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債務整理

債務整理は借金がいくらから出来る?債務整理するべき借金額は?

債務整理

借金に苦しむ方にとって、債務整理は返済の方法として有効な選択肢の一つです。

では、具体的にいくらくらいの借金があれば、債務整理ができるのでしょうか?

また、どれほどの借金があれば、債務整理を検討すべきなのでしょうか?

結論から言いますと、債務整理の対象となる借金額や適用条件は、

個々の収入や生活状況によって異なります。

ただ、債務整理を検討すべき基準として、

「借金額が年収の3分の1を越えている」

というラインが考えられます。

この記事では

  • 債務整理がどのくらいの借金額から可能なのか
  • また、債務整理を検討すべき基準となる金額はどの程度なのか
  • そして、どの程度の借金がある場合にどのような手続きを考えるべきなのか

について解説します。

債務整理が出来る条件はある?

債務整理が出来る条件とは

最初にお伝えしたいことは、

「債務整理が出来る条件は、債務整理をしないと債務が返せないこと」

であるということです。

金額はあまり重要ではなく、債務額が少額であっても、債務整理はできるのです。

そもそも、債務整理とは借金や支払いの請求などの債務がある場合、

その返済条件を有利に変更したり、債務の減額を認めてもらう手続きです。

ですから、返済の条件を変更してもらったり、借金の減額を認めてもらわないと、

その債務の返済が出来ないことが、債務整理の条件だと言えます。

もちろん、ほかにも債務整理が出来なくなる条件というのはあります。

ただ、基本的には、

「借金を返すためには債務整理をしないとならない」という状況であれば、

債務整理をすることはできると考えてよいでしょう。

債務整理は少額でもできる

金額があまり重要でないなら、例えば、債務額が10万円以下と少額であっても、債務整理はできるのでしょうか?

これについては、債務の金額はあまり重要ではないので、出来るケースが多いと言えます。

例えば、

  • 「借金の金額が10万円以下だが、月1万円の返済は難しい」
  • 「借金以外の請求(例:携帯電話の利用料やネット通販の支払)が複数ある」
  • 「分割払いなら何とかなるが、一括で払うことはできない」

という場合には、

  • 「債務整理によって、返済金額を下げてもらう」
  • 「返済を一括から分割払いに変更してもらう」

などの、返済条件の変更により、借金問題が解決に近づく場合があるのです。

債務整理をするべき金額はどのくらい?

ここまでは、債務整理を出来る条件と、最低額について紹介してきました。

一言でまとめると、

「債務整理は返済や支払いが出来ないときに利用する制度、金額はあまり重要ではない」

ということです。

とはいえ、債務整理には信用情報に影響を与えるなどのデメリットがある以上

「どんなに少額でも債務整理をするべきだ」

と軽々に結論付けるわけにはいきません。

そのため、ここからは、「債務整理を考えるべき借金額はどのくらいか?」についての考え方をご紹介していきます。

「借金がこの金額だったら債務整理」と決めることはできない

まず、前提として、債務整理が必要かどうかは、

その人の収入と借金のバランス

によって決まります。

「いくらの借金があるから債務整理が必要だ」と決めることはできないのです。

なぜなら、借金がどれほど多くても、それを十分に返せるほどの収入や財産があれば、借金は返済できる可能性があるからです。

会社に例えて考えてみましょう。

例えば、多くの株式会社では、社債や銀行借り入れという形で事業資金を準備し、営業しています。

有名な大手の株式会社になると、その借入額が数百億、数千億円となることも珍しくありません。

もし、借金があったらすぐに会社が倒産してしまうのであれば、会社は成り立たないでしょう。

では、なぜ会社は倒産しないのでしょうか?

それは、事業資金の借入額より、事業で上げた収益や保有している財産の方が多いからです。

個人レベルの収支バランスでも、この話は当てはまります。

借金があっても、それ以上に収入があったり、返済に回せる資産がある状態であれば、返済は出来るので債務整理は必要がないということです。

では、収入と借金の比率がどのくらいであれば、債務整理をするべきなのでしょうか?

【基準1】年収の3分の1を越えている場合は債務整理を考えた方が良い

まず、一つの基準として、「年収の3分の1」というものが挙げられます。

具体的に言うと、年収が450万円の人であれば、150万円くらいの借金がある場合には、債務整理を考えた方が良いということです。

この3分の1という数字の根拠は、貸金業法にあります。

同法では、

「年収の3分の1以上のお金を貸し付けてはいけない」

という貸付の上限が定められています。

これを「総量規制」といいます。

この規制は、

  • 「年収の3分の1を超えると返済が難しくなるリスクがある」
  • 「これ以上の貸し付けを認めると、多重債務に陥り、ますます返済ができなくなる」

という国や政策担当者の考えを反映しています。

つまり、

「借金の総額が年収の3分の1の前後にある場合、リスクが高まっているため、債務整理を考えてもよい」

といえるのではないでしょうか。

【基準2】年収と同等以上の借金がある場合は法的整理も視野に入る

「借金が年収と同等以上のとき」も、債務整理を考えるべきポイントだと言えます。

さきほど、基準1で上げた「年収の3分の1」が、借金返済が難しいラインと考えられると言いました。

ここからさらに借金が増えると、借金完済がますます困難になってしまいます。

また、お金を貸してくれる企業では「貸付上限」が設定されています。

1つの企業から年収を超える金額を借りることはほとんどありません。

つまり、借金の総額が年収を超えている場合、複数の貸金業者からお金を借りて多重債務に陥っている可能性が極めて高い状態と言えるのです。

また、収入が減少したために相対的に借金の比率が高まったというケースも考えられます。

たとえば、

  • 転職
  • 退職
  • 怪我
  • 病気による休職

などが挙げられます。

こうした状況では収入が元の水準まで回復するまでに時間がかかり、足りない収入を補うために借金を繰り返す悪循環に陥りかねません。

そのため、借金が年収を越えている場合は、早急に債務整理を検討すべきでしょう。

また、返済能力に自信がない場合は、自己破産や個人再生などの強力な方法も視野に入ってきます

【基準3】自分が「返済が大変だ」「借金が辛い」と感じているなら年収は関係ない

これまでは、年収を基準にして債務整理が必要かどうかを考えてきました。

ですが、「年収の3分の1よりも少ない借金であっても、債務整理が不要」とは言えません。

借金の厳しさというのは、人によって感じ方が異なります。

数百万円の借金があっても気にしない人もいます。

一方で、借金額が大きくない場合でも、心配で仕方がないと感じる人もいます。

借金の額が年収に比べて少なくても、

  • 「借金がつらい」
  • 「返済が大変だ」

と感じるなら、債務整理を考えるべきです。

「借金額がまだ少ないのに、債務整理をするのは早計では?」と思うかもしれません。

ただ、借金が少額のうちに問題を解決するチャンスだと捉えることもできます。

実際、借金問題が大きくなってから債務整理をすると、毎月の負担が増えてしまって生活を圧迫した結果、自己破産しか選択肢が残らなくなることもあります。

借金が少額のうちに債務整理をすることで、より柔軟な解決策が見つかったり、借金返済の負担を減らせたりする可能性もあるので、前向きに考えることが大切です。

債務整理の手続はどれを選ぶのがいい? 借金の金額別で解説

ここからは、どのような債務整理の手続きを選ぶのがよいのか、債務整理をしたらどうなるかを実際にあった事例に基づき考えていきます。

【ケース1】借金額が年収の3分の1以下の場合

Aさんのケース

年収400万円
借金総額80万円
借り入れ先クレジットカード会社e社:80万円
現在の毎月返済額2万円
職業警備会社勤務

借金の総額は年収の20%で、「少し頑張れば借金返済も可能かも?」と思えます。

ただ、Aさんは

アイコン名を入力

「返済を続けているけれどなかなか金額が減っていかない」

「これ以上借金が増えたらどうしよう」と心配だったので、

弁護士に相談し、債務整理をすることを決断しました。

弁護士からの提案

弁護士から提案されたのは、任意整理という手続でした。

これは、毎月の支払額を減らしたり、利息を無くしたりすることで、返済条件を有利に変更してもらう手続きです。

元金の返済は必要なので、「債務整理後に返済が続けられる方」や「負担を下げたら返済が可能な方」に進められる方法です。

そもそも、借金が完済しづらい原因は、高額な利息を取られているということがあげられます。

Aさんも実はクレジットカード会社に、元金に対して年利15%の利息を支払っており、毎月の返済額のうち、1万円近くが利息として取られていました。

元金80万円
毎月返済額2万円
利率15%
完済までに支払う利息(概算)約32万円
完済までの元利金の合計額約112万円
完済までの期間約5年
債務整理後

これを任意整理することにより、以下のように変わりました。

元金80万円
毎月の返済額1.5万円
利率0%
完済までに支払う利息0円
完済までの期間5年(60回払い)

任意整理を行ったAさんは、返済額を5000円ほど下げられた上に、完済までにかかるはずだった30万円の利息の支払いをしなくて済みました。

また、Aさんは警備会社にお勤めですが、警備員と言うのは、自己破産をすると手続き中は仕事をできないというデメリットがあります。

ですが、この任意整理にはそのような制限がありません。

そのため、仕事に支障なく債務整理をすることが出来ました。

このように、Aさんは早めに弁護士に相談をすることで、借金の返済の負担を下げつつ、自分の仕事を失わない方法で債務整理を進めることが出来たのです。

【ケース2】借金額が年収の3分の1以上の場合

Bさんのケース

年収450万円
借金総額160万円
借り入れ先消費者金融a社:80万円
クレジットカード会社n社:80万円
現在の毎月返済額3万円
職業不動産会社(宅建士の資格保有)
家族構成配偶者 子供2人
アイコン名を入力

家に収入の大半のお金を入れなければいかなかったため、自分のお金があまりありませんでした。

そこで、お金が足りなくなったらクレジットカードを使ったり、クレジットカードの返済に困ったときには消費者金融からお金を借り入れていった結果、少しずつ借金を増やしてしまいました。

ただ、借金が160万円を越えてしまい、

「このままでは、配偶者や子供に借金で迷惑をかけてしまうかもしれない」

と思い立ち、債務整理の相談を司法書士にしました。

司法書士の提案

このケースでは、借入額が年収の3分の1を越えています。

この借金を自力で返そうとすると、以下のように返済しなければなりません。

元金合計額160万円
毎月返済額3万円
利率15%
完済までに支払う利息(概算)約105万円
完済までの元利金の合計額約265万円
完済までの期間約7年半

返済期間も長く、支払う利息の総額もかなり大きいです。

このまま返済を続けても、一向に借金が減らない可能性や、増えてしまう場合もあり得ます。

債務整理をした方がよいケースだと言えるでしょう。

ただ、Bさんには家族がいるため、家族に内緒で債務整理をしたいと希望されていました。

また、お仕事で宅建士をしているので、自己破産をすると仕事にも影響が出てしまいます。

さらに、毎月返済可能な金額は3万円が限界とのことでした

そのため、Bさんの相談を受けた司法書士は、任意整理を進めました。

債務整理後

任意整理することにより、以下のように変わりました。

元金160万円
毎月の返済額2.7万円
利率0%
完済までに支払う利息0円
完済までの期間5年(60回払い)

Bさんの場合、総額で支払う利息を0%にすることで、利息を100万円以上支払わなくてすみました。

また、毎月返済額は3000円ほど下がり、完済までの期間も5年と短くなっています。

加えて、任意整理は家族や職場に内緒で進めることも可能であり、仕事や家庭にも影響なく債務整理が出来たのでした。

【ケース3】借金額が年収を越えている場合

Cさんのケース

年収300万円
借金総額480万円
借り入れ先m銀行:240万円
消費者金融p社:120万円
クレジットカード会社r社:120万円
現在の毎月返済額7万円
職業会社員
保有する財産車(50万円程度の価値あり) その他はなし
アイコン名を入力

仕事のストレスから、ついつい買い物や食事にお金を使いすぎてしまい、気づけば借金が200万円を越えていました。

そんなとき、m銀行で「おまとめローン」をしたのですが、

その後にまた、借り入れを開始……。

結果、借金は2倍以上になってしまいました。

毎月、給料日が来てもかなりの額を借金返済に充てており、

「払っても払っても減っている気がしない、いつまで借金返済を続ければいいのか」

「今の収入で毎月70000円ものお金を準備するのは無理」

と、終わりの見えない借金苦から解放されたいという思いは日に日に強くなっていました。

そこで、弁護士に債務整理の相談をしました。

弁護士の提案

この借金を自力で返そうとすると、以下のように返済しなければなりません。

元金合計額480万円
毎月返済額7万円
利率(概算)12%
完済までに支払う利息(概算)約335万円
完済までの元利金の合計額約815万円
完済までの期間約10年

このケースでは、借金の総額が年収を越えていますので、すぐにでも債務整理をするべき場面だと言えます。

自己破産や個人再生なども視野に入れて検討するべきでしょう。

Cさんは、弁護士に相談した結果、自己破産をすることを選びました。

自己破産とは手持ちの財産を清算しても借金が返せないことを裁判所に認めてもらうことで、借金の返済を免除してもらう手続きです。

Cさんの場合、50万円の車を清算したうえで、現状の収入では残りの借金を返しきれないことを裁判所に認めてもらうことで、返済を免除してもらうこととなります。

債務整理後

自己破産後は、以下のようになりました。

返済額約50万円(車の売却、清算による配当)
利息0円
裁判所への申し立て費用約22万円
弁護士の依頼費用44万円
合計額約116万円

手続きのために弁護士を雇ったり、破産の申し立ての費用が掛かったりと、いくらかの出費はありました。

無事に裁判所から免責許可を受けられた結果、480万円の借金の返済義務は免除されました。

これにより、Cさんは、借金苦から解放され、新しい人生のスタートを切ることが出来たのです。

借金に困っているならまずは弁護士や司法書士に相談することから始めるべし

借金が増えて年収の3分の1を超えたり、年収を上回ってしまった場合、または借金の返済に不安がある状況について紹介しました。

ただし、これらの事例は一般的な状況を示したモデルケースであり、個々の状況によって異なる可能性があります。

個別のケースでは

  • 収入や借金の状況
  • 仕事や家族への影響
  • 借り入れの理由

など様々な要因が影響を及ぼします。

先述の内容が必ずしも当てはまるわけではありません。

そのため、あなたによりマッチした選択をするためにも、弁護士や司法書士のアドバイスを得ることが重要です。

自分の取るべき方法や債務整理についての情報を得ることが、借金問題を解決するうえで不可欠です。

債務整理を検討している場合は、弁護士や司法書士に相談し、個々の事情や状況を考慮して適切な債務整理手続きを選択することが重要です。