債務整理をせずに借金を完済する方法には、自力返済、借り換えローン、おまとめローンの利用、親族や友人への相談などがありますが、これらの方法には限界があり、必ずしも借金問題の最適な解決策とは言えません。
借金問題の真の解決のためには、収入と支出のバランスを見直し、借金に頼らない生活習慣を身につけることが不可欠です。
どうしても自力での返済が難しい場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、債務整理という選択肢を検討することがベストの解決策かもしれません。
本記事では、債務整理せずに借金を自力で完済する方法や、よくある失敗例を紹介します。
目次
債務整理をせずに借金を完済する方法とは?
債務整理をせずに借金を完済する方法で代表的なものをいくつか挙げていきます。
こちらの記事では、債務整理しないで借金を完済する方法やポイントを詳しく解説しています。合わせてご参照ください。
自力で返済する
最初に、債務整理を避けて、自分の力で借金を返済することが考えられます。
つまり、「収入を増やして収支を改善して、自力で借金を返しきる」という王道の返済方法です。この返済方法であれば、信用情報への影響が少ないという点で有効な手段と言えます。
しかしながら、この方法が適用できるのは、返済可能な金額の借金に限られます。つまり、借り入れ額が多額である場合、自力での完済は難しいでしょう。
また、借金を早期に完済するためには、毎月の返済額を増やす必要があります。そのためには、収入を増やすか、支出を減らすことが不可欠です。
具体的な方法としては、まず固定費や嗜好品への出費を見直すなどして、不要な出費を削減し、浮いたお金を借金の返済に回すのです。また、副業を始めて収入を増やすのも有効な手段の一つです。本業以外からの収入を得ることで、返済に充てるお金を確保しやすくなります。
このように、収支のバランスを改善することが、自力での借金完済の鍵となります。支出を減らし、収入を増やす努力を継続することで、着実に借金を減らしていくことができるのです。
ただし、あまりに借金額が多い場合は、自力での返済は現実的ではありません。そのような場合は、債務整理などの法的手段を検討する必要があるでしょう。
借り換えローンやおまとめローンを利用する
高金利の借金を低金利のローンに借り換えることで、返済負担を軽減する方法もあります。借り換えとは、低金利の資金を借り入れ、その資金で既存の借金を一括返済するという手法です。
通常、消費者金融やカードローンは、年利15~18%と高金利なことが多く、返済が進みにくいという特徴があります。そこで、低金利のローンに借り換えることで、利息を削減し、返済負担を和らげることができるのです。
また、おまとめローンでも同様の効果を得られる場合があります。
おまとめローンは、複数の借り入れを一つにまとめるローン商品です。消費者金融や銀行など、様々な金融機関で取り扱われています。おまとめローンは借り換えローンと似ていますが、借り換えローンが既存の借り入れを新しい借入先に切り替えるのに対し、おまとめローンは複数の会社からの借り入れを一本化するという点が異なります。
借り換えローン等を利用するメリットは大きく2つあります。
まず、支払払総額を抑えられる可能性があります。現在のカードローンよりも低金利の借り換えローン等に借り換えれば、金利負担を減らせる場合があるのです。これにより、月々の返済負担を軽減につながる場合もあります。
また、毎月の返済管理が簡単になります。複数の金融機関からカードローンを借りている場合、返済日が異なるため管理が大変ですが、おまとめローンなら返済日が1本化されるので、管理がシンプルになります。
最後に、信用情報に影響が出ないことが挙げられます。
このように、借り換えローン等は返済管理を容易にする効果があり、返済総額も減ることに加えて、
借り換えやおまとめローンを利用するには、主に以下の3つの選択肢があります。
- 消費者金融の借り換え専用ローン
- プロミスやアコム、アイフルなどの消費者金融は、高金利のキャッシングローンが主力ですが、一部で借り換え専用ローンも提供しています。
- 銀行の借り換え専用ローン、フリーローン
- メガバンクや地方銀行が提供する借り換え専用ローンは、消費者金融と比べて金利が低めです。フリーローンは使途が自由で、一回の借り入れで途中の借り増しができないローンです。ただし、審査に時間がかかったり、厳しい場合があります。
- 労働金庫(ろうきん)の借り換え専用ローン、フリーローン
- ろうきんのローンも低金利であり、特に労働組合や生協の組合員とその家族は、さらに有利な金利で利用できる可能性があります。
このように、借り換えによる返済負担の軽減は、借金問題の解決に有効な手段の一つです。
ただし、借り換えローン等にもデメリットがあります。借り入れ期間が長期化すると、トータルの支払額が増える可能性があります。また、審査に通らない場合もあるので注意が必要です。
金利だけでなく、審査の難易度や速度、返済期間などを総合的に比較検討し、自身の状況に最適なローンを選ぶことが重要でしょう。
また借り換えローン等は借金の先送りにもなりかねません。返済計画を立てて確実に実行していくことが、債務からの脱却につながります。無理のない返済プランを立て、着実に借金を減らしていく努力が欠かせません。
親族や友人に金銭的援助をお願いする
借金の問題を抱えている時、一人で解決しようとするのは大変勇気のいることです。ですが、信頼できる身内や親しい友人に相談することで、思わぬ助言やサポートを得られるかもしれません。
確かに、親族や友人に借金の相談をするのは、とてもデリケートな問題です。ですが、親族や友人に金銭的援助には利子がかからないことが多く、返済条件も柔軟に設定してもらえる可能性が高いというメリットはあります。
しかし、一方で人間関係に悪影響を及ぼすリスクも伴います。安易に借金の肩代わりを頼むのは避けるべきでしょう。あくまで自力で返済する意思を持ち、周囲の理解と協力を得ながら、着実に借金を減らしていくことが重要です。
また、親族や友人に頼る前に、まずは借金の状況を正確に把握することが大切です。借入先や借入額、金利などを整理し、返済計画を立てましょう。その上で、どうしても自力での返済が難しいと判断した場合に、身内や友人に相談するのが賢明だと言えます。
借金問題は一人で抱え込まず、早めに行動を起こすことが肝心です。親族や友人だけでなく、弁護士や司法書士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのも有効な手段の一つです。専門家は公正な立場から、債務者に最適なアドバイスをしてくれます。
周囲の助けを借りつつ、自らの責任で借金問題に向き合う。それが債務からの脱却への近道だと言えるでしょう。焦らず、しかし着実に行動していくことが何より大切です。
自力返済は本当に可能なのか?失敗例を紹介
ここまで、債務整理以外で早期に借金問題を解決する方法を解説しました。
- 自力で返済する
- 借り換えローンやおまとめローンを利用する
- 親族や友人に金銭的援助をお願いする
確かに、これらの方法は債務整理とは違い、信用情報などへの影響がないものも多いため、債務整理より優れていると考えられる点もあります。
しかし、上記のような方法を利用してもなお、借金の完済は決して簡単ではありません。
ここからは、債務整理をしないで借金完済をするのは難しい理由を解説します。
さらなる借金を重ねる可能性
自力返済のリスクの一つとして、さらなる借金を重ねる可能性が挙げられます。
ここで、自力返済で失敗してしまったAさんの話を見てみましょう。
Aさんが消費者金融やクレジットカード会社からお金を借りているとします。
ある月、Aさんは返済が難しくなりました。そこで、最初の消費者金融からの借金を返すために、別の消費者金融から新たにお金を借りる可能性があります。
その結果、その月の支払いを何とか乗り切ったAさんですが、給料日が近づくにつれて生活が苦しくなり、ついにはクレジットカードを使ってしまうことになります。
こうして、翌月にはクレジットカードの請求が来て、また別の消費者金融からお金を借りるという悪循環に陥ってしまいました。
このように、複数の業者から借金をしている状態は「多重債務」と呼ばれます。多重債務とは、複数の業者からの借金が積み上がり、返済困難となっている状況のことです。
多重債務に陥ると、目の前の借金を返すことが非常に困難になり、そのために他の借金で返済を続けることになりがちです。この状況では、借金が雪だるま式に増えてしまうのです。(参照:財務省中国財務局ホームページ「多重債務ってどんな状況なの?」)
自力返済を続けることは、この多重債務に陥るリスクを伴います。
特に、
クレジットカードの返済分をキャッシングで借りて払う
住宅ローンの返済額を消費者金融で借りて払う
消費者金融の返済額を銀行のカードローンで借りて払う
というような返済を借り入れに頼っている状態が続くと、単に借金を増やすだけで、借金をどれだけ返しても完済が困難になっている場合があることも考慮するべきでしょう。
借り換えローン等では利息はそれほど下がらない
次に、借り換えローン等で失敗してしまったBさんの事例です。Bさんのケースは、借り換えによる金利の低下だけでは、必ずしも利息負担の大幅な軽減にはつながらないという典型的な事例だと言えます。
借り換え前、Bさんは複数の消費者金融から年利15%前後の高金利で借り入れており、毎月の返済に苦しんでいました。
そこで、おまとめローンを利用した借り換えによって、年間に支払う金利は10%に下返済期間が長期化したことで、結果的に利息の総額があまり減少しませんでした。
月々の返済額は減ったかもしれませんが、長い目で見れば、借り換えのメリットは限定的だったのです。
このケースから学べるのは、借り換えを検討する際は金利だけでなく、返済期間や総支払額なども総合的に判断する必要があるということです。
Bさんの事例のように、金利は下がったものの、返済期間が長期化したために、結果的に利息の総額があまり減らなかったというケースは珍しくありません。
確かに、消費者金融やクレジットカード会社と比べれば、銀行や労働金庫などの金融機関の方が、より低い金利でのおまとめローンを提供している傾向にあります。しかし、消費者金融のおまとめローンでは、9~10%もの高い金利が設定されていることもあるのです。
また、金融機関としては、返済額を低く抑えることで、長期間にわたって利息を得られるというメリットがあります。そのため、「毎月2万円の返済で10年で完済できる」といった魅力的な提案をしてくることがあるのですが、長期間にわたって利息を支払い続けることになれば、総支払額は膨大なものになってしまいます。
借り換えやおまとめローンを検討する際は、金利だけでなく、返済期間や毎月の返済額、総支払額などを総合的に判断することが重要です。『利息が下がる=得をする』とは限らないのです。
借り換えは、金利負担を軽減する有効な手段の一つですが、万能ではありません。その時々の返済額の軽減だけに目を向けるのではなく、長期的な視点から借り換えの是非を慎重に見極めることが大切だと言えるでしょう。また、借り換えのメリットを計算する際は、返済の長期化による利息の支払い分も考慮に入れる必要があります。
単に目先の返済額の減少だけに惑わされることなく、長期的な視点から総支払額の推移をシミュレーションする。それが借り換えを成功させる秘訣だと、Bさんの事例は教えてくれています。
おまとめローンにより、逆に借金が膨らんだ
次に、おまとめローンを利用して一時的に借金を整理できたものの、結局のところ借金が倍増してしまったCさんの事例をご紹介します。
当初、Cさんは消費者金融から80万円(利用枠100万円)、クレジットカード会社から40万円(利用額50万円)、合計120万円の借金を抱えていました。月々の返済に追われる生活に苦しんでいたCさんは、おまとめローンを利用することを決意します。
銀行から120万円のおまとめローンを借り、消費者金融とクレジットカードの借金を一括返済しました。当初は髙かった利息も8%にまで下がり、これで借金問題が解決したと思ったCさんですが、ここから事態は思わぬ方向へ進んでいきます。
おまとめローンによって既存の借金を完済したことで、消費者金融から100万円、クレジットカード会社から50万円の利用枠が復活してしまったのです。
「借金を整理できたからもう大丈夫だろう」と思い込んでいたCさんは、次第にその利用枠を使って再び借り入れを始めます。急な出費や生活費の不足を理由に、Cさんは消費者金融から80万円、クレジットカードから40万円を再び借り入れてしまいました。
こうして、120万円のおまとめローンに加えて、新たに120万円の借金を背負うことになり、借金の総額は240万円に膨れ上がり、Cさんの借金問題は一層深刻化してしまいました。
おまとめローンを利用したことが、かえって借金を増やす結果を招いてしまったのです。
Cさんの事例の失敗の原因は、大きく3つに分類できます。
まず、1つ目は、信用情報への影響が限定的であることです。
債務整理をすると、信用情報に異動情報が付いてしまうことから、ブラックリストに載るという話は聞いたことがあるかもしれません。
しかし、おまとめローンで他社から借金をして、一括返済した場合、信用情報には悪影響はないのです。もちろん、信用情報が守れるのは良いことなのですが、その一方で、クレジットカードや消費者金融の利用限度額が復活してしまい、再び借金ができる状態になってしまうのです。
この点は、おまとめローンや借り換えを検討する際に見落としがちな落とし穴だと言えます。目先の返済負担の軽減だけに目を奪われ、かえって借金が増えるリスクを看過してしまうのは危険です。
2つ目は、自己管理の甘さです。
おまとめローンによって月々の返済額が減ったことで、Cさんは安心してしまい、また借金に手を出してしまったのです。借金を整理した後こそ、生活習慣や支出管理を見直し、借金に頼らない生活を築く努力が必要だったと言えます。
返済計画の不十分さも指摘できるでしょう。
おまとめローンによって金利負担は軽減されたものの、Cさんは長期的な返済計画をしっかりと立てていなかった。そのため、安易に借金を重ねてしまい、結局は借金が倍増してしまったのです。
このように、おまとめローンによる返済が順調に進まない場合、再び消費者金融やクレジットカードから借金をしてしまい、気づけば借金が雪だるま式に膨らんでいた、といった最悪のシナリオが現実になりかねません。
実際、借金の総額が当初の2倍にまで跳ね上がるケースも珍しくないのです。
おまとめローンや借り換えは、あくまで借金問題解決のための一時的な手段に過ぎません。大切なのは、借金に依存しない生活習慣を身につけること。収支のバランスを取り、計画的な家計管理を心がけることが何より重要です。
Cさんの失敗に学び、私たちは借金問題と向き合う際の教訓を得ることができます。おまとめローンには落とし穴があること、そして借金のない生活のためには、収入と支出のバランスを見直し、不要な出費を削減する。そして、計画的な返済を続けることで、着実に借金を減らしていく。地道ではありますが、これこそが借金地獄から抜け出すための王道だと言えるでしょう。
Cさんの事例は、この2つの重要なメッセージを私たちに伝えてくれているのです。
親族や友人に借金を打ち明けることになる
Dさんの事例は、借金問題を抱えた人が陥りがちな失敗パターンを如実に示しています。
借金が膨らみ、返済が困難になったDさんは、家族や知人に肩代わりを頼むことで問題を解決しようとしました。しかし、結果は惨憺たるものでした。
Dさんは消費者金融から200万円、クレジットカードから50万円、合計250万円もの借金を抱えていました。月々の返済額は約15万円に上り、生活を圧迫するほどの重荷となっていたのです。
追い詰められたDさんは、まず両親に借金の肩代わりを頼みました。しかし、両親からは「今は余裕がない」「自分でなんとかしなさい」と冷たく突き放されてしまいます。それでも必死にお願いをしましたが、両親には「無職の分際で」「すねかじり」「金の切れ目が縁の切れ目だ、出ていけ」とにべもなくフラれてしまいました。
次に、Dさんは友人や親戚に「一時的にお金を貸して欲しい」と頼みました。しかし、ここでも同様の反応が返ってきます。友人からは「自分も生活が苦しい」「人のことを財布扱いしてるのか」と言われ、親戚からは「一度貸すとまた頼まれるかもしれない」「お前なんて信用できない」と断られてしまったのです。
このように、Dさんは家族や知人に借金の肩代わりをお願いしましたが、断られてしまい、結果的に自分で問題を解決しなければならなくなりました。
Dさんの失敗は、借金問題を抱えた人が陥りがちな過ちを如実に示しています。
まず、Dさんは家族や友人が自分の窮状を理解し、助けてくれるだろうという過度の期待を抱いていました。しかし現実には、周囲の人々もそれぞれの生活や経済状況を抱えています。Dさんの「頼めばなんとかなるだろう」という甘えた考えが、失敗を招いたと言えるでしょう。
また、Dさんの借金額の大きさと、それまでの借金の繰り返しが、家族や友人の不信感を招いたことも見逃せません。「また借金を繰り返すのではないか」という不安から、周囲の人々は借金の肩代わりをためらったのです。親しい間柄であっても、「なぜ借金をしたのか」「仕事はちゃんとしていたのか」といった辛い言葉を掛けられることもあります。
さらに、たとえDさんの状況を理解したとしても、家族や友人にとっては自分たちの生活を守ることが最優先です。借金の肩代わりによって自らの生活が脅かされるリスクを避けるため、結果的にDさんの願いを断らざるを得なかったのでしょう。
このように、親や友人がよほど裕福でない限り、大きな借金を肩代わりしてもらえる保証はありません。借金をしておきながら返済できなくなった時に、安易に周囲に頼ることの難しさを理解しておく必要があるのです。
なお、お金を貸してくれなかった家族や友人を責める人もいますが、それは適切な態度とは言えません。自ら借金をする決断をしておきながら、返済できなくなったからといって他者を頼り、助けてくれなければ非難するのは公平ではありません。家族や友人をまるでATMのように扱っているようなものです。
周囲の人々にもそれぞれの生活や人生があります。無理を承知で借金の肩代わりを頼むのであれば、たとえ断られたとしても、真摯に話を聞いてくれた相手への敬意を忘れてはなりません。
Dさんの事例は、借金問題の解決には自らの覚悟と努力が不可欠であること、そして周囲の人々の立場にも思いを致すことの大切さを教えてくれています。借金地獄からの脱出は容易ではありませんが、自らの責任を自覚し、適切な助言者を得ながら一歩一歩前に進んでいくこと。それが借金問題に立ち向かう上で最も重要な心構えだと言えるでしょう。
おまとめローンの悲劇再び!
当初、Eさんは消費者金融やクレジットカードの借金で約300万円もの債務を抱え、返済に窮していました。追い詰められたEさんは、最後の手段として裕福な親戚に借金の肩代わりを頼みました。親戚は同情し、300万円の借金を肩代わりしてくれたのです。利息も取らず、返済も月に3万円でいいという破格の条件でした。
これにより、一時的に借金から解放されたEさんでしたが、借金が帳消しになったことで、Eさんは「また借りても大丈夫だろう」という甘い考えを抱くようになってしまったのです。そして、Eさんは再び消費者金融やクレジットカードを使って借金を重ねていきます。最初は少額でしたが、次第に金額は膨らみ、気づけばまた300万円以上の借金を抱えていました。親族への返済もあったため、借金は実質的に2倍にまで膨れ上がったのです。
Eさんの事例は、借金問題の根本的な解決には、単に債務を肩代わりしてもらうだけでは不十分だということを如実に示しています。
まず、家族や親戚に借金の肩代わりを頼んでも、それは信用情報に影響を与えません。つまり、またいつでも新たな借金ができてしまうのです。借金をクリアしたという安心感から、再び借金に手を出してしまう危険性があります。
次に、借金を整理した後は、自分一人で返済計画を立て、自己管理を徹底することが重要です。家族や知人に頼ることは最後の手段であり、安易に繰り返すべきではありません。他人に依存するのではなく、自らの力で借金問題に立ち向かう覚悟が必要なのです。
また、借金を整理した後は、再発防止のために生活習慣を見直すことが欠かせません。無駄な支出を控え、節約を心がける。借金をせずに生活できる力を身につけることが、借金地獄からの脱却につながります。
そして、何より大切なのは、借金が膨らむ前に手を打つことです。収入と支出のバランスを見極め、早めに借金を減らすための計画を立てる。問題を先送りにせず、早期に行動を起こすことが肝要です。
Eさんの事例は、借金を整理しても、その後の自己管理が不十分では意味がないことを教えてくれています。借金問題の真の解決のためには、お金に対する考え方や生活習慣を根本から変えていく必要があるのです。
まとめ
ここまで、自力返済やおまとめローン、借り換えなどの失敗例についてご紹介をしてきました。
自力返済やおまとめローン、借り換えなどの方法には限界があり、必ずしも借金問題の最適な解決策とは言えません。特に、借金総額が大きく、収入が十分でない場合、これらの方法では根本的な解決は難しいでしょう。
まず、自力返済のためには返済額を増やし、家計の収支を改善することが必要です。しかし、そもそも借金をするのは、そのような余裕がないからこそです。収支の改善が期待できる人は、そもそも借金をしていないのです。
借金をする人の多くは、家計に余裕がなく、いくら節約しても余剰資金を生み出せないからこそ、借り入れに頼らざるを得ないのです。実際、統計でも、借金の主な原因は生活費の補填や収入の減少であり、浪費や贅沢が原因となるケースは意外と少ないのが実情です。
返済額を抑えていたのも、家計が苦しいからに他なりません。そのような状況の人に、急に返済額を増やすことを求めるのは酷というものでしょう。
以上のように、自力返済には大きな困難が伴います。借金問題を抱える人の多くは、収入の増加や支出の大幅な削減が難しい状況にあるのです。
そのような場合、債務整理を検討することが賢明だと言えます。
債務整理とは、法的な手続きを通じて借金を減額したり、返済期間を延長したりする方法です。任意整理、個人再生、自己破産など、様々な選択肢があります。これらの方法を活用することで、返済不可能な借金を現実的な水準に引き下げ、確実に返済していくことができるのです。
もちろん、債務整理にも一定のデメリットはあります。信用情報に傷がつくなど、様々な制約を受ける可能性があるのです。しかし、借金地獄に苦しむよりは、債務整理によって将来への希望を取り戻す方が賢明だと言えるでしょう。
借金問題で悩んでいる人は、一人で抱え込まずに、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。法的な観点から見た最適な解決策を提案してくれるはずです。
借金は一朝一夕には解決できません。しかし、適切な方法を選択し、着実に行動を積み重ねることで、必ず借金のない生活を取り戻すことができます。債務整理は、借金地獄から脱却するための有力な選択肢の一つだと言えるでしょう。