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債務整理

任意整理と債務整理の違いとは?

任意整理

債務整理とは借金問題を解決するための手続の総称です。

債務整理の一種に任意整理という手続があります。

任意整理は司法書士や弁護士が代理人となり、裁判所を介さずに債権者と交渉をします。

交渉をすることで、返済月額の減額や、将来利息をカットすることができるのです。

この記事では

  • 任意整理と債務整理の違い
  • 任意整理をすることでどのようなメリット・デメリットがあるのか

を詳しく解説していきます。

任意整理と債務整理の違いとは

債務整理は

借金を負担に感じている人が、返済額の負担を少なくしたり、

借金をなくすことができる手続をまとめた言いです。

債務整理は主に、任意整理・自己破産・個人再生・特定調停があります。

任意整理と債務整理は言葉が似ていますが、任意整理は債務整理の手続のひとつです

代理人となる司法書士や弁護士が、裁判所を介さずに

債権者(消費者金融やカード会社など)と返済に関する交渉をする手続きです。

債務整理と任意整理を言い分けているのは専門家と債権者くらい

任意整理と債務整理というのは、同じように思える言葉だと思います。

実際に任意整理と債務整理を言い分けているのは、

専門家である司法書士や弁護士、

あとは消費者金融やカード会社などの債権者側くらいです。

司法書士や弁護士が債務整理のいずれかの手続をスタートする際、

債権者に対し、債務整理手続開始通知という書面を送付します。

通知の中身は、

「依頼人から依頼を受けた旨」

「今後、依頼人に対する請求行為を止めてください

また、取引履歴の開示にご協力ください。」

などの内容です。

その通知を受け取った債権者は、代理人に対して

「方針は何ですか?任意整理で進める場合は早期に和解をしてください。」

などの連絡をします。

債務整理の手続きは主に4種類ある

債務整理には任意整理・個人再生・自己破産・特定調停という4つの手続があります。

このうち、任意整理以外の3つの手続は裁判所を通して行う手続となります。

法的整理と言われる自己破産や個人再生は借金を大幅に減額することができたり、

借金の支払義務をなくせるなどの効果があります。

任意整理は個人再生や自己破産までの減額効果はありません。

ですが、家族や周囲の人々に知られることなく借金問題を解決することができる方法です。

また法的整理に比べると社会的な影響も少なく済みます。

特定調停は法的整理と任意整理の間のような手続ですが、手間がかかるため選ぶ人は少ないのが現状です。

(1) 任意整理

司法書士や弁護士を代理人として、債権者と交渉を行います。

将来利息や延滞利息のカットを申し入れることで、

借金の返済の負担を軽減することができ、

3~5年程の期間をかけて分割で返済をしていく内容で和解することが多いです。

減額ができるのは利息の部分で、借金の元金部分は基本的には減額されません。

そのため、借入額があまり大きくない方に向いている手続と言えます。

また、裁判所を通さずに手続ができることも任意整理の特徴です。

ただ、任意整理はあくまで任意の交渉となります。

そのため、必ずしも利息のカットや月額の減額ができるわけではありません。

ほとんどの貸金業者が応じてくれますが、まれに交渉に応じない貸金業者もあるのです。

(2) 個人再生

個人再生に向いているのは、借金が多く、任意整理では解決が難しいが持ち家は手放したくないという方です。

個人再生では、住宅ローンを返済中の自宅は置いておくことが可能で、

住宅ローンを除いた以外の債務を大幅に減額できるのです。

さらに、住宅ローンを除く債務総額が5,000万円以下なら行うことができ、

債務額を最大で10分の1まで圧縮することができるのです。

任意整理と大きく違うポイントは、裁判所を通す手続であることです。

また、住宅ローン以外の債務全てが手続の対象になることも挙げられます。

加えて、同居の家族に内緒で進めることは難しい手続となります。

(3) 自己破産

自己破産も個人再生と同じく裁判所を通す手続です。

簡単に言うと自己破産は、借金をゼロにすることができる手続きです。

借金の支払が不能になった場合に、必要な書類を揃えて裁判所へ申し立て、

裁判所に返済不能と言う事実を認めてもらえれば、

債務の返済義務を免除してもらえるのです。

そのため、借金減額の効果の大きさがメリットです。

ただ、借金をゼロにする分、自分の財産も基本的には残すことはできません。

高価な財産を所有している場合はお金に換えて債権者に配当されます。

個人再生と同様に、同居の家族に内緒で進めることは難しい手続です。

また、自己破産の申立の際は職業制限があります。

そのため、自己破産の手続き中は、警備員や生命保険募集員などに就けません。

(4) 特定調停

返済が苦しくなった債務者が、簡易裁判所へ必要書類を提出し、

申立を行い、債権者と済条件を軽減するため話し合いをする手続です。

債権者と話し合いをするという点では任意整理と似ています。

任意整理との大きな違いは、裁判所を通すことです。

これにより、裁判所が働きかけてくれるというのが特定調停のメリットです。

しかし、債権者の中には特定調停に協力的ではない対応をする業者もあります。

交渉が失敗に終わるケースもあり、特定調停を利用するケースは多くはありません。

意整理のメリットとは?

任意整理はデメリットよりもメリットのほうが多い手続と言われています。

メリットについて、ひとつずつ解説していきます。

家族や友人に借金や債務整理の事は知られない

任意整理のよくある誤解に

アイコン名を入力

任意整理をしたら、家族や職場に連絡が行くのではないか

というものがありますが、心配はいりません。

任意整理をしても、家族に通知をされることはありません。

また、任意整理をすることで会社を解雇されるということもありません。

ただし、普通の人であれば

アイコン名を入力

借金があるなんてバレたら、お金にだらしないと思われるかも

アイコン名を入力

変な心配を家族や同僚にかけたくないなぁ

という気持ちになるのは自然な流れです。

そのため、家族や会社に借金を秘密にしたい場合は任意整理が向いています。

また、司法書士や弁護士へ任意整理の依頼をする際に家族には内緒で手続を進めたいということを相談しておけば、電話や郵便での連絡時には家族に内緒にできるよう、可能な範囲で対応してもらうことができます。

一方、自己破産や個人再生をする場合は裁判所が家計状況や財産状況を把握するために、

家計収支の報告で家族の給与明細を出す必要があったり、

会社に退職金の金額を確認しないといけない場面があり得ます。

そのため、家族や会社に債務整理がバレてしまうリスクはあります。

債権者からの督促が止まる

司法書士や弁護士に任意整理の依頼をすると、

代理人となった司法書士や弁護士が債権者へ受任通知を送ります。

受任通知を受け取った債権者は債務者に対し、連絡をしたり、

直接借金の取り立てをすることが法律で禁止されています。

そのため債務者本人への督促は止まり、電話や書面の送付は

全て連絡窓口となる代理人の事務所へ届くことになります。

借金の返済を延滞してしまうと、

消費者金融やカード会社から何度も電話が掛かってきたり、請求書が届いたりして、

精神的にまいってしまうこともあります。

任意整理を依頼することで、司法書士や弁護士が債権者との間に入ってくれるため、

毎日の督促のストレスから解放されます。

支払を長期間滞納していてもできる

消費者金融やカード会社への支払を長期間滞納している場合でも任意整理は可能です。

むしろ。支払を長期間滞納している場合はすぐにでも任意整理をするべきだと言えます。

なぜなら、すでに信用情報に事故情報が登録されている可能性が高いためです。

債務整理をするとブラックになると言われますが、長期滞納をしても同じです。

この事故情報は、借金を完済しない限りは消えません。

つまり、債務整理をして、早急に信用情報を取り返した方が良いのです。

借金の支払を一旦ストップできる

任意整理を依頼すると、借金の支払を一時的に止めることができます。

任意整理というのは借金の金額を確定させて、

今後の返済方法について専門家(司法書士・弁護士)と

債権者で交渉をして、和解をする手続きです。

毎月の支払を続けていると借金の金額が確定しないため交渉と和解ができません。

そのため、任意整理の依頼をすれば、和解が終わって返済が

再スタートするまでの間、一時的に支払が止まることになります。

特に、債務額が大きい方だと、毎月5万円、10万円の返済をしている方もおられます。

これを、一時的だったとしても支払が止められるのです。

これにより、生活を立て直すことが可能になります。

また、借金の返済が止まっている間に事務所へ支払う費用を用意することもできます。

借金の利息分が無くなり、返済の負担を軽減できる

任意整理は、基本的には将来利息や遅延損害金をカットしてもらう手続で、元金の金額を減額することは難しいのです。

多くの方が、利息ばかり払っていて返済が進まない状態ですが、任意整理で将来利息をカットすること返済がかなり楽になります。

例えば、現在の借金が100万円で年利15%だとします。

これを任意整理せずに返済しようと思うと、月々の返済は契約通りの金額で大体25,000円程になります。

月々25,000円で返済をした場合、利息だけでも約39万円の支払が必要になるので、合計で約139万円支払をすることになります。

ところが、任意整理を行うことで将来利息がカットされるので、返済するのは元金の100万円のみになり、なおかつ月々の返済額は17,000円程に減額できます。

整理する借金とそのまま支払う借金を選べる

いくつかの業者から借金をしている場合は、指定した業者だけを任意整理することもできます。

例えば、自動車ローンが残っている状態で、そのローン会社に対して任意整理をすると自動車がローン会社に引き揚げられることになってしまいます。

自動車は利用し続けたいという方は自動車ローンを組んでいる会社は任意整理から外しておいて、他の借金を任意整理する方が良いかもしれません。

また、保証人がついているローンについても、任意整理をすると保証人へ請求が行くため手続には含まないケースも多いです。

ただし、個人再生と自己破産を行う場合には全ての借金を手続に含まなければなりませんので、任意整理のように手続をする業者を選ぶことはできません。

過払金が発生している場合もある

任意整理を進めていく際には、過払金返還請求が可能な状態かも合わせて調査をします。

過去に高金利で返済をした取引があると、利息制限法の上限金利に合わせて引直し計算をすることで、過払金の金額を算出することができます。

過払金が発生していると、払いすぎた分の利息が戻ってくることや、借金の元金を大幅に減額することができる可能性があります。

過払金が発生する取引というのは、グレーゾーン金利(金利25%など)でキャッシング取引を行っていた場合です。

グレーゾーン金利については平成22年の法改正によりなくなりましたので、それ以前の取引ということになりますが、消費者金融会社によっては早めに金利の引き下げをしているところもあります。

また、銀行カードローンやショッピングのリボ払いに対しては過払金の対象外となります。

他の手続きに比べて簡単にできる

任意整理手続を司法書士や弁護士などの専門家へ依頼した場合、債務額の調査から債権者との交渉、和解書のやり取りまで全てを専門家が行ってくれます。

依頼者が行うことは契約書の署名や、交渉内容に対する確認くらいでしょう。

一方、自己破産や個人再生といった法的手続は裁判所を通す手続となるため、裁判所への申立をする準備として、様々な書類の収集・作成が必要になり、裁判所への出廷が必要になることもあります。

裁判所を通さない手続の任意整理であれば、そのような手間がかかりません。

債権者との交渉を自分でするとなると、とても大変な作業になりますが、依頼をすれば代理人が全て代わりに行ってくれるため、時間も手間もかけなくてよくなります。

借金が増えない

任意整理を開始すると、信用情報機関に事故情報が登録されます。

これは俗に言うブラックリスト登録された状態です。

信用情報機関は、個人の返済能力や経済的な信用を判断するための情報を管理している機関です。

クレジットカード会社や消費者金融は新たな申込があった際に、申込者の信用情報を確認します。

そこで返済能力や経済的な信用があるか判断をして審査結果を出します。

もちろん信用情報以外にも審査基準はありますので、審査に落ちたとしても一概に信用情報の影響だとは言えません。

任意整理による信用情報機関への登録は完済後5年経過するまでは残ります。

その間は新しくローンを組む、クレジットカードを作る、借入をするなどはできなくなります。

考え方によっては借金を増やさずに生活ができるためメリットにもなります。

任意整理のデメリットとは?

任意整理によって、多くのメリットを得ることができますが、いい面だけではなく、デメリットもあります。

ただ、債務整理の手続の中でも、デメリットが最も少ないのが任意整理です。

信用情報に事故情報が登録される

「ブラックリストに載る」と聞いて、任意整理に対する不安が大きくなってしまっている方もいるかもしれません。

事実としてはブラックリストという帳簿のようなものはありません。

信用情報機関に事故情報(異動情報)が登録されることにより、返済に対する信用が見込めず、新たな借入や、クレジットカード契約ができなくなっている状態のことを「ブラックリストに載る」と表現しているのです。

事故情報は一生残るわけでは無く、任意整理手続をして借金を完済後、5年経過すれば事故情報が信用情報機関から抹消されます。

事故情報が残っている間は住宅や自動車のローンが組めなかったり、クレジットカードの利用・作成ができなくなります。

金融業者は審査時や更新時に信用情報を確認するため、事故情報の影響が出る可能性が高いです。

返済が0回だと減額が難しいケースもある

任意整理は話し合いによる解決方法となるため、借入をしたが返済を一度もしていないような状況だと、債権者側が任意整理に応じない場合があります。

任意整理は債務者からすると、利息が免除されて毎月の支払額も減額できるメリットの大きい手続きです。

しかし、債権者側(消費者金融やカード会社)からすれば、自社で回収できるはずだった金額が減ってしまうため、すべての業者が快く話し合いに応じてくれるわけではありません。

任意整理はお互いの合意が必要であり、債務者側からのお願いだけでは成り立ちません。

将来利息をカットして、毎月の支払額を減らしても、最後まで確実に払っていけるだけの収入があって、債権者側が納得する条件を提示する必要があるので、債務者も一定の収入があることが任意整理を進める条件のひとつになります。

事業などで必要だとしても借入ができない

任意整理のみではなく、全ての債務整理手続に共通しているデメリットですが、債務整理のいずれかの手続をすると信用情報機関に手続をしたことの情報が登録されます。

信用情報機関に情報が残るのは5~10年程になりますが、その間は基本的には新たな借入はできません。

自営業などで定期的な借入がどうしても必要になる場合、価値の高い財産を処分して返済に充てるなど、債務整理以外で借金負担を減らせる方法を考えなければならなくなります。

また、ローンや借入の保証人にもなれません。

子供の奨学金や、配偶者の住宅ローンなどの保証人になる予定にしていても、任意整理をして信用情報機関に情報が残っている状態だと審査に通りにくくなってしまいます。

任意整理が出来ない場合はどうする?

任意整理を希望していても、条件が合わず出来ない場合もあります。

このような場合は任意整理以外の手続による解決が望ましいです。

任意整理が出来ない状況に合わせた解説をしていきます。

債務額が多すぎる場合

任意整理も手続をすることで返済の負担は確実に減らすことができますが、債務額が多すぎる場合だと、任意整理での解決が難しいことがあります。

返済が可能な金額になるのであれば、債務額が多くても任意整理での解決はできますが、その分多くの収入が必要になったり、生活を必要以上に切り詰める必要が出てくることもあります。

任意整理での解決が難しい場合は、個人再生や自己破産を選択することとなります。

住宅ローンを返済中のマイホームは手放したくないという方は個人再生が向いています。

個人再生は元金自体も減額できるので、任意整理よりも返済負担が軽くなります。

住宅や土地などの残しておきたい財産は特にないという方は自己破産を選ぶケースが多いです。

収入がない場合

無職で収入が無い状態であれば、任意整理による返済は難しいかと思います。

全体の債務額が多い場合だとなおさら任意整理による解決が難しいので、自己破産を選択することになります。

自己破産は一定金額以上の財産については手放すことになりますが、その代わり借金が全額免責され支払をしなくてよくなります。

借金がなくなることで生活を立て直すことができるようになります。

また、比較的少なめの債務額の場合は、改めて就職して収入を得られるようになれば、任意整理が可能になります。

派遣社員やアルバイトなどでも、毎月の支払ができるくらいの安定した収入があれば任意整理はできるのです。

主婦の方でも継続した収入があるなら任意整理をすることができます。

債権者との交渉が決裂してしまう場合

任意整理における債権者との交渉は決裂してしまうこともあります。

原因は様々ですが、

「借入してから返済を一度もしていない」

「返済できる見通しがたたない」

「任意整理に応じない債権者である」

などがあります。

交渉が決裂してしまい、月々の支払額が当初の予定より多くなってしまうと、支払っていくことが難しくなってしまいます。

そうなった場合には、任意整理以外の債務整理へ手続方針を変更することも可能です。

個人再生や自己破産だと借金の負担を大幅に軽減できます。

任意整理から個人再生や自己破産へ方針変更する場合は、任意整理を依頼している事務所に相談することをおすすめします。

事務所の方針にもよりますが、任意整理費用として払ったお金を方針変更後の手続費用にスライドしてもらえる場合もあります。

ブラックリストに載りたくない場合

借金の解決方法として最適なのが債務整理手続です。

しかし、どうしてもブラックリストに載りたくないという方もいるでしょう。

債務額が比較的少ないのなら、友人や家族にお金を借りて金融業者への返済に充てたり、自己所有の価値ある財産を処分して返済に充てるなどの方法での解決ができるかもしれません。

ただし、これらはあまりお勧めできません。

まず、友人や家族に借りて返済に充てる場合は、借りた相手への返済が必要になるため、借金を借金で返す形となり根本的な解決にはなりません。

財産を処分して返済に充てる方法は、借金をすべて完済できるなら有効な手段と言えますが、借金が残ってしまい、万が一にも個人再生や自己破産をするとなれば問題が出てきます。

適正価格で売却ができればいいのですが、そうでない場合には個人再生や自己破産ができなくなる可能性があるので注意が必要です。