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日本株が受ける米国株の影響とは?経済情勢の動向も踏まえて解説します

株式市場に上場されている日本株は2024年現在で約4,000社にのぼり、20年前と比較すると約2倍となっています。

上場するメリットとして、証券会社を通して多くの投資家から資金を集めやすくなり、また知名度向上の効果もあり、会社の存在をより多くの方に知ってもらうことにつながります。

そんな日本株は新型コロナウイルスの流行に伴い、株式相場が大暴落することとなり多くの投資家を混乱させました。

日本株が暴落した背景には世界最大規模の米国株が暴落した影響も受けており、なぜ米国株につられて日本株も暴落したのだろうと疑問に思っている方は多いでしょう。

そこで本記事では、日本株と米国株の関連性や値動きでお互いに与える影響について、経済情勢の変化とともに解説していきます。

日本株と米国株の値動き

日本株(青色)と米国株(赤色)はまったく同じ値動きとはいわないものの、似たような推移となっていることが上図を見るとわかります。

値動きの推移は「日本とアメリカのGDP成長率」と「暴落したタイミング」を見ると、よりわかりやすいでしょう。

日本とアメリカのGDP成長率

2000200120022003200420052006200720082009
日本+2.77+0.39+0.04+1.54+2.19+1.80+1.37+1.48-1.22-5.69
米国+4.08+0.95+1.70+2.80+3.85+3.48+2.78+2.01+0.12-2.60
2010201120122013201420152016201720182019
日本+4.10+0.02+1.38+2.01+0.30+1.56+0.75+1.68+0.64-0.40
米国+2.71+1.55+2.28+1.84+2.29+2.71+1.67+2.24+2.95+2.30
2020202120222023202420252026202720282029
日本-4.24+2.23+1.05+1.96
米国-2.77+5.95+2.06+2.09

上の表は日本とアメリカのGDP成長率の推移で、両国ともおおむね似たような成長率となっていることがわかります。

2000年代前半はバブル崩壊後ということもあり、GDP成長率も鈍かったため株式市場は下落傾向にありました。

しかし、2004年から日本とアメリカのGDP成長率が大幅に改善されていることが好感され、日本株と米国株の両方が上昇に転じました。

そして、2008年にはリーマンショックが発生した影響で、両国ともGDPはマイナス成長となり株価も大きく下げることとなりました。

その後は順調にプラス成長を続け、株価も順調に推移したものの2020年のコロナショックで再びマイナス成長となったため、株価も急落しています。

2021年以降はGDP成長率が大きく伸びたことを受け、株価もコロナショック以前の水準を突破しており、今後もさらに上昇することが予想されています。

〇〇ショックによる暴落

2000年代はバブル経済の崩壊やリーマンショックによって米国株の代表的な指数であるNYダウが約40%の下落率となりました。

また、日経平均株価については約60%という下落率となり、米国株を上回る下落率となっています。

下落した理由としては「サブプライムローン問題」が浮上し、世界的な金融危機が起こることが懸念されたためです

その後、不安材料が解消されたことを受け米国株は上昇傾向となり、日本株も後を追うように順調に推移しました。

しかし、2020年に中国武漢市を発端とする新型コロナウイルス感染症が世界的に流行したことから「コロナショック」と称され、再び大きく下落することとなりました。

下落率を見ると、NYダウが約13%、日経平均株価が約12%となっております。

リーマンショックに比べて小さい下落率となっているものの、順調に推移していただけに投資家を混乱させる大きな原因であったことに違いはありません。

コロナショックは、各国で「ロックダウン(外出規制)」が発令されるほど深刻な問題となり経済に大きな打撃を与えましたが、2021年からはピークが過ぎたと判断され回復傾向となり、株式市場も大幅に回復しました。

米国株の影響を受ける理由

証券業界では「アメリカがくしゃみをすると日本は風邪をひく」と言われるように、かねてから米国経済の影響を日本経済は強く受けやすいです。

とくに近年は日本株と米国株の連動性が高く、日経平均とNYダウだけでなく、TOPIXとS&P500の動きを見ても連動性が高いことがわかります。

連動性が高いことから米国株の値動きを参考に日本株を取引する方が多いですが、なぜ連動性が高いのかという点について考える方は少ないでしょう。

理由としては「海外投資家の関与」が大きな影響を受けているためです。

まず「株式の売買を実際に行っている存在」について考える必要があり、結論からいうと日本株を取引しているのは日本人より海外投資家が多いということが大きな理由です。

かつての日本株は個人投資家や年金基金などの機関投資家が取引していましたが、現在は全取引のうち約70%が海外投資家に取引されているというデータがあります。

海外投資家には、アジア圏だけでなく欧州の投資家も含まれますが、最も多いのが米国人投資家です。

米国人投資家のなかには、価格変動の状況を見ながら取引を行う方もいますが、ほとんどの投資家は米国株に投資して得た利益を使って日本株を取引していると言われています。

そのため、米国株が上昇傾向で調子が良いときに、さらに多くの利益を求めて日本株に投資しているということになります。

また、反対に米国株が下落傾向にあるときは、米国人投資家が受けた損失の穴を埋めるために、日本株を売却して資金を確保する流れとなります。

結果的に売りが先行するため、日本株全体が下落傾向となり米国株の後を追うような値動きとなってしまうというわけです。

連動性に関する注意点

日本株と米国株の連動性の高さを認識することで、取引するための根拠や方法を具体化することができますが、一概に同じ動きをしていないという点は注意しなければいけません。

米国人投資家の関与が大きい点に加えて、日本経済と米国経済は非常に密接な関係にあるため、両国の株価が連動しています。

しかし、日本株と米国株が短期的に違った値動きをすることも珍しくありません。

その理由としては主に以下の2点があげられます。

✅独自の経済政策による期待感

✅テロや災害の発生による不安感

これらの理由として、たとえば日本政府が良い経済政策を打ち出すと、米国株の動向に関係なく期待が高まって日本株は上昇する流れとなります。

また、テロや災害が発生した場合は不安感が高まるため株価は下落する流れとなり、これも米国株の動向に関係なく独自で値動きが起こります。

これらの理由に加えて、コロナ禍以降の米国株は史上最高値を更新し続けていますが、日本株は2022年頃から停滞が続いています。

長期的に見れば上昇トレンドの最中であることに違いはありませんが、連動性の高さに加えて、国の経済情勢によって短期的に逆に動く可能性があることも理解しておきましょう。

まとめ

ここまで、日本株と米国株の連動性について解説してきました。

日本経済と米国経済は密接な関係にあるため、株価変動も同じ様な動きを見せやすいという特徴があります。

また、日本株を取引している海外投資家が約70%と非常に高い割合で参入していることも、米国株の影響を受けるひとつの要因であることがわかりました。

投資するうえで戦略や見通しが大切であるため、上記のことを把握しておくことで、日本株の取引を戦略的に行うことができます。

しかし、短期的には逆の動きを見せる場合もあり「経済政策」や「テロや災害の発生」がポイントとなります。

これらのポイントを押さえておくことで、利益を増やし損失を回避できることから、日本株を取引する際は米国株の動向に注目して取引すると良いでしょう。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る