ファクタリング

ファクタリングの種類について徹底解説

ファクタリングとは、売掛金を利用して資金を調達する方法です。

近年、銀行融資やカードローンと並び非常に注目されている資金調達方法ですが、ファクタリングにはいくつかの種類があるのご存知でしょうか?

そこで今回はファクタリングの種類について徹底的に解説をします。

わかりやすく説明をしますので参考にしてください。

この記事は、弁護士赤瀬康明(東京弁護士会)に監修して頂いております。

ファクタリング6種類について

ファクタリングにはいくつかの種類がありますが、主に6つの種類があります。

一括ファクタリング
✅医療ファクタリング
国際ファクタリング
✅保証ファクタリング
✅商品ファクタリング
✅家賃ファクタリング

それぞれのファクタリングの内容について詳しく説明をしますので、参考にしてください。

一括ファクタリング

一括ファクタリングとは、保有している売掛債権を譲渡して資金調達する一般的なファクタリングサービスを、支払企業(債務者)、納入企業(債権者)ともに一括で行う決済システムのことをいいます。

一括ファクタリングは、銀行などで提供されている仕組みで、ファクタリング利用会社、売掛先、一括ファクタリングを提供するファクタリング会社がかかわります。

一括ファクタリングの仕組みは次の通りです。

  1. 売掛先が、銀行などのファクタリング会社に一括ファクタリングの利用の申込みをする。
  2. ファクタリング会社は、売掛先の信用力などを調査をする。問題がなければ売掛先の一括ファクタリングの利用登録を許可する。
  3. 一括ファクタリングのシステムに登録されたあとの売掛金は、いつでもファクタリング会社が所定の手数料で買い取ってくれる。
  4. 売掛先は、売掛金の期日が来たらファクタリング会社に資金を支払う。

一括ファクタリングのメリットは、売掛金を管理する事務コストがかからなくて済むことや債権譲渡の許可を売掛先に都度確認しなくて済むことです。

通常の3社間ファクタリングでは、ファクタリング利用会社は、ファクタリング会社に債権譲渡を行う旨を売掛先に許可を得なければいけません。

しかし一括ファクタリングは、売掛先が一括ファクタリングの導入を決めているので債権譲渡の許可が必要ありません。

一括ファクタリングを利用する会社は、銀行から一括ファクタリングの利用の認可を受けないといけないので信用力が高い会社といえます。

非常に便利な一括ファクタリングですが、最近はでんさいというシステムが一般的になっています。

一括ファクタリングはほとんどでんさいに置き換わっている

でんさいネットが取り扱う電子記録債権を、「でんさい」といいます。

電子記録債権とは、手形や売掛金を電子上で管理できる債権のことです。

従来、手形や売掛金は紙で発行されており、紙で発行されるので管理が非常に大変でした。

しかし電子記録債権は、すべてネットで発行・管理することができる債権なので管理が非常に楽になります。

医療ファクタリング

医療ファクタリングとは、

・病院
・クリニック
・調剤薬局
・介護サービス事業会社

が利用するファクタリングです。

仕組みは、一般的な3社間ファクタリングと同じです。

医療ファクタリングの大きな特徴は、通常のファクタリングに比べて手数料が非常に安いことです。

一般的な3社間ファクタリングの手数料・・・3%~
医療ファクタリングの手数料・・・0.25%

医療ファクタリングの手数料が低い理由は、売掛金の請求相手の信用力が非常に高いことです。

医療ファクタリングで利用される債権は、医療報酬債権といいます。

医療報酬債権の請求先は、国保や社保といった国の機関になるので貸し倒れのリスクがほぼありません。そのため医療ファクタリングの手数料は一般のファクタリングに比べて低いのです。

国際ファクタリング

国際ファクタリングとは、海外の業者と行うファクタリングのことです。

輸出代金の回収を確実に行うために採用される取引です。

通常、輸出代金の回収は、銀行から発行される保証状を利用して回収する方法が一般的でした。

しかし従来の方法の場合、費用がかさんだり、手続きが煩雑であったりするデメリットがありました。

そこで登場したのが国際ファクタリングです。

国際ファクタリングでは、国内ファクタリング会社、海外ファクタリング会社、輸出業者(国内)、輸入業者(海外)が関わります。

国際ファクタリングの流れ

①輸出業者は、国内ファクタリング業者に国際ファクタリングの依頼をします。

②国内ファクタリング会社は、国際ファクタリング会社に輸入業者の調査を依頼します。

③調査の結果問題がなければファクタリングを実行します。

保証ファクタリング

保証ファクタリングは、ファクタリング会社が未回収の売掛金について、保証限度額を上限として保証してくれるファクタリングです。

中小企業の売掛金は大企業の売掛金に比べ、貸し倒れするリスクが高いです。

せっかく売上をあげても売掛金の回収ができなければ利益を得ることはできません。

利益が得られないどころか、売掛先が倒産してしまうと大きな損失を負います。

保証ファクタリングを利用することによって、手数料はかかりますが、売掛先の貸し倒れという大きなリスクを排除することができるのです。

商品在庫ファクタリング

商品在庫ファクタリングとは、商品の在庫をファクタリングしてくれるサービスです。

商品在庫は一般的に売れないと、企業にとっては大きな負債になります。

負債になる可能性のある商品在庫をファクタリングに利用できることのメリットは非常に大きいです。

しかし、商品在庫ファクタリングはノウハウが少なくリスクも高いので、提供しているファクタリング会社は非常に少ないのが現状です。

家賃収入ファクタリング

家賃収入ファクタリングとは、今後予定されている家賃収入をファクタリングしてくれるサービスです。

家賃収入は、安定しているようにみえますが、現在のアパート経営は物件の供給過多の状態なので皆さんが思っている以上に不安定な収入です。

アパートの部屋が空室になってしまったら1円も家賃収入は入って来なくなります。

そんな不安定な家賃収入をファクタリングに利用できるメリットは大きいでしょう。

しかし家賃収入ファクタリングも商品在庫ファクタリングと同様に、ノウハウがなくリスクが高いファクタリングになるので提供しているファクタリング会社は非常に少ないのが現状です。

ファクタリングを利用する際はノンリコースファクタリングを利用すべき

ノンリコースファクタリングとは償還請求権のないファクタリングです。

要は、ファクタリング業者が売掛先から資金の回収ができなくてもファクタリング利用会社に責任は一切ないファクタリングになります。

一方、ウィズリコースファクタリングの場合は、償還請求権があるため、万が一売掛先からファクタリング業者が資金の回収ができないと、ファクタリングを利用した会社が代わりに返済しなければなりません。

このように、償還請求権があるとないとでは責任に大きな違いがあるためファクタリングを利用する際、非常に重要です。

では、ファクタリングの主流であるノンリコースファクタリングにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

ノンリコースファクタリングのメリット

ノンリコースファクタリングには、様々なメリットがありますが、主なメリットは3つに集約されます。

売掛先から回収できなくても責任は一切ない

資金調達までのスピードが早い

銀行融資とは異なりファクタリングを利用する会社の信用力はあまり関係ない

それぞれのメリットについてわかりやすく説明をします。

売掛先から回収できなくても責任は一切ない

ノンリコースファクタリングの最大のメリットは、万が一ファクタリング業者が売掛先から資金の回収ができなくてもファクタリングを利用した会社には一切の責任がないことです。

ウィズリコースファクタリングの場合、売掛先が破綻などをしてしまいファクタリング業者が資金の回収ができないと、その返済をファクタリングを利用した会社が行わなければなりません。

これでは安心して利用できないと思う経営者の方も多いはずです。

もちろん、売掛先の信用力が非常に高ければあまり心配もないかもしれませんが、今の世の中、何が起こるか分かりません。

売掛先から資金が回収できなくても責任がないのは、ファクタリングを利用する方にとって大きなメリットになるのではないでしょうか。

資金調達までのスピードが早い

ウィズリコースファクタリングは、基本的に3社間ファクタリングを利用します。

3社間ファクタリングとは、ファクタリングを利用する会社とファクタリング業者、そして売掛先の3社間で行われるファクタリングです。

簡単に説明すると、ファクタリングを利用する会社は、売掛先の売掛金をファクタリング業者に渡し資金を調達します。

そしてファクタリング業者は売掛金の満期が来たら売掛先から直接資金を回収するのが3社間ファクタリングになります。

ウィズリコースファクタリングの場合はこの3社間ファクタリングがよく利用されますが、ノンリコースファクタリングの場合は、資金調達のスピードが速い2社間ファクタリングの利用も可能です。

2社間ファクタリングとは、ファクタリングを利用する会社とファクタリング業者の間で行われるファクタリングになります。

売掛金の回収はファクタリングを利用した会社に入金になった時点で行うため、売掛先にファクタリングの利用を知らせる必要がありません。

つまり、売掛先の許可がなく利用できるため、資金調達のスピードが速いのです。

ノンリコースファクタリングは資金調達までのスピードが速い2社間ファクタリングの利用ができるのは大きなメリットになるのではないでしょうか。

銀行融資とは異なりファクタリングを利用側の信用力はあまり関係ない

ノンリコースファクタリングは、ファクタリングを利用する会社の信用力はあまり関係ありません。

なぜなら売掛先の信用が高ければ資金回収ができるからです。

銀行融資の場合はお金を借りる会社の信用力が最も大切になります。

自社の信用力が低くても利用できるのは大きなメリットでしょう。

一方、ウィズリコースファクタリングの場合は、万が一、売掛先から資金の回収ができない場合、ファクタリングを利用した会社から回収することになります。

その場合、ファクタリングを利用する会社の信用力が高ければ、回収できる可能性が高くなるため、ノンリコースファクタリングに比べ、ファクタリングを利用する会社の信用力は重視される傾向にあります。

その点、ノンリコースファクタリングの場合はもともと、ファクタリング利用会社から資金を回収する事は無いのでウィズリコースファクタリングに比べファクタリング利用会社の信用力はあまり問われません。

信用力が低くても利用できるのはノンリコースファクタリングの大きな魅力といえるでしょう。

まとめ

今回はファクタリングの種類について紹介をしました。

ファクタリングには主に6つの種類がありますが、まずは一括ファクタリング医療ファクタリングについてしっかり理解するようにしましょう。

もちろん、国際関係の仕事をしているのであれば、国際ファクタリングの理解も必須になります。

ぜひ今回の記事を参考にしていただき、ファクタリングの理解を深めていただければ幸いです。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る