カードローンやクレジットカード等の利用額が増えて、毎月の返済が少し大変でも、できるかぎり債務整理を行わずに自力で返済しようと考える人が多いようです。
確かに、債務整理をすることにより、信用情報に影響が出ることのデメリットを考えると、自力での返済も検討余地はあるかもしれません。
ただし、借金問題は先延ばしすればするほど、返済の負担が大きくなってしまいます。
この記事では債務整理以外で借金を完済するための方法をご紹介します。また、自力返済の困難さや、債務整理を検討すべき状況と判断基準についても併せて解説します。
債務整理せずに借金を完済する6つの方法
毎月の借金返済の負担が大きく、生活苦しい状態にあっても、債務整理せずに借金を完済する方法としては、以下の6つが考えられます。
- 収入を増やすか支出を減らして返済額を増やす
- 毎月の返済設定額よりも多めに返済する
- 親族に金銭的援助をお願いする
- 他の低金利のローンに借り換え、おまとめローンで返済先を一本化する
- 保険に加入しているなら契約者貸付が利用できるかも
- 公的融資や公的給付金を利用する
それぞれについて解説します。
対策①収入を増やすか支出を減らして返済額を増やす
まずは返済に回せるお金を確保することが肝心です。
資産形成の考え方の一つに、入金力という考え方があります。
当ブログでも紹介した、「厚切りジェイソン『ジェイソン流お金の増やし方』」にも出てくるのですが、なるべく資産形成に多くのお金を使うために、収入を増やして支出を減らすという考え方です。
これはあくまで、資産形成の話ですが、借金返済にもこれに共通する部分はあります。
つまり、返済能力(≒入金力)を高めることが、借金問題解決のために有効であるということです。
月々の返済額を増やすために、収入アップと支出カットに取り組みましょう。
お金を増やす方法には大きく分けて3つあります。
- 収入アップ
- 節約で手元に残るお金を増やす方法
- 資産運用でお金を増やす方法
ただし、資産運用でお金を増やす方法は、借金がある状態では現実的ではないことが多いです。
ですので、収入アップか支出カットの方法を検討するのがベターでしょう。
具体的には、次のような方法を検討してみましょう。
収入を増やす方法
- 今の職場で昇給を目指す
- 勤め先の規定で問題がなければ副業を検討する
- ネットオークションやフリマサービスなどで不要品を売る など
方法1.今の職場での昇給を目指す
まず今の職場での昇給を目指してみるのがおすすめです。
昇格によって収入アップの可能性が高まり、リスクも少ないからです。
昇格には実績が求められますが、会社によっては資格取得で早まるケースもあります。
まずは会社の人事制度や給与体系をチェックしてみましょう。
資格取得は昇格だけでなく、自身のスキル向上にも役立ちます。
必要な知識習得や資格取得で、手当が支給されることもありますので、会社の手当や条件を確認し、利用できるものは積極活用しましょう。
方法2.すきま時間を活用した副業
次にすきま時間を活用した副業も有効です。
近年では、タイミーやメルカリハロといったスキマ時間を有効に利用できるサービスが増えていることから、多忙なビジネスパーソンにはピッタリです。
副業を始める際は、パソコン不要でスマホだけでできるものが理想的です。
加えて今あるスキルや知識を生かせて、時間を選ばずに作業できるものを選びましょう。
すぐにお金を増やしたいならノースキルでもできる副業がおすすめです。
例えばフードデリバリーやポイ活などです。
フードデリバリーは料理を届けるだけで特別なスキル不要ですし、自転車やバイクを使えば時給1,500円以上や日給1万円も狙えます。
ポイ活ではポイントアプリを使ってアンケート回答や広告視聴でポイントを貯めます。
これらのポイントは現金や電子マネーに交換できるので、即金性が高いのが魅力といえるでしょう。
ある程度スキルがある方や、パソコン環境が整っている方には、クラウドソーシングのタスク案件も選択肢になるでしょう。
クラウドソーシングとは、企業や個人がインターネット上で不特定多数の人に業務を依頼するビジネス形態です。これらの仕事は「クラウドワークス」や「ランサーズ」といったクラウドソーシングサービスのサイトで確認することが出来ます。
もしかすると、PCを利用したクラウドソーシングサービスは、専門的な技量が必要となるような印象があるかもしれません。
じつは、案件の内容によっては、データ入力や出品作業など簡単な作業で報酬が得られるものもあります。簡単な作業であるため、単価は低めですが、コツコツ続ければ、まとまった金額になる可能性があります。
ただし副業には、怪しい情報商材に引っかかるリスクもあるので注意が必要です。
低所得者を狙った副業詐欺や投資詐欺も増えています。近年、SNSやyoutubeなどで、怪しげな副業や投資法の公告を目にされることも多いかもしれませんが、借金に困った人たちは、このような詐欺に引っかかり、お金を失うことが多いです。
参照(SNS悪用 投資名目などの詐欺被害額 3か月で279億円超に 警察庁)
このような詐欺が流行していることからも、怪しげな副業や投資で収入を増やすことは避けるべきでしょう。
また、マイナンバー制度がある現在は、勤務先に内緒で副業をするのは難しいので、必ず勤務先に副業をしても問題ないか確認することも忘れてはいけません。
方法3.不用品販売も有効
最後にフリマアプリやネットオークションで不用品を売る方法も考えられます。特に、ブランド品やゲームなど売れるものはまとまったお金になることもあります。
メルカリやラクマ、ヤフオクと言ったサービスが有名で、スマホとネット環境さえあれば簡単に出品できることから、利用価値は高いかもしれません。
自分で商品を作るスキルがあるなら、ネットショップなどを開設することも考えていいでしょう。
ただし、オークションサイトの利用によりトラブルが生じた場合、取引当事者間で解決しなければならず、売上から手数料が引かれる場合もあることから、上手に活用してください。
支出を減らす方法
毎月の固定費の見直し
変動費を減らす
お金を貯める方法は大きく「収入アップ」と「支出カット」の2つに分けられます。
そして、支出を2つに分けると、「固定費」と「変動費」に分けられます。
収入アップは今すぐは難しいですが、支出カットはすぐに実践できます。
以下に簡単にできる支出削減のアイデアを紹介するので、参考にしてみてください。
毎月の固定費の見直し
まず毎月の固定費の見直しが重要です。固定費とは、水道光熱費や通信費など毎月必ず発生するお金のことです。家計を見直して節約をする場合には、この固定費を見直すことが節約効果が大きく、効果を実感しやすいと言われています。
具体的には以下のような方法が考えられます。
- 動画や音楽配信などのサブスクリプションサービスを減らす
- スマホの格安SIMへの変更やプラン変更
- ガスや電気の会社乗り換え
- 生命保険・損害保険・自動車保険などを見直し保険料を削る
- 家賃が割高なら引っ越しを検討する
例えば、公共料金や通信費は、プランを見直すことで、思わぬ節約ができることもあります。不要なオプションを外したり、安いプランに変更したりするだけで、出費が減ることがあります。契約プランの見直しは多くの場合、電話一本で変更が可能ですので、手間も小さいというメリットがあります。
次に、保険料もチェックが必要です。本当に必要な保険だけを残し、無駄な部分を削減することを考えましょう。保険料も掛け捨ての保険に変更することで、大幅に減額できることがあります。
また、解約し忘れているサブスクリプションサービスも多いので、今一度確認しましょう。これらは電話一本で解約できますから、手間もかかりません。
家賃に関しても、下げられるのであれば下げた方が良いかもしれません。
一般に、家賃は手取り月収の3割程度がいいと言われますが、あまり金額が行くと家計を圧迫する原因になります。(引用:HOME’S「その年収なら、どんな家に住める?(1) これが「年収別適正家賃」!」)
ただし、固定費見直しには時間がかかるものもあるため、直ぐに効果が出ない場合もあることには注意が必要です。
変動費の見直し
変動費は、食費や日用品費、交際費など毎日生活する際に使うお金のことです。また、ご祝儀や香典費、家電購入費、旅行費など突発的に発生する出費も変動費に含まれます。
固定費は見直しに時間がかかることもあると述べましたが、変動費にはすぐにでも取り組める者が多いと言えます。
なかでも節約しやすい変動費は、食費です。
まず、自炊の頻度を上げるのも非常に有効です。コンビニでお弁当などを購入するより、自分で作る方が安くつくというのは、予想がつくでしょう。このように、食費を抑えられる傾向にあります。職場に手作りの弁当を持参したり、休日のおかず作り置きしておくことも効果的です。また外食の回数を事前に決めておくのもいいでしょう。
ただし、食材の価格や作る量次第では、コンビニやスーパーのお惣菜を利用することが逆に節約になることもあります。
食費をすべて自炊に置き換える必要はなく、うまく取り入れて賢く節約しましょう。
嗜好品についても見直しが必要です。外食やレジャー、飲み会、被服費、美容院代、タバコ代など、日常的にかかる支出は意外と大きいです。
家計に余裕が戻るまで、これらの出費を控えることが非常に大切です。
ただし、人それぞれ事情は異なります。「保険は解約できない」「仕事の関係で服を購入する必要がある」といった場合もあるでしょう。
ですので、自分ができる範囲で出費を見直し、無理のない節約を心がけましょう。あなたの生活がより豊かになるための第一歩となるはずです。
対策②毎月の返済設定額よりも多めに返済する
借金がなかなか減らない理由は、高い利息が原因です。
毎月返済する金額の一部は元金に充てられ、もう一部は利息として支払われます。
最初に、返済日までの利息が計算され、それが返済金額から差し引かれます。そして残りの金額が元金に充てられ、借金が減少していきます。
利息を支払うのは無駄だと感じるかもしれませんが、お金を貸している方は利息で収益を得ているので、借りるというサービスに対する対価として利息が発生します。
借金100万円(利率年15%)の返済シミュレーションをみてください。
元金 | 返済期間 | 返済回数 | 最低返済額 | 利息+元金の 総額 |
100万円 | ※4年5ヶ月 | 53回 | 26,000円 | 1,371,095円 |
4年 | 48回 | 28,000円 | 1,332,330円 | |
3年 | 36回 | 35,000円 | 1,244,360円 | |
2年 | 24回 | 50,000円 | 1,157,947円 | |
1年 | 12回 | 95,000円 | 1,079,020円 |
お金を借りた人は「少ない返済額なら楽でいいな」と思うかもしれませんが、上記の表からわかる通り、各消費者金融や金融機関が設定した最低返済額での返済を続けていても、利息の負担が大きく、効率的に借金は減りません。(参照:アイフル「ご返済一覧表」,プロミス「ご返済金額」)
最低返済額よりも多く返済をすることで、元金が早く減り利息を抑えられて、早期の完済と全体の支払い額も下がることに繋がるのです。
上記の例では、返済額を最低返済額から50000円に引き上げることで、20万円近い利息の支払いを回避できているのです。
借金の早期完済を目指すなら「決められた金額よりも多く返済する」ことが重要になります。そのため、返済額の見直し、対策①で作った余剰資金をなるべく多く返済に充てるのがおすすめです。
なお、借入金額ごとの最低返済額や自力返済シミュレーションは以下の記事をご参照ください。
対策③家族や友人に金銭的援助をお願いする
自力で借金を返済するのが困難だと感じたら、家族や友人に金銭的援助が受けられないか相談してみましょう。
確かに、借金を内緒にしている場合、この話題を切り出すのは勇気が要ります。
しかし、借金問題の解決に向けて手を打たずに、万が一返済が遅れて金融業者からの督促状等が郵便で届けば、家族に分かってしまう危険が高まるだけでしょう。
また、借金を解決しようとせずにいると、借金が膨らみ、最終的に返済が困難になってしまう恐れがあります。この段階では、家族や知人を頼ってもどうにもならないということになる可能性もあります。
個々の事情は様々ですが、親族や友人を頼るのであれば、できるだけ借金の金額が少ないうちに相談するとよいでしょう。
対策④他の低金利のローンやおまとめローンに借り換える
借金返済が困難になる原因の一つに、利息の支払いがあります。
現在返済しているものより金利の低いローンに借り換えることによって、返済月額が下がり、自力での返済継続が可能になるかもしれません。
ただし、借り換えの際には再び審査を受けることになります。
すでに借金が膨らんで、債務超過の状態であれば、借り換えの審査に通りにくい場合があります。
また、借金そのものが減るわけではないので、返済が困難な状況における根本的な解決にはならないことを覚えておきましょう。
また、借入先が複数ある場合は、貸付金利が低いおまとめローンを利用することで利息を抑え、支払総額を減らすことができるかもしれません。
おまとめローンとは、多重債務者に向けて銀行や消費者金融が扱う金融商品です。
最初に金融機関が借金総額を一括返済できる金額を融資してくれるので、その後は融資をしてくれた金融機関1社への返済で済みます。
貸付利率については、利息制限法によって定められており、借入金額が多くなるほど、金利の上限が低くなります。
つまり、散らばった借金を一社にまとめると、金利が低く計算される可能性があるのです。
また、返済する先が1か所になるので、支払日の管理をしやすくなるというメリットがあります。
ただし、おまとめローンであっても借入額の大きい場合は、債務者が返済できなくなった時の金融機関側の損失が大きいため、一般的なカードローンやクレジットカードよりも審査が厳しく、決して借入は容易ではありません。
おまとめローンに関しては、以下の記事が参考になります。ご確認ください。
対策⑤保険会社の「契約者貸付」
契約者貸付制度は、保険加入者が保険会社からお金を借りるための特別な仕組みです。(参照:第一生命「ご契約者貸付」)
この制度の利用は、終身保険や養老保険など「解約返戻金」があるタイプの保険に限られます。
この制度の大きな利点は、保険を解約しなくてもお金を手に入れられる点です。
解約返戻金とは保険解約時に戻ってくるお金のことですが、このお金を取り戻そうと思うと、保険は解約しなければなりません。保険を解約すると保障がなくなったり、再加入が難しくなったりすることがあります。
ですが、契約者貸付制度を利用すれば、保険を解約せずに解約返戻金の一部を借り入れられます。
また、契約者貸付制度の利率は、一般的にカードローンより低い傾向にあり、具体的には2~6%程度となることが多いです。加えて、通常の借入には審査が必要ですが、契約者貸付制度には審査は必要がありません。金利負担を軽減しながら、早急に必要な資金を調達できるでしょう。
この制度を利用することで、急な出費等に対応しやすい環境を整えられるほか、お金を借りて他の返済に充てることで、高金利の借金を低金利に置き換える効果が期待できるという点で、有効な対策になり得ると考えられます。
対策⑥公的融資や公的給付金を利用する
一時的に支出が続いてしまって返済が苦しくなった場合は、公的な貸付制度や給付金を利用してその場をしのぐという方法もあります。
現在の収入では借金の返済が厳しかったり、そもそも病気などの理由で仕事に就くのが難しかったりする場合は、公的扶助を利用して生活が楽になる可能性もあります。
具体的には、以下のような手当や公的扶助が存在します。
- 生活に必要な金額が支給される「生活保護」
- 月収の2/3の金額が支給される「傷病手当金」
- 障害に応じて毎月6万円以上支給される「障害年金」
- 失業または休職中のみ家賃が支給される「住居確保給付金」
- 国から低金利で融資を受けられる「生活福祉資金」
- 所得税や住民税が控除される「障害者控除」
- 医療費が1割負担になる「自立支援医療」
- 携帯料金や水道料金が減額される「精神障害者保健福祉手帳」
さまざまな制度があり、個々の状況によって受けられる支援が異なるので、まずは利用できる制度や支援があるかどうか、自分の住む地方自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。
貸付制度は無利子、低利子なので毎月の負担を軽減するのに利用できますが、返済は必須です。
そのため、やみくもに利用してよい制度ではなく、低利子の借り入れであれば生活を立て直せるという見通しのある方に適した方法であることには注意するべきでしょう。
自力返済は本当に可能なのか?
ここまで、債務整理以外で早期に借金問題を解決する方法を解説しました。
- 収入を増やすか支出を減らして返済額を増やす
- 毎月の返済設定額よりも多めに返済する
- 親族に金銭的援助をお願いする
- 他の低金利のローンに借り換え、おまとめローンで返済先を一本化する
- 保険に加入しているなら契約者貸付が利用できるかも
- 公的融資や公的給付金を利用する
確かに、これらの方法は債務整理とは違い、信用情報などへの影響がないものも多いため、債務整理より優れていると考えられる点もあります。
しかし、上記のような方法を利用してもなお、借金の完済は決して簡単ではありません。
ここからは、債務整理をしないで借金完済をするのは難しい理由を解説します。
債務整理以外の方法で借金完済を目指す場合のデメリットや失敗例は以下の記事をご参照ください。
収支の改善が出来る人はそもそも借金をしていない
まず第一に、収支の改善が期待できる人は、基本的に借金をしていないということが挙げられます。
これは少し当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、余裕がある人がわざわざ借金をすることはほとんどありません。
借金をする人は、そもそも家計に余裕がなく、どんなに努力しても余剰のお金を生み出せないからこそ、借り入れを選ぶのです。
意外に思われるかもしれませんが、借金の多くは生活費の補填(55.9%)や失業・転職による収入の減少(53.0%)が原因です。一方で、いわゆる浪費や贅沢品にお金を使う人は、約20%程度、つまり5人に1人くらいの割合に過ぎません。
このことからも、収入と支出がほぼ同じという人が多い現実が浮き彫りになります。
このように、カツカツの家計では、どれだけ節約を試みても限界があるのです。
結局、家計を絞っても余剰が出ないのであれば、収入を増やすしかありません。
乾いた雑巾を絞っても水が出ないように、現在の収支が厳しい人は、収入を大きく増やすなどの努力をしない限りは余剰を生み出すのは難しいと言えるでしょう。
さらなる借金を重ねる可能性
自力返済のリスクの一つとして、さらなる借金を重ねる可能性が挙げられます。
例えば、Aさんの話をしましょう。
Aさんが消費者金融やクレジットカード会社からお金を借りているとします。
ある月、Aさんは返済が難しくなりました。そこで、最初の消費者金融からの借金を返すために、別の消費者金融から新たにお金を借りる可能性があります。
その結果、その月の支払いを何とか乗り切ったAさんですが、給料日が近づくにつれて生活が苦しくなり、ついにはクレジットカードを使ってしまうことになります。こうして、翌月にはクレジットカードの請求が来て、また別の消費者金融からお金を借りるという悪循環に陥ってしまいました。
このように、複数の業者から借金をしている状態は「多重債務」と呼ばれます。多重債務とは、複数の業者からの借金が積み上がり、返済困難となっている状況のことです。
多重債務に陥ると、目の前の借金を返すことが非常に困難になり、そのために他の借金で返済を続けることになりがちです。この状況では、借金が雪だるま式に増えてしまうのです。(参照:財務省中国財務局ホームページ「多重債務ってどんな状況なの?」)
自力返済を続けることは、この多重債務に陥るリスクを伴います。
特に、
クレジットカードの返済分をキャッシングで借りて払う
住宅ローンの返済額を消費者金融で借りて払う
消費者金融の返済額を銀行のカードローンで借りて払う
というような返済を借り入れに頼っている状態が続くと、単に借金を増やすだけで、借金をどれだけ返しても完済が困難になっている場合があることも考慮するべきでしょう。
借り換えやおまとめローンでは利息はそれほど下がらない
さきほど、借り換えやおまとめローンをすることで、利息が減額されるといいましたが、それはあくまで法律の上限値に近い金額を取る消費者金融やクレジットカード会社を基準にした話です。
多くの会社の広告では、最低金利1.5%を謳っていますが、この最低額での貸し出しが認められることはほとんどありません。
銀行や労金といった金融機関の場合は、5,6パーセント程度の利息まで減額が可能ということもありますが、消費者金融が提供するおまとめローンの場合、9~10%の利息が発生することも珍しくありません。
さらに、返済額もなるべく低額に収めてくれる方が、長く利息を取り続けられるということになります。
ですから、金融機関の側で「毎月20,000円あれば10年で完済できます」などのうたい文句で営業されることもあります。
ですが、10年も年間に数%の利息を払い続けたら、結局莫大な金額が利息として銀行などの金融機関に取られているということになります。
保険会社の「契約者貸付」は、保険の解約や、戻ってくる保険金が減る可能性も
契約者貸付制度を使うと、保険を解約しないでお金を借りることができます。
ただし、注意すべき点があります。それは、「保険が失効または解除される可能性がある」ということです。
保険会社の本来の仕事は、お金を貸すことではなく、契約者を保障することです。
そのため、契約者貸付制度で借りるお金は解約返戻金の範囲内に限られるのです。
元利金(借りたお金と利子を合わせた額)が解約返戻金を超えると、保険契約が失効したり解除されたりする可能性があるので注意が必要です。
また、契約者貸付制度を利用している間に、保険金やお祝い金などのお金がもらえる場合でも、それを返済に充てられることがあります。
そのため、病気の治療費や教育費など、本当に必要な時にお金を使えなくなる可能性があるので注意してください。
さらに、かつては高金利の保険商品がありましたが、現在は利率が低くなっています。
しかし、契約者貸付制度の利率は保険加入時の利率を基に計算されるため、高金利時代に加入した「お宝保険」と呼ばれる保険は利率が高くなります。
契約者貸付制度は「複利」を使うことが多いため、利率が高いと利子もどんどん増えるため、注意が必要です。
低金利の保険と比べても、カードローンなどよりは低い利率ですが、それでも借りる前によく考えることが大切です。
親族や友人に借金を打ち明けることになる
家族や友人に借金返済を頼るということは、借金の事実を打ち明けることになるということです。
どれだけ優しい家族や知人であっても、
「なんでお金を借りたの」
「仕事はちゃんとしていたの」
「無駄遣いしたんじゃないの」
と、胸の痛いことをいくつも言われることとなります、傷つくことも多いでしょう。
また、金の切れ目が縁の切れ目というように、関係が疎遠になることもあります。
このようなリスクがあることは、十分に注意して借り入れを検討するべきでしょう。
自力での完済が困難な状況~債務整理を検討すべき場合~
上記で紹介したような方法をとっても借金の返済は難しい可能性があります。その原因は、高額な利息と返済額が抑えられているという事情によるものです。
この状況では、借金はなかなか減っていかず、返済期間が伸びていくばかりだということは留意するべきでしょう。
特に、以下に挙げる4点のいずれかにあてはまる場合は、債務整理を選択した方がよい結果に繋がるでしょう。
- 3社以上から借入していて、返済しても元金が減らない
- 借金の返済のために借金をしている
- 借金の返済が遅れそう、または、すでに滞納している
- 10年以上前に借りた借金をいまだに返済している
それぞれ解説します。
債務整理を選択した方がよいケース①3社以上から借入していて、返済しても元金が減らない
3社以上から借入している多重債務の状態に陥っている場合、月々の返済額の合計が相当に高額になっていて生活を圧迫していることが多いです。
各社の利用残高や返済日などが分からなくなり、全体的な管理できなくなっていることも珍しくありません。
債務整理をすると、月々の返済を減らせたり、依頼する事務所に返済をまとめて管理してもらえたりするようになります。
また、月々の返済額のうち元金の支払いにあてられている金額が少ないと、利息ばかりを支払って、いつまでたっても返済が終わらない状況に陥ります。
借金を早く完済するには、毎月の返済額をより高く設定しなければなりません。
それができなければ、債務整理した方が早期の完済を目指せます。
例えば任意整理をして、今後の利息が免除されれば、毎月の支払いがすべて元金の返済に充てられるため、借金を早く完済できます。
債務整理を選択した方がよいケース②借金の返済のために借金をしている
また、借金返済のために借金をする、多重債務や自転車操業の状況であれば、自力での返済継続は困難であると予想されます。
自転車操業の状況にある人は、月収から生活費と返済額を引いた時、マイナスになってしまうため、不足分を新たな借入で補っている状況です。
新たな借入もまた分割で返済していくため、毎月の借金返済に充てる金額はどんどん増えていき、雪だるま式に借金が増えていきます。
借金返済のために借金しなければならない状況であれば、早急に弁護士や司法書士へ相談してください。
債務整理を選択した方がよいケース③借金の返済が遅れそう、または、すでに滞納している
すでに滞納している場合はもちろん、返済を滞納しそうな場合は債務整理を検討した方がよいでしょう。
なぜなら、次に挙げるデメリットを被るからです。
- 遅延損害金が発生して返済額がさらに増える
- 債権者からの督促が激しくなり、周囲の人に借金していることが分かってしまう可能性が高まる
- 督促などをすべて無視すると差し押さえのリスクがある
借金の滞納を続けると、日々の生活に影響が出る可能性が高いです。
返済が2ヶ月以上遅れると、債権者から一括返済を求められる恐れがあります。
今まで電話やハガキで度々、早く返済してくださいと連絡がくる程度だったのが、滞納期間が2か月を超えると弁護士等から封書で督促状が届くようになります。
督促状では、残金を一括で返済するように請求されるケースがほとんどです。
一括返済の要求に応じられないと、次の手段として債権者が裁判所で訴訟を起こすことも少なくありません。
訴訟を起こされれば、最終的には法的な手続きにより、財産差押さえを受ける可能性があります。
そうなる前に弁護士や司法書士に相談をし、債務整理手続を通して債権者と話合いをすることが重要です。
10年以上前に借りた借金をいまだに返済している
10年以上前に借りた借金をいまだに返済している場合も、債務整理を考えた方が良いでしょう。
10年間、借りて返してを繰り返している状態では、利息を取られ続けているだけで、一向に借金が亡くなっていないことは明らかだからです。
ただし、10年以上前に借りた借金について、現在に至るまでずっと返済を続けている場合、過払金が発生している可能性もあります。
債務整理をすれば、利息のカットや返済月額を減額する交渉をしてもらえるだけでなく、過払金が発生していないかも調べてもらえます。
弁護士や司法書士に相談すると、過払金発生の可能性があるかどうかだけでも簡単に教えてもらえるので、一度相談してみることをおすすめします。
弁護士や司法書士に借金返済の相談をするべきタイミングは、人によってさまざまです。
上記のケースにあてはまる場合だけでなく、借金の返済が苦しいと感じていたら、遠慮なく弁護士や司法書士へ相談してください。
専門家に話を聞いてもらうだけでも、落ち着いて自分の状況を判断できるようになって、安心を得られる場合もあります。