債務整理

債務整理に至った人に多い借金の理由はなに?債務整理に借入れ理由は影響するのか

債務整理に至る事情は様々で、一般的な要因としては、失業、疾病、事故、離婚など、誰しもが一度は経験する可能性のある出来事が挙げられます。

これらの出来事が起きると、収入や支出が不安定になり、生活費が不足し、借金問題へ発展することが考えられます。

債務整理は、借金により生活が困難になった状況から脱する手段ですが、その中でも任意整理は他の債務整理方法に比べて比較的気軽に始められる手続きです。

本記事では、債務整理に至ってしまう主な理由や債務整理への影響、また任意整理手続きの特徴や流れについて解説致します。

借金に至る理由に多いのは?

借金の背後には多くの理由が潜んでおり、その中で最も一般的な理由は「生活費の不足を賄うため」です。

突如として失業や収入の減少が生じ、生活費をまかなうために借金をせざるを得ない場合があります。

また、急な医療費や治療費、家族の冠婚葬祭などの出費が発生すると、これらの費用を賄うためにもクレジットカードを利用せざるを得なくなってしまいます。

さらに、交友関係や社交活動においても、友人との飲み会や趣味活動にも、最低限参加が必要となる場面があり、これらの出費が生活費を圧迫し、生計を立てるために、多くの人々はカードの利用やローン契約を通じて資金調達を試み、これが後に借金の原因となることが少なくありません。

統計によれば、金融庁の調査では「生活費不足」が借金の主な理由として約半数を占めています。

実際に債務整理に至った借入理由について以下にご紹介いたします。

失業や収入減

失業や収入の減少が原因となる借金は、多くの人々にとって現実の厳しい課題です。

失業の場合、突然一家の主要な収入源が失われ、生活費をまかなうのが難しくなり仕事を見つけるまでの間、生計を立てるために借り入れをせざるを得なくなります。

同様に収入が減少すると、以前と同じ生活水準を維持するのが難しくなり、支出と収入のバランスを取るために借金をすることがよくあります。

こうした状況では、家計を維持し、必要な支出を賄うために借金が一時的な支えとなり、生活の安定を維持する手段となり得ます。

しかし、なかなか次の仕事が見つからず、借金を重ねてしまったり、失業前からローンや借金の返済中だった場合突然収入が無くなると返済ができなくなります。

そこに業者から督促などが届くことで不安が募り、お金のことばかりが気がかりになり、仕事探しに集中できないという悪循環に陥る可能性が高いです。

転職は前向きにとらえれば収入を増やすチャンスであり、以前よりも良い状況に向かう機会でもあります。

このような状況では債務整理を検討し、専門家へ相談する事で転職活動に集中し日々の生活を取り戻せるよう目指すことが可能です。

病気や事故

病気や事故といった予測不能な出来事は、経済的な打撃を受ける理由のひとつです。

たとえば、急な病気が発症した場合、治療費や入院費などの医療費が急増し、医療保険や公的な支援がこれをカバーしきれず、借金を選択せざるを得なくなることが多々あります。

同様に、交通事故や災害に巻き込まれた場合、車や住宅の修理費用、または怪我の回復にかかる費用が大幅に重なるため、これを賄うためにも借金を頼るしかない状況に陥ることも少なくありません。

さらに、病気や事故によって長期間にわたって仕事を休む必要が出てくると、収入が途絶え、生活費を圧迫します。

こうした状況では、生計を維持し、必要な支出を賄うための一時的な手段としてクレジットカードやカードローンを利用せざるを得ない状況が続くこととなります。

しかしながら、これらの困難な状況では、次第に返済が難しくなっていきます。

今後の生活への不安から、病気やけがの治療に専念できなくなり、精神的な負担も大きく増加します。

そのため、専門家のアドバイスを受け、債務整理に至ることが多いです。

学費や教育費

子供の進学や教育のためにかかる費用は、しばしば家計に大きな負担をかける要因となります。

例えば、中高生の学費は年間で約50万円以上かかると言われ、制服、教材、部活動のユニフォームや活動費用、塾や習い事、修学旅行の費用積み立てなどが含まれます。

特に大学進学では、多くの場合、授業料や学用品のほかに、住居などの生活経費が必要です。

これらの費用に対処するために、親が借金をすることがあります。

また、私立学校や国際的な学習機会を提供する学校への入学も、高額な費用がかかることがあり、これに対応するためにもローンが必要となることがあります。

大学や専門学校への進学後も、学業を続けるための費用や、奨学金の返済が必要になることもあります。

これらの教育費用は、将来のキャリアや収入を向上させるための不可欠な投資と位置づけられ、多くの親が子供の教育に献身するものです。

しかし、これらの教育費用が高額であるため、生活を圧迫してしまい、債務整理に至ってしまうケースも少なくありません。

趣味などの遊興費

趣味や娯楽にお金を使うことはある程度必要なことですが、その際に支出を計画せずに使いすぎてしまうことがあります。

例えば車の改造、釣り、楽器、コンサート、ゲーム課金など、趣味はこだわりをもち始めると際限なくお金がかかってしまい、家計のバランスが乱れがちになります。

趣味に夢中になってしまい、本来は必要な生活費(食費や生活必需品)の支出を削減せざるを得なく、この状況が続けば、生活費や債務の支払いを滞らせ、借金が増えてしまいますし、健康上もあまりよい状況とは言えません。

家計のバランスが崩れてしまい生活が苦しくなってしまった場合などに、弁護士などの専門家に相談し、債務整理や支出の優先度の見直しを行うのは借金生活から短期で抜けるために有効です。

日常のストレスなどから、つい趣味などにお金を使いすぎてしまう事はよくあることです。

借金に困った場合は、専門家に相談し、生活必需品や債務の支払いを最優先し、余裕がある場合に趣味や遊興費を楽しむことが賢明です。

これらのポイントに気を付けることで、将来の借金のリスクを軽減できます。

ギャンブル

ギャンブルも借金に至ってしまう原因の一つです。

ギャンブルにおいて、自分自身がこれ以上は使ってはいけないとわかっていてもつい「あともう少しで勝てる」「あと1回だけ」「今日1日だけ」といった考えに至ってしまい、悪循環を生み出してしまいます。

ギャンブル中、勝利を求める気持ちが強まり、敗北感や損失を取り戻したいという欲求が高まります。

この結果、ますます多くのお金を賭けることがあり、これが損失を増やす一因となります。

しかし、これにより負けが積み重なり、依存心が強まり、ギャンブルから離れることが難しくなります。

負けを取り戻そうとするプレッシャーや、今度こそ勝てるという期待感は、ギャンブラーをついついギャンブルに引き寄せます。

その結果、賭け金が増え、一時的な勝利を追求することが、財政的な問題を引き起こす原因となります。

また、精神的なストレスも高まり、これを緩和するためにギャンブルを続けることがあります。

気づけば生活に必要な経費の支払いを滞ってしまう状況に陥ります。

この悪循環を断ち切るためには、ギャンブルの自己制御を強化し、専門家のサポートを受けることが必要です。

債務超過している場合は、収入に見合った生活を取り戻すために債務整理を選択するケースは多くあります。

冠婚葬祭

冠婚葬祭に関連する借金は、避けられない場面で発生する支出が原因です。

結婚、葬式、お祝い事は、文化や社会的な期待からくる必要不可欠な出来事です。

結婚式費用、結婚指輪、結納、住居の用意、葬儀費用、香典、交通費、遺品整理、財産の処理など、これらの支出は家族や友人の喜びや哀悼にかかるもので、避けることができません。

結婚は一生に一度の特別な瞬間であり、それを祝うために結婚式が行われます。

しかし、結婚式費用や指輪代は高額になることがあり、借金を迫ることがあります。

同様に、葬儀費用や香典、交通費は、亡くなった人を尊重し、遺族を支えるために必要な支出です。

遺品整理や財産の処理においても、家族は故人の遺志を尊重し、財産を整理し、相続を処理しなければなりません。

これらの費用は避けることができず、家族や社会的な義務からくるものです。

したがって、冠婚葬祭に伴う借金は、避けることが難しく、文化や社会の一部として受け入れられています。

債務整理はあくまでも個人の生活を立て直すための手続です。

冠婚葬祭が原因での借金の場合でも、生活が苦しくなった場合は自身のため債務整理を選択するケースは多いです。

慰謝料や離婚

離婚や慰謝料も借金の理由のひとつになり得ます。

離婚の際に生じる借金は、引越し費用、慰謝料、法的手続き費用、生活費の変動などが主な要因です。

離婚に関連する慰謝料には、不貞行為や配偶者からの精神的苦痛に対する補償金です。

不倫慰謝料以外にも、さまざまな理由で慰謝料が支払われることがあります。

これらの支払いが生活費を圧迫し、借金が発生することがあります。

さらに、法的手続き費用や弁護士の料金も離婚に伴う支出です。

離婚手続きを円滑に進めるために法的なサポートを受ける場合、これらの費用がかさむことがあります。

こういった手続きを進める中で、慰謝料額などが膨大に膨れ上がる場合などは、弁護士から債務整理を検討するのもひとつであると提案される場合がございます。

住宅ローンやほか業者のへ返済

借金が増える一因として、既存の債務を返済するために新たに借金をする状況は、多くの人々にとって現実です。

金融庁の調査によれば、「クレジットカードの利用代金を支払うための資金不足」が、生活費不足に次いで二番目に多い借金の理由とされています。

しかしながら、既存の債務を返済するために新たな借金を重ねることは、経済的な問題を悪化させるリスクを孕んでいます。

このような状況に直面した場合、借金問題が深刻化する前に、債務整理を行うたや専門家の協力を検討することが非常に重要です。

借金問題に迅速に対処することで、経済的な安定を取り戻す道が開けます。

従って、借金が増えてしまう状況であれば、新たな債務を負う前に、債務整理や専門家のアドバイスを受けることが賢明です。

経済的な安定を再び築くために、行動を起こすことが不可欠です。

借入れの理由は債務整理に影響するの?

債務整理は借金問題に対処する手段の一つであり、生活再建のための支援を提供するものですが具体的な借金の理由によって、債務整理の進め方や成功率が変わることがあります。

借金の理由によっては、一部の債務が特別な取り決めであったり、法的な制約があったりすることがあり、債務整理が難しい場合や方針がかわることがあります。

いざ自己破産をしようとしてもできないというケースもあります。

また、一部の借金は債務整理の対象外となることもあります。

債務整理は手続きの内容によって借り入れ理由の影響の有無がことなります。

任意整理や個人再生の場合

任意整理や個人再生の場合、通常は借入れの理由が手続きに直接的な影響を与えることは少ないことが多いです。

これらの手続きは、個人の経済的状況や債務の返済能力に基づいて借金を減額し支払いを続ける手続きのため、犯罪など明らかな不正がない限り借入れの目的は一般的に考慮されません。

任意整理は債権者と債務者が合意し、債務の一部を支払い免除する手続きで、個人再生は返済計画を立てて一部の債務を返済する手続きです。

どちらの場合も、債務者の収入や資産、債務の総額などが主要な要因です。

つまり、なぜ借金をしたかよりも、任意整理や個人再生を行う際に注目されるのは、現在の経済状況や返済計画の妥当性です。

したがって、借金の理由に関わらず、経済的に困難な状況に直面している場合は、任意整理や個人再生の可能性を検討する価値があります。

自己破産の場合

自己破産の場合、借金の理由は手続きに影響を及ぼすことがあります。

具体的には、以下の点が考慮されます。

ギャンブルによる借金

自己破産手続きにおいて、ギャンブルによる借金は通常、免責されないことが一般的です。

これは、ギャンブルは個人の選択に基づく行為であり、その責任を逃れるために自己破産が利用されることを防ぐためです。

犯罪による借金

自己破産の場合、犯罪による借金も免責されないことがあります。

詐欺や不正行為に関連する借金は、法的な責任を果たすために自己破産を利用することができないことがあります。

悪質なトラブルの慰謝料

悪質なトラブルや他の債務者の権利を侵害する行為に関連する慰謝料も、自己破産によって免責されないことがあります。

これらの慰謝料は、他の債務者に対する法的な責任を果たすために支払われるものであるためです。

要するに、自己破産が可能かどうかは、個人の経済的状況と借金の内容に応じて異なります。

借金の理由によって、一部の債務が免責されず残ることがあります。

したがって、具体的な状況については法律専門家と相談することが非常に重要です。

一番気軽にできるのは任意整理

借金整理手続きの中で、比較的手軽に進められる方法が「任意整理」です。

この手続きでは、借金の理由や心配を気にせず、債務者と債権者が合意を結び、債務の一部を支払い免除する取り決めが行われます。

さらに、裁判所の介入は必要ありませんので、手続きがスムーズに進行します。

借金問題に対処したい場合、任意整理はおすすめ方法の一つです。

任意整理とは

任意整理は、借金問題を解決するための手法の一つで、専門家である弁護士や司法書士が債権者と代理で交渉を行い、借金の支払い条件を変更することを目指す手続きです。

具体的には、将来の利息を削減したり、借金の支払いを長期分割払いにするなどの和解を模索します。

一般的に、和解後の支払い計画は「将来の利息をゼロにして、3~5年の分割払い」という形態がよく採用されます。

任意整理のメリット

将来の利息を削減できるため、毎月の返済額が軽減されることが多い。

家計状況や資産についての詳細な資料を揃える必要がなく、他の借金整理手続きに比べて負担が軽い。

一部の債権者を除外して手続きを行うことができる。

借金の理由に関係なく、ギャンブルや浪費などの借入原因に関係なく和解が可能。

任意整理は弁護士や司法書士による代理交渉によって進行するため、借金問題に関わる複雑な交渉や手続きについて、本人が直接関与する必要がないこともメリットのひとつです。

そのため、手続き中でも通常の生活や仕事に支障をきたすことなく、解決を図ることが可能となります。

任意整理手続きの流れについて

では実際に任意整理は、どのような流れで行われるのか解説します。

​① まずは弁護士や司法書士に相談しましょう。

​② ​弁護士、司法書士に依頼すると、受任通知を送付します。これにより、借金の返済が一時的にストップします。

​③ 利息の計算を見直し、借金の金額を再調整します。

​④ 弁護士や司法書士は債権者と交渉し、債務の和解案を作成します。これにより、新しい返済条件が確定します。

​⑤ 和解が成立したら、新しい条件に基づいて返済を行います。

任意整理の手続き期間は通常3ヶ月程度で完了します。

なお、手続きを始めた時点で債権者からの督促がストップするため、安心して解決策を待つことができます。

急ぎの場合でも、弁護士や司法書士に相談すれば、貸金業者からの督促を即座に停止させることができます。

まずは専門家へ相談を

借金問題を抱えている場合、弁護士や司法書士などの専門家に相談することが大切です。

なぜなら、専門家によって借金の理由や状況によって、可能かどうかの見解が異なることがあるからです。

「どうせ出来ない」と自己判断をするのではなく複数の事務所に相談することや、詳しい人の意見を聞くことが、最良の選択肢を見つけるために非常に重要です。

債務整理の専門家は法律や規制に詳しいため、可能な解決策を正確に判断できます。

借金問題に関する経験が豊富であり、類似のケースに取り組んできたため、最善のアドバイスを提供できます。

複数の専門家に相談することで、異なる視点からの意見を得ることができ、最適な選択肢を選びやすくなります。

自己判断せず、専門家に相談することで、より良い結果を得る可能性が高まります。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る