般的に、所有権留保という方法を取られており、こちらも債務整理をしてしまうと、車を引き揚げられてしまいます。
ほかにも、高額なもの(着物や高価な貴金属、場合によってはペットであっても)を分割ローンで支払っている場合、引き揚げの対象となりえるのです。
任意整理では、債権者ごとに、手続きを取る、取らないを選ぶことが出来ます。
そのため、どうしても手放したくない財産があるときには、対象とする会社を債務整理から外すことで、財産を手元に残したまま、手続きを進めていくことができます。
これは、自己破産や個人再生にはないメリットとと言えるでしょう。
任意整理がおすすめの人の特徴
・収入が安定している
任意整理は利息をカットして、返済期間を延ばすことで借金を払いやすくする手続きと案内してきましたが、言い換えると「任意整理は元金は返すという手続き」とも言えます。
従って、収入が安定していて、返済に充てるお金があることが重要です。
・借金が高額すぎない人
いくら、任意整理を行ったとしても、返済額が思ったよりも安くならないということはあり得ます。
場合によっては、8~10年の長期の支払いスケジュールを組むこともありますが、通常、3~5年で支払いが完了するように話をまとめることが多いです。
これ以上は、債権者が飲めないということもしばしばあります。
例えば、10年120回の支払いという、ほとんど認められないような破格の条件で和解をまとめたとしても、借金の元金が1000万円であれば、毎月の支払は8.4万円
これが支払えないのであれば、任意整理は続けられないのです。
そのため、借金が高額すぎて、支払額が準備できない方は、別の手続きを取った方が良いでしょう。
・案件によって柔軟な対応をしてほしいという人
自己破産や個人再生は、特定の財産を除いては、手元に残すことができません。
また、同居している家族の家計収支の報告も必要となることから、家族に内緒ということは難しいでしょう。
また、知人や友人、親族から借金をしている場合は、その人たちも債務整理の対象としなければなりません。
手元に残したい財産や、家族バレのリスクなど、人それぞれ状況が異なります。
任意整理であれば、ニーズに合った柔軟な対応が可能であることは、大きなメリットです。
個人再生が適しているケース
住宅ローンが残っている
自己破産を申し立てると、持ち家は売却されてしまう可能性が非常に高いです。
せっかく購入した住宅を手放すのは忍びない気持ちになるというのは理解できます。
個人再生の場合、住宅ローンの支払いがまだ残っている状況でも、住宅ローン特例を持ちいえることで、自宅を手元に残したまま、他の借金を減額できます。
さらに、すでに支払いが借金の返済が困難になり、保証会社が返済した場合、やはり競売に掛けられてしまいます。
そのような保証会社が代位弁済している場合でも、代位弁済後6か月以内に個人再生の申立を行うことで、代位弁済前の状態に戻すことが可能な場合があります。
競売手続中の住宅でも個人再生を申立てることで競売手続きを中止することができることがあります。
これにより、家を守りながら再建の道を歩むことが可能となります。
借入金額が大きい
元金が減額されることはほとんどない任意整理と比べて、個人再生は利息だけでなく元本も大幅に減額されるため、多額の借金を抱えている方にはおすすめです。
例えば、借金が500万円を債務整理するとして、任意整理であれば、元金の500万円を支払わなければなりません。
一方で、個人再生では500万円の借金が最大5分の1まで減額されるため、3年間の返済期間であっても、約2万7千円ずつの返済まで元金を圧縮することが出来ます。
ただし、個人再生には住宅ローン以外の借金は5千万円までの限度額があるため、注意が必要です。
したがって、借金の額が大きすぎ、元金の圧縮をしないと支払いが出来ないという状況であれば、個人再生を検討することをおすすめします。
一定以上の安定した収入がある
免責が下りたら返済の義務を免除される自己破産とは異なり、個人再生では再生計画に則り、毎月の返済を行う必要があります。
その期間は一般的に3年となります。
そのため、三年間は安定して収入がない限り、個人再生は成功しません。
ですので、安定した収入を得続けられる見込みがある人でないと、続けていくことは難しいでしょう。
しばしば、個人再生中に仕事を辞めて支払いが出来なくなったという方もおりますが、そういった事情であっても、考慮されることはありません。
これは、任意整理も同じですが、債務整理中は仕事を辞めない、収入を途切れさせないように対応する覚悟が必要となります。
個人再生がおすすめの人の特徴
・住宅を手放したくない
個人再生では住宅ローンの支払いが残っていても、特例を利用して自宅を手元に残すことができつつ、他の借金を減額できます。
住宅を手放したくないという希望を持っておられる方は、まずは個人再生を行うことを検討するべきでしょう。
・借入金額が大きい
個人再生では最低額100万円、最高で10分の1までの元本の減額が可能であり、任意整理よりも多額の借金を抱えている場合におすすめです。
・一定以上の安定した収入がある
個人再生では再生計画に基づいて毎月の返済を行う必要があり、3年間の安定した収入が必要とされます。
ですから、安定的に収入を得られる目途が立つ方でないと、個人再生が途中で失敗してしまう恐れがあります。
これらの特徴を持つ人々は、個人再生を検討する価値があるといえるでしょう。
自己破産が適しているケース
他の手段で解決できないほど借金が増えすぎている
任意整理や個人再生の場合、借金を圧縮した後も返済を行わなければなりません。
そのため、どれほど減額がうまくいったとしても、支払いが出来ないというケースもあり得ると思います。
それほどに借金が膨れ上がっている場合は、自己破産をすることで、支払いを免除してもらうというのが望ましいケースもあり得ます。
また、自己破産は借金総額に制限がないため、どれだけ多額の借金を抱えていても利用することができます。
このため、膨大な借金に苦しんでいる方にとっては、一気に借金をリセットできる最適な解決策となります。
返済能力がない
他の債務整理方法では一定の返済が求められるというのは、前述のとおりです。
そのため、そもそも返済能力が乏しい方や、現在無職、収入のない方、生活保護を受給している方など、返済能力がない場合に最善の選択肢となりえます。
なお、一時的に借金の返済ができないだけである場合、それは自己破産に至る支払い不能状態とは異なります。
例えば、収入が一時的に低下しているが、数か月後には回復の見込みがある場合などが該当します。
また、返済が主観的に難しいと感じていても、客観的に返済可能な状態である場合には、支払い不能とは言えません。
しかし、この評価は個人の主観に依存するものではなく、客観的な判断を下す権限を持つ裁判所によって行われます。
したがって、自己破産を検討する際には、裁判所が返済不能と判断するかどうかが重要な要素となります。
要するに、一時的な経済的困難や主観的な感覚ではなく、裁判所が返済不能と判断する状況が自己破産に至る条件となります。
自己破産を検討する場合は、専門家の助言や裁判所の判断を求めることが重要です。
生活保護を受けることを希望している
生活保護制度は、経済的に困窮している人々に最低限の生活費や住居、医療、介護などを支援するための国の制度です。
「借金があっても生活保護は受けられるのか?」という疑問を持たれる方もおられるかもしれませんが、問題ありません。
なぜなら、生活保護は、生活に困窮している方々に対して最低限の生活を保障するための制度であり、借金があるかどうかは受給の対象には影響しません。
注意が必要なのが、生活保護を受給したからといって借金が無くなるわけではなく、借金返済の義務や責任は依然として存在するということです。
また、生活保護を受けても借金を返済するための支援や免除はありません。
生活保護の受給額は最低限度の生活費をカバーするものであり、生活保護の支給金は借金の返済には使用できません。
また、生活保護のお金で借金を返済することは不正受給になり、生活保護の打ち切りのリスクがあります。
したがって、生活保護を受給している人や将来の受給を予定している人が借金問題を解決するには、法テラス(日本司法支援センター)に相談し、自己破産などの適切な手続きを行うことを検討しても良いでしょう。
法テラスでは、生活保護受給者に対しても特別な支援を提供しています。
自己破産がおすすめの人の特徴
・借金が膨れ上がっている場合
自己破産は、他の債務整理方法では解決できないほど借金が増えすぎている場合におすすめです。
任意整理や個人再生では借金を圧縮するものの、それでも返済が困難な場合があります。
そのような状況では、自己破産によって借金を完全に免除してもらうことが望ましい解決策となります。
・返済能力が乏しい場合
自己破産は、返済能力がない方にとって最善の選択肢です。
返済が困難な方や現在無職、収入のない方、生活保護を受給している方などは、自己破産が適切な解決策となります。
・生活保護を受けることを希望している場合
生活保護の支給金は借金の返済には使用できず、借金返済の義務や責任は依然として存在します。
生活保護を受給している人や将来の受給を予定している人が借金問題を解決するには、弁護士や司法書士事務所のみならず、法テラス等にも相談し、自己破産などの適切な手続きを行うことが推奨されます。
まとめ
最後に、債務整理の手続きについて、一覧でまとめます。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
借金の返済の 有無 | 元金全額の返済が必要 | 減額された金額の返済が必要 | 財産を清算した後は借金返済の義務がなくなる |
一部の債権者を 選べるか | 可 | 不可 | 不可 |
住宅の保有 | 可 | 可 | 難しい |
信用情報への 影響 | あり | あり | あり |
財産の処分 | 原則不要 | 必要な場合あり | 必要 |
保証人への 影響 | 原則なし | あり | あり |
官報への掲載 | なし | あり | あり |
職業制限 | なし | なし | 一部職種にあり |
同居家族に 内緒にできるか | 可 | 不可 | 不可 |
職場にバレないか | バレない | バレる可能性あり | バレる可能性あり |
あなたにとって、債務整理を検討するに際し、大事にするポイントはどこでしょうか。
人それぞれに考え方がありますし、好き嫌いの問題もあります。
家族に知られてしまうという点を例にとっても、「どうしても家族に内緒にしたい」という方もいれば「借金から解放されるのであれば、家族に正直に打ち明けてもいい」という方もいるでしょう。
債務整理の選び方にしても、「借りたお金は全額返すのが人の道だ」と考えることもありますが、「このまま、借金をズルズル続けるよりも、自己破産をして清算するべきだ」という考えも一理あるといえます。
いずれの考えが正しいとか、間違っているとか、そういうことはないと思います。
大事なのは、自分が何を大事なポイントと考えているかを明確にすることです。
そのニーズや要望をかなえられる手続きが一番適切と言えるでしょう。