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債務整理

法テラスでの債務整理・審査期間はどれくらい?利用する際の費用や注意点、デメリットを解説

法テラスを利用するには条件があり審査が必要です。

法テラスの審査期間には2週間ほどかかりますが、場合によってはもっと長くなることもあります。

「経済的に困窮している」
「生活保護受給中で、弁護士に自己破産手続を依頼することを躊躇している」

そのような理由をお持ちの方が利用できる救済制度が、法テラスです。

この記事でわかること💡

法テラスの審査期間や利用条件

法テラスのメリット・デメリット

法テラスは何をするところ?

法テラスは正式名称を日本司法支援センターといい、総合法律支援法に基づき国によって設立された準独立行政法人です。

経済的に余裕のない方や、知識の有る無しにかかわらず法的トラブルをすべての方が解決できるよう、国民に対して支援や情報の提供を行う機関となります。

2023年現在、各都道府県庁所在地50か所(北海道は札幌、函館、旭川、釧路)に法テラスの地方事務所、37か所の地域事務所がありその数は全国で110か所です。

生活する地域等に法律事務所がないという方にも心強い味方になります。

法テラスの業務

法テラスが行っている業務は、次の通りです。

・情報提供業務
・民事法律扶助業務
・犯罪被害者支援業務
・国選弁護等関連業務
・司法過疎対策

法テラスが行っている業務のうち、根幹となるのは、市民から問い合わせがあった内容に応じて、対応できる「相談機関や団体(弁護士会等)に関する情報」を無料で提供する【情報提供業務】です。

最も分かりやすく例えるならば、「法律問題の総合案内所」と言った感じでイメージしておけばよいでしょう。

また、上記の業務外にも、法テラスでは、生活保護受給申請の相談や支援、経済的に困窮している方への弁護士や司法書士に支払う費用等の立替(代理援助・書類作成援助)を利用することができます。

法テラスを利用した自己破産手続においては弁護士費用等を安価に抑えることも可能です。

民事法律扶助とは?

もっとも債務整理に関係がある法テラスの業務が「民事法律扶助」です。

「法テラスを利用して債務整理」と言われる場合は、ほとんどこの民事法律扶助を利用して債務整理を行うことを指します。

民事法律扶助制度は、公的な救済制度で【経済的に困窮した方】を対象に「法アクセス(裁判を受ける機会など)を保障する」を目的に創設された法律扶助協会という団体がもともと業務を行っていましたが、現在はその業務を法テラスが受け継いで行っています。

民事法律扶助を利用することで、法律の無料相談(一般法律相談援助)や、裁判手続き等に必要な費用(申立手数料)、弁護士や司法書士に支払う費用(代理援助・書類作成援助)を法テラスが立て替え払いをしてくれます。

経済的に困窮している方や生活保護を受給している場合であっても、安心して制度を利用することができます。

法テラスを利用した債務整理の流れとメリット

法テラスを利用した債務整理の基本的な流れは次のとおりです。

申し込み・審査

無料相談(同一相談3回まで)

弁護士・司法書士との契約

債務整理の開始

立替え費用の返還開始

債務整理の終了

立替え費用の償還終了

申込み・審査

民事法律扶助は、経済的に困窮している人のための制度です。

よって、制度を利用できるかについて利用条件を確認しておく必要があります。

民事法律扶助の利用要件

法テラスの「民事法律扶助」を利用するためには、次の2つの利用要件を満たす必要があります。

✅「月収」、「保有資産」が【一定額以下】であること(収入、資産基準)
✅債務整理の見込みがあること

「収入、資産基準」は、居住地域・世帯家族の人数によって、次のように決められています。

世帯人数手取り月収額家賃・住宅ローンを負担しているときの加算可能額保有資産額
1人18万2000円(20万200円)4万1000円(5万3000円)180万
2人25万1000円(27万6100円)5万3000円(6万8000円)250万
3人27万2000円(29万9200円)6万6000円(8万5000円)270万
4人29万9000円(32万8900円)7万1000円(9万2000円)300万

※( )の金額は、生活保護第一級地(東京都・大阪市・横浜市など)に居住する人に適用される基準です。

たとえば、「東京都の賃貸アパートに居住している単身者」の場合、手取り月収が25万3200円以下・保有資産180万円以下であれば、利用することができます。

世帯人数が4人を超える場合は、同居家族が1名増えるごとに30,000円(生活保護一級地の場合33,000円)を基準額に加算します。

法テラスを利用できない可能性がある人

✅返済を全くしていない借金を債務整理する場合
✅氏名、年齢、生年月日など偽った借金を債務整理する場合
✅悪質な財産隠しなど、債権者を害する目的で債務整理をする場合

法テラスの申込先

法テラスの利用は、次の2つの方法で申し込みをすることができます。

法テラス地方事務所での申し込み

法テラスと契約している弁護士、司法書士事務所で申し込み

法テラスの利用は、法テラスの地方事務所以外にも、法テラスと契約している弁護士・司法書士事務所からでも申し込みができます。

無料相談

法テラスを利用して債務整理を依頼するか悩んでいる場合であっても、まず法テラスが契約している弁護士や司法書士による「無料」の法律相談が受けられます。

相談は、法テラスと契約している弁護士・司法書士である必要があります。

法テラスを利用した無料相談は、「1回につき30分まで」と時間が定められていますが、同日の「問題(1事件)で3回まで」相談可能なので、事前に聞きたいことをまとめておくことで余裕を持った質問が可能となります。

ただし、無料の法律相談も「民事扶助制度の一環」になりますので、無料相談を利用するためにも、前述した「収入要件」などを満たす必要があります。

無料相談後、問題を解決するために専門家の協力が必要と判断された場合は、法テラスから弁護士や司法書士の紹介を受けることが出来ます。

なお、紹介を受けられる司法書士や弁護士も法テラスと契約していることが必要になるため、たとえば「この先生にお願いしたい」と考えている場合は、法テラスと契約している弁護士等にお願いする必要があります。

契約・債務整理の開始

法テラスを利用しての債務整理は、無料相談後に正式に依頼することになります。

すでに述べたように、無料相談後問題を解決するために専門家が必要と判断されれば弁護士や司法書士の紹介を受けたり、指定された弁護士等に依頼をすることになりますが、法テラスと契約していることが必要になります。

実際に債務整理(民事扶助制度)の依頼をされると、法テラスが弁護士、司法書士を選び、その弁護士等が受任すると、債務整理の依頼が成立するという流れになります。

ただし、法テラスの地方事務所に申し込みをした場合、法テラスが指定した弁護士等が受任するため、依頼者自身が弁護士等を選ぶことが出来ず、無料相談を担当した弁護士等に、そのまま依頼できないこともあり得ます。

立替え費用の返還

立替えてもらった弁護士・司法書士の費用は、法テラスに分割で返済していくことになります。

法テラスが行うのは、あくまでも「弁護士・司法書士の費用の立替え払い」ですので、最終的には法テラスに費用を返還(返済)する必要があります。

法テラスへの返済は、法テラスとの契約後(債務整理の契約・立替え払いの実施)の2か月後からはじまり、原則として、3年以内の返還(返済)が求められ、自己破産事件の場合は毎月5,000円~10,000円ずつ返済していくのが一般的です。

生活再建中であったとしても負担なく支払える金額で返済が可能という点で、法テラスを利用する大きなメリットになります。

法テラスへの申込時および事件終結時において生活保護を受給している場合、「免責についての決定が下され、自己破産手続が完了するまで」の間、立替えした弁護士・司法書士費用の返済は猶予されます。

また、自己破産後も生活保護を受給中である場合、立替え費用は返済免除になり返済の義務がなくなります。

なお、生活保護受給者は法テラスの審査にあたり、「資力証明書の代わり」として「生活保護受給証明書」の提出が必要になります。

法テラスを利用した場合のデメリットと注意点

法テラスを利用した場合、費用や返済でメリットがある一方、デメリットや注意点もあります。

法テラスを利用した後に後悔がないよう、デメリットや注意点について説明します。

受任通知送付までの期間が長い

法テラスで自己破産の手続を行う場合、事前に利用要件の審査が必要となるため、直接弁護士や司法書士に依頼した場合より受任通知が送付されるまでに長い時間を要する可能性があります。

そのため、どうしても通常の自己破産手続きよりも2週間~1か月程度時間がかかってしまいます。

また、法テラスの審査は受け付けた順番に行われるため、お盆や年末年始、祝日や受付者の審査が混み合う場合は、1か月以上かかることもあります。

弁護士や司法書士から受任通知を受けた債権者は、貸金業法21条1項9号により以降の取り立てが禁じられます。

そのため、受任通知を受けた後は取り立ては停止しますが、法テラスの審査が終了するまで受任通知を送付してもらえない場合、送付までの間は返済を続ける必要があります。

予納金と管財費用は対象外

自己破産の申立時には、官報公告費用を1万円程度「予納金」として管轄の地方裁判所へ支払う必要があります。

また、20万円以上の財産を申立時に所持していた場合、「管財事件」もしくは「少額管財事件」として扱われる可能性があり、この場合「破産管財人」に支払う報酬が別途必要になります。

「予納金(官報広告費)」および「管財事件費用」は原則として法テラスの援助の対象外で、立て替えは受けられないため、ご自身でご用意して頂く必要があります。

ただし、生活保護受給者の場合、弁護士の費用等だけではなく、予納金(官報公告費)の支払いも立替えてもらえます。

また、管財事件として扱われた場合の破産管財人への報酬については、20万円を限度として援助の対象になります。

弁護士を選べない可能性がある

法テラスの地方事務所に直接出向いたり、電話・メールなどで援助の申請をした場合は、法テラスから紹介された弁護士・司法書士と契約することになります。

紹介された弁護士や司法書士と良好な信頼関係を築くことが出来れば問題はないのですが、相性が合わないといった場合もあるかもしれません。

なお、自分で弁護士等を選んで、法テラスの民事扶助制度を利用したいという場合には、「持ち込み方式」と呼ばれる方法を利用することができます。

持ち込み方式が可能なのは法テラスと契約している弁護士・司法書士に依頼した場合のみになりますが、依頼する前に話をする機会があるため、持ち込み方法を利用する方が多い傾向にあります。

弁護士事務所へ直接相談する場合のメリット

債務整理を考えている人には、「すぐに弁護士や司法書士の費用を用意できない」という人は多いと思います。

そのような方のためにも、費用の立替え払い行っている法テラスは非常に助けになります。

しかし、法テラスを利用した債務整理は、あくまでもセーフティーネットとしての制度のため、さまざま点で融通が利かないといったことがあります。

次のような場合には、法テラスに債務整理の依頼をするより、個別の弁護士や司法書士事務所に依頼した方がいい場合もあります。

債務整理に早く着手できる

法テラスを利用して債務整理を依頼する場合、無料相談と利用要件の審査を経た後でなければ依頼することができません。

そのため、すでに述べた通り、問い合わせをしてからどうしても2週間~1か月以上の時間がかかってしまいます。

また、法テラス側が選定した弁護士等に受任を断られることもあるため(他事件で多忙の理由など)、そうなると弁護士に依頼できるまでに要する時間もさらにかかってしまう可能性もありえます。

しかし、ご自身で直接依頼された事務所であれば、利用要件の審査などは必要ないので、その分だけ相談から依頼までの期間が短縮されます。

相談日程の調整ができれば、問合せ翌日の相談で、即依頼ということも可能になります。

特に、「債権者からの取り立てや連絡を、今すぐにでもストップしたい」という場合は、法テラスの利用となれば限界があるため、直接事務所に依頼をした方がよいでしょう。

すぐに不安なことを相談できる

直接事務所に依頼した場合、債務整理手続きに早く着手してもらえるといったメリットの他に、不安なことをすぐに相談できるというメリットもあります。

これは、ご自身では返済することが出来ないほどの多額の借金を抱えてしまい債務整理の手続きを行うに至ってしまった場合、さまざまな点に不安を感じることも多くなります。

そのようなときに、弁護士や司法書士の専門家に相談をして、誤った対応をとってしまわないために必要な助言をもらうこととても重要です。

法テラスを利用した無料の法律相談は、「1事件」で「3回」までと決められています。

しかし、直接事務所に依頼された場合は、事務所によって対応が分かれるものの、無料で何度でも相談を受けられるサポートが用意されていることも少なくありません。

信頼できる弁護士を選べる

弁護士や司法書士に事件を依頼した場合に、これは債務整理に限らず依頼人と弁護士等との「信頼関係」がとても重要になります。

信頼関係が十分に築けていくことが出来なければ、業務遂行に必要な情報を得られず失敗に終わってしまう可能性があるからです。

債務整理では、「ほかの人に話をしたくない事情」についてもお話する事が数多くあるので、依頼者と弁護士・司法書士との信頼関係は特に重要になります。

法テラスに債務整理を申し込んだ場合、すでに説明した通り法テラスが指定した弁護士や司法書士が債務整理を受任するため、依頼人自身が弁護士等を選ぶことが出来ません。

他方、直接事務所へ依頼された場合、事前相談での対応を通じて、事務所の弁護士や司法書士の人柄や愛称などを見極めることができます。