転職支援

人材派遣と人材紹介(転職サービス)の違いとは?派遣・紹介の違いを知ろう

働き方が多様化する現代社会において、人材派遣と人材紹介は欠かせない存在となっています。でも、この2つのサービスは似ているようで、実は大きな違いがあるのをご存知でしょうか?

実際、人材派遣と人材紹介の違いについて理解している人は意外と少ないものです。しかし、自分に合った働き方を選ぶためには、その違いを知ることが何より大切なのです。

そこでこの記事では、人材派遣と人材紹介の違いについて、わかりやすく解説していきます。雇用形態や契約期間、料金体系など、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

自分らしいキャリアを築くために、人材派遣と人材紹介の違いを理解することが、とても重要だと思いませんか?ぜひこの記事を読んで、自分に合った働き方を見つけるヒントにしてください。

人材派遣サービスとはどんなもの?

人材派遣サービスとは、厚生労働大臣に認可された派遣事業を行う事業者が、雇用している派遣社員を派遣するサービスです。

多様な働き方を支える重要な制度の一つであり、派遣会社が雇用した労働者を、人材を必要とする企業に一定期間派遣するしくみで、「労働者派遣法(昭和60年法律第88号)」という法律に基づいて運営されています。

この制度の最大の特徴は、雇用関係と指揮命令系統が分離している点です。つまり、派遣労働者は派遣会社と雇用契約を結びますが、実際の業務は派遣先企業の指示に従って行うのです

人材派遣の仕組みは?

派遣の仕組みを詳しく見ていきましょう。

派遣会社と派遣先企業は「派遣契約書」を交わし、この契約に基づいて労働者が一定期間派遣されます。労働者派遣契約の締結によって、派遣先企業は派遣社員を受け入れることができ、業務指示が出せるようになります。

ただし、定められた以外の業務を依頼することは禁じられているため、注意が必要です。また、派遣先企業の同一事業所で派遣社員を受け入れられる期間は、原則3年間です。この期間を越えて派遣社員を受け入れようとする場合は、延長手続きを行う必要があります。これは正社員との区別を明確にするための規制で、労働者の保護を目的としているのです。

厚生労働省の「令和5年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」によると、2022年の派遣労働者数は約212万人。働き方改革が進む中、その重要性はますます高まっています。多様なニーズに応える人材派遣サービスは、これからの時代に欠かせない存在と言えるでしょう。

どんな働き方がある?

人材派遣はフルタイム、短時間、単発など、多様な働き方に対応しているのが大きな魅力です。ライフスタイルに合わせて柔軟に選べるため、子育て中の方や副業を希望する人に特に人気があります。

一方で、派遣先での正社員登用制度がない場合、キャリアの継続性に課題があるのも事実です。ただし最近は、派遣から直接雇用に切り替える「紹介予定派遣」など、正社員化を前提とした制度も広がりつつあります。

人材紹介サービスとは?

人材紹介サービスは、人材紹介会社が、人材を探している企業の要望に合う求職者をマッチングし、採用業務の支援を行うサービスです。企業が求める人材を、紹介会社が探し出して推薦するしくみで、職業安定法に基づく厚生労働大臣の許可を得た事業者のみが行えます。

言い換えると、人材紹介サービスは、企業と求職者をつなぐ重要な役割を担っているのです。

人材紹介の仕組みは?

人材紹介は、企業の求人に対して最適な人材を探し出し、マッチングを行うサービスです。

まず求職者が紹介会社に登録すると、担当のキャリアアドバイザーが希望条件や経験をもとに、最適な企業を選定します。双方の意向が合致した場合、書類選考や面接を経て採用が決まります。この時点で初めて、紹介会社と企業の間で紹介契約が成立するのです。

人材紹介の形式には、大きく分けて「登録型」と「サーチ型」の2つの方法があります。

登録型は、あらかじめ転職希望者に情報を登録してもらい、企業のニーズに合った人材を推薦する方式です。求職者のキャリアやスキル、希望条件などを事前に把握できるため、スムーズなマッチングが可能です。主に実務層からミドル層までの採用に適しています。
一方、サーチ型は人材紹介会社のネットワークを活用して、企業が求める人材を積極的に探し出す方法です。現在転職を希望していない方も対象に含め、幅広く人材を探します。ヘッドハンティングやスカウトとも呼ばれ、ミドル層以上の採用やスペシャリストの採用に効果的です。
企業から求人依頼を受けると、担当のキャリアアドバイザーが登録者データベースやネットワークを駆使して、最適な人材を選定します。書類選考や面接を経て採用が決まれば、初めて紹介会社と企業の間で紹介契約が成立します。

どんなサービスがある?

人材紹介サービスは実に多岐にわたり、第二新卒、ハイクラス、管理職、技術職など、ターゲットに合わせて細かく専門化しているのが特徴です。また、転職相談から面接対策、履歴書の添削まで、手厚いサポートを提供している会社も多く、初めての転職でも安心して利用できます。

近年は、「リファラル採用」と連動した人材紹介や、AIを活用したマッチング技術など、新しい取り組みも活発化しています。デジタル化の波に乗り、さらに利便性の高いサービスが登場しています。

総務省統計局労働⼒⼈⼝統計室の調査では、2023年の転職者数は約325万人に上ります。また、転職等希望者も1035万人以上にのぼるといわれ、多くの人にとって転職はごく普通のキャリア選択になりつつあります。そうした中で、人と企業をつなぐ人材紹介サービスの重要性は、今後ますます高まっていくに違いありません。

人材派遣と人材紹介の大きな違いはどこにある?

人材派遣と人材紹介は、一見似たサービスのようで、実は働き方や雇用形態に大きな違いがあります。どちらを選ぶかで、キャリアの方向性や雇用の安定性が大きく変わってくるのです。自分に合ったサービスを見極めるには、この違いを理解することが何より大切と言えるでしょう。

そこで、ここからは人材派遣と人材紹介の違いについて詳しく解説をしていきます。

人材派遣と人材紹介の違いの概要

比較項目人材派遣人材紹介
法的根拠労働者派遣法(昭和60年法律第88号)職業安定法(昭和22年法律第141号)
雇用契約派遣会社と労働者の間で雇用契約を結ぶ(派遣先とは雇用関係なし)求職者と紹介先企業が直接雇用契約を結ぶ
指揮命令権派遣先企業が指揮命令権を持つ雇用主である紹介先企業が指揮命令権を持つ
契約当事者派遣元(派遣会社)・派遣先・労働者の三者構成求職者・紹介先企業・紹介会社の三者構成だが、雇用は求職者と紹介先企業間で成立
手数料の支払い派遣先企業が派遣会社に派遣料金を支払う紹介先企業が紹介会社に成功報酬として紹介手数料を支払う
就業期間の制限原則として同一の派遣労働者を同一組織単位に3年まで(※例外あり)期間制限なし
雇用形態派遣社員(有期または無期)正社員・契約社員など紹介先企業の募集形態に準拠
利用目的一時的な人材確保(欠員補充、繁忙期対応など)恒常的な人材採用(専門職採用、幹部候補採用など)

サービス内容の違い

まずサービス内容の違いから見ていきましょう。

人材派遣は、企業の一時的な人手不足を補うために、短期間の必要なスキルを持つ労働力を提供するサービスです。事務作業、製造業、販売業など、即戦力となる人材を必要とする現場で多く活用されています。

一方、人材紹介は直接雇用を前提として、人材を長期的に採用するために利用されるサービスです。厚生労働省の指針でも、派遣は「一時的な業務補助」、紹介は「恒常的な人材確保」と明確に区別されているのです。

契約形態・雇用元の違い

次に、契約形態と雇用元の違いについてです。

派遣社員は派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業で働きます。つまり、雇用主と実際の勤務先が異なる「間接雇用」の形態を取ります。

一方、人材紹介で採用された人は、企業と直接雇用契約を結ぶ「直接雇用」になります。紹介会社はあくまで、企業と求職者をつなぐ役割を担うだけなのです。

契約期間の違い

さらに、契約期間にも大きな差があります。派遣労働者は、同じ職場で働ける期間が最長3年に制限されています。これは正社員との区別を明確にするための法律上のルールです。ただし、派遣先に直接雇用されれば、この制限は適用されません。さらに、派遣先は、派遣労働者が同一の組織単位で同一業務を1年以上継続して従事し、派遣期間終了後もその業務を継続する目的で新たに社員として雇用する予定がある場合には、雇用するよう法律で努力義務が課せられています(労働者派遣法第40条の4)。

対して人材紹介の場合は、通常の就職と同様に、採用と同時に無期雇用になることが一般的で、長期的なキャリア形成が可能です。

料金体系の違い

最後に、企業が支払う料金体系の違いを見てみましょう。派遣会社への支払いは、毎月の「派遣料金」という形で行われます。これは派遣社員の時給に派遣会社の利益を上乗せした金額になります。

一方、人材紹介の場合は「成功報酬制」が主流です。紹介した人材が採用されたときに初めて、年収の2〜3割程度を紹介料として受け取る仕組みです。

以上のように、人材派遣と人材紹介では、働き方やキャリアパスに大きな違いがあります。自分のライフスタイルや目指す方向性に合ったサービスを選ぶことが、充実した働き方につながるでしょう。

まとめ

人材派遣と人材紹介は働き方が大きく異なる

人材派遣と人材紹介は、一見似ているようで、実は働き方や雇用形態に大きな違いがあります。人材派遣は派遣会社に雇用されながら、派遣先企業で働くという間接雇用の形を取ります。一方、人材紹介は紹介会社の仲介で企業に直接雇用されるので、雇用の安定性が高いのが特徴です。
また、派遣労働者は同じ職場で働ける期間が最長3年に制限されていますが、人材紹介での採用は無期雇用が一般的です。さらに、料金体系も派遣は月々の派遣料金、紹介は成功報酬型と異なります。
このように、働く側の立場や雇用条件が大きく変わるため、自分に合ったサービスを選ぶことが何より大切です。時代とともに変化する雇用の形。その違いを理解し、自分らしいキャリアを築いていくことが求められています。

多様な働き方を支える人材サービスの重要性

人材派遣と人材紹介は、企業と働く人をつなぐ重要な役割を担っています。派遣は即戦力となる人材を一時的に提供し、紹介は長期的な採用を支援します。どちらも企業の人材ニーズに応え、多様な働き方を実現するサービスと言えるでしょう。
近年は労働者派遣法や職業安定法の改正により、労働者保護の強化や紹介予定派遣の推進など、より働きやすい環境づくりが進められています。また、デジタル化の波に乗って、AI活用など新しいマッチング技術も登場しつつあります。
少子高齢化が進む中、働き方の多様化はますます加速していくでしょう。人材派遣と人材紹介は、そうした時代の変化に対応し、企業と働く人の架け橋となる存在として、これからも欠かせないサービスであり続けるに違いありません。自分に合った働き方を見つけ、充実したキャリアを築くために、その役割はますます重要になっていくはずです。