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債務整理

債務整理をするべき人ってどんな人?気になる判断基準をご紹介します

借金を抱えていてその返済が苦しくなってきた際に、債務整理手続を検討される方は多いでしょう。

ですが、債務整理手続にはメリットもある一方で、デメリットももちろん存在します。

そのため、場合によっては債務整理をしない方が良いこともあります。

債務整理をするべきかどうかの判断をする際に重要となるのが、「借入金額と収入金額のバランスやその内容」です。

一概に金額だけをみて判断をするのは賢明ではありません。

そこで本記事では、どのような人が債務整理を検討するべきで、反対に債務整理をしない方が良い人はどんな人なのか、その判断基準を詳しく解説していきます。

債務整理をするべき人・しない方が良い人とは?

借金を抱えていてその返済が苦しくなってきた際に、債務整理手続を検討される方は多いでしょう。

では、どのような人が債務整理をするべきで、どのような人が、慎重に判断をするべきなのでしょうか。

一般論として、「負債の額が返済能力を超えてしまっている」場合や「現在の返済が持続可能ではない」場合には、債務整理をした方がより簡単に借金が減り、支払いの負担を軽減できる可能性があります。

具体的には、以下のような条件が考えられます。

✅今月の借金返済が困難

✅借入金額が年収の1/3を越えている

✅長期間、完済の目処が立たない

一方で、「負債が返済能力を超えていない」場合や「長期的に支払いの継続が可能」である状況であれば、債務整理をしなくても、完済を目指せる可能性はあります。

以下のような状況であれば、債務整理が必要ないケースも多いため、慎重に検討をするべきでしょう。

✅自力返済が可能

✅借入額が少額

✅ローンを組む予定がある

もっとも、債務整理をするべきかどうかは、借入額や現在の各社への支払額、返済のために準備できる毎月の返済原資の金額などによって決まり、それぞれの状況や要望などによっても左右されるため、一概に決めることはできません。

ここではまず、債務整理の利点やメリット、デメリットを解説したうえで、どんな場合に債務整理をするべきか、するべきではないのかを解説していきます。

債務整理のメリットとデメリット

債務整理にはいくつかのメリットとデメリットがあります。

以下は一般的なメリットとデメリットの一覧です。

債務整理をするメリット

(1)債務の減額または支払いの免除を得られる

債務整理の最大のメリットは、債務整理により、一部の債務が減額されたり免除されたりすることです。

減額される範囲や金額は手続きによって異なりますが、利息をなくすことで、元本のみを返済するものや、元本自体を減額するもの、借金の返済を一切免除してもらうものなどの手続きがあります。

(2)月々の支払額が下がる場合がある

債務整理の中でも、任意整理や個人再生という手続きでは、返済条件を緩和することにより、新たな返済条件を決めたうえで、借金の完済を目指します。

そのため、支払い能力に合わせて月々の返済額を軽減できる場合があります。

(3)取り立てがストップする

すでに借金の返済を怠っており、業者からの取り立ての連絡、通知が来ている場合、債務整理をすると、債権者からの取り立てが停止されます。

ただし、債務整理の開始後、数日以内に取り立ての停止を出来るのは、弁護士や司法書士といった代理人を立てた場合に限られます。

債務整理のデメリット

(1)信用情報に影響が出る

債務整理を行うと、その事実は信用情報機関に事故情報として登録され、登録は数年間に渡って残り続けます。

(2)将来の借り入れの制約

信用情報は、新規のクレジットカードやキャッシングローンの契約の際に審査の資料として利用されます。

そして、信用情報に事故情報が登録されている場合、不利な情報が記載されていることで、新規の契約が成立しづらくなります。

(3)一部の資産を手放さなければならない

残債のあるカーローンや住宅ローンを対象として債務整理を行った場合、それらの資産は債権者に返還しなければならないケースがあります。

また、自己破産を選んだ場合は、手持ちの資産を売却、換価しなければならないケースがあります。

(4)官報に記載される

官報とは、国の発行する機関誌で、法律の公布や裁判所の手続に利用されるものです。

自己破産や個人再生を行った場合は、官報に、手続きをするものの名前や住所が記載されます。

そのため、債務整理の事実は一般に向けて公開されることとなり、周囲の人に知られてしまう可能性があります。

債務整理を検討する際の目安

さてここからは、債務整理を検討する際に、参考にするべき目安をご紹介します。

先にも述べた通り、債務整理には絶対的な基準があるわけではありませんが、「負債が返済能力を超えている」場合や「返済が持続できない可能性がある」場合は、債務整理を行うことで返済を容易にし、借金問題の解決につながる可能性があると言えます。

今月の支払が困難

借金の返済は、2、3ヶ月で終わるようなものではなく、数年を掛けた長期戦になることがほとんどです。

そのため、今月の支払が出来ていないというのは、既に返済能力を借金が越えてしまっているということの何よりの証左です。

そのため、「支払いが出来なくなった」という時こそ、債務整理を行うべきだと言えます。

長期間借金が減らない、完済の目処が立たない

しばしば、「今月をやりくりすれば、来月には正常に戻る」と甘い希望を持ってしまい、知人や家族に借金をしたり、新たな消費者金融やクレジットカードを契約してしまったりすることがあります。

もちろん、借金を借金して支払っているのですから、借金の総額は全く減っていきません。

「借りて、返して、また借りて」という状況を繰り返したり、A社の返済をするために、B社からの借り入れをしたりするというような状態のことを、自転車操業と呼びますが、長期間借金が減っていない人と言うのは、まさに、そういう状況です。

このような状態に陥っているのであれば、借金を膨らませてしまう前に、債務整理を検討するべきと言えるでしょう。

借入金額が年収の3分の1以上ある

第三にクレジットカードのリボ払いや消費者金融からの借り入れ、銀行カードローンなど、全社からの借入総額が、年収の3分の1以上の金額になっている場合が考えられます。

例えば、年収が400万円ある人を考えてみましょう。

年収が400万円の人の場合、手取りの月収は25~26万円程度です。

この、手取り25万円の人が、家賃や食費、光熱費、通信費などの生活に必要なお金を除いたうえで、どのくらいのお金を返済に充てられるかと言うと、現実的には手取りの10~20%、最大でも手取りの30%程度と言われています。

つまり、2.5~5万円程度が現実的なラインで、どれだけ頑張っても7.5万円が、返済に充てられる上限の金額と考えられます。

そして、この最低額2.5万円というのは、借入総額130万円(年間利息14%で計算した場合)の最低支払額に近いため、これ以上の借入れをしてしまうと、負債が返済能力を上回ってしまい、多重債務や返済不能状態に陥るリスクが高まると考えられます。

そのため、債務整理を検討する方が、借金返済にプラスに働く可能性は高いと考えられます。

債務整理をしないでも良い人とは

債務整理をしないでもよい人の特徴は、「自力での返済が可能である場合」や「借入額が少額である場合」が考えられます。

また、ローンや保証人となる予定がある時にも、問題が生じる恐れがあることから、すぐに債務整理をしてしまうのは望ましくなく、目的に適わない可能性があります。

借入額が少額

「借入金額が年収の3分の1以上ある」でもご説明しましたが、債務整理は「返済能力を負債が上回っている場合」には大きなメリットがありますが、一方で、自力で返済が可能な程度の少額の借り入れであれば、信用情報に影響を与えるデメリットの方が、影響が大きくなってしまうかもしれません。

ですので、借入額が少額の場合は、まずは自力での返済を考え、それが難しいと思われるのであれば債務整理を検討する、という順で考えた方が良いでしょう。

自力返済が可能である

自力返済が出来る場合も、借入額が少額の場合と同様に、信用情報への影響を考えると、債務整理が最適な選択ではないかもしれません。

ただし、借入額が少額の場合とは異なり、債務額が大きい場合は、別の考え方もできます。

自力での返済が可能であっても、以後数年間、継続的な返済を続けることには不安があるのであれば、債務整理をすることにも十分のメリットがあるでしょう。

ローンを組む、保証人となる予定がある

債務整理の最も大きなデメリットは、「信用情報に影響が出てしまい、新規の借り入れやローンを組めなくなること」や「他人の保証人となれない」ことです。

このような予定が直近にあるのであれば、今、債務整理をするべき時ではないかもしれません。

もっとも、ローンを組むというのは、借金を増やす行為であり、あまり推奨されるようなことではありません。

保証人も、他人の借金を背負わされるリスクがあり、債務整理以前の問題として、あまり推奨されないということには注意するべきでしょう。

また、借金がある状態では、そもそも、ローンや保証人の審査が通らないリスクも考えなければなりません。

借金があるということは、それだけ信用が低下しているということであるという点は、過小評価するべきではないでしょう。

債務整理の手続別~検討する際の目安

ここまで、誰が債務整理を検討すべきか、または避けるべきかについて説明してきました。

債務整理には得られる利点や考慮すべきリスクが異なることを理解していただけたかと思います。

ただし、債務整理といっても、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの手続きがあります。

具体的にどの手続きを選ぶべきかは、個々のニーズや状況により異なります。

任意整理を検討するべき人

安定した収入を持つ方

任意整理は元本の返済手続きであり、返済期間を延ばして利息を軽減することで返済がスムーズになります。

そのため、収入が安定しており、返済に余裕がある方にとって最適です。

借金が適度な額の方

任意整理を実施しても返済額が予想よりも大幅に減らない場合もあります。

通常は3〜5年で完済しますが、時には8〜10年の長期支払い計画が必要となることもあります。

高額な借金で返済が難しい場合は、他の手続きを検討する方が良いでしょう。

柔軟な対応を望む方

自己破産や個人再生では特定の財産を手放す必要があり、同居家族の財政状況を報告する必要があります。

また、借金がある関係者も債務整理の対象となります。

一方、任意整理では手元に残したい財産や家族への影響など、状況に応じた柔軟な対応が可能です。

これが大きな利点となります。

個人再生を検討するべき人

住宅を手放したくない方

住宅ローンが残っていても、個人再生を活用することで特例を適用し、他の債務を減額することができます。

自宅を保有しながら借金を減らしたいという意向がある場合、最初に個人再生を検討するのが良いでしょう。

借入金額が多い方

個人再生では、最低支払額は100万円まで可能であり、最大で元本の10分の1まで借金を減額できます。

特に多額の借金がある場合、個人再生が適しています。

一定以上の安定した収入がある方

個人再生では、毎月の返済を再生計画に基づいて行う必要があり、3年間の安定した収入が求められます。

安定した収入が期待できる場合にのみ、個人再生が成功する可能性が高まります。

これらの特徴を備えた方々は、個人再生を検討する意味があるといえるでしょう。

自己破産を検討するべき人

借金が急激に増加している方

自己破産は、他の債務整理手段が対処しきれないほど急激に借金が膨れ上がっている場合におすすめです。

任意整理や個人再生で借金を減らすことは可能ですが、それでも返済が難しい場合は、自己破産による完全な債務免除が最も適しています。

返済能力が不足している方

自己破産は、返済能力を負債が大きく上回り、返済能力が十分でない方にとって最適な選択肢です。

✅現在の収入がない
✅無職
✅生活保護を受給している

などは、自己破産が最適な解決策となります。

生活保護を受けることを望んでいる方

生活保護を受けることを望んでいる場合であっても、自己破産が最適の選択となることはあり得ます。

そもそも、生活保護の支給金は借金の返済に使うことは許されておらず、返済をしたことが分かると、支給を取り消されるリスクがあるため、絶対に避けるべきです。

生活保護受給者が借金問題を解決するには、弁護士、司法書士の他、法テラスなどの専門機関に相談し、適切な手続きを行うことが推奨されます。

債務整理をするべきか悩んだときは

債務整理をするかについて迷ったら、まずは、債務整理に特化した弁護士・司法書士事務所に相談に行くとよいでしょう。

単独で債務整理を進めることは可能ですが、個人の要望や目的に適う、適切な手続きを選ぶためには、豊富な経験と法的知識が必要となり、これを個人で判断することで不適当である上に、誤った判断を下してしまうおそれがあります。

また、弁護士や司法書士を抜きにして債務整理手続きをする場合、支払いの催促や訴訟の提起を止める権限がないことや、債権者や裁判所との対応を自力で行わなければならないこと、必要な書類や資料を自分で用意する必要があることなど、手続き上の難しさやデメリットが存在します。

そのため、債務整理に関しては、弁護士や司法書士といった専門家に相談し、依頼することをお勧めします。

最後に

債務整理を検討するには、特定の状況や条件が存在します。

支払いが困難であったり、年収の1/3が借入金額を超えたり、長期間にわたり完済が難しい場合には、債務整理が適切な選択肢となります。

しかし、一方で自力での返済が可能であったり、借入額が少額であったり、将来的にローンを組む予定がある場合には、債務整理をしない方が良いこともあります。

債務整理にはメリットとデメリットがあり、それぞれの手続きに適した状況や利点が存在します。

具体的な手続きとしては、任意整理、個人再生、自己破産などがあります。

これらの手続きを検討する際には、それぞれの目安や条件を確認することが大切です。

そのため、借金問題で悩んだ際には、専門家に相談することが重要です。

弁護士や司法書士といった専門家の助言を仰ぐことで、自身の状況に最適な選択をする手助けとなるでしょう。