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債務整理

債務整理の事例から学べる教訓はある?債務整理の成功例と失敗例を解説します

借金問題でお悩みの方へ。債務整理は、借金を減額し、借金問題を解決するための有効な手段です。

しかし、債務整理にはメリットだけでなく、デメリットや失敗のリスクもあります。

この記事では

  • 債務整理のメリット・デメリット
  • 債務整理の成功例と失敗例

を具体的に紹介します。

債務整理のメリットとデメリット

【メリット1】借金問題の解決が目指せる

債務整理は、借金を完済し問題を解決するための方法です。

借金に困った人が債務整理を行うと、借金の返済負担が軽減されたり、

借金の返済義務がなくなるというメリットがあります。

債務整理には、「任意整理」「自己破産」「個人再生」という手続きがあり、

いずれも借金問題の解決を目的としています。

例えば、「任意整理」では、利息を削除し、月々の返済額を減らすことができ、

借金返済が楽になります。

「自己破産」では、所有資産を整理することで支払い不能な借金を免除してもらえます。

これらの手続きは、それぞれ条件や効果が異なります。

ただ、いずれの手続きでも借金の完済に向けて良い影響を与えてくれます。

これにより、借金問題の解決に向けた環境を整えることができるのが、債務整理の第一の利点です。

【債務整理のメリット2】債権者からの取り立てが止まることで余裕を得られる

債務整理を行うと、借金の返済のための督促が止まるという利点があります。

借金問題で最も辛いのは、消費者金融やクレジットカード会社からの返済催促や請求書の到着です。

借金が返済できないにもかかわらず、執拗な取り立てを受けると、心身に大きな負担がかかります。

そのストレスから精神的な病気になったり、最悪の場合には夜逃げや自殺に至ることもあります。

しかし、債務整理を行うと、督促を停止させることができます。

弁護士や司法書士に依頼すれば、彼らが代理人として催促や連絡を受けてくれます。

結果、借金者に直接の連絡が来ることはなくなります。

そして、督促が止まることで、精神的な負担が軽減され、立ち直るための時間を確保できるのです。

これが、債務整理の大きな利点といえます。

【債務整理のデメリット1】信用情報に悪影響を与える

ここまで見た通り、債務整理には、上記のような利点があります。

一方で債務整理を行うと、信用情報に悪影響が出てしまいます。

そのため、新たな借入やカードの取得が出来ないというデメリットもあります。

これにより、一般的に「ブラックリスト」と呼ばれる状態になってしまうのです。

ただし、ブラックリストに載っている期間は、債務整理の終了から約5年ほどです。

一生続くものではありません。

また、信用情報を過度に重視してしまうのも問題といえるでしょう。

よくある失敗例ですが、

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ブラックになったら一生借金ができなくなる

と誤解して、借金を自力で返済しようとする人がいます。

しかし、結果的に利息や時間だけがかかり、最終的に債務整理をすることになり、

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最初から債務整理をしておけば、結果的に早期に借金を完済できていた

ということも頻繁に起こります。

そのため

  • 信用情報に悪影響が出るデメリット
  • 債務整理によって早期に借金を完済できる利点

をよく比較する必要があります。

借金を返済できる見込みが薄いのであれば、債務整理を選択する方が賢明です。

【債務整理のデメリット2】手続きによって別のデメリットもある

債務整理には、裁判所を利用する「個人再生」と「自己破産」という手続きがあります。
これらの手続きでは、裁判所の力を借りて借金を減額することができます。

ただし、同時に債権者の保護も考慮されることになります。

そのため、裁判所を使わない「任意整理」とは異なる制約があります。

まず、個人再生や自己破産では、「全ての借金」を対象としなければなりません。

例えば、家族や友人、会社からの借金も含まれるため、これらの人に借金がある場合は、彼らに内緒で債務整理を進めることはできません。

また、保証人がいる場合も、その借金が対象となるため、債務整理を開始すると、保証人に借金の返済請求が行われることになります。

さらに、自己破産の場合は借金の支払いを免除してもらえる強力な効果がありますが、その代わりに制約も大きくなります。

例えば、個人再生では必要のない財産の清算が求められませんが、自己破産では財産の清算が必要です。

家や貴重品、車などを手元に残したまま手続きをすることはできないのです。

【債務整理のデメリット3】状況が余計に悪くなることも……

最後に、債務整理を行うことで、状況が悪化する場合もあります。
例えば、債務整理を開始すると、その業者からの新たな借り入れができなくなり、他の業者からも借り入れができなくなったりと、借り入れに制限がかかることがあります。


これにより、以前は借り入れやクレジットカードで乗り切っていた人が、

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お金が足りない!

どこからも借りられなくて生活ができない!

と感じることがあるのです。
その結果、状況が悪くなったと感じる方もいます。
ただし、これは債務整理そのもののデメリットではありません。

むしろ、債務者個人の家計管理の問題とも言えます。

実際、ほとんどの人はこのようなデメリットを感じずに債務整理を進めています。

苦痛を感じることもほとんどありません。
借金が完済に向けて進んでいるのですから、本当は良いことだと言えるでしょう。

債務整理の成功例

ここまでは、債務整理を行った場合の影響やメリット、デメリットを中心に説明してきました。
ここからは

  • 債務整理を実際に行った場合、どのような結果になるのか

を、具体的な事例を基によりわかりやすく解説していきます。

【任意整理の成功例】支払条件を緩和することで効率的に借金完済が目指せる

任意整理は、裁判所を介さずに、弁護士や司法書士を代理人として、債権者との話し合いで返済条件を緩和してもらう手続きです。
例えば、将来の利息や遅延損害金等を減額してもらったり、3年から5年程度の分割払いを約束することで、毎月の返済額を引き下げることができます。
これにより、任意整理を行うと、借金を返済しやすい状況を作ることができ、自力で返済を続けるよりも簡単に借金を完済できるようになるのです。

債務者Aさんのケース

Aさんは、数年にわたってクレジットカードJ社を利用していました。

リボ払いを利用しながら、毎月返済を行っていました。

しかし、毎月の返済額が3~4万円に対して、利用額は4~5万円と赤字気味。

徐々に借金が増加していたのです。


ただ、Aさんは

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返済は毎月できているから大丈夫だろう

と高をくくっていました。
ある日、クレジットカード会社からの請求書を見てAさんは愕然としました。
なんと、借入総額が150万円にまで達していたのです。

借入額1,500,000円
借り入れ先クレジットカード会社j社
毎月の返済額30,000円

上記の借金を、任意整理を行わずに返済するとしたら、以下のようになります。

元金1,500,000円
毎月返済額30,000円
利息14.6%
利息総額820,000円
返済総額2,320,000円
返済完了までの期間約7年(78回払い)

このように、債務整理を行わずに返済を続けると、毎月の返済額に利息が付加され、トータルで80万円以上の利息が発生してしまい、返済完了までに7年近くかかってしまいます。


しかも、「一度もクレジットカードを使用しなかった場合」に限ります。
返済中に再度カードを利用してしまえば、返済期間がさらに伸びることになります。

そのため、利息もより多く支払わなければならなくなるのです。

任意整理後

困ったAさんは、司法書士に相談したところ、債務整理の中でも任意整理という手続きを教えてもらいました。
これは、将来の利息を減額したり、返済額を引き下げたりできる手続きです。

任意整理を行った場合、クレジットカード会社J社の借金は、以下のような返済計画になりました。

元金1,500,000円
毎月返済額25,000円
利息0%
利息総額0円
返済総額1,500,000円
返済完了までの期間5年(60回払い)


まず、任意整理には返済条件が緩和されるという大きな利点があります。

任意整理では、利息が0%になることが多く返済がより効果的になります。本件では約820,000円も利息を払わないといけなかったものが0円になりました。
さらに、返済期間も自力で支払うよりも短縮される傾向があります。本件では、5年の支払いで完済が出来るようになりました。

  • 利用期間(Aさんは数年にわたってクレジットカード会社と取引をしていた)
  • 借入目的(Aさんのクレジットカードの利用方法に問題がなかった)
  • 返済能力(返済額を減額したり、条件を緩和したら返済できるだけの返済原資が用意できた)

が挙げられます。

Aさんは、3つの条件のいずれにも問題がありませんでした。

結果、J社とよい条件で和解することができました。

Aさんは毎月の返済額をほとんど変えることなく、自力返済よりも少ない総支出で、しかも短期間で返済を完了できたのです。

【個人再生の成功例】住宅を残して借金額を返済可能

個人再生は、裁判所が再生計画を承認することで、借金を大幅に削減する手続きです。

債務総額が5,000万円以下の人が申請でき、借金額を1/5から1/10にまで減額できます。

個人再生は、借金が多いけれども、自分の住宅を手放したくない人に適しています。
なぜなら、個人再生では、住宅ローンを組んで取得した住宅を保持しながら、他の借金を大幅に減らすことができるからです。

債務者Bさんのケース

債務者Bさんのケースを見ていきましょう。

Bさんは、愛する家族と一生を過ごすために、銀行と住宅ローンを組んでいました。

しかし、住宅ローンの返済に充てるため、Bさんのお小遣いはカットされてしまいました。

そのため、Bさんは、不足分を借り入れで賄ってしまい、借金は気づけば480万円を超えていたのです。

借入額4,800,000円
借り入れ先クレジットカード会社r社(150万円)
消費者金融a社(180万円)
銀行カードローンm銀行(150万円)
毎月の返済額70,000円
備考住宅ローンあり
その他の資産 なし

これを自力で返済しようとすると、以下のような返済スケジュールとなります。

元金4,800,000円
毎月返済額70,000円
利息14.6%
利息総額5,600,000円
返済総額10,400,000円
返済完了までの期間約13年(150回払い)

債務整理を行わずに返済を続けると、トータルで560万円以上の利息が発生してしまい、返済完了までに13年近くかかってしまいます。

なお、先ほども申し上げた通り、これは「一度もカードやキャッシングを利用しなかった場合」のシミュレーションで、借り入れを行えばさらに金額が増加し、期間が延長してしまいます。

司法書士に相談

一時は自己破産も考えたBさんでした。

しかし、家族と過ごすマイホームを手放さないで出来ることを探していました。

そこで、Bさんは司法書士に相談をしてみました。

司法書士は、個人再生という手続きを紹介してくれました。

個人再生は、裁判所を利用して、住宅を手元に残しつつ、借金を減額した返済計画を認めてもらう手続きです。

この特徴の一つに、「住宅資金貸付債権に関する特則」というものが存在します。

この特別条項は、住宅ローンなどの住宅資金貸付債権について、自宅やマイホームを手放さずに、住宅ローン以外の借金を減額または分割払いすることが可能な規定なのです。

したがって、個人再生では、住宅ローンを組んでいる自宅を保持しながら、借金を5分の1程度まで、最大で元本の10分の1まで減額できます。

Bさんはこの手続きを行うことを決めました。

そして、司法書士に報酬を支払ったり、司法書士の依頼に応じて、提出を求められた書類を作成したりと、忙しい日々を送っていました。

数か月後、Bさんは裁判所に個人再生の申立てを行いました。

個人再生を行った結果

個人再生を行った結果、借金は以下のようになりました。

元金1,000,000円
毎月の返済額35000円程度
利息0%
利息総額0円
返済総額1,000,000円
完済までの期間手続き終了まで(およそ4年程度)
備考住宅には依然と同様に住み続けられる

この手続きが成功した理由としては、以下の点が挙げられます。

  • Bさんは返済能力が十分にあったこと
  • 資格者代理人の指示にきちんと従ったこと

資格者代理人が書類の提出などを求めているにもかかわらず、提出しない方というのは多くいらっしゃいます。

これは、むやみに手続きを遅延させるばかりです。

のみならず、申立てができない原因にもなりかねません。

Bさんはそのようなことのないよう、きちんと司法書士の指示に従っていたことが功を奏して、早期解決につながったのだと思います。

【自己破産の成功例】借金問題解決の最終手段?返済が免除される!

自己破産は、個人再生と同じく裁判所を通して行われる手続きです。
収入や財産を清算しても、借金が返済できなくなった場合に、必要書類を集めて裁判所に申立てを行い、裁判所が借金を返済できない状態であることを認めてもらうことで、借金の返済義務がなくなります。

簡単に言うと、借金をゼロにすることができるのです。

そのため、再び生活を立て直すことができる大きな利点があります。

債務者Cさんのケース

債務者Cさんのケースを見てみましょう。
Cさんは、クレジットカードと消費者金融の双方から借金をしていました。

借金が280万円を超えたころ、

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この状況ではまずい

と思ったCさんは、S銀行に頼み込み、おまとめローンを利用させてもらいました。
しかし、あまり収入の多くなかったCさんは、毎月のおまとめローンの返済が苦しかったことから、手元にあったクレジットカードを再度利用するようになっていきました。

そして、クレジットカードやおまとめローンの返済ができなくなると、今度は消費者金融にも手を出してしまいました。

結果として借金を2倍に膨らませてしまったのです。

借入額5,600,000円
借り入れ先クレジットカード会社e社(150万円)
消費者金融p社(130万円)
s銀行おまとめローン(280万円)
毎月の返済額55,000円
備考バイク(見積価格100万円)を保有

これを自力で返済しようとすると、以下のような返済スケジュールとなります。

元金5,600,000円
毎月返済額55,000円
利息12%
返済期間完済不能

上記の例ですと、毎月利息だけで最大で56,000円が発生しています。
そのため、何年間55,000円を支払い続けても、借金が減ることはありません。
つまり、完済は絶対にできないのです。

司法書士に相談

なかなか減らない借金を見て、Cさんは途方に暮れていました。
そんなある日、司法書士に相談をして、自己破産という手続きを教えてもらいました。
Cさんは、借金と無縁の人生を取り戻すためにはこれしかないと思い、司法書士に依頼し、自己破産の手続きを行いました。

自己破産を行った結果


自己破産を行った結果、借金は以下のようになりました。

元金1,000,000円(バイクの売却による清算)
毎月の返済額0円
利息0%
利息総額0円
返済総額1,000,000円
完済までの期間手続き終了まで(申し立てから6ヶ月~2年程度)
備考バイクは清算のために売却される

自己破産手続きは、裁判所によって借金の返済を免除してもらえるのが大きな利点です。

借金額がいくらであっても、裁判所から免責の許可を得ることで、返済の免除を受けられるのです。

ただし、上記の事例では保有している財産があるため、それは清算の対象となります。

今回のケースでは、Cさんが所有していたバイクは、清算価値があるとして、売却処分せざるを得なくなったのです。

裁判所が自己破産を認める決定を出したことで、Cさんの人生は好転しました。

今まで多額の借金を背負って、毎月返済に追われていたのと比べると、今は借金を気にせず、自分の生活や仕事に集中できるようになったのです。

しばしば、自己破産には悪いイメージが付きまとっています。

ですが、自己破産を行うことで、借金問題は確実に解決に近づきます。

自己破産は最終手段であるということを、念頭に置いておきましょう。

債務整理の失敗例

ここまでは、債務整理の手続きごとに、具体的にどのくらいの借金が減額になるのかなどについて触れてきました。
債務整理には多数のメリットがあることがお分かりいただけたかと思います。
では、一方で、債務整理をして失敗だった、上手くいかなかったというケースはどのようなものなのでしょうか。
こちらも、具体例を挙げて説明していきます。

なお、借金の返済が出来ない場合の対処法債務整理に失敗しやすい人の特徴については、以下の記事をご参照ください。

債務整理の費用が払えない時は、分割や後払いできる?対処法を解説債務整理をしても「借金の総額が減っていない」「債務整理の費用が高くて支払いが出来ない」という声を聴くことは多いです。これは債務整理の進め方が適切ではない場合や、借金額が大きすぎることが原因と考えられます。 本記事では、債務整理と費用の関係や払えない時のNG行動と対策法についてご紹介します。...
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【よくある失敗例1】返済条件がよくならなかった

Dさんは、スーパーのレジ打ちの仕事をしていました。
ただ、手取りは15万円ほどで、生活はカツカツ。
将来のことを考えると、現在の収入では心もとないと不安を感じていました。
そんな時、YouTubeを見ているとFXの自動売買ツールの広告が流れてきました。

聞くと、月に元手が30%は確実に増えるという好成績を出したツールだそうです。

FXの自動売買ツールに興味を持ったDさんは、自動売買ツールの販売業者の話を聞いて

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これはまさに金を生む大樹だ

と確信し、今すぐにツールを利用しようとしました。


しかし、Dさんは業者に支払う利用料や情報料、FXの元手のお金を持っていませんでした。

すると、販売業者は

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今すぐ、消費者金融からお金を借りてきたらいいよ

大丈夫、儲けが出たらすぐに返せるから

と急かされ、消費者金融2社からお金を借りて、150万円で自動売買ツールの運用を開始しました。
しかし、このツールは全く役に立たず、すぐに元手のお金は全部溶けてしまいました。

騙されたDさんの手元には、多額の借金だけが残りました。

司法書士に相談


「こんな借金は返済しきれない」と感じたDさんは、司法書士に相談をしました。
しかし、司法書士は難色を示しました。

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  • 取引期間が短すぎる、まだ返済数回しかしていない
  • 借り入れも一度に数十万円を借りており、借り入れ理由にも問題がある
  • この状況では、自己破産が認められないリスクがある
  • 任意整理をしても返済条件が良くなるとは思えない

とのことでした。
仮に任意整理をした場合は、以下のような返済条件になることが予想されました。

借入先返済回数毎月の返済額
消費者金融A社12回(1年)4.2万円
消費者金融P社24回(2年)2.1万円
消費者金融L社36回(3年)1.5万円(年利18%)
計3社返済期間約3年合計7.8万円

A社、P社は、取引期間が短いことから、1~2年で完済するのであれば、利息の免除を認めると言いました。
L社は、期間は長めに設定してくれたものの、将来利息のカットは認めてくれませんでした。

つまり、任意整理をするのであれば、毎月7.8万円の返済が必要となってしまうのです。

失敗の原因

本件は、債務整理、特に任意整理で返済が楽にならなかったケースでよくある事例です。
任意整理の成功例でも挙げましたが再掲します。

  • 取引の期間
  • 取引の履歴
  • 借り入れの総額

これらが任意整理には重要な基準になります。

Dさんは、お金を借りたばかり。利用理由も酷いため、良い条件で和解できない可能性が高いです。


なお「自己破産ならいいのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、自己破産は、借り入れの理由が投資やFXのようなギャンブル性の高い投機である場合には、免責が認められないリスクがあります。
そのため、Dさんは、任意整理では破綻してしまいます。

ですが、自己破産も認められないかもしれない。

そのような、非常に不安な状況に置かれてしまったのです。

【よくある失敗例2】督促が止まったので借金問題が解決したと勘違いする

Eさんは、収入があまり多くなかったことから、生活に困ることも多々あり、そのたびにクレジットカードを利用したり、借金をして生活していました。
Eさんの家計は以下のような状態でした。

収入

収入(手取り月収)20万円(手取り16万円)

支出

家賃6万円
食費5万円
携帯代2万円
趣味3万円
保険等1万円
日用品、雑貨等1万円
合計18万円
収支-2万円

借金をすることで赤字でも生活できてしまう

「支出が収入を上回っているのにどうやって生活するのか?」と思ったかもしれません。

これが借金の怖いところで、本当なら使えるお金以上の金額を使えてしまうのです。

Eさんも、御多聞に漏れずそうでした。

クレジットカードを返済するために、消費者金融から借り、消費者金融へ返済をするために別の消費者金融からお金を借りる、を繰り返していたのです。

典型的な「多重債務」「自転車操業」状態でした。

ただ、返済自体は滞っていないので、Eさんは、借金が膨らんでいることなんて気にも留めず、毎月「やりくり」を続けていました。

数年後、スーパーでいつも通りクレジットカードを利用しようとしたら、「このカードはお取引できません」というアナウンスが流れ、恥ずかしい思いをしました。

仕方がないので、消費者金融からお金を借りて、滞納分を返そうとしたところ、消費者金融も上限いっぱいまで使っていました。

Eさんは、どこからも借り入れができませんでした。

加えて、毎日のように債権者から電話や通知で、返済を求める督促状が届くようになったのです。

債務整理の依頼後

Eさんは、これはまずいと思い、司法書士に債務整理を依頼しました。

借金が膨らんでいることで、危機感を覚えるところまでは良かったです。

ですが、数年間、自転車操業を続けてきたEさんは、家計を管理するなんていうことは、今まで一切学んできていませんでした。

それは債務整理を始めた後も変わらず、相変わらずの浪費癖が続いていました。

もちろん、借金返済に充てるはずのお金なんて準備してません。

ただ、各社からの督促が止まっていたので、「このまま一生待っててもらおう」と思っていました。

たまに、口うるさい司法書士から「費用が入っていませんよ」「返済が遅れますよ」と電話が来ていました。

しかし、これも着信拒否すればすべての連絡は来なくなります。

こうして、Eさんは、平和な生活を取り戻したのでした。

Eさんに起こった不幸

支払いを待ってもらっている状態のまま、1年が過ぎた頃でした。

Eさんはいつものように、給与を受け取ろうと銀行口座を確認しました。

ですが、Eさんは驚いてしまいました。

なんと、銀行口座は空になっていたのです。

意味の分からないEさんは銀行に確認をしたところ、銀行員は白い目でEさんを見て

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裁判所からの命令で、銀行口座の差押えを受けたことはご存知でしょうか

と言いました。Eさんには寝耳に水でした。

督促が来なくなったのは、あくまで司法書士が代理人だったです

費用も支払わない、司法書士からの連絡を無視するという酷い行動を繰り返したことから、司法書士はすでに契約を解除していたのです。

そして、Eさんも知らぬ間に消費者金融やクレジットカード会社から訴訟をされ、銀行口座の差押えを受けてしまったのです。

Eさんの失敗の教訓

督促が止まったことを「借金問題が解決した」と勘違いしてしまう人もいます。

酷い方になると、そのまま連絡を絶って消え去る者も後を絶ちません。

ですが、これはあくまで支払いがストップしているだけで、借金問題は解決してません。

債務整理は、借金を完済するまでが債務整理です。 それを忘れてはいけないという事例でした。

【よくある失敗例3】思った以上に借金に依存していた

その後、Eさんは以前に依頼していた司法書士に泣きついて、再度依頼を受けてもらいました。

ただし、「次に支払いを滞ったら、二度と依頼は受けない」という条件付きでした。

債権者も、差押えを止めてくれて、また平穏な生活を取り戻せたのです。

Eさんは、「今度こそは債務整理をやり切る」と心に誓い、ちゃんと司法書士に費用と返済金を払うようにしました。

ただ、浪費癖は治っておらず、家計収支は以下のように、大赤字を出していました。

家賃6万円
食費5万円
携帯代2万円
趣味3万円
保険等1万円
日用品、雑貨等1万円
借金返済、債務整理費用3万円
合計21万円
収支-5万円

ただ、Eさんはすでにブラックなので、どこからもお金を借りられません。

そのため、Eさんは月末になると両親を頼って毎月数万円を借りたり、友達からお金を借りたりして、なんとか足りない分を補っていました。

ただ、収支が赤字の状態が続いているので、両親や友達に返すお金はありませんでした。

残ったのは、もともとの借金に加えて、家族や友人から借り入れた莫大な借金だけでした。

Eさんは、多額の借金を前に、精神的に参ってしまいました。

そして、精神面のストレスから仕事も手につかず、収入もなくなってしまいました。

Eさんの失敗からの教訓

借金に依存して生活を続けていると、このように、家計収支の感覚が狂ってしまいます。

Eさんのように、足りない部分を借金で補う生活を続けていては、いつかは破綻するに決まっているのです。

ですが、借金をすることに慣れてしまうと、本来当たり前であるはずの「収入の範囲内で生活をする」という基本的な事柄を忘れてしまいます。

債務整理をして立ち直るということは、この「当たり前」を取り戻すということです。

当たり前を取り戻せなかったEさんは債務整理に失敗し、悲惨な結末をたどってしまいました。

まとめ

債務整理は、借金問題を解決するための有効な手段です。
任意整理、個人再生、自己破産など、それぞれの手続きには特徴があります。

ですので、債務者の状況に応じて適切な方法を選ぶことが重要です。

また、債務整理中は、浪費癖を改め、収入の範囲内で生活することが求められます。
最後に、債務整理は借金を減額するための手段です。

ですが、借金を減額しただけでは、借金問題は解決しません。
借金に頼らない生活を送ることができるよう、家計管理の習慣を身につけ、健全な経済生活を送ることが重要なのです。

債務整理は、借金問題を解決するための第一歩にすぎません。

本当に目標とするべきは。その先には、借金に依存しない自立した生活なのです。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る