債務整理

債務整理をしたら携帯は分割購入できない?信用情報の仕組みと解決策を解説

債務整理を考え始めたとき、「携帯電話は使い続けられるの?」と不安に思う方は非常に多いです。生活に欠かせないスマホが使えなくなったらどうしよう、と心配になりますよね。

結論からお伝えすると、債務整理をすると、新しいスマホの分割購入は難しくなります。しかし、これは決して携帯電話が使えなくなることを意味しません。適切な対策を取ることにより、分割払いで携帯を購入できるのです。

この記事では、債務整理が携帯電話の分割払いの契約にどう影響するのかを徹底的に解説します。さらに、分割払いができない状況でもスマホを契約するための具体的な解決策を、誰にでも分かるようにやさしく紹介します。

債務整理中はなぜ携帯の分割購入はできない?

携帯電話の「分割払い」は借金と同じ

「債務整理を検討しているけど、携帯電話は使い続けられる?」そう不安に思っている方は、実はとても多いです。結論からお伝えすると、携帯電話の機種を分割払いで購入するのは、残念ながら非常に難しくなります。

なぜなら、携帯電話の分割払いは、クレジットカードや銀行のローンと同じく「信用取引」にあたるからです。このとき、皆さんは携帯電話会社から端末代金を後払いにしてもらい、毎月少しずつ返済していく形になります。つまり、実質的には借金と同じなんです

そのため、携帯電話会社は皆さんの支払い能力を当然に審査します。特に10万円以上の高価な端末は、「割賦販売法」という法律によって、審査が義務付けられています。そのため、過去の支払い状況や借金の有無が必ずチェックされるのです。

この審査のときに参照されるのが「信用情報」と呼ばれる、皆さんの借金に関する個人情報です。債務整理をすると、この情報に「事故情報」が記録されます。これがいわゆるブラックリストと呼ばれるもので、分割払いができなくなる一番の理由です。

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審査に関わる3つの”ブラック“とは?

携帯電話の審査に影響する「ブラック」は、3つあります。ご自身がどの状態に当てはまるのかを理解することが、適切な対策を考える上で非常に重要です。

1. 信用情報機関のブラック(金融ブラック)

そもそも、お金を借りる際には、借りる人の氏名や住所、借金の状況などが、「信用情報機関」に記録されます。これは、お金を借りた人なら誰でも記録されるものであり、記録自体が問題ではありません。しかし、信用情報には、延滞や債務整理などのいわゆる「金融事故」を起こしたことも記録が残ってしまうのです。これがいわゆる「ブラックリスト」です。

信用情報機関には、CIC(シー・アイ・シー)JICC(日本信用情報機構)などがあります。携帯電話会社もこれらの機関に登録をしており、例えばNTTドコモは公式HPの中で「シー・アイ・シー(CIC)、日本信用情報機構(JICC)に加盟しております」と明言しています。(参照NTTドコモ「ご質問と回答「信用情報機関とは何ですか。自分の情報が登録されますか。」」)

携帯電話会社は、機種代金の分割払いを申し込んだときに、これらの機関に照会をします。そして、債務整理の情報がここに記録されていることを発見したら、携帯の分割払いはもちろん、クレジットカードや住宅ローンなど、あらゆる「信用取引」の審査が通りづらくなるのです。

2. 社内ブラック

次に、「社内ブラック」です。これは、信用情報機関とは別に、カード会社が社内で独自に持っている履歴のことなのです。

例えば、NTTドコモで電話代金の支払いを延滞したことがあると、その情報はドコモ社内のデータベースに記録されている可能性があるということです。この人が、同じ会社で再度契約しようとすると、「この人は過去に支払いを滞納している」と判断され、審査に通らない可能性が高くなります。

社内ブラックの厄介なのは、信用情報とは違い、公表されていないという点です。また、審査にどのような影響を与えているかも、明確になっていません。ただし、取引履歴は信用を図るうえでは重要なポイントになりますので、信用情報以外の情報も参照されている可能性があることは、覚えておきましょう。

債務整理から時間が経っても消えない?「社内ブラック」とはどんなものか?「社内ブラック」とは、カード会社が独自に持っている情報のことで、信用情報機関のブラックリストとは違います。過去にその会社で支払いトラブルがあると、信用情報からは削除されていても、カード会社の記録には残り続けるのです。 この「社内ブラック」は、自分で確認することができません。しかも、一度でも載ってしまうと、その会社とは一生取引できない可能性もあるのです。 でも、大丈夫です。この記事では、「社内ブラック」とは何なのか、どんなときに記録されてしまうのか、そして万が一なってしまった場合の対処法について、詳しく紹介していきます。...

3. TCA・TELESAのブラック(携帯ブラック)

最後に、「携帯ブラック」です。これは、主に通信料金(月額料金や通話料)の不払い情報が共有される仕組みです。主要な携帯電話会社は「一般社団法人 電気通信事業者協会(TCA)」や「一般社団法人 テレコムサービス協会(TELESA)」という団体に加盟しています。これらの団体では、通信料金の不払い情報が共有されています。たとえば、ドコモで料金を滞納して強制解約になった場合、その情報がTCAを通じてauやソフトバンクにも知られてしまうのです。

この情報が登録されていると、他の携帯電話会社でも新規の契約が難しくなります。いわゆる「携帯ブラック」と呼ばれる状態です。

この情報は通信料金の滞納に関するもので、信用情報機関に登録される「金融ブラック」とは別物です。ただし、これらの情報はどちらも審査に影響を及ぼすものであり、悪くなると、契約はさらに難しくなります。

スマホを分割購入できなかったときの対処法

スマホを分割購入できなかったときの3つの対処法

債務整理をしても、携帯電話がまったく使えなくなるわけではありません。ご安心ください。分割購入ができなくても、携帯電話を使い続けるための方法はいくつかあります。諦めずに、ご自身に合った方法を探してみましょう。

まず、最も確実な方法が「端末代金を一括で購入する」ことです。一括払いは信用取引ではないので、携帯電話会社は信用情報を照会しません。そのため、審査なしで端末を手に入れることができます。

次に、「家族名義で契約する」という方法があります。債務整理の情報は、あくまで個人の情報です。そのため、ご家族には影響がありません。信用情報に問題のないご家族に契約してもらい、その回線を借りる形で利用することができます。

さらに、「中古ショップなどで携帯を購入し、SIMカードのみを契約する」という方法も有効です。端末代金の審査がないため、信用情報に問題があっても契約できる可能性が高いです。最新機種は高額ですが、中古や型落ちの機種を選べば、費用を抑えることが可能です。家電量販店やオンラインショップなどで、端末だけを購入する選択肢を考えてみましょう。

10万円以下の機種でも審査に通らない?

「10万円以下の機種であれば分割購入できる可能性がある」という話はよく耳にします。しかし、それは決して確実な方法ではありません。結論から言うと、10万円以下の機種でも債務整理をした後には契約できない場合があり得ます。

一般的に、「割賦販売法」という法律では、10万円を超える高額な商品の分割払いには、より厳格な審査が義務付けられています。これは、消費者が返済不能にならないようにするためのルールです。この法律の例外として、10万円以下の商品は「少額店頭販売品」として審査が簡略化される場合があります。この制度があるため、「安いスマホなら大丈夫」という噂が広まったのです。

しかし、これはあくまで法律上の話であり、通信会社は独自の基準で審査を行います。法律で審査が簡略化されても、携帯電話会社はあなたの信用情報を確認しないわけではありません。多くの携帯電話会社は、CICやJICCといった信用情報機関に加盟しています。そのため、機種代金が10万円以下であっても、審査の際に信用情報機関に照会をかけるのが一般的です。

また、もしあなたが過去にその通信会社で料金を滞納していたり、強制解約になったりしたことがあると、金額の大小に関係なく審査に通りづらくなります。これは「自社ブラック」として情報が記録されているためです。また、他社での料金不払い情報も「TCA/TELESA」を通じて共有されています。

そのため、10万円以下の機種であっても、契約が出来ない可能性も十分あり得るのです。

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「格安SIM」の審査はゆるいのか?

「大手キャリアではなく、格安SIMなら審査に通りやすいのでは?」そう考えている方も多いかもしれません。確かに、格安SIMの多くは端末の分割払いを伴わない「SIMカードのみの契約」を推奨しています。このため、端末代金の審査がない分、審査が比較的ゆるいと感じるかもしれません。

しかし、格安SIM会社も、通信料金の支払い能力についてはきちんと審査します。多くの場合、「一般社団法人 テレコムサービス協会(TELESA)」の不払い情報を照会します。過去に携帯電話の料金を滞納して強制解約になったことがある場合、格安SIMであっても審査に通らない可能性は十分にあります。ですから、「格安SIMだから大丈夫」と安易に考えるのは危険です。

さらに、多くの格安SIM会社は、端末を分割払いで販売する際に「割賦販売法」に基づき、「信用情報機関(CICなど)」に照会を行います。この場合、債務整理の情報が記録されていれば、審査に通ることは難しくなります。したがって、格安SIMでも分割払いはできないと考えるのが妥当です。

結論として、格安SIMは料金が安く、選択肢の一つとして魅力的ですが、審査が甘いわけではありません。特に、端末の分割払い契約を検討している場合は、大手キャリアと同じように厳しい審査があることを理解しておくべきです。