探偵(不倫調査/人探し)

【必見】不倫問題を解決するための法律知識をご紹介

不倫されたかもしれない…」そんな疑いが頭をよぎり、胸が締め付けられるような思いをしているあなたへ。裏切られた怒りや悲しみは、言葉にできないほど辛いものですよね。

しかし、絶望を感じる必要はありません。不倫は、法律上、被害者が慰謝料を請求できる立派な不法行為です。

この記事では、不倫慰謝料の定義から、慰謝料を請求できる条件、そしてその法的根拠まで、丁寧に解説します。

そもそも、不倫の慰謝料請求とは?

慰謝料とは何?不倫で請求できる理由

慰謝料とは、不法行為によって被った精神的な苦痛に対する損害賠償のことです。そしえ、不倫の場合、配偶者の不貞行為によって夫婦関係の平穏が害されたことに対する賠償となります。つまり、不倫は法的に保護されるべき利益を侵害する行為なのです。

この点は、最高裁判所平成8年3月26日判決でも確認されています。

「第三者が配偶者と肉体関係を持つことが当事者に対する不法行為となるのは、それが当事者夫婦の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるから」

確かに、精神的な苦痛をお金で解決することに抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、民法417条722条1項では、精神的な苦痛の賠償方法は原則として金銭の支払いとされています。これは、精神的な損害を金銭的に評価し、被害者の損失を補填するためです。

慰謝料の対象となる「不貞行為」の定義と根拠

不倫や浮気、不貞行為という言葉は、日常的には同じようなものと捉えられているかもしれません。ですが、法律上、不貞行為には、「配偶者のある者が配偶者以外の人と自由な意思に基づいて肉体関係を持つこと」という定義があります。

最高裁判所昭和48年11月15日判決では以下のように判示されています。

民法七七〇条一項一号所定の「配偶者に不貞の行為があつたとき。」とは、配偶
者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをい
う(以下略)

したがって、キスや手をつなぐ、二人で食事に行くといった行為だけでは、原則として不貞行為にはあたりません。単に仲が良いだけの関係では慰謝料請求は認められないと判断されることが多いのです。

そのため、もし慰謝料を請求したいのであれば、肉体関係があったことを示す証拠が必須となります。例えば、写真、動画、性行為に関する会話の記録などがこれにあたります。このような証拠がないと、慰謝料請求は難しくなります。

不倫慰謝料の法的根拠とは?

慰謝料請求の根拠である民法709条・710条とは?

不倫の慰謝料の根拠となるのは、民法第709条第710条です。

まず、民法第709条は、不法行為の基本的なルールを定めています。具体的には、「故意や過失で他人の権利を侵害したら、生じた損害を賠償しなければならない」というものです。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

出典:e-Gov法令検索「民法」

そして、第710条は、金銭で測れない損害、つまり「精神的損害」も賠償の対象になることを規定しています。不倫の慰謝料は、この精神的な苦痛に対する賠償です。

(財産以外の損害の賠償)
第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

出典:e-Gov法令検索「民法」

つまり、この2つの条文によって、不倫という行為が「法律で守られている夫婦の権利を侵害する不法行為であり、それによって受けた精神的な苦痛についても金銭で賠償すべきである」という考え方が成り立つのです。

夫婦間の慰謝料請求では、貞操義務違反も根拠となる

夫婦間の慰謝料請求の場合、夫婦が守るべき「貞操義務」を破る行為であることも指摘できます。

この貞操義務は、法律に「貞操義務」という言葉で書かれているわけではありません。しかし、民法第770条には、裁判で離婚が認められる理由の一つとして「配偶者に不貞な行為があったとき」を挙げています。

つまり、不貞行為を離婚の原因として認めているということは、法律が「不貞行為は夫婦の関係を壊すほどに重い違反」だと考えているということから、そのような違反をしない義務を認めていると考えられるわけです。

そして、不倫をした配偶者は、貞操義務に違反と見なされ、この侵害行為が、法的な不法行為にあたります。

その結果、被害者である配偶者は、不倫をした双方に損害賠償として慰謝料を請求できるのです。

不倫慰謝料を請求するための4つのポイント

次に、不倫慰謝料を請求するための4つのポイントを紹介します。

先ほど紹介した民法第709条が具体的にどんな時に要件を満たしていると認められるのか、という点に注目してください。

夫婦関係が破綻していないこと

慰謝料は、不倫によって夫婦の共同生活が壊されたことに伴う精神的苦痛に対して支払われるものです。

そうだとすれば、不倫が始まる前から夫婦関係が冷え切っていて、事実上、夫婦としての生活が成り立っていなかった場合は、「不倫によって夫婦の平穏な生活という法的保護に値する権利や関係が壊された」とは認められず、法的保護に値しないのです。

この点は、最高裁判所平成8年3月26日判決でも確認されています。

配偶者と第三者が肉体関係を持った場合において、夫婦の婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である。

夫婦関係が破綻しているとは、「夫婦としてやり直す意思がなく、離婚に向けて別居している」「複数回の離婚協議を行ったり、離婚調停を申立ている」などの状態を指します。

そのため、不倫慰謝料を請求するためには、不倫が始まった時点で夫婦関係がすでに破綻していなかったことが必要です。

配偶者と不倫相手の間に肉体関係があること

慰謝料の請求が認められるには、「不貞行為」があったことが必須です。先ほども述べましたが、不貞行為とは、配偶者以外の人と性的な関係を持つことを指します。

たとえ、配偶者が不倫相手と頻繁にデートをしたり、キスをしたりしていたとしても、肉体関係があったという証拠がなければ、法律上は不貞行為とはみなされません。この条件が満たされない場合、慰謝料請求は非常に難しくなります。

そのため、証拠の収集が非常に重要となります。メールやLINEのやりとりだけでなく、探偵の調査報告書や、不貞行為があったとわかる写真や動画などが有効な証拠になります。

不倫相手に「故意または過失」があること

慰謝料請求の対象となる不倫相手には、「故意(こい)または過失(かしつ)」があったことが必要です。故意とは、不倫相手が配偶者が既婚者であることを知っていたことです。一方、過失とは、少し注意を払えば既婚者だとわかったはずなのに、それを怠っていた場合を指します。

たとえば、

  • 不倫相手が配偶者のSNSで結婚指輪や子どもの写真を見ているのに気づかなかった
  • 不倫相手が結婚していることを職場の同僚の多くが知っていた

、などのケースが過失にあたることがあります。

一方で、もし不倫相手が、本当に配偶者が独身だと信じており、それを信じるに足る正当な理由があった場合、過失も認められず、慰謝料請求が難しくなることがあります。

不倫によって精神的苦痛を被ったこと

不倫の慰謝料は、不倫によって被害者が受けた苦痛に対して支払われるものです。したがって、不倫が原因で苦しんでいることも要素の一つになります。

ただし、精神的苦痛に関しては厳密な証明が必要なわけではありません。社会通念上「配偶者に不倫をされることにより精神的苦痛を被る」というのは広く理解されている事柄であり、通常は不貞行為が立証できれば、精神的苦痛は認められます。

一方で、精神的苦痛の度合いが大きいということを立証すれば、慰謝料の金額に大きく影響します。たとえば、離婚に至ったケースは、単に夫婦関係が悪化しただけのケースよりも、慰謝料が高額になる傾向があります。

具体的には、

  • 夫婦関係が悪化して離婚や別居に至った
  • 不眠やうつ病により、精神科に通院することとなった

などの場合がこれにあたります。

まとめ

今回の記事の重要ワード

  1. 慰謝料
  2. 不貞行為
  3. 不法行為
  4. 民法709条・710条
  5. 慰謝料請求の4つの条件

この記事の理解度チェッククイズ

問題1:不倫の慰謝料とは、何に対する賠償金のことでしょうか?

答:不法行為によって被った精神的な苦痛に対する損害賠償

問題2:法律上の「不貞行為」とは、具体的にどのような行為を指すでしょうか?

答:配偶者以外の人と性的な関係を持つことです。

問題3:不倫による慰謝料請求の法的根拠となる民法709条「不法行為」とは、法律上どのような行為を指すでしょうか?

答:故意、または過失によって他人の権利や利益を侵害し、損害を与えた場合に、その損害を賠償する責任が生じる行為のこと

問題4:不倫慰謝料の請求では、民法第710条も709条と同様に法的根拠となります。この条文が、それぞれ何を定めているかを簡単に説明してください。

金銭で測れない精神的な損害も賠償の対象になることを定めています。

問題5:不倫慰謝料を請求するためには、4つの条件を満たす必要があります。そのうちの2つを挙げてください。

不倫が始まる時点で、夫婦関係が破綻していなかったこと

配偶者と不倫相手の間に性的な関係があったこと

不倫相手が配偶者が既婚者であることを知っていた、または知ることができたこと

不倫によって精神的な苦痛を被ったこと