債務整理

債務整理をしたらETCカードってどうなるの?

ETC

債務整理をすると、クレジットカードが使えなくなってしまうというのは知っている方も多いでしょう。

では、クレジットカード機能付きETCカードはどうなってしまうのでしょうか。

結論をいうと、クレジットカードに付帯している場合は、原則利用が出来なくなってしまいます。

ですが、債務整理をしてもETCカードが使える方法はあります。

そこで、本記事では、債務整理をしてもETCカードを使う方法について、詳しく解説していきます。

債務整理とETCカード

クレジットカード機能つきのETCカードは使えない

実は、クレジットカードの支払いを遅延していたり、利用限度を超えたりしても、ETCカード自体が有効なら、ETCシステムはちゃんと動きます。

ETCカードを使うとき、車載器が認証する情報はクレジットカードの有効期限だけです。

ですから、カードが有効で、有効期限内であればETCカードは利用可能なようです。

もちろん、後で利用料金はちゃんと請求されます。

一方、債務整理をすると、クレジットカードは強制解約や、利用停止の取扱となります。

そのため、ETCを利用することが出来なくなります。

ETCカードが使えないと、ETCゲートの入口に進んでも開閉バーは開きません。

そのため、開閉バーに追突して破損事故を起こしたり、停止したところで追突事故に巻き込まれたりと言った様々なリスクがありますので、利用は控えましょう。

ETCカードはいつ使えなくなる?

債務整理には、

  • 特定の債務のみを整理対象とする「任意整理」
  • すべての借金を対象としなければならない「法的整理」

の2つがあります。

法的整理の場合は、すべての借金を対象とすることから、ETCカードを残せません。

では、対象を選べる任意整理の場合はどうなるでしょうか?

また、いつ頃からクレジットカードは使えなくなるのでしょうか?

任意整理の対象

さきほど、ETCカードを債務整理すると、強制解約や利用停止となると言いました。

では、その効果が出るのはいつ頃からなのでしょうか?

結論から言うと、債務整理の対象となってから1~2週間程度で利用停止となる」ことが多いと言えます。

債務整理を開始すると、弁護士や司法書士から「受任通知」と言う書類をクレジットカード会社に送ることになります。

これは、「弁護士や司法書士が債務者の代理人となりました」ということをクレジットカード会社にお伝えする書類です。

クレジットカード会社では、これを受け取った段階で、クレジットカードの強制解約等の処理をします。

その処理が完了するまでに、1~2週間かかるのです。

なお、「1~2週間はカードが使えるのであれば、使ってしまえ」と思う方もいます。

ですが、債務整理をすることをわかっていて借金をする行為は、債務整理を出来なくなる理由となりえます。

また、詐欺罪等の刑事上の責任追及の対象となる場合すらあります。

非常にリスクが高いため、絶対に止めましょう。

任意整理の対象外

任意整理であれば、「ETCカードを対象とせずに債務整理を進めること」も可能です。

この場合、債務整理の対象とならないことから、直ぐには強制解約や利用停止になることはありません。

ただし、絶対に利用停止や解約にならないと言うかとそうではありません。

債務整理を行ったという事実は、信用情報機関に事故情報として記載され、クレジットカード会社は、定期的に信用情報を確認しているためです。

よくあるのは、更新のタイミングです。

更新のタイミングに信用情報を確認し、事故情報があることを見つけたため、

更新が認められなかったり、利用限度額を下げられる場合があるようです。

債務整理をしてもETCを使う方法は?

では、債務整理後もETCを利用するにはどのような方法があるのでしょうか。

ETCパーソナルカード

概要

ETCパーソナルカードは、有料道路の通行料金支払いに特化したETCカードです。

クレジットカードをお持ちでない方でも、デポジット(保証金)を預託することで、

有料道路でのETCカードの利用が可能です。

通行料金は、お申し込み時に指定された金融機関口座から引き落とされます。

入手方法

デポジットは通行料金の支払いには利用できず、プリペイドカードのような前払金ではありません。

ETCパーソナルカードの発行費用やその他の運営費用の一部を賄うため、

年会費として1,257円(税込)がかかります。

デメリット

ETCパーソナルカードのデメリットとして、

デポジット(保証金)を差し入れないといけないと言う点が挙げられます。

デポジットは、ETCパーソナルカードの利用金額に対する保証金です。

また、利用限度額が、デポジット額までに制限されると言う点もデメリットと言えます。

利用料金がデポジット額を超えると、一時的に利用が停止されます。

法人ETCカード・ETCコーポレートカード

概要

法人や個人事業主向けに提供されているETCカード、通称「法人ETCカード」とは、

法人や個人事業主向けに発行されるETCカードのことを指します。

一般のカードと異なる点は、主に経費精算の利便性にあります。

法人クレジットカードの種類によって異なりますが、

一般的に複数枚の発行や引き落とし口座の設定などが容易なETCカードが「法人ETCカード」と呼ばれます。

法人ETCカード(ETCコーポレートカード)には3つのタイプがあります。

  • 法人ETCカード
  • ETCパーソナルカード
  • ETCコーポレートカード

それぞれ申込み方法や年会費の有無などが異なります。

メリット1: 有料道路の料金を割引できる

最初に、ETCカードを利用することで、有料道路の通行料金が割引されます。

  • 平日の朝夕には「平日朝夕割引」
  • 土日祝日には「休日割引」
  • 毎日午前0時から午前4時までの「深夜割引」

が適用されます。

また、特定の路線や渋滞回避ルートを利用する場合も割引があります。

これらの制度は会社の経費削減に役立ちますが、特定の車種や登録が必要な場合があるので、事前に確認する必要があります。

メリット2: 法人カードとETCカードでポイントが貯まる

法人カード付きのETCカードを使用すると、ETCカードの利用に応じてポイントを獲得できます。

法人カードのポイントは個人向けのクレジットカードと同様に利用可能です。

ただし、ポイントの貯まり方は法人カードの種類によって異なります。

さらに、ETCカード自体にもポイント制度があり、「ETCマイレージサービス」に登録することでポイントを獲得できます。

これらのポイントは通行料金に利用できます。

メリット3: 仮払いや経費精算が不要

現金で有料道路の通行料金を支払う場合、従業員に仮払いを行ったり、

立替払いを依頼したりする必要があり、経費精算が発生します。

ETCを利用すると、従業員たちは、会社からETCカードを受け取り、

車載器に挿入するだけで通行料金が自動的に支払われます。

法人カード付きのETCカードの利用料金は、会社の法人カードで支払われるため、

従業員は精算業務を行う必要がなく、経理業務の負担が軽減されます。

法人ETCカード・ETCコーポレートカードの入手方法

申込みを行う際には、

  • クレジットカード会社
  • 協同組合(たとえば、高速情報協同組合など)
  • 東日本、中日本、西日本高速道路
  • その他の協同組合

から選択することができます。

法人カードを保有している場合、その法人カードにETCカードをリンクして発行することが可能です。

この方法では、新たに法人カードの審査を受ける必要がないため、ETCカードを迅速に発行できます。

ただし、ETCカードの発行手数料が必要となることもあるため、事前に確認が必要です。

例えば、「三井住友カード ビジネスオーナーズ」では、法人カードの1枚につきETCカードを1枚発行できます。

また、新規で法人カードとETCカードを申し込む方法もあります。

この場合、新しい法人カードを選択できるため、「まだ法人カードを持っていない」場合や「別の法人カードを取得したい」場合に選択肢として検討できます。

ただし、発行には審査が必要なため、手続きには時間がかかる場合があります。

最後に

債務者はETCカードを持たない、諦める

代替案として、「債務者はETCカードを持たない、諦める」ということが挙げられます。

何の解決案にもなっていないと思うかもしれません。

ですが、ETCカードは実質的に後払いであり、したがって借金になります。

ETCカードを使わないことで、これ以上、借金を増やすことはなくなります。

「毎回一般レーンでお金を支払うのが手間だ」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

ただ、そのために借金をしリボ払いをすると、年間で約15%の金利がかかります。

わずか1、2分の手間を省くために、年間何万円もの金利を支払うことになってしまうのです。

これは、本当に割に合っているのでしょうか?

弁護士や司法書士に相談する

借金があるが、ETCカードを利用し続けたいという方は、なるべく早く弁護士や司法書士に相談することを検討すべきです。

なぜなら、借金があるのにカードを使いたいというのは、既に家計収支の健全性を失っており、このままで居続ければ、破綻してしまう可能性があるからです。

そして、他社から借金があるにもかかわらず、クレジットカードを利用し続け、更なる借金が必要だと考えているのは、多重債務や自転車操業をしていることにほかなりません。

当然のことながら、健全な財務状況ではありません。

このような状況にある債務者のほとんどは、借りて返してまた借りて、を繰り返すことで借金を増やし、最終的には返済不可能なほどに負債を膨らませます。

これ以上、問題が深刻化する前に、弁護士や司法書士などの専門家に相談することで、最小限の被害で事態を改善しなくてはなりません。

債務整理をすれば、確かにカードの利用は停止されます。

しかし、これは他の言い方をすれば、借金を増やすことができなくなるということです。

早急に借金問題を解決するためにも、自身で判断せずに、まずは専門家に助けを求めましょう。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る