債務整理

債務整理中でもお金は借りられる?審査を通すためのポイントを解説

借りれる

債務整理中に資金が必要になり、借り入れを検討している方もいるかもしれません。

基本的には、債務整理中にはお金を借りることはできません。それは、信用情報に事故情報が載っているために、影響が出ていることからです。

ただし、あくまで信用情報をどのように判断するかは個別の業者の判断となります。

そのため、債務整理をしているからと言って必ずお金が借りれないわけではないということは知っておいていいでしょう。

ですが、債務整理中の借入は簡単ではありません。そこで、本記事では

  • 債務整理中にお金を借りれない理由
  • 債務整理中でもお金を借りる際の注意点やポイント

という点について、詳しく解説します。

債務整理中にお金を借りることはできる?

債務整理中は原則として新たな借り入れはできない

結論を先に言うと、債務整理中は原則として新たな借り入れはできません。また、新規のクレジットカードの発行やローンを組むことも難しくなることがほとんどです。

その理由は、債務整理をした事実は信用情報機関に報告され、信用情報に異動情報(俗に事故情報とも呼ばれる)が登録されることとなるためです。

信用情報とは、クレジットカードやローンの申し込みや契約に関する情報、支払い状況などの取引の記録のことです。また、信用情報機関はこのような情報を管理する団体のことです。

金融機関や消費者金融、クレジット会社などが加盟し、利用者の信用情報を登録・チェックすることで過剰な貸付を防いでいます。

(信用情報機関のひとつである、株式会社シー・アイ・シー「信用情報とは」および同社の発行する「「信用情報開示報告書」表示項目の説明」を参照)

具体的には、

  • クレジット・ローン等の申込情報
    • 申込人の名前や住所、生年月日等の個人情報
      審査申込みを行った事実
    • 申し込んだ契約の種類や内容など
  • クレジット・ローン等の契約に関する情報、支払に関する情報
    • 契約者の名前や住所、生年月日等の個人情報
    • 貸付額や利用上限金額などの契約内容や商品名など
    • 請求額や入金額など
    • 毎月の支払状況や経過状況など
  • クレジット会社等が、情報を確認した時の利用記録
    • 登録される内容
    • 名前
    • 確認した目的 など
  • その他の情報
    • 身分証等の紛失届に関するものや、貸付自粛の申出等


などの様々な情報が載っています。債務整理をすると、クレジット・ローン等の契約に関する情報、支払に関する情報の部分に異動情報が登録をされることとなります。この異動情報と言うのが、いわゆる事故情報です。

事故情報の登録により審査に通らなくなる

事故情報の登録があると、なぜ審査に通らなくなるのでしょうか?それは、貸金業者や金融機関が新規の融資やクレジットカードの発行をする際や契約の更新時に、信用情報を確認することを義務付けられているためです。

貸金業法第13条第1項、第2項では

貸金業法第13条

貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合には、(中略)返済能力に関する事項を調査しなければならない。

2 貸金業者が個人である顧客等と貸付けの契約を締結しようとする場合には、前項の規定による調査を行うに際し、指定信用情報機関が保有する信用情報を使用しなければならない。

貸金業法第13条「返済能力の調査(e-GOV法令検索より引用)

と定められています。

簡単に言うと、クレジットカードやローンの申込時や更新時に、貸金業者や金融機関は信用情報機関に照会を行うことを法令が義務づけているのです。そして、個人に対しての貸付に際しては、信用情報に基づき審査を行うことが必要なのです。

その際、事故情報が登録されていることは必ず確認されます。そして、多くの貸金業者や金融機関では、事故情報の存在により『返済能力に問題がある』と判断されるため、新規の融資をためらうことが多いのです。

特に、大手消費者金融などでは、信用情報を基準とした機械的な審査が多いので、信用情報に異動情報があると、融資はほとんど受けられないと考えて問題はありません。

例えば、SMBCモビットの記事でもご紹介した通り、大手消費者金融ではよく、属性スコアリングという手法が利用されていると言われています。

これは、大手消費者金融が保有する膨大な過去の個人情報データ(例えば、年齢や収入等)に基づき、機械的に判断するものです。

このような手法では、異動情報は大きなマイナスの影響を及ぼすため、審査に通ることが難しくなるのです。

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債務整理中でも借りられるローンは存在しますが……

ただし、注意するべきことが一つあります。

それは、事故情報を見て判断するのは、あくまで各業者次第であるということです。

「事故情報がある人には融資してはいけない」という法律はありませんし、法律上の貸付上限を越えなければ、事故情報があるとしても貸し付けを行うことに問題はありません。

つまり、信用情報の事故情報を判断するのは各業者なので、法律の範囲内で貸し付けをしても大丈夫と判断すれば融資はできるのです。

そのため、債務整理中であっても融資をしてくれる会社がないというわけではないのです。

ただし、債務整理中の借入には、デメリットが多くお勧めできるものではありません。

債務整理中に貸し付けをしてくれる業者は金利が高めだったり、融資額が小さいことが多いのです。
また借金をすれば返済義務が生じるため、返済が滞るリスクも伴い、その取り立てが厳しいという傾向もあります。
さらに、債務整理の手続きにも悪影響を及ぼす可能性があるなど、メリットはほとんどないでしょう

このことから、「債務整理中に借りられるローンは存在するが、推奨できない」というのが結論となります。

なお、債務整理中にお金は借りてはいけない理由債務整理中にお金がない時の対処法については以下の記事で解説しています。合わせてご覧ください。

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債務整理中にお金を借りるためのポイントは?

ここまでは、債務整理が信用情報に影響を与える理由について、詳しく解説をしてきました。

結論としては、「債務整理中に借り入れをしてはいけない」ということになりますが、この記事を読まれてる方々は「債務整理中にお金を借りる方法」を探している方でしょう。

このような状態にある方に「債務整理中にお金を借りるな」と言ったところで、何の解決にもならないでしょう。

どころか、債務者は困窮のあまり、絶対に取るべきではない行動を取ってしまうリスクがあります。

そこで、ここからは「債務整理中に少しでも低リスクでお金を借りるポイント」について解説をしたいと思います。

【ポイント①】申込ブラックに気を付ける

すぐにでもお金を借りたい理由で、急いでいくつかの会社に申し込んでしまう人がいます。
しかし、このように短期間に複数の会社に申込みを行うことにより、「申込ブラック」になってしまう可能性があるためです。

申込ブラックとは、短期間で複数の申込をしてしまったことで、新たに申込したカードローンやクレジットカードに影響が出てしまうことを指します。

上記「信用情報の内容」でもお示しの通り、信用情報には各社への申込み履歴も記載されており、この申し込みの履歴は6カ月間、信用情報に登録されます。
この申込み履歴が複数載っている、短期間に連続して融資の申込みをしている場合、「そんなにお金が必要なのか?」「返済能力に問題があるのではないか」という疑問を持たれかねません。

半年間に何回申込をした場合に影響が出るといったような基準はありませんが、一定回数以上の申込みをしている場合は審査を通さないという基準を設けている会社もあるようです。

そのため、審査に落ちたからといって、すぐに次の会社に申し込みを行うのは避けた方が良いでしょう。一定期間をあけて、複数の会社に同時に申し込まないということが重要になります。

【ポイント②】債務整理をした金融業者に申し込みをしない

次に「債務整理をした金融業者に申し込みをしない」ことがポイントになります。

債務整理をした金融業者へ再度申し込みをすると、各金融業者が独自に管理している社内ブラックに引っかかる可能性が高いためです。
「社内ブラック」とは、特定の金融会社やそのグループが独自で保有する顧客の情報のことです。

具体的には、

  1. 長期の延滞や繰り返しの引き落とし不能があった
  2. 支払い能力がないと判断された
  3. クレジットカードの現金化など、利用における規約違反が発覚した
  4. 任意整理や自己破産などの債務整理を行った

などの違反行為や返済履歴の不良により、信用情報のみならず、当該会社の顧客情報にも悪影響が出る場合があるということです。

社内ブラックであると、たとえ信用情報に特に問題がない状態でも、審査に通らない場合があります。

つまり、金融事故を起こした債務者が再度お金を借りることやクレジットを利用することに対して、多くの金融会社は「拒否」する姿勢を取っているのです。

ましてや、債務整理中は信用情報も問題ありの状態です。審査に通らない可能性は極めて高いといえるでしょう。

また、信用情報機関の事故情報が消えていても、債務整理を過去に行った顧客をデータベース化し、グループ会社間で共有しているため同じ金融業者やグループ会社にキャッシングを申し込んでも審査は通らない可能性が高いでしょう。

例えば、消費者金融のアコムを過去に債務整理をしていた場合、MUFGグループであるニコスや、ジャックスのクレジットカードのキャッシング審査には通らない可能性が高いということになります。

債務整理をした会社への再申込みは避けるのが賢明でしょう。

ちなみにですが、社内ブラックに関しては、保有期間が決まっていません。社内ブラックとして登録される期間は、信用情報の異動情報のように、「〇年で消える」といった目安はなく、「半永久」に対象となった金融会社に登録され続けることもあるようです。

【ポイント③】中小の金融業者に融資の申し込みをする

事故情報の登録により審査に通らなくなる」でも解説した通り、大手の銀行や消費者金融での借り入れは基本的にはできません。属性スコアリングのような形式的な審査手法を用いる大手金融機関では、異動情報は審査に重大な悪影響を及ぼすためです。

一方で、債務整理中でも中小消費者金融を利用すれば融資を受けられるケースがあります。

中小消費者金融とは、比較的経営規模の小さい消費者金融のことを指します。特に地域密着型のサービスを提供している業者は「街金」として知られています。

中小の金融業者は大手金融業者より利用者数が少なく、顧客確保のため積極的に融資を行うことがあります。

中小消費者金融が債務整理中でも融資を行える理由は、独自の審査方式を採用しているからです。大手消費者金融とは異なり、中小消費者金融では電話や面談を通じて個々の事情を詳しくヒアリングすることがあります。

そのため、信用情報機関の事故情報が残っていても、中小の金融業者のキャッシングなら利用できる可能性があるのです。
大手消費者金融の審査に落ちた場合でも、中小消費者金融なら借り入れのチャンスがあるといえるかもしれません。

『いつも』ってどんな会社?債務整理中でも借りられる?高知県高知市にある株式会社K・ライズホールディングスによる、キャッシングサービスです。いつも -itsumo-では、「いつものキャッシングはスマートフォンひとつで完結」「WEB申込みなら最短30分で融資」を謳っており、場合によっては任意整理中でも貸し出しが可能なことがあるようですが、債務整理中の借入には注意が必要です。...


ただし、街金は貸し倒れリスクを考慮した融資を行うことが多いという注意点があります。
街金業者を頼る債務者は、大手では審査が通らない人ということが多く、何か事情(特に信用情報の問題)を抱えていることが少なくありません。

そのため、中小の金融業者も返済能力を判断する審査はあるので、「安定した収入がある」などの条件を満たす必要があります。

また、大手の金融業者よりも利率が高かったり、滞納時の督促が厳しかったりする懸念もあるので、利用を検討する際は注意が必要です。

【ポイント④】親や友人、会社から借り入れる

借り入れをする際に信用情報が関係があるのは、あくまで金融機関からの借り入れの場合だけです。
ですから、親や友人、会社からの借り入れに際しては、信用情報は関係がありません。

そのため、債務整理中にお金が必要な場合、身近な人に援助を求めるという選択肢があります。
ただし、このような借金をする場合、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。
まず、もし返済が滞った場合、親族や友人との関係性が悪化する可能性があります。
金銭の問題は人間関係に大きな負担をかけることがあるので、借金をする前に細心の注意を払う必要があるのです。
さらに、家族や知人に金銭に困窮していることが知られ、場合によっては借金をしていることがバレる可能性もあります。
他人に借金をしていることが知られることで、信用やプライドが傷つくこともあるでしょう。

会社から借り入れをする場合も、上記と同様の注意が必要となります。

特に多いのが、会社から借り入れを行い、その後すぐに転職をするというケースです。例えば、会社から借金をして、その後すぐに退職、転職して行方をくらませるというものです。

これは、法的トラブルに発展する恐れがあることから、会社からの借金をするのであれば、その会社で借金完済まで働き続ける覚悟を固めることが必要です。

ちなみに、以下の記事でも詳しく解説していますが、債務整理中に転職をすること自体は問題ありません。収入の不安定化により返済が滞ったりするリスクがあることは考慮しておくべきでしょう。

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【ポイント⑤】どんなに困っていても闇金には手をださない

最後に、どんなに困っていても闇金には手を出さないということが最も重要なポイントになります。

こんな話を聞くと「そんな愚かな真似をするわけがない」「借金があるからって、バカにしてるのか」と思うかもしれません。

ですが、現実として、債務整理中に闇金に手を付ける債務者は非常に多いのです。

そもそも、正規の消費者金融等は、内閣総理大臣または、都道府県知事の登録を受けなければなりません。(「貸金業法第3条」e-GOV法令検索より)また、貸金業法には様々な法令による規制(例えば「利息制限法」や「貸金業法」等による規制)を受ける必要があり、これに違反する場合は登録の取り消しや刑事罰の対象となります。

闇金はこのような貸金業者としての正式な登録や規制を受けていないものを指します。

貸金業を営むには財務局か都道府県に登録する必要があります。登録業者は金融庁『登録貸金業者情報検索サービス』で確認できます。(https://www.fsa.go.jp/ordinary/kensaku/

ここに登録がない業者はヤミ金の可能性が高いので借入はしないようにしましょう。

闇金の実態

闇金は一般的に営業所を持たず、非公開の場所やインターネット上で活動していることが多いです。例えば、携帯電話や預貯金口座を利用し、闇金業者の携帯に連絡をするとお金を融資してもらえるいわゆる「090闇金」などが有名です。(警察庁「平成29年警察白書」より)

また、給与ファクタリングなども、貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(超高金利)のケースがあり、逮捕者も出ています。(2021年1月14日 12時02分 朝日新聞デジタル記事

そして、ヤミ金だけではなく、SNSなどの個人間融資にも注意が必要です。

SNSやネット掲示板を介して、個人間でお金の貸し借りを行う『個人間融資』が行われている事もあります。これは社会問題にもなっており金融庁でも注意を呼び掛けています。
(参考:金融庁「違法な金融業者にご注意!」)

闇金は法的な手続きや契約を無視し、違法な融資を行うことがあります。

かつては、多重債務者の名簿を取得し、債務者に融資を勧誘することが多かったようです。ですが、近年では、闇金業者も巧妙化しており、SNSなどで顧客を集め、「ブラックでも即日融資」という広告を出しているケースもあるようです。

闇金トラブルの具体例

闇金は、貸金業者としての正式な登録や規制を受けておらず、違法な行為を行うことを前提としています。そのため、違法な取り立て行為や法外な金利、過剰な返済条件などを含む契約を提供することもあるのです。中には、法定金利の約50倍から約90倍の利息を取るというケースもあり、その金額は非常に高額になることが分かります。

闇金は債務者を脅迫し、身体的な危険や脅迫の言葉、脅しの電話やメッセージなどを使用して、借り手を追い詰め、頼んでもいない商品(例えばデリバリーピザ)等を注文し、債務者を驚かせたり困惑させるなどして、違法な手段で債務回収を行うことがあります。(債務者使い貸付金回収=複雑に資金移動、秘匿アプリも―旧五菱会関係者のヤミ金事件・警視庁

また、支払いを滞った債務者の実家や職場に執拗に連絡を入れる、債務者の故人情報をネット上に公開するなどしているケースなどがあり、中には、顔写真や免許証、裸の画像を送信させて返済を強制するものもいます。

さらには、このような債務者たちの情報や弱みを利用して、運び屋やお金の引き出し、携帯電話の購入、違法な債権回収を行わせるなどの闇バイトの人員にされているケースもあるといいます。(沖縄タイムス「借金返済に困る債務者を「運び屋」の闇バイトに 雑誌に現金を忍ばせ郵送・公園のベンチに置く ヤミ金事件の摘発逃れか」)

これらのことからも分かるように、闇金からの借り入れは、たとえ一時的な資金繰りに困っていたとしても、決して選択肢にすべきではありません。
トラブルに巻き込まれるリスクが非常に高く、状況をさらに悪化させる危険性があるのです。

まとめ

債務整理中は原則として新たな借り入れができません。

ただし、一部の中小消費者金融では柔軟な審査により融資を受けられる可能性がありますが、金利が高めで融資額が小さいことが多く、返済が滞るリスクもあるため、メリットはほとんどないでしょう。

債務整理中に借り入れをする際のポイントとして、複数の会社への短期間に融資の申込みを行うのは危険です。信用情報に申込み履歴が記載され、返済能力に不安があると判断されるためです。
また、過去に債務整理をした会社は社内ブラックとして登録され、再度の融資を受けられない可能性が高いのです。
親族や友人からの借り入れは信用情報の影響を受けませんが、返済が滞ると関係性が悪化するリスクがあります。
最後に、闇金からの借り入れはトラブルを引き起こす危険性が非常に高いため、絶対に避けるべきです。暴力や脅迫、違法な取り立てなどに巻き込まれるリスクがあり、法的な保護も限定的になるのです。

これらのことから、債務整理中や債務整理後は、新たな借り入れには慎重になることが必要であると考えられます。安易な借金は状況をさらに悪化させる恐れがあるので、まずは弁護士に相談し、リスクの少ない解決策を探ることをおすすめします。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る