債務整理

債務整理できる借金と、できない借金の違いは?

借金の返済に悩んでいる場合、債務整理が解決策となる可能性があります。

しかし、債務整理にも様々な種類があり、対象となる借金とならない借金があることを知っておく必要があります。

ここでは、債務整理の種類や特徴、対象となる借金と対象外の借金について詳しく解説します。

また、借金問題を抱えている場合の専門家への相談の重要性についても触れていきます。

債務整理の種類

債務整理には様々な手続きがあるので、ここではその種類について解説します。

任意整理の特徴

任意整理は、弁護士や司法書士を通じて債権者と直接交渉し、返済条件の見直しや

債務の一部免除、将来利息のカットなどを取り決める債務整理手続きの一つです。

債務者の収入や生活費、財産状況などを考慮して、返済計画が立てられます。

この計画に債権者が合意すれば新たな返済条件に基づいて返済ができるようになります。

任意整理は、裁判所の関与がないため、手続きがスムーズに進むのが特徴です。

一方で、元々自身で借りた元金自体の大幅な減額は難しいため、

借金の総額が多い場合は、別の手続を選択した方がよいこともあります。

自己破産の特徴

返済が難しい多額の借金を抱えている場合、自己破産が有効な手段となります。

自己破産は、債務者が深刻な借金問題に直面した際に、裁判所を通じて行われる債務整理手続きの一つです。

最大の特徴は、返済が不可能な借金を全額免除できることです

ただし、借金を全額免除されるということは、減額な審査を行うということです。

そのため、免責不許可事由が法定されています。

例えば、ギャンブルや不当な借り入れなどは、免責をされない理由になるのです。

したがって、自己破産を選択する前に、個々の状況をよく考慮し、専門家のアドバイスを受けることが大切です。

個人再生の特徴

個人再生は、借金を一定の割合まで減額し、残りを3〜5年程度で返済する計画を立てる手続きです。

通常、借金は5分の1〜10分の1程度まで減らすことができます。

個人再生の手続きを進めるには、まず弁護士を通じて裁判所に申立てを行います。

申立ての際には、借金状況や収入、生活費、財産の詳細を提出します。

裁判所はこれらの情報を基に返済計画を策定し、債務者と債権者の合意を得ます。

個人再生では、住宅などの生活に必要な財産を一部残せる場合があります。

個人再生のメリットは、借金が減額され、返済計画が立てやすくなることです。

また、自己破産と比べて、財産を一部残せる点も魅力です。

ただし、個人再生にも一定の条件や制約があるため、専門家のアドバイスを受けながら慎重に検討することが重要です。

債務整理できる借金

では、債務整理の対象となるものには、どのようなものがあるのでしょうか。

クレジットカードの借金

クレジットカードは、現代社会で広く利用されており、

キャッシュレス決済が主流となっている今日、欠かせない存在です。

便利な支払い手段として、幅広く気軽に活用できます。

しかし、使い過ぎや返済計画の怠りにより、債務問題が生じることがあります。

特に、リボ払いなどを利用して借入れが限度額に達し、返済が難しくなった場合は、債務整理を検討した方がよいこともあります。

リボ払いでは、高い利息がつくため、返済額が急増する可能性があります。

その結果、借金が増加してしまい、返済が滞ることがあるのです。

債務整理が利用される場面でも、クレジットカードでの問題は多く存在しています。

クレジットカード会社としては

  • 三井住友カード株式会社
  • 楽天カード株式会社
  • 株式会社ジェーシービー

などが挙げられます。

キャッシングローンの借金

消費者金融からの借金に関しても、債務整理が一般的に利用されています。

代表的な消費者金融
  • アコム
  • レイク
  • アイフル
  • プロミス

近年では、店舗への来店が不要で、スマートフォンから気軽に借入れができます。

そのため、急な資金不足の際にすぐに利用されることがあります。

ただし、ついつい借入れを増やしてしまい、返済が難しくなる場合もあります。

重要なポイントは、キャッシングの場合も利息が発生することです。

借りたお金を返す際に、一定の利息が加算されて返済額が増えていくため、

気づいたときには返しても返しても元金が減らないという事態に注意が必要です。

高額商品のローン

車や時計などの高額商品のローンや、結婚式、美容整形などのローンも、債務整理の対象となります。

これらの商品を購入する際にローン契約を結んでいる場合、返済が難しくなったときに債務整理を検討できます。

ただし、ローンで購入した商品が残っている場合はその商品を返却する必要があります。

返却された商品の価値は、そのまま借金の返済に充てられます。

つまり、商品を手放すことで、その代金を債権者に支払い、借金を整理できるのです。

紛失している場合などは、債務整理で業者側から指摘を受けることがあります。

その際は、弁護士や司法書士に正直によく相談することが賢明でしょう。

高額商品のローンや結婚式、美容整形などのローンも、債務整理の対象となります。

ただし、医療ローンなどの一部の場合は、将来利息を含んだ金額で契約が行われることがあります。

そのため、債務整理を行っても利息が含まれているため、任意整理では借金額の大幅な減額が得られないことがあります。

このような点に留意しながら、適切な債務整理手続きを検討してください。

債務整理の対象とならないもの

債務整理の対象とならない借金も存在します。以下で説明します。

税金の滞納分や罰金等の公租公課

債務整理の対象となる債務には、住民税や車税などの税金は含まれません。

また、交通違反の罰金等も、債務整理の対象とはなりません。

これらの税金や罰金は、個人が国や地方自治体に対して支払う義務的な負担です。

そのため、債務整理によって税金の減額や免除を受けることはできません。

つまり、債務整理を行っても、税金に関する負債はそのまま残ります。

税金については、納税期限までに適切に支払うことが非常に重要です。

支払いが難しい場合は、各市町村に相談して分割納付を行える場合があります。

分割納付とは、支払いを一括で行えない場合に、期限内に複数回に分けて支払う方法です。

税金の支払いに関しては、適切な相談と計画を立てることが、支払いの負担を軽減するために重要です。

婚姻費用や養育費、一部の慰謝料の借金

婚姻費用や養育費、一部の慰謝料も債務整理の対象外とされています。

これらの支払いは、家族の生活を維持するために国や法律が定めたものであり、債務整理によってその負担が軽減されることはありません。

また、DVや詐欺といった悪質な行為による慰謝料や警察への罰金も同様に、債務整理の対象外とされる場合があります。

これらの支払いは、法的な裁定に基づいて行われるため、減額や免除が認められることはほとんどありません。

さらに、これらの債務が滞納されると、差押え手続きが取られることがあります。

差押え手続きによって給料や貯金が減少する可能性があるため、滞納は避けるべきです。

支払いに関する問題が生じた場合には、速やかに専門家や関係機関に相談することが大切です。

債務整理できるがリスクがある借金

住宅ローンの借金

住宅ローンも債務整理の対象とすることはできます。

ただし、債務整理の対象となった住宅は、売却され手放すことになります。

そのため、住宅を手放したくないという方は、個人再生等を利用して家を対象から外さなければなりません。

個人再生では、特別な制度を活用して住宅ローンはそのまま返済を続けることができます。

一方で、その他の借金(例えば、キャッシングやクレジットカードなど)の金額を大幅に減額し、再度返済計画を立てることができます。

この方法を選択することで、住宅を手放さずに借金問題を解決できます。

保証人がいる債権の借金

保証人がいる借金も、債務整理を行うことは可能です。

ただし、保証人がいる借金は、保証人が代わりに支払わなければなりません。

つまり、元々借りた本人の債務が債務整理によって減額や免除されても、保証人が支払いを負担する可能性が生じます。

特に、借金が多額の場合は、保証人との十分な話し合いが不可欠です。

保証人も、債務整理による負担移行を理解し、将来的な支払いに備える必要があります。

保証人も、債務整理を検討する必要がある場合があります。

一方で、保証人が返済できれば、自身の債務整理の方針も変わる場合があります。

しかし、大きな金銭のやりとりとなる場合は、保証人との間でトラブルに発展する可能性があるため、しっかりとしたコミュニケーションが不可欠です。

借金の整理を検討する際には、保証人との話し合いを怠らず、将来の財政状況や支払い能力を十分に考慮した上で行動することが重要です。

ギャンブルで借り入れたり換金行為を行ったもの

ギャンブルで借り入れたり換金行為を行ったものも、問題のある借り入れです。

特に自己破産手続きにおいては、免責不許可事由に該当しうるため、手続きを失敗させるリスクがあると言えます。

免責不許可事由には、ギャンブルの借入れや、換金行為を行っていることも含まれます。

自己の無謀な行動によって生じた借金や、自己の利益のために行われた換金行為については、社会的に認められる負担とは見なされません。

特に、ギャンブルによる借金は、借り手が自制心を欠いて無計画に行動し、結果的に多額の負債を抱えることがあります。

このような状況下で自己破産を申し立てると、免責が下りない可能性があるのです。

また、換金行為に関しても、契約違反であることがほとんどです。

債務整理は、契約上の義務を履行するための手段であり、契約違反行為によって生じた債務に対して適用されるものではありません。

自己判断せず専門家に相談することの重要性

借金で悩んでいる場合は、まずは弁護士や司法書士に相談することが重要です。

自己判断で債務整理ができないと思い込んで、苦しい生活を続けてしまうケースもあります。

しかし、実際には個々の状況によって債務整理が可能な場合もあります。

複数の弁護士や司法書士に相談することで、自分の状況に適した債務整理の方針を検討してもらえる場合があります。

また、専門家は債務整理の交渉を行う経験が豊富であり、適切なアドバイスや支援を提供してくれます。

一方で、逆に債務整理ができると思っていても、実際には難しい場合があります。

専門家は、法律や個々の事情に詳しいため、客観的な視点から債務整理の可能性を判断してくれます。

そのため、自分の状況を客観的に見つめ直し、専門家の意見を参考にすることが、今後の生活再建には大切です。

まとめ

債務整理には、任意整理、自己破産、個人再生など様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。

クレジットカードやキャッシングローンの借金、高額商品のローンや住宅ローンなどは、債務整理の対象となります。

一方で、税金の滞納分や保証人がいる債権、婚姻費用や養育費、一部の慰謝料、ギャンブルによる借金や換金行為による借金は、債務整理の対象外となることが多いです。

借金問題で悩んでいる場合は、自己判断せず、まずは弁護士や司法書士などの専門家に相談することが重要です。

個々の状況によって、債務整理の可能性や方針は異なるため、複数の専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが、生活再建への第一歩となるでしょう。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る