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債務整理

債務整理費用の相場はいくら?借金で手持ちがなくても行える?

債務整理とは、借金を減額、支払いを免除することにより、借金問題を解決するための法的な手続きです。

債務整理は、借金問題や毎月の返済に困っている人の助けになり、解決までのめどをつけるなど、うまく使えば非常に有効な手段となります。

一方で債務整理を行う際には、通常は弁護士や司法書士に依頼することが多く、その際には債務整理の費用が発生することとなります。

これが、相場と比べてあまりに高額であったり、不透明な金額を請求されてしまうと、ただでさえ借金に困っているのにも関わらず、結果として負担が増えてしまい、良い解決になったとは言えないでしょう。

また、相場が分からないことから、多数の弁護士・司法書士事務所に相談をし、相見積もりを取らないといけないといった手間が発生するかもしれません。

本記事では、債務整理の費用の目安や内訳などについて詳細に解説をしてゆき、その支払いに困った場合の対処法などについても合わせて案内いたします。

債務整理費用に相場や基準はない

弁護士や司法書士に債務整理を頼む際に発生する費用は、かなり自由度が高い設定が可能となっています。

理由としては、手続きが多様であることや、案件によって難易度が異なるという事情があると言えます。

例えば、借金が10万円の人と、借金が100万円ある人、1000万円ある人を、同じ費用で債務整理できるでしょうか?

比較的手続きが簡単な手続きを行う場合と、弁護士や司法書士が1件に1年程度の長期間にわたり関わらなければならない場合だったらどうでしょう?

このように、借金の額や返済状況、借金をした人の収入や生活状況などによって、問題の難しさは異なります。また、「任意整理」や「個人再生」といった債務整理の方法によっても、弁護士の報酬額は違います。

そのため、弁護士や司法書士は依頼主と相談して報酬の金額を自由に決めることができるのです。

言い換えると、借金の整理を弁護士に頼む場合、報酬の金額には決まった基準がないということになります。

報酬に関する原則の規制

もっとも、2011年2月に日本弁護士連合会は臨時総会で「債務整理事件処理の規律を定める規定」を制定し、それ以降の債務整理事件はこの規定に従うことになりました。

同じく、司法書士会も債務整理事件に関する報酬についての指針を作っています。この指針は、平成28年4月に改正され、現在もこれに従って行動するよう各会員(司法書士)に求めています。

弁護士会、司法書士会のいずれも、

・定額報酬(着手金)
・減額報酬
・過払金返還報酬
・支払い代行手数料
・その他の報酬

といった金銭についての上限や条件などを定めています。

債務整理に必要な報酬・費用の内訳

法律相談料

法律相談料とは、文字通り、法律相談を弁護士や司法書士にお願いをした場合に、発生するお金となります。

一般的に、弁護士事務所では30分につき5,500円程度の相談料がかかります。同様に、司法書士事務所でも1時間あたり5,500円程度の相談料がかかります。

もっとも、最近では相談料は無料としている事務所も少なくありません。

また、相談の結果、依頼に至るような場合、後述する着手金を頂く関係から、法律相談料についてはもらわないという対応をすることが多いように感じます。

着手金

着手金とは、弁護士や司法書士に債務整理を依頼する際、最初に支払うお金のことです。着手金は成功・不成功に関係なく必要な債務整理費用の一部です。

着手金の額は、事件の種類や法律事務所によって異なります。

一部の事務所では、過払い金請求や交通事故の損害賠償請求などの事件では着手金が不要な場合もあります。

注意すべき点として、着手金は、依頼した事件が成功しても返金されません。また、途中で弁護士や司法書士を解任しても、ほとんどの場合は返金されません。

ですから、着手金の性質を理解し、金額に納得して契約し支払うことが重要です。

加えて、着手金が無料または割安でも、その代わりに後述する成功報酬が高い場合もあります。

ですので、依頼する際は着手金だけでなく、全体の報酬額や事務所の対応力、実績、相談しやすさなどを総合的に考慮して、自分に合った法律事務所を選ぶことをおすすめします。

さらに、着手金は一度支払った後でも、事件の進行によって追加の着手金を支払うことがある場合があります。

例えば、A社の依頼をした後にB車を追加して依頼する場合や、任意整理から個人再生、自己破産へ方針を切り替えた場合などです。

以上のような点に注意しながら、着手金と全体の報酬額を比較し、弁護士や司法書士を選ぶことが重要です。

報酬金

報酬金とは、債務整理が成功した場合に支払う報酬のことです。

報酬金には以下のようなものがあります。

・基本報酬
債務整理事件が成功して完了した際に支払うお金。完了報酬などということもある

・減額報酬
例えば、100万円の借金があるとき、支払額が50万円になった場合。

このような場合、50万円の減額が出来ているので、そこに経済的な利益が生まれています。そして、債務が減額された場合に支払うのが減額報酬です。

・返還報酬
例えば、過去に払いすぎた利息が出ている場合、債権者からお金を返還されることがあります。

また、詐欺されてしまい、お金を奪われた人から依頼を受けて、債権回収を行い、成功した場合などもあります。

このような、お金を取りもどしたことに対して支払う報酬が、返還報酬です。一般的には、過払金や返還金の中から、報酬を引いてお返しすることが多いです。

実費

実費とは、債務整理を行う際に実際に支払う必要がある費用のことです。

具体的には、裁判所に支払う手数料、郵便切手の代金、各社と連絡を取る際に生じる通信費などが実費に該当します。

裁判所に納める手数料等

任意整理5000円前後
特定調停1万円前後
個人再生3万円~18万円前後
自己破産(同時廃止事件)2万円前後
自己破産(管財事件)25万円前後

種類ごとの債務整理費用の合計目安

任意整理の費用の相場

任意整理とは、裁判所を使わずに貸してもらったお金の返済方法について、借金をした人と直接交渉する方法です。

この方法を使うと、遅延損害金や将来の利息が削減される可能性があり、削減後の借金は通常、3〜5年ほどで完済することが原則です。

任意整理の金額は、多くの場合、借りているお金の残高(債務額)で決定されます。そのため、借りているお金が10万円の人なら少額になり、100万円なら少し高めになるといったことになります。

任意整理の合計費用は、一般的には5〜15万円程度になることが多いです。

任意整理の費用の内訳一覧

任意整理には、以下の費用がかかります。

「着手金」:債務整理の手続きを始める際に支払う費用です。

「報酬金」:債務整理が終了した後に受け取る報酬です。借金の減額分の一部を支払う場合があります。

「事務管理手数料」:業務遂行に必要な郵便切手や通信費などの諸経費です。

これらを合算して「費用」と呼びます。

任意整理の場合、費用の総額は通常、約5万円から15万円程度で、着手金は約2万円から10万円程度です。

解決(減額)報酬は金額の変動が多く、定額である場合もありますが、事件解決後に借金の減額分の10〜20%を請求されることもあります。

事務管理手数料は一般的に5000円前後となることが多いです。

個人再生の費用の相場

個人再生とは、裁判所から再生計画の承認を受ける方法で、再生計画の承認を受けることで、借金額を大幅に減らすことができる可能性があります。

減額率は借金額によって異なりますが、通常は元の借金の5分の1から10分の1程度に減らすことができます。

減額された借金は、原則として3年から最長5年の間で完済することになります。

再生計画の承認を受けるために依頼をした場合、一般的には、合計費用が50万円から80万円程度かかることが多いです。

個人再生の費用の内訳一覧

個人再生にかかる費用は一般的に約50万円から80万円ほどです。この費用には、着手金と成功報酬が含まれていることがあります。

一般的には、着手金は約30万円ほどで、成功報酬は20万円から30万円ほどの事務所が多いようです。

さらに、裁判所に支払う追加の実費が必要になることもあります。具体的な費用としては、以下のようなものがあります。

・予納金(官報掲載料):個人再生の申し立てをする際に裁判所に納める必要がある費用です。一般的には1万円程度です。

・収入印紙(申し立て手数料):個人再生の申し立てに必要な費用で、申立書に収入印紙を貼る必要があります。通常は1万円です。

・郵便切手(通知呼び出し料等):債権者に個人再生手続きの通知をするために必要な費用です。数千円ほどの費用がかかります。

以上が裁判所への支払い費用の例ですが、ほかにも、手続きの際に選任する個人再生委員への報酬として15万円から25万円程度を支払う必要がある場合もあります。

自己破産の費用の相場

借金を返す必要がなくなる方法として、裁判所を通じて借金の免責を受ける方法があります。免責とは、一部の特定の債務を除いて、すべての借金の返済義務がなくなることを意味します。

この方法を利用するには、裁判所に申し立てを行う必要があり、免責を受けることで、借金を完全に返す必要がなくなります。

ただし、免責を受けるためには一定の費用がかかります。一般的には、合計費用が40万円から130万円程度かかることが多いです。

自己破産の費用の内訳一覧

自己破産手続きには、主に裁判所費用と債務整理費用の2つの費用がかかります。

まず、裁判所費用には申し立て費用があります。これは、自己破産を申し立てる際に裁判所に支払う費用です。裁判所によって異なりますが、一般的には1.5万円ほどです。

また、管財費用が発生する場合もあります。管財事件という、破産管財人が破産者の財産を管理し、債権者への分配を行う手続きが行われる場合、別途、管財費用がかかります。報酬として40万円や20万円の予納金が基準額とされています。

次に、債務整理費用は、自己破産手続きをサポートしてくれる弁護士への支払いです。相場としては30万円から60万円ほどですが、事情や弁護士事務所によって異なる場合があります。

これらの費用を合算すると、自己破産手続きには総額40万円から130万円程度の費用がかかることがあります。

債務整理費用の支払方法

分割にできることが多い

上記では、様々な債務整理手続きの費用の相場をご紹介してきました。

ただ、もっとも安い場合で5万円程度、高額なものになると、100万円を越えることもあり、このお金を一括で払える人はほとんどいないのでしょう。

この点については、心配する必要はありません。ほとんどの弁護士・司法書士事務所では、分割での支払いを受け付けています。

以下は、分割回数の目安です、

任意整理6~8回前後(元金支払額により変動)
個人再生10回程度
自己破産12回程度

少し大雑把ではありますが、任意整理は半年、個人再生や自己破産は1年で費用を支払いきると考えておけばよいかと思います。

債権者への返済を停止した上で分割払いする

もし、上記のように分割払いを受けてもらったとしても、費用と別に各業者への支払いを継続するとしたら、二重に支払いが被ってくることとなり、支払いは難しいでしょう。

ただ、その点についても心配する必要はありません。

債務整理を司法書士や弁護士に依頼することのメリットの一つに、「債権者からの支払の督促が止まる」ことと「債務整理中は各社への返済をストップできる」ということが挙げられます。

なぜ、返済が止められるのでしょうか?

受任通知が債権者に送られます。受任通知は債務整理の依頼を受けたことを債権者に通知するものです。債権者は受任通知を受け取ると、債務者に対する取立て行為を禁止されます。

これにより、即日から2週間程度で、債権者からの取り立てがストップします。さらに、取り立てが止まるだけでなく、返済する必要もなくなります。

なお、取立禁止は任意整理だけでなく、自己破産などの債務整理手続きでも同様に適用されます。

そのため、債務整理を行う業者への支払いをストップし、そのお金を弁護士や司法書士の依頼費用として充てることが出来ますので、負担が増えることは多くの場合はありません。

債務整理費用を安く抑える方法

債務整理を始めるに際してかかる費用相場や支払方法について、ここまでご案内してきましたので、おおよその相場や毎月の支払額はご理解いただけたでしょうか。

「それでも費用の支払いが難しい」
「もっと費用を抑える方法はないのか」

と考える方も多いでしょう。

ただし、手元にお金がなく、債務整理の費用が支払えない場合でも、解決策があります。

ここからは、債務整理費用を安く抑える方法についてご紹介します。

分割や費用に柔軟に対応してくれる事務所を探す

普通は、借金の金額と毎月の返済額を基準にして、費用の支払いや分割回数を決めます。

しかし、柔軟に対応してくれる事務所もあります。相談するときは、自分の状況をしっかり説明して、できるだけ負担を軽くしてもらえるようにしましょう。

また、相手への返済と事務所への費用支払いは、同時に行われることを避けるように調整されます。まず費用の支払いを完了させた後に、債権者への返済を始めるように調整してもらえます。

これによって、借金の返済と費用の支払いが重なって負担が大きくなることを避けられます。相談する際には、この点も考慮して話し合うことをおすすめします。

個人再生や自己破産の場合、月々の支払額はおおよそ3万円から5万円くらいが目安です。

任意整理や過払い金請求に関しては、債権者の数によって費用が変わりますが、一般的には6回から10回くらいで費用を完済するように調整します。

司法書士に依頼する

司法書士の費用は、弁護士の費用と比べると一般的に安い傾向にあります。そのため、条件に問題がなければ司法書士に依頼することで費用を抑えることができるかもしれません。

ただし、注意点として、司法書士は1つの会社に対して最大でも140万円までの借金でなければ、債務整理を行うことができません。

また、140万円までの任意整理を依頼する場合でも、認定された司法書士でなければ代理人になることはできませんので、その点にはご注意ください。

法テラスを利用する

日本司法支援センターは、法律の問題を解決するための相談所であり、法テラスとも呼ばれています。

法テラスは、国民が法律のトラブルを解決するために必要な情報やサービスを提供するために作られた公的な組織です。

法テラスでは、収入や資産が少ない人々を支援する民事法律扶助業務が行われています。この業務では、無料の相談や費用の立て替えなどが提供されます。

法テラスを利用することで、費用の心配なく法テラスと契約している弁護士や司法書士と相談や依頼ができるのです。

ただし、法テラスの民事法律扶助業務は誰でも自由に利用できるわけではありません。一定の基準以下の収入と資産を持っている必要があります。

たとえば、単身の場合は手取りの月収が18万2,000円以下であり、2人で暮らしている場合は2人合わせて25万1,000円以下といった基準を満たしている人だけが、費用の立て替えを受けることができます。

なお、生活保護を受けている人々は、多くの場合、上記の基準を満たさないため、法テラスを利用することができます。したがって、生活保護を受けていて借金で困っている場合は、まずは法テラスに相談することを検討してください。