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債務整理

債務整理の費用が払えない時は、分割や後払いできる?対処法を解説

債務整理には、借金完済をしやすい環境を整えることが出来るための手続です。返済の総額が減ったり、毎月の返済額が下がるなどの効果があります。

ですが、

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「借金の総額が減っていない」

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「債務整理の費用が高くて支払いが出来ない」

という声を聴くことは非常に多いです。

これは債務整理の進め方が適切ではない場合や、借金の金額が大きすぎるなどの原因が考えられます。

本記事では

  1. 費用が払えない時の対策法とNG行動
  2. 債務整理と費用の関係
  3. なぜ費用が高くなってしまうのか

についてご紹介します。

債務整理の費用が払えない!と感じたときにとるべき正しい対策方法

【払えない時の対処法(1)】 弁護士や司法書士に分相談する

まずは、費用の支払いが出来ないと感じた場合には、依頼している弁護士や司法書士と相談をすることが何より重要です。

債務整理の費用の支払い期日前になるべく早く、依頼した司法書士や弁護士の事務所に必ず相談するようにしましょう。

債務整理の費用を支払うのが難しいからとの理由で相談をせず、支払い期日に支払われなかった場合や長期間連絡がつながらない場合、司法書士や弁護士に辞任されてしまう可能性があります。

そうなると、債権者から支払い催促がご本人へ来ることになってしまうリスクがあります。

このような状況にならないためにも、依頼した専門家には「正直に経済状況」を伝え、適切な債務整理ができるよう「コミュニケーション」を取ることが大切です。

支払いを待ってもらう

債務整理の費用を期日までに支払うことができない旨を相談する際には、「現実的な日時」を伝え、支払いをそれまで待っていただけるかなどを相談するようにしましょう。

  • 「いつまで時間を空ければ支払いが可能なのか」
  • 「いくらぐらいなら支払い可能なのか」

など目安の「時期」や「金額」を具体的に報告することが大事になります。

例えば、数か月の間、怪我や事故が原因で休職をしていて支払いが出来ない方の場合、復職が叶えば以前通りに支払いが可能かもしれません。

また、会社の倒産や業績悪化などが原因で収入が減っているのであれば、その原因が解消すれば、収入が戻る可能性はあるでしょう。

もっとも、これは「2,3か月の間に収入が戻る目途が立つ場合」にのみ有効な方法です。

状況が変わるのに半年、一年と時間がかかるようであれば、これらは有効な方法とは言えないでしょう。

分割回数を変更してもらう

また、費用の支払い方法や内容がどうしても無理な場合、今後の支払い方法や内容を変更できないかについても依頼している事務所に相談すべきです。

具体的な内容としては、月々の支払い額を減額できないか、支払い期間の延長ができないかを相談してみるといいでしょう。

例えば、費用が総額10万円で、分割3回払いであれば、支払額は34000円程度です。

ただ、毎月3万円の支払いは無理でも、2万円であれば支払いは可能ということもあるでしょう。

この場合、分割5回払いに伸ばしてもらえれば、支払額を下げられるわけです。

ただし、後述しますが、費用は返済額をベースにして計算します。

そのため、毎月の支払額が返済額を全く満たさない場合は、任意整理や個人再生を行うことはできません。

ですので、次に述べるように、債務整理の方針を変更することを考える必要が出てきます。

【払えない時の対処法(2)】 債務整理の方針を変更する

第二に、方針を変更することが考えられます。方針を変更することによって、返済額を大きく減らせる可能性があるためです。

返済を2回遅れると和解が破棄になる

任意整理で和解する際、ほとんどの債権者は、

「2回分以上の支払いを滞納すれば期限の利益を喪失し、残債務を一括して支払わなければならず、さらに期限の利益を喪失した翌日から遅延損害金の支払義務が発生する」

というような懈怠約款の条項を和解書に盛り込むよう求めてきます。

これを期限の利益と言います。

「期限の利益」とは、期限が到来するまで返済を猶予してもらえる権利のことです。

例えば、5万円を借りた際に「3月31日までに5万円返済する」と約束した場合、貸主から突然「明日中に全額返済せよ」と言われても、3月31日まで返済を先延ばしにできます。

「期限の利益の喪失」とは、この権利を失うことを指します。

任意整理では、多くのケースで返済が2回遅れてしまうと、期限の利益を喪失するという条項になっています。

つまり、2回返済を遅れれば、和解が破棄されて債権者から一括請求を迫られたり、遅延損害金を請求されたりするということです。

再度和解交渉を行う

さて、期限の利益を喪失してしまった場合はどうすればいいのでしょうか?

まず、一時的に返済が困難な場合は、再度債権者と交渉する方法があります。

つまり、2回目の任意整理を行うということです。

ただし、再和解となると条件が悪化する可能性があります。

また、会社の方針で再和解に応じてもらえない場合もあります。

自己破産・個人再生を検討する

再和解をすれば支払いが出来るという見込みがあるのなら、再和解でも大丈夫です。

では、長期にわたって安定した収入が見込めない場合はどうすればいいのでしょう?

その場合は、自己破産・個人再生を検討する必要があります。

個人再生とは、借金の総額を減額し、減額後の金額を原則3年で返済する計画を立て、裁判所の認可を得て、その計画に沿って返済を行う手続きです。

自己破産とは、借金返済が困難な状況を裁判所に認めてもらうことで、借金の返済義務が消滅する手続きです。

任意整理後に返済の継続が厳しくなった場合は、早めに弁護士・司法書士に相談することをおすすめします。

特に、借金を減額したうえで、返済が必要となる任意整理や個人再生といった手続きを取っている方の場合、返済が必要ない自己破産を選ぶなどの対処で、費用の金額を下げてもらえる場合があります。

方針変更は簡単ではないので代理人とよく相談しよう

ただし、方針変更は簡単に決められる問題ではないという点には注意が必要です。

自己破産をすれば、借金の支払いは免除されることとなるため、返済するお金は小さくなります。一方で「持っている資産を手続き中には清算処分しなければならない」という他の手続にないデメリットが存在します。

つまり、家や車といった資産を残した状態で手続きを進めたいというのであれば、自己破産は選べないのです。

とはいえ、「借金の支払いを免除してもらいたいから、自宅でも車でも売っていい」と簡単に決められる人はほとんどいないでしょう。

このように、

  • 「方針を変えることで起きるデメリットを受け入れられるか」
  • 「現状のまま債務整理を続けていくことにより生じる返済の負担」

のバランスが非常に重要となるのです。

【払えない時の対処法(3)】収入を増やして債務整理の費用を払えるようになる

第三に、収入を増やして債務整理の費用を払えるようになることも考えられます。

特に、(2)で述べたような理由のために「自己破産はできない」と判断している方の場合は、借金を返済できるようになる以外の方法はないのです。

ここで大事なのは、「支出を減らす」ことではなく、「収入を増やす」ことが大事だということです。

収入が少ない人は削れるお金がない

例えば、手取り20万円のAさんがいたとします。

Aさんの収入

主たる収入20万円
副収入0円

Aさんの支出は、以下の通りです。

読者の皆様もお考えいただきたいのですが、Aさんの支出を見て、削れるところはあると思いますか?

Aさんの支出

家賃6万円
食費5万円
光熱費1万円
通信費(ネット、携帯等)1万円
日常雑貨類1万円
保険等1万円
医療費等1万円
余剰20万-16万=4万円

多くの方が、「これ以上、何万円も生活費を削るのは難しい」と思ったというのが、正直なところでしょう。

ちなみにですが、日本人の平均的な収入に対する貯蓄などに回せるお金の割合は10~15%程度と言われています。

それを前提として考えると、Aさんの家計収支では余剰金は家計の内20%もあり、かなり優秀な方です。

Aさんの支出をこれ以上削って捻出するのは、かなり困難だと考えていいでしょう。

収入を増やす方が簡単

上の項目では、「支出を減らしてお金をねん出するのは非常に難しい」ということを解説しました。

一方で、上記のAさんの生活スタイルをそれほど変えずに、本業の他に、週に3回バイトをして、5万円を稼いだとしましょう。

すると、以下のようになります。

Aさんの収入

主たる収入20万円
副収入5万円
余剰25万-16万=9万円

もしくは、配偶者が働いていない方なら、週2~3日だけでも、仕事をしてもらうことも考えられます。

Aさんと配偶者の収入

主たる収入20万円
配偶者の収入5万円
余剰金25万-16万=9万円

他にも、両親や親族に金銭的な援助を受けるとしたらどうでしょうか?

Aさんと家族の援助による収入

主たる収入20万円
家族からの援助5万円
余剰金25万-16万=9万円

いずれの方法でも、かなり大きく余剰金を増やすことが出来ました。

これならば、返済に充てるお金を増やすこともできるようになるかもしれません。

多くの方は、「使えるお金を増やす=節約」と考えがちです。

ですが、それが有効なのは「もともとの収入が多い人」に限られています。

収入がそれほど多くない方の場合、「収入を増やす」方が、よっぽど簡単で効率的に返済原資を増やせるのです。

【払えない時の対処法(4)】法テラスを利用する

最後に、法テラスを利用することも考えられます。

法テラスとは、国が補助を出してもらうことで、あまりお金が無い人でも弁護士や司法書士に依頼をできるようにするという公的サービスのことです。

ただし、だれでも利用できるわけではなく、条件を満たす必要があります。

具体的には、法テラスを利用するためには

  1. 「収入が基準より低いこと」
  2. 「資産を基準より少額しか持っていないこと」

という2つの条件が必要になります。

これらの条件を満たしている方の場合は、法テラスを利用して債務整理をすることも検討してよいかもしれません。

債務整理の費用が払えない時に絶対やってはいけないNG行動とは?

ここまでは、債務整理の費用はどう決まっているのか、なぜ金額が高いのかについてご紹介してきました。

ポイントをまとめると

債務整理の費用は、返済原資を基準として決めていることが多い

債務整理の費用には、返済原資と報酬が含まれてる

債務整理の費用が高いのは、方針が適切でなかったり、借金額が大きすぎたり、報酬が高めに設定されているため

と言うことが考えられます。

では「債務整理の費用が高く、払えない」と感じたときに、どのような対応をすればよいのでしょうか?反対に、どのような対応をしてはいけないのかについて、解説していきます。

なお、債務整理に失敗しやすい人の特徴や、債務整理に失敗した時の具体例などは、以下の記事に詳しく書いていますので、ご参照ください。

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【払えない時のNG行動(1)】人からお金を借りて債務整理の費用を払おうとする

まず、お金を人から借りて費用を支払おうとしたり、借金の返済を行おうととすることです。

「お金が払えない!」という時に、「誰かから借りる」という発想になりがちなのは、債務者あるあるです。

ただし、借金を借金して支払ったところで、借金を付け替えているだけです。トータルで見たら借金の金額は変わりません。

どころか、

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「借金をしても債務整理してしまえばいいや」

という気持ちで借り入れをすると、それは、債権者の不信を招く結果となり、債務整理が失敗する原因にもなりかねません。

世の中の争いごとの大多数は、人間関係かお金のどちらか(または両方)です。

家族や友人からお金を借りることは、その両方の問題となることも多いため、避けておく方が無難だと言えます

【払えない時のNG行動(2)】債務整理を依頼してる専門家からの連絡を無視する

払えない時のNG行動の二つ目は、債務整理を依頼している弁護士や司法書士からの連絡を無視することです。

債務整理をすると、消費者金融やクレジットカード会社からの督促や通知は、すべて弁護士や司法書士が処理してくれます。

つまり、貸金業者からの督促は止みます。ただ、費用の支払いが出来なくなると、今度は弁護士や司法書士事務所から連絡が来ることとなるのです。

そして、非常に多くの債務者が、ここで「弁護士や司法書士事務所からの連絡を無視してしまう」のです。

もちろん、督促を受けて気分のいい人はいないのは理解します。

ですが、弁護士や司法書士はあなたを追い詰めたいから連絡をしているわけでもありません。

事情を聴いて建て直しまでの期間を設けたり、方針を適切なものに変更することで、負担を下げることで立ち直るチャンスを与えようとしているのです。

味方である弁護士や司法書士からの連絡を無視するということは、立ち直るためのチャンスをドブに捨てているのと同じだということを心がけましょう。

【払えない時のNG行動(3)】財産を売ってお金をねん出する

自宅にある財産を売って費用を捻出することも考えられます。

ただし、これには注意点があります。

費用より多く捻出できた場合、その分を借金の返済「以外」で浪費してしまうというリスクがあるのです。

例えば、車を売却し「50万円」捻出したとしましょう。

この50万円から司法書士や弁護士へ依頼料として「30万円」を支払うと、「20万円」残ります。

この残った20万円を借金の返済に充てずに、自分の欲しいものを購入するのに使ってしまったとします。

すると場合によって、個人再生で手続き後支払う借金の残額が高くってしまったり、自己破産で免責を得られなくなるというリスクがあります。

そのため、財産を売却して費用を捻出するときは、念のため依頼している司法書士や弁護士に相談するようにしましょう。

【払えない時のNG行動(4)】仕事を辞める、転職をする

仕事を辞める、転職をするというのも、債務者によくみられる行動です。

多くの人は、1日数時間は職場で過ごし、人間関係も職場を中心に構築することも珍しくありません。つまり、仕事は人生に大きな比重を占め、人生設計やキャリアプランを構成する重要な要素なのです。

ですので、転職や起業をすることで、よりよい環境や賃金を目指したり、スキルアップ、キャリアアップにつなげていくことは素晴らしいことだと言えます。

しかし、仕事を辞めるということは、一時的にせよ収入を無くすという行為です。仕事を辞めた結果、支払いが出来なくなったり、借金を増やしてしまう原因となるのです。

また、仕事を辞めたからと言って、

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「それなら仕方ない、支払いはしなくていいですよ」

と、言ってくれる消費者金融は存在しません。

貸金業者にとっての評価は

  • 「借金が返済できている」
  • 「借金が返済できていないか」

の二者択一でしかありません。

たとえ、どんな理由があろうが、借金を払えていないのであれば未納なのです。

そもそも、仕事を辞めるというのは、あくまであなた側の都合であり、他人、特に貸金業者には、なんの関係のないということを忘れてはなりません。

【払えない時のNG行動(5)】借金問題から目を背ける

最後に、

「借金問題から目を背ける」

というのが、最もやってはいけないNG行動です。

これは、多くの債務者が陥る落とし穴であるということをお伝えしなければなりません。

多くの債務者は

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「生活費が足りなかった」

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「急な支出があった」

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「収入減少があった」

等と言いますが、これらはすべて言い訳にすぎません。

普通の人は、収入の範囲内で生活してます。急な支出や収入の減少にも、借金をすることなく対応しています。

債務者は、

  • 普通の人ならだれもがやっている家計管理が出来ない
  • 普通の人並みの生活が送れない、無駄遣いが多い
  • 普通の人なら貰っているはずの収入がない

という、普通の人が出来ることが出来ないから債務者になってしまうのです。

まずは、その現状を直視し、借金をしている自分から目をそらさず、世間の誰もが当たり前にできていることを自分は出来ていないという現実を見つめ直す必要があるのです。

そもそも、債務整理の費用ってどうやって決められているの?何で支払うの?

債務整理の費用は弁護士や司法書士への報酬

そもそも、債務整理の費用には、2種類の目的があると言えます。

第一に「弁護士や司法書士に代理人として就任してもらったことに対する報酬」です。

弁護士や司法書士を代理人とすると、貸金業者との借金の減額交渉や返済スケジュールの調整をしたり、裁判所に提出する書類を作成してもらったり、様々な手助けをしてもらえます。

その対価として、弁護士や司法書士に対して支払う報酬が発生するということです。

ここは、理解しやすいポイントかもしれません。

債務整理の費用は「返済原資」をベースに決められている

第二に、債務整理の費用は「返済原資」という意味合いも持ちます。

債務整理の中には、借金を減額して支払いをする手続きがあります。

例えば、300万円ある借金を、100万円まで減らすとして、この残りの借金を3年で払おうとすると、およそ3万円の返済原資を準備しなければなりません。

つまり、毎月、返済の元手として3万円が準備できないのであれば、借金を減額しても支払いが出来なくなる可能性が高いということです。

そのため、債務整理の費用を「毎月3万円」と設定し、借金返済の元手を準備できるかを判断します。債務整理の費用には、債務整理を継続可能か、返済が可能かどうかのテストするという意味があると言えるのです。

債務整理の費用が払えない!その原因は?

【払えない原因①】借金の金額が大きすぎる

さきほど、債務整理の費用は、返済額に応じて設定される、「返済可能かを判断するためのテストのようなもの」だと言いました。

ですから、借金の金額が大きすぎると、たとえ減額が出来ても、毎月の返済額は大きくなりやすいです。

結果として、費用や借金が支払えないということが生じるのです。

例えば、1000万円の借金の返済額を、500万円に抑えられたとして、これを3年で支払うとすると1回の返済額は15万円近くになります。そして、この15万円というのが返済原資の基準になりますから、どうしても費用が高くなりすぎてしまうのです。

とはいえ、それだけの借金を作ってしまったのは、まぎれもなくあなたです。借金が払えないのは誰のせいでもなく、あなた自身の責任だと自覚しましょう。

【払えない原因②】債務整理の方針が適切ではない

第二に、「債務整理の方針が適切ではない」という問題が挙げられます。

【払えない原因①】のように借金の金額が大きすぎるのであれば、任意整理や個人再生のように、借金を減額したうえで返済する手続きよりも、自己破産という返済を免除してもらう手続きの方がよいという場合もあります

依頼者の希望により、あえて他の手続きを選んでいる

しかし、あくまで金銭面だけを見たら自己破産が相当と言う場面であっても、依頼者の希望により、あえて他の手続きを選んでいるというケースもあります。

たとえば、自己破産をすると、住宅や財産を売却しなければなりません。

これを避けようと思うと、他の手続と取らざるを得ないのです。

また、家族に借金があることを知られたくないという方が、

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「裁判所を通じて行う自己破産や個人再生の手続きを取りたくない」

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「返済額は大きくなっても、家や財産を残したい」

という希望を持たれる債務者もおられます。

そのため、方針が適切ではなく、費用も高いのだけれど、

  • 「住宅を保持し続けたい」
  • 「家族に内緒で進めたい」

というような希望があるケースは、あえて別の手続きを選択するということもあります。

ですから、一言に「方針が適切ではない」からといって、方針が変更できないという場面も考えられることを留意する必要があると言えます。

【払えない原因③】事務所によっては費用が高く設定されてることも

債務整理の費用には、返済原資のみならず、報酬が含まれているということもご説明いたしました。

ただ、弁護士や司法書士の事務所によっては、費用が高く設定されていたり、支払の回数を少なく設定しているというケースも見受けられます。

特に、広告に大きなお金をかけている事務所の場合は、広告費などを回収するために、少し高めの料金設定になっているというケースもあるようです。

一方で、地元の弁護士や司法書士事務所の場合は、広告などにあまりお金をかけないことから、費用は安めに設定していることもあります。

ただし、これについては良し悪しがあります。

例えば、大手の弁護士や司法書士事務所の場合は、債務整理を得意分野とし、特化して行っています。また、多くの業者や会社との交渉や調整を経験し、実績が多く積んでいる可能性もあります。

また、大手事務所の場合、夕方18時以降も対応が出来る、土日祝日も連絡が可能というように、フレキシブルな対応をしてくれることも多いです。

一方で、地元の弁護士や司法書士事務所の場合は、大手どころの消費者金融などとの交渉歴はあっても、中小規模の消費者金融とは交渉歴がないかもしれません。

また、土日祝日はお休みで、夕方も18時以降は対応していないというケースも多いです。

このように、一概に費用の高い、安いのみで判断するのではなく

  • 実績や経験が豊富か
  • 使い勝手がよいか
  • 連絡が付きやすいか

などの複数の視点から、事務所の費用は判断する必要があると言えるしょう。

なお、費用の相場については、以下の記事をご参照ください。

債務整理の費用相場はどのくらい?分割払いにもできるのかも解説 相場 債務整理の依頼費用は、任意整理・個人再生・自己破産のどの手続をするかによって異なります。 ただし、費用を支払うための...

最後に

最後になりますが、費用が支払えない人がたどる末路をご紹介します。

あるところに、多額の消費者金融からのキャッシングローンやクレジットカードの借金に悩まされ、返済のプレッシャーに日々苦しんでいるAさんがいました。

返済が厳しかったAさんは、ネットで見た広告で債務整理を知り、債務整理を弁護士に依頼して、借金を一掃しようと決意しました。

最初は、月々の支払い額が減るなど、「これならかなり楽になるのでは?」と思い、一時的な安堵感に包まれていました。

しかし、ある時Aさんは、些細なことが理由で、仕事を退職してしまいました。

収入がなくなり、みるみるうちに毎月の返済や弁護士の費用の支払は困難になっていきました。

そして、Aさんはついに「弁護士事務所からの取り立てがうるさい」という理由で、弁護士事務所の電話番号を着信拒否しました。

その結果、弁護士からは見捨てられ、債務整理が失敗してしまいました。

Aさんの苦境は一段と深刻になりました。

借金を返すために、親や知人にも借金をしていたことから、借金は減るどころかむしろ増え、業者からも取り立ての通知や裁判所からの差し押さえ命令が絶え間なく届くようになりました。

もちろん、親や知人への借金も返せず、友人や家族からの支えを失い、孤独と絶望に包まれました。

Aさんは、誰からもお金を借りられず、借金完済など夢のまた夢。

結果、Aさんは、一生ブラックのまま生きていくこととなったのです。

冷酷な現実を突きつけますと、これは、正直よくあることです。

債務整理をしている人のうち20%くらいは、借金の返済をせずに、債務整理の費用を払わず、借金から目を背けて逃げてしまいます。

ですが、債務整理から逃げ出した債務者の人生は、実に悲惨です。

  • 信用情報が回復しない
  • クレジットカードも作れない
  • 住宅ローンも自動車ローンも組めない
  • 配偶者が入院しても医療ローンを組めない
  • 子供の奨学金の保証人にもなれない
  • 親の老後に家賃の保証人にもなれない
  • 人から「あいつはブラックだ」「信用がない」と揶揄され続ける

このように、債務整理から逃げることは、人生に大きな禍根を残してしまうのです。

一生のうち、債務整理に使う時間はせいぜい数年間です。長い人生を考えれば、ほんの一瞬です。

反対に言えば、債務整理をして一瞬だけ苦しい思いをすれば、借金が完済に大きく近づけるのです。

それとも、その一瞬の苦しさから逃げたいから、一生ブラックになった方が良いでしょうか?

どちらを選ぶかはあなたの自由ですが、借金から逃げたところでいい人生は待っていないでしょう。

  • 記事監修者
  • 弁護士 近藤 裕之
  • 翔躍法律事務所 所属
  • 第一東京弁護士会 所属
  • ※法律問題に関するテキスト監修に限る