金融庁が「貯蓄から投資へ」と提唱していることもあり、投資を始める方が増えてきました。
また、SBI証券や松井証券などのネット証券の登場によって、証券口座を簡単に開設できるようになり、投資を始めるハードルが昔に比べて低くなっています。
しかし、簡単に始められる一方で、投資の勉強をせずに始めてしまう方が多いのが現状です。
投資は「長期・積立・分散」という3つのポイントを抑えて運用することで、リスクを最大限抑えることができ、最終的に利益を得ることにつながります。
そこで、本記事では、新NISAを始めるうえでの3つのポイントについて解説します。
長期の運用が大きな利益を生む
そもそも長期投資とは、購入した資産を10年・20年と長期にわたって保有することで、購入初期の段階では利益は小さいものの、長期的にみて大きな利益を得ることができる投資方法です。
長期投資には、以下の2つのメリットがあります。
複利効果を高めやすい
複利運用とは運用方法のひとつで、一定額の元本のみで運用する単利運用に対し、複利運用では一定期間ごとに分配金などの利益を元本に加えて運用する方法です。
元本が利益や分配金で大きくなるに伴って、得られる利益が単利と比べて加速度的に大きくなるという特徴があります。
例えば、100万円を年利5%で運用した場合、単利運用では毎年50,000円の利益に固定されますが、複利運用の場合は、1年目は50,000円、2年目は61,500円、3年目は93,345円と徐々に利益が増えていき、10年目には344,676円の利益を得られます。
以上のことから、長期投資で複利効果を高めることが大きな利益につながるといえるでしょう。
短期の値動きに左右されない
長期投資は短期の値動きに左右されないため、収益面が安定することに加え、メンタル面に悪い影響を与えないメリットがあります。
個別株やFXなどの短期投資は、価格が常に変動していることもあって注視しておく必要があるため、必要に応じて利益確定や損切りを素早く判断する必要があります。
そのため、本業が忙しい方や投資初心者の方にとっては、少しハードルが高い投資方法といえます。
しかし、長期投資の場合は、長い年月をかけて利益を得るという方法なので、一時的にマイナスになったとしても気楽に構えておくことができストレス要因となりにくいです。
そのため、短期投資のようにつねに緊張して相場をチェックする必要がない点も長期投資のメリットと言えるでしょう。
積立投資でドルコスト平均法を活用する
積立投資とは、定期的に定額で同一の商品を購入していくことで、価格が高いときには多くの口数は買えないものの、安いときには多くの口数を買うことができます。
安いときに多くの口数を買い足していくことを「ドルコスト平均法」といい、安く買えることで購入平均単価が下がって1口当たりが割安となり、将来的に値上がりした際は大きな利益を得ることができます。
積立投資には、以下の2つのメリットがあります。
少額から手軽に始められる
積立投資は、投資初心者の方でも始めやすい投資方法で、月々1,000円ずつ積み立てるといった少額で投資を始めることができます。
少額でこつこつ投資できるため、家計に負担がない金額で行うことができ、10年・20年と資産形成のために継続していきやすいです。
しかし、あまりにも少額で投資を続けていると、将来的に得られる利益が小さくなる点ため、投資に慣れてきたら積立額を増額することをおすすめします。
購入タイミングに悩まない
いつ買うべきかというタイミングに悩む必要がないのも積立投資のメリットです。
個別株やFXであれば「いつ買って・いつ売る」という戦略が大切となるため、常に相場状況を確認し、取引することが大切となります。
しかし、投資というのは相場が常に変動しており、何かのタイミングで上昇したと思えば、何らかの原因で下落することは多々あります。
そのため、先を常に予測して継続的に取引することは投資の専門家の方であっても難しいのが現実です。
しかし、積立投資であれば、購入する金額や頻度を事前に決めておくだけで自動的に購入手続きが行われますので、タイミングを考えて購入するといった悩みを抱えることがなく、継続的に投資をしていけるでしょう。
分散投資でリスクを抑える
分散投資とは、投資対象が一極集中しないように、複数の投資先へ資産を分散させて投資をすることです。
分散することで、Aの価格が下落しても、Bの利益で損失を免れることができます。
しかし、投資対象が一極集中している場合は、価格が上昇した場合は喜べますが、ひとたび下落した場合は大きな損失を被ってしまうリスクがあります。
そのため、以下の2点に気を付けて保有資産を分散させることが望ましいです。
投資対象の分散
分散投資と聞けば、真っ先に思い浮かぶのが「投資対象」を分散させることでしょう。
投資対象となるものには、上場株式のほかに債権や貴金属、各国通貨など様々な種類があり、一様に「上場株式」といっても会社が異なれば、業界も異なるため値動きの特徴が各銘柄によって変わってきます。
異なる投資対象に投資をする例としては、「上場株式」と「債権」に投資をすることがあげられ、値動きの特徴としては、株式相場が順調に値上がりしている場合は、上場株式が上昇し、債権は下落するといった関係性にあります。
また、反対に債権が上昇すれば、上場株式が下落するといった様々な投資対象ごとに関係性が存在します。
そのため、上場株式の価格が下落した際のリスクヘッジとして、債権を保有するなど投資対象を分散させることで損失のリスクを減らすことが大切です。
なお、新NISAで積立投資をする方は、投資信託の中に「バランス型」という商品があり、バランス型のものは運用者(ファンドマネージャー)が最良な判断で分散投資を実行してくれます。
投資初心者の方や本業が忙しくて分散投資の銘柄を選んでいる時間がない方が投資信託を購入する場合は、バランス型の購入も視野に入れてみると良いでしょう。
投資地域の分散
投資対象に上場株式や債権など様々な種類があるのと一緒で、投資する際は「国内」や「海外」といった地域も分散させることができます。
投資地域の分散とは、日本国内の景気が悪い場合は保有している日本関連の銘柄は値下がりしますが、一方でアメリカの景気が良い場合は関連銘柄は値上がりします。
また、海外に投資をした場合は、為替相場の影響も受けることとなり、投資している国の通貨が値上がりすれば、保有している銘柄も値上がりします。
さらに海外と言っても先進国と新興国があり、安定的な成長を期待する場合は「先進国」、飛躍的な成長を期待する場合は「新興国」といったような投資も可能です。
このように、国内だけに投資をするのではなく、海外にも投資をすることでリスク分散になり、一方で新興国の飛躍的な成長などによって大きな利益を得られることに繋がります。
まとめ
ここまで、新NISAで運用する際の3つのポイントについて解説してきました。
これらのポイントは投資の基本であり、NISAに限らず上場株式の売買や投資信託など投資全般で重要なポイントとなります。
投資は長期的に運用することで、より大きな利益を得ることができるため、目先の利益や損失に対して過敏に反応する必要はありません。
新NISAでは、非課税期間が恒久化され、非課税で運用できる上限額が1,800万円に引き上げられるため、メリットを最大限に活かすために、長期や積立で投資を行うことをおすすめします。
また、投資対象を分散して投資することで、一方の資産が不調で含み損となっているが、もう一方の銘柄が好調で大きな含み益になっているといった効果があります。
こういった分散をすることで、リスクを抑えた安全な運用を行うことができます。
これらの3つのポイントを踏まえたうえで、新NISAの運用を始めると良いでしょう。